本日の一品
またZ Foldを買ってしまった。“進化しすぎた”Galaxy Z Fold7の功罪
2025年8月12日 00:00
昨年、2年目を迎えた「Galaxy Z Fold4」のヒンジが不調となり、180度フラットに開かなくなった。同時に中央部のフィルムも浮き始め、かつて無償で貼り替えてもらったGalaxy Harajukuを再訪したところ、「180度開かないと貼れない」と断られた。
さらにヒンジ交換も画面ユニット単位の修理交換対応となり、費用は13万円超との提示にドン引き。修理は断念し、代わりに後日Galaxy S24 Ultraを購入。今回はGalaxy Careの保険にも加入し、「もう折り畳みスマホには手を出さない」と誓った……はずだった。
Z Fold再び──魅力的すぎた“薄さ”の誘惑
そんな決意も束の間、「Galaxy Z Fold7」の“薄さ”に惹かれ、またもや折り畳みスマホの世界へ舞い戻ってしまった。筆者が選んだのは12GB RAM/512GBストレージの「ブルーシャドウ」モデル。購入はGalaxy公式オンラインショップにて行い、税込価格は28万3750円。
さらにGalaxy Careの2年保証(2万8380円)も加えると、総額は31万2130円に達し、完全に“大台超え”となった。キャリアモデル24か月以降の返却モデルよりも割安だと判断した結果だった。
過去のZ Foldシリーズはもちろん、他社製のフリップタイプも含め筆者にとっては今回の「Galaxy Z Fold7」で8台目となる“フォールダブル・コレクション”だ。
今回の「Galaxy Z Fold7」は、これまでにない端正な筐体と、簡素なパッケージングのギャップが印象的なモデルだった。箱を開けた瞬間に感じる“未来感”は従来と同じく健在だった。
Galaxy Z Fold 4/S24 Ultraとの比較で見えた“完成度”
まずは修理できずに手元に残った「Galaxy Z Fold4」と厚さを比較してみた。「Galaxy Z Fold7」は驚くほど薄く、閉じた状態の印象がまるで異なる。また「Galaxy S24 Ultra」との比較では、厚さはほぼ同等で、カバーディスプレイのサイズが若干小さい程度。
だが表示スペック的にはほぼ同じで、アイコンレイアウトは寸分たがわず表示可能で一致しており、アプリもすべてGalaxy S24 Ultraから100%移行できたため、使用感の差はほとんどない。
この“普通に使えてしまう”ところが、「Galaxy Z Fold7」の新たな個性である。6.5インチのカバーディスプレイがスレート型スマホと同等に機能するため、メインディスプレイを開く機会が激減してしまうのだ。
ケース選びのジレンマ
高額なスマホを手にすると、筆者のような庶民は必ず保護ケースを装着したくなる。今回も高級価格帯のSamsung純正クリアケース(MagSafe)を半額で入手したが、中身はなんと“片面分”のみ。これまでの両面保護ケースに慣れていた筆者にとっては少し拍子抜けだった。
「Galaxy Z Fold7」はカバー無しの素の状態では指先(爪先)を挟んで開くのにコツがいる。片面ケースを装着してみると、片側の全体に少し厚みが出て開きやすくなる。
しかし、「Galaxy Z Fold7」本体があまりにも普通のスレート型スマホのような雰囲気のため、カバーディスプレイだけで操作が完結することが多くなり、「開く」という行為そのものが次第に億劫になってくるのだ。
そこで国内で流通している両面保護ケースも試してみた。確かに開閉はしやすくなったが、全体の厚みと重量が増し、「薄くて美しいGalaxy Z Fold7を選んだ意味とは?」という疑問が湧いてしまう。
最終的に筆者は、薄さと操作性のバランスをとるため、再び純正片面ケースに戻ることとなった。
キーボードと合わせて“ポケットPC”運用
「Galaxy Z Fold7」本体の重さは215g。純正片面クリアケース込みで約250gと、「Galaxy Z Fold4」より明らかに軽量だ。最近はノートパソコンを持ち歩く機会が減り、スマホでほとんどの作業を済ませてしまう筆者にとって、この重量感は魅力的である。
折り畳み時のカバーディスプレイでは通常のスマホとして利用し、必要に応じて開いて8インチの“ほぼタブレット”画面を使う。さらにBluetooth接続でThinkPad TrackPoint Keyboard IIを連携させれば、完全に“ポケットPC”として運用可能だ。
ただし、この運用には落とし穴もある。スタンド+TrackPointキーボードを加えると実測総重量は769gとなり、筆者のThinkPad X1 nano(約970g)と200g差になってしまいダイエット感が少ない。
そこで現在はAnkerの超軽量キーボード、サンワサプライの極薄マウス、MagSafe対応の折りたたみスタンドの3点セット(541g)を検討中だ。
「Galaxy Z Fold7」は、3年ぶりに本気で“買って良かった”と思えるフォルダブルスマホである。構造、質感、携帯性すべてにおいて完成度が高く、まさに「成熟したフォールド」と呼ぶにふさわしい。
だが、その洗練された美しさは、皮肉にも“開かれにくさ”をも生み出している。ケースを付ければ解決するが、それでは薄さと軽さという最大の武器を失ってしまう。
さらに、カバーディスプレイの大型化・高機能化により、「開かなくても済むスマホ」になってしまったことも見逃せない。
動画視聴や写真閲覧、地図の拡大、ゲームなど、「開く価値」を自分なりに見出せるユーザーにとって、「Galaxy Z Fold7」は間違いなく至高の選択肢である。
ただし、格好良く、そして軽やかに使いたいと願えば願うほど、むしろ開く機会は減っていく。それがこの「Galaxy Z Fold7」の“進化の代償”なのかもしれない。
| 商品名 | 発売元 | 実売価格 |
|---|---|---|
| 「Galaxy Z Fold7」 512GB | Samsung | 28万3750円 |

















