法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
お手頃価格の「iPhone SE(第2世代)」は買い? 待ち? それとも?
2020年5月7日 12:02
アップルは4月15日、かねてからウワサされていた普及価格帯を狙った「iPhone SE(第2世代)」を発表した。4インチディスプレイ搭載のiPhone SE(第1世代)の名称、iPhone 6から続いてきた4.7インチディスプレイ搭載モデルのボディをそれぞれ受け継ぎ、最安値モデルで5万円を切る価格を実現した普及モデルに位置付けられる。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。
期待されていた普及価格帯モデル
スマートフォンや携帯電話に限ったことではないが、ヒット商品は時として、その後の市場を難しくしてしまうことがある。ヒットしたがゆえに、後継モデルはデザインや仕様を大きく変えることができなかったり、後継モデルが必要以上に厳しく評価されてしまい、市場を失ってしまうこともあるからだ。スマートフォンのように、継続性のある商品は特に難しいとされる。
アップルにとって、2016年3月に発売した「iPhone SE」は、それに近い存在だったと言えるかもしれない。3.5インチディスプレイを搭載するコンパクトなiPhoneは、2011年の「iPhone 4s」まで続き、2012年の「iPhone 5」で4インチディスプレイになり、2013年の「iPhone 5s」とモデルを重ね、国内外の市場におけるiPhoneの拡大に大きく寄与した。2011年10月に亡くなった創業者の故スティーブ・ジョブズの基本コンセプトが活きた最後のモデルと受け取るユーザーも少なくない。
iPhone 5sは2013年の発売から約2年近く、継続して販売されたが、主力は2014年10月発売のiPhone 6シリーズに切り替わっており、4インチのコンパクトiPhoneは消えゆく運命かと思われた。ところが、2016年3月に「iPhone SE(第1世代)」が発売され、コンパクトiPhoneを待ち望むユーザーの期待に応えた。
iPhone SE(第1世代)は同時期に発売されたiPhone 7が4.7インチ、iPhone 7 Plusが5.5インチのディスプレイを搭載し、防水やFeliCa(ApplePay)といった日本のユーザーが望む機能を搭載していたのにも関わらず、安定した人気を得ていた。2018年9月にiPhone XSシリーズが発表され、ラインアップから消えたときには、最後のモデルを手にしようと、在庫を探し求めるユーザーが居たり、その後、MVNO各社が発売したiPhone SE(第1世代)がまたたく間に売り切れるなど、根強い人気を保ち続けた。
その後もiPhone SEの復活を望む声が聞かれたが、アップルは「高価格=高付加価値」路線を突き進み、なかなかユーザーの期待には応えてくれなかった。しかし、昨年あたりから後継モデルのウワサが聞かれるようになり、いよいよ今年3月に発売されるだろうという情報が確実視されていた。
ところが、一連の新型コロナウイルスの影響もあり、当初の3月発売の予定が4月にずれ込み、ようやく4月15日にグローバル向けに発表されたという流れだ。国内では従来通り、NTTドコモ、au、ソフトバンクが取り扱うほか、アップル自らもSIMフリー版を発売する。4月からMNOとして携帯電話サービスを開始した楽天モバイルは、まだ取り扱うことができず、動作確認情報を出すのみに留まっている。この点については、少し気になる点もあるので、後述したい。
今回、発売された「iPhone SE(第2世代)」は、iPhone SE(第1世代)のネーミングを継承しながら、iPhone 6シリーズから続く、4.7インチディスプレイを搭載したボディに、最新のハードウェアを組み合わせることで、コストパフォーマンスの高いモデルに仕上げられている。
発売のスケジュールについては、アップルが4月24日から販売を開始したものの、主要3社については政府の緊急事態宣言を受け、発売日が当初の4月27日から5月11日に延期された。主要3社と政府(総務省?)の間で、どのようなやり取りがあったのかはわからないが、主要3社はキャリアショップだけでなく、オンラインショップでの販売も制限される(自粛?)一方、アップルのオンラインストアやヨドバシカメラなどの一部の家電量販店ではSIMフリー版が販売されており、各社の対応にやや不可解な印象が残った。
販売価格については別表の通りで、これまでのiPhone 11シリーズやiPhone XSシリーズに比べると、グッとお手頃な価格が設定されている。アップルとしてはiPhone SE(第1世代)の買い換え需要などを期待しているだろうが、国内市場では3Gサービスが順次、終了する時期を迎えるため、フィーチャーフォンからの乗り換えも狙いたい構えだ。
主要3社の価格については、アップルの価格よりも少し高めに設定されている。その代わり、主要3社では分割払いを一定期間、支払い後、端末を返却することを条件に、残債を免除する「おかえしプログラム」などの端末購入プログラムを提供している。こうした端末購入プログラムを利用することで、実質負担額を減らすことができるが、最終的に端末が手元に残らないことを気にするユーザーも少なくない。
iPhone 8とまったく同じデザイン
さて、外観からチェックしてみよう。前述のように、今回発売されたiPhone SE(第2世代)は、4.7インチディスプレイを搭載したiPhone 6から続くボディのデザインを継承しており、外観は4.7インチディスプレイ搭載モデルの最新型だったiPhone 8と同じデザインで仕上げられている。
高さ、幅、厚さ、重さのスペックはまったく同じで、側面の電源キーや音量キーの位置、本体前面のホームボタンなどはもちろん、細かい部分を比べてもネジやスリット、アンテナを内蔵した樹脂パーツの位置など、ほとんど見分けが付かないほど、酷似している。いや、まったく同じと言っても差し支えない。唯一とも言える外観上の違いは、背面のロゴの位置くらいだ。
一部では、ディスプレイのガラスの面取りの仕上げがわずかに異なり、従来のiPhone 8用の市販の保護ガラスでは周囲が浮いてしまうという指摘もあるが、一般的にガラスの面取りは機械で削るため、工作した枚数によって、研削する砥石側も劣化し、必ずしも完全に均一サイズにならないことがある。もしかすると、今回はその差が少し緩めに出ているため、iPhone 8用の市販品が浮いてしまうのかもしれない。いずれにせよ、市販の保護ガラスを貼るのであれば、iPhone SE(第2世代)対応をうたう製品を選んだ方が確実だろう。
実際に、ボディを手にした印象だが、当然のことながら、iPhone SE(第1世代)よりも大きく、重量も30g以上、重い。ボディ幅も8.7mmもワイドになっている。ただ、iPhone 6から続く、4.7インチディスプレイ搭載のボディは、側面が丸みを帯びた仕上げになっているため、側面が角張っているiPhone SE(第1世代)に比べ、手にしたときのフィット感はiPhone SE(第2世代)の方がいいという見方もできる。防水防塵はiPhone 8やiPhone XRまでと同じように、IP67等級に準拠する。
ディスプレイはiPhone 8と同じ4.7インチRetina HDディスプレイを搭載する。液晶パネルがIPS方式であるところも共通で、解像度も1334×750ドット表示と同じだ。ちなみに、iPhoneのラインアップではもっともなじみのある対角サイズと解像度だが、ライバル機種を見ると、すでにHDクラスのディスプレイを搭載するのは最安値のエントリー機のみで、3万円台の端末でもフルHDクラスが当たり前となっている。プラットフォームが違うため、一概に比較できないが、映像コンテンツなどを再生することを考慮すると、やはり、物足りなさが残る。
また、ディスプレイの上下にはこれまでのiPhone 8などと同じように、やや太めのベゼル(額縁)があり、ディスプレイの下側には指紋センサーを内蔵したホームボタンを備える。従来モデルを継承したデザインであるため、ある意味、しかたがないのかもしれないが、個人的にはこの上下のベゼルには不満が残る。
従来はゴールドやシルバーのモデルで、前面のベゼルを白く仕上げていたのに対し、今回は3色とも黒いベゼルで仕上げている。好みの問題もあるだろうが、ここは黒のみのベゼルにすることで、コストダウンを図った印象だ。同時に、このベゼルの太さはiPhoneユーザーにこそ、なじみがあるが、昨今のスマートフォン全般の「フルスクリーン化」のトレンドから見ると、少々古くさいデザインに見えてしまう。過去に、トレンドに乗り遅れ、太いベゼルをデザインし続けたメーカーがシェアを大幅に落としたことがあり、ユーザーの反応が気になるところだ。
ホームボタンは物理的に押下できるタイプではなく、iPhone 8などと同じハプティック技術を採用したボタンが搭載されており、ボタン押下時にコツンと反応が得られる。Touch IDのレスポンスも変わりなく、瞬時にロックを解除できる。マスク着用が当たり前となった今日、Face IDではマスクを外すなどの対応が必要だが、Touch IDであれば、ストレスなく、使うことができる。
iPhone 11シリーズと同じA13 Bionicを搭載
チップセットはiPhone 11シリーズと同じA13 Bionicチップを搭載する。iPhone SE(第1世代)がiPhone 6sシリーズと同じA9チップ、iPhone 8がiPhone Xと同じA11 Bionicであり、世代的に見てもかなりのパフォーマンス向上が図られている。メールやブラウザ、SNSの表示といった軽い処理であれば、あまり差は感じられないが、写真アプリの一覧画面のスクロールやビデオのサムネイル表示など、少し処理が必要な操作はiPhone SE(第2世代)にアドバンテージがある。
ストレージは64GB、128GB、256GBの3モデル構成となっている。容量の違いは価格差につながるが、これまでのiPhoneでは256GBモデルがほぼ10万円前後だったことも考えると、iPhone SE(第2世代)の256GBモデルは6万800円(税別)に抑えられており、お買い得感は高い。ちなみに、3モデルの価格の差額はiPhone 11シリーズの3モデルの差額とまったく同じとなっている。その点を考えると、もう少し3モデルの差額を抑えても良かったのではないだろうか。
バッテリーはアップルが容量を明らかにしていないが、海外の分解サイトの情報によれば、iPhone 8とまったく同じ1821mAhのものが搭載されているという。アップルのカタログスペックではビデオ再生が最大13時間、ビデオ再生(ストリーミング)が最大8時間、オーディオ再生が最大40時間となっている。iPhone 11シリーズやiPhone XS/XS Max/XRなどに比べると、やや劣ることになるが、実用レベルでは大きな差がなさそうだ。ただ、チップセットの性能が向上し、昨今のアプリが要求するリソースが増えていることを考えると、バッテリーをもう少し強化して欲しかったところだ。充電の仕様はiPhone 8と同様で、最大18WのACアダプタによる急速充電に加え、ワイヤレス充電にも対応する。
このほかにも日本のユーザーにとって欠かせないFeliCaも搭載されており、Apple Payによる決済なども利用できる。FeliCaは2016年9月発売のiPhone 7から搭載されているが、2018年のiPhone XS/XS Max/XR以降はiPhoneが充電が必要な状態になっても最大5時間、予備電力で決済などが利用できる「予備電力機能付きエクスプレスカード対応」となっており、今回のiPhone SE(第2世代)もこれに対応する。ちなみに、iPhone 8は対応しておらず、数少ない機能面での差分のひとつなっている。
通信関連の仕様については、基本的にiPhone 8を継承しているが、Wi-FiがIEEE 802.11axにも準拠の「Wi-Fi 6」対応へと進化している。昨年あたりまではWi-Fi 6対応製品が少なかったが、現在は普及価格帯の製品も含め、ラインアップが増えており、長く使うことを考えると、端末が対応している安心感は大きい。
通信関連で、もうひとつのトピックは、iPhone SE(第2世代)がeSIM対応によるデュアルSIMになったことが挙げられる。すでに、iPhone XS/XS Max/XR以降が対応しており、これを引き継いだ形になるが、国内ではIIJmioが「eSIM(データプラン ゼロ)」や「eSIM(ベータ版)」、ソラコムが「Soracom Mobile」などを提供しており、いずれのサービスもすでにiPhone SE(第2世代)が動作確認端末として、挙げられている。今回、筆者はIIJmioの「eSIM(データプラン ゼロ)」を契約してみたが、導入部分も含め、まったく問題なく利用できている。
ところで、前述の通り、iPhone SE(第2世代)は主要3社が取り扱いを発表する一方、4月に携帯電話会社(MNO)として、新規参入を果たした楽天モバイルは、iPhone SE(第2世代)を含むiPhoneの動作確認情報を4月28日に公開している。こうした情報を開示することは、ユーザーにとっても助かるが、そもそもの話として、楽天モバイルの国内無料通話に必要な「Rakuten Link」、契約者情報を管理する「my楽天モバイル」のアプリはiOS向けが供給されておらず、パートナーエリアとの接続先切り替えやパートナーエリアでのSMSが利用できないなど、かなり制約が大きい。
eSIMについてもRakuten Mini向けの情報をiPhone SE(第2世代)に読み込んで、利用できた事例が伝えられているが、あらためて言うまでもなく、これも動作保証外になる。ここでは詳しく説明しないが、iPhoneは元々、モバイルネットワーク上での振る舞いに独特のクセがあり、携帯電話各社はiPhoneが動作するように、ネットワークを調整したことを関係者が明らかにしている。そのことを踏まえると、単に動作保証外であるだけでなく、再三、ネットワーク障害を起こしている楽天モバイルの回線でiPhone SE(第2世代)を利用することは、一定のリスクがあることを十分に理解しておく必要があるだろう。
12MPシングルカメラをA13 Bionicチップで強化
カメラについては外観がiPhone 8と同じということもあり、同じ12MPのイメージセンサーにF1.8のレンズを組み合わせた広角カメラが搭載されている。iPhone 11シリーズやiPhone XSシリーズも含め、今やマルチカメラが当たり前だが、コストパフォーマンスを考慮してか、シングルカメラを継承した形だ。
ハードウェアの仕様としてはiPhone 8のカメラと共通だが、A13 Bionicチップを搭載したため、画像処理などが進化し、撮影時の機能面でも強化が図られており、iPhone 8と同等というより、iPhone XRの機能を受け継いでいる印象だ。たとえば、iPhone 8にはなかった深度コントロールが可能なボケ効果、エフェクトを加えたポートレートライティングなどが実装されている。ポートレートライティングについては、iPhone XRの3つに対し、「ステージ照明」「ステージ照明(モノ)」「ハイキー照明(モノ)」が追加され、合計6つの効果を選ぶことができる。逆に、A13 Bionicチップを搭載しながら、iPhone 11シリーズの「ナイトモード」は実装されていない。上位モデルとのすみ分けを考えたのだろうが、『暗いところに弱い』というiPhoneのカメラの評価を覆すためにも実装して欲しかったところだ。
今回は外出自粛の関係もあり、あまり多様なシーンで撮影ができなかったが、明るい屋外での撮影をはじめ、全体的にバランス良く撮影ができている印象だ。暗いところでの撮影については、一定のレベルに達していると言えるが、同クラスのライバル製品は、真っ暗なところでも明るく撮れることが当たり前になりつつあり、それらと比較すると、物足りなさを感じるユーザーもいるかもしれない。
ただ、このあたりはメーカーごとの方向性で、ライバルメーカーがSNSなどに投稿することを強く意識して、いつでも明るく撮影できるようにしているのに対し、iPhoneはあくまでも自然な写真を意識したチューニングになっているようだ。どちらが優れているとは一概に言えないが、市場全体の方向性を考えると、やはり、物足りない感は否めない。
iPhone 8やiPhone XRにも搭載されておらず、iPhone 11シリーズの仕様を受け継いだ機能としては、「QuickTakeビデオ」が挙げられる。QuickTakeビデオはカメラを「写真」モードで起動中、シャッターボタンを長押しすることで、すぐにビデオ撮影ができる機能になる。撮影モードの切り替えが不要で、写真もビデオも撮りたいときに役立つ。ちなみに、動画については、iPhone 8にはなかったステレオ録音にも対応する。ビデオの需要が増えてきた現状を考えると、有用な機能のひとつと言えそうだ。
フロントカメラについてはiPhone 8と同じで、7MPのイメージセンサーに、F2.2のレンズを組み合わせる。iPhone 8との違いはメインカメラ同様、A13 Bionicチップ搭載による画像処理などで、メインカメラと同じように、深度コントロールが可能なボケ効果、エフェクトを加えたポートレートライティングなどが利用できる。
お手頃価格の『集大成』モデルだが、他製品との差をどう見るかがカギ
根強い人気を保ち続けた初代モデルから名称を受け継ぎ、iPhone 6以降、3回のモデルチェンジを経た4.7インチディスプレイ搭載のボディに、最新のA13 Bionicチップを搭載しながら、さまざまな面でコストダウンを図ることで、お手頃価格を実現した「iPhone SE(第2世代)」。iPhone SE(第1世代)発表当時、「SE」は「Special Edition」を意味すると言われたが、実質的にはその筐体のシリーズの最終形と言えるもので、今回の「iPhone SE(第2世代)」は、4.7インチディスプレイ搭載iPhoneの集大成モデルと言えそうだ。
その内容はここでも説明したように、iPhone 8までのレガシー(遺産)をうまく活かしながら、コストダウンを図ることで、最新モデルに次ぐパフォーマンスを得ながら、最安値モデルでは税込で5万円を切る『お手頃価格』を実現した。これまで最新のiPhoneが高すぎて、今ひとつ食指が動かなかったユーザーにとっても手を出しやすいモデルに仕上がっている。ケースをはじめとするアクセサリー類もほぼiPhone 8までのものが流用できるのもうれしい点だ。
ただ、個人的に気になったのは、コストダウンの手法とデザインだ。iPhone SE(第2世代)は確かに従来の「高価格=高付加価値」路線のiPhoneに比べ、価格設定が低く抑えられている。しかし、本体前面の額縁は仕上げがブラックのみで、額縁の太さも最近の端末と比較すると、古めかしさすら感じてしまうほど、太い。ディスプレイも対角サイズと解像度を変更しておらず、このデザインのオリジナルモデルである「iPhone 6」の5年半前のスペックのままだ。
バッテリーもiPhone 8と同じ容量で、まったく強化されていない。ボディカラーもPRODUCT(RED)がラインアップされているものの、それ以外はブラックとホワイトのみで、iPhone 7やiPhone 8にあったゴールドやローズゴールド、スペースグレイ、ジェットブラックなどはいずれもなくなっている。
また、iPhone SE(第2世代)を購入したユーザーがある程度、長く使うことを考えると、少し気になる点もある。今回のiPhone SE(第2世代)の基本デザインのオリジナルは、2014年9月発表の「iPhone 6」にまでさかのぼる。筆者自身を含め、現時点で今回のiPhone SE(第2世代)のデザインを「古い」と感じる人は一定数、居る印象だが、今後、3年、4年と使い続けたときには、初期デザインから10年近く経過したことになり、さらに多くの人が古さを感じてしまうかもしれない。もちろん、個人の持ち物なので、本人が納得していれば、古かろうが、新しかろうが関係ないが、どこまでユーザーの満足感を維持し続けられるだろうか。特に、ライバル機種ではフルスクリーン化やマルチカメラ化が一気に低価格モデルに拡大している状況を鑑みると、アップルがこのデザインで普及価格帯のモデルを開発したことが本当に良かったのかはやや疑問が残る。
アップルとしてはこれまでもっとも売れたiPhoneのデザインを活かして仕上げたのだろうが、ネット上では「iPhone 8の焼き直し」といった厳しいコメントも散見される。つまり、一般ユーザーから見透かされるようなコストダウンの手法を採ったため、ユーザーとしては新機種に対して、ワクワク感を持ちにくいわけだ。もちろん、「これくらいでちょうどいい」と捉えるユーザーも居るはずだが、もう少し予算を追加して、iPhone XRのカラーバリエーションを検討した方が持つ楽しさがあるような気がするのは、筆者だけだろうか。また、新型コロナウイルスの影響で、今後の展開は読めない状況にあるが、順当に行けば、年内にもアップルは5G対応のiPhone 12シリーズを投入する見込みで、その段階で既存のiPhoneの価格設定は、再び見直される可能性が高く、その時期まで「待つ」という選択もアリだろう。
少し厳しい見方もしてしまったが、iPhone SE(第2世代)はiPhone 6から続く4.7インチディスプレイ搭載のiPhoneの集大成として、仕上げられたモデルであり、完成度も高く、価格もお手頃なレベルに抑えられている。外出自粛の影響などもあり、実機を触るチャンスが少ないかもしれないが、機会があれば、店頭などで実機を手に取り、集大成モデルの出来をチェックしていただきたい。