法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「HUAWEI P40 Pro」は日本上陸なるか? 最強のカメラに磨きをかけた新モデル

 3月26日、ファーウェイはグローバル向けに同社の「HUAWEI P」シリーズの2020年モデル「HUAWEI P40」シリーズを発表した。

ファーウェイ「HUAWEI P40 Pro」(グローバル版)、158.2mm(高さ)×72.6mm(幅)×8.95mm(厚さ)、209g(重量)、Silver Frost(写真)、Blush Gold、Deep Sea Blue、Ice White、Blackをラインアップ

 当初、発表イベントはフランス・パリで開催される予定だったが、新型コロナウイルスの影響でオンラインイベントとして開催されることになった。日本市場向けに供給されるかどうかはまだわからないが、グローバル版の実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。


パリからオンラインへ

 ここ数年、春と秋にイベントを開催し、グローバル向けに新製品を発表してきたファーウェイ。

 2019年秋には大画面ディスプレイを搭載したモデルとして、高い人気のフラッグシップモデル「HUAWEI Mate30」シリーズを発表した。米中貿易摩擦の影響で、2019年5月以降にグローバル向けに発表されたモデルは、GMS(Google Mobile Services)が利用できなくなり、GoogleマップやGoogleカレンダー、Gmailなどのアプリが利用できなくなったが、HUAWEI Mate30シリーズの発表を機に、ファーウェイが開発したコアアプリ「HMS(Huawei Mobile Services)」を搭載した環境をメインに据え、これまで同社製端末に搭載されてきたアプリストア「AppGallery」を通じて、アプリを配信する方針を打ち出した。

 昨年、日本市場向けではNTTドコモ向けの「HUAWEI P30 Pro HW-02L」、au向けの「HUAWEI P30lite Premium」、オープン市場向けのSIMフリー端末「HUAWEI P30」や「HUAWEI P30lite」、「HUAWEI nova 5T」などがリリースされた。これらのモデルは現在でもGoogleの各サービスが問題なく利用できる。

 これに対し、今年3月に日本のオープン市場向けに発表された初の5G対応端末「HUAWEI Mate30 Pro 5G」はHMSを搭載しており、Googleが提供するアプリの利用は制限されている。これまでのファーウェイ製スマートフォンに比べ、アプリなどの利用環境はかなりマイナスになってしまったが、すでにいくつかの著名なアプリをAppGalleryからダウンロードできるようにしたり、各ソフトウェアベンダーに開発を働きかけたりするなど、徐々に利用できる環境を整えはじめている。ただ、実際の利用にある程度のリテラシーが必要とされる点は変わりない。

 ファーウェイは春に「HUAWEI P」シリーズ、秋に「HUAWEI Mate」シリーズを発表してきた。大画面&大容量バッテリーを中心に進化を遂げてきた「HUAWEI Mate」シリーズに対し、「HUAWEI P」シリーズは持ちやすい標準サイズのボディに最先端のカメラ機能を搭載し、市場で高い支持を集めてきた。なかでも一昨年の「HUAWEI P20 Pro」、昨年の「HUAWEI P30 Pro」は圧倒的なカメラ性能を実現し、カメラ業界のメディアからも高い評価を受けるなど、スマートフォンのカメラ開発競争で他社を大きくリードした。

 今回発表された「HUAWEI P40シリーズ」は、当初、3月26日にフランス・パリで開催する予定のイベントで、お披露目される予定だった。今年2月に同社のコンシューマ・ビジネスグループCEOのRichard Yu氏にインタビューしたときも「次回はパリでお会いしましょう」と固く握手していたが、3月に入ってから新型コロナウイルスが全世界へ拡大したこともあり、パリでの開催は見送られ、オンラインで開催されることになった。

 オンラインで発表されたイベントでは、「HUAWEI P40」「HUAWEI P40 Pro」「HUAWEI P40 Pro+」の3機種で、いずれも「HUAWEI Mate30 Pro 5G」同様、GMSを搭載せず、HMSを搭載したスマートフォンになる。

 今回は発表された3機種のうち、主力モデルになると期待される「HUAWEI P40 Pro」を試用した。ただし、グローバル版のモデルであるため、通信周りの確認はしておらず、基本的には外観やユーザーインターフェイス、カメラなどをチェックした。HUAWEI P40 Proが日本市場に投入されるかどうかは未定だが、もし、国内向けに発売されるようであれば、また別の機会に通信周りを含めた環境を確認したいところだ。


画面があふれる「Quad-Curve Overflow Display」を搭載

 まず、外観からチェックしてみよう。ファーウェイのフラッグシップモデルは前述のように、HUAWEI PシリーズとHUAWEI Mateシリーズの2ラインが存在するが、デザイン的にはHUAWEI Mateシリーズがややスクエアなデザインを採用しているのに対し、HUAWEI Pシリーズは少し角を丸めたスタンダードなデザインを採用してきた。今回のモデルも基本的にはその流れを継承しているが、搭載されるディスプレイのデザインが変わってきたことにより、その印象は大きく変わっている。

背面は指紋などが残らないアンチグレアな仕上げ

 フラッグシップモデルでは2017年発売の「HUAWEI Mate10 Pro」、2018年発売の「HUAWEI P20 Pro」まで、フラットなディスプレイを搭載したデザインを採用していたため、本体の周囲と背面の仕上がりがデザインに大きく影響していたが、2018年秋発表の「HUAWEI Mate20 Pro」で、はじめてディスプレイの両側面を湾曲したデザインを採用し、その流れは2019年春発表の「HUAWEI P30 Pro」にも継承された。

右側面には音量キーと電源キーを備える。カメラ部はやや飛び出しているため、カバーを装着しての利用がベター
右側面はボタン類がない。前面(ディスプレイ側)と背面の両側から湾曲している

 2019年秋に発表され、先日、本コラムで取り上げた「HUAWEI Mate30 Pro 5G」では、いよいよ両側面の湾曲部分を88度という直角に近い角度で曲げたデザインを採用し、業界を驚かせたが、今回のHUAWEI P40 Proは本体の両側面を湾曲させるだけでなく、上下も湾曲させた「Quad-Curve Overflow Display」と呼ばれるデザインを採用する。簡単に言ってしまえば、本体の4つの角でディスプレイを支えるような形になり、その名の通り、本体から画面があふれるようなデザインに仕上げられている。

先端部にはリモコンなどに利用できる赤外線ポートを備える。レシーバーは画面が振動する仕様を採用
下部にはUSB Type-C外部接続端子、ピンでトレイ取り出すタイプのSIMカードスロットを備える。USB Type-C外部接続端子はアナログ信号の出力に対応しているため、DACのないUSB Type-Cイヤホンも利用可能

 ディスプレイを湾曲させたデザインについては、もともとサムスンがGalaxy Note Edgeで採用し、今やGalaxy SシリーズやGalaxy Noteシリーズの十八番となっているが、HUAWEI P40 ProやHUAWEI Mate30 Pro 5Gは同シリーズに真っ向勝負を挑むデザインとなっている。

HUAWEI P30 Pro(下側)に比べ、ディスプレイの短辺側(上下側)が湾曲しているデザインを採用

 ただ、HUAWEI P40 ProはHUAWEI Mate30 Pro 5Gの両側面ほどの湾曲ではなく、左右はHUAWEI P30 Proとほぼ同等、上下は控えめに湾曲しており、デザイン的には自然にまとまっている。HUAWEI Mate30 Pro 5Gでは音量キーをなくし、画面内での操作に切り替えていたが、HUAWEI P40 Proは従来モデル同様、右側面に電源キーと音量キーを備える。ボディはIP68準拠の防水防塵にも対応し、パッケージにはクリアタイプのカバーも同梱される。

ディスプレイ左上角の湾曲した部分の形状を比較。HUAWEI P30 Pro(下側)よりも上部側が回り込んでいる。ただし、画面表示が拡張されているのは長辺側(左右側)のみ

 ディスプレイは2640×1200ドット表示が可能な6.58インチのフルHD+対応Flex OLEDを搭載する。画面の縦横比は19.8:9となっており、Xperia 1ほどではないものの、縦方向に持ったときは縦長になった印象を受ける。従来モデルに比べ、約30%のブルーライトを軽減したほか、90Hz駆動によるなめらかな表示、DCI-P3による高彩度&高コントラスト表示にも対応する。

 従来のHUAWEI P30 Proではディスプレイ上部の半円のノッチにインカメラを内蔵していたが、HUAWEI P40 Proではディスプレイ左上の楕円パンチホールにインカメラを内蔵する。

「HUAWEI P40 Pro」(左)とNTTドコモの「HUAWEI P30 Pro HW-02L」(右)。インカメラが水滴型ノッチからパンチホールに変わり、ディスプレイの上下も湾曲した点などが異なる。サイズはほとんど変わらない
「HUAWEI P40 Pro」(左)とNTTドコモの「HUAWEI P30 Pro HW-02L」(右)の背面。HUAWEI P40 Proは光沢感が抑えられ、指紋が付きにくい仕上げ

 セキュリティは従来モデルに引き続き、画面内指紋認証と3D顔認証に対応する。画面内指紋認証については新しい世代のものを採用しているとのことで、従来モデルに比べ、解除速度も30%アップしているという。実際に試用した印象も少しレスポンスが良くなったように感じられた。

 バッテリーは4200mAhの大容量バッテリーを搭載する。付属のACアダプタにより、40WのHUAWEI SuperCharge(急速充電)に対応し、ワイヤレス充電も27Wの急速充電に対応する。27Wのワイヤレス充電対応製品は充電器も少ないが、ファーウェイではすでに日本市場向けにも最大27W対応の「HUAWEI SuperCharge Wireless Charger」も発売している。他のワイヤレス機器に給電できるワイヤレス給電にも対応する。

ピンで取り出すタイプのSIMカードトレイを採用。裏側にはnanoSIMカード、もしくはNMカードを装着可能

 チップセットはHUAWEI Mate30 Pro 5Gに引き続き、Kirin 990 5Gを採用する。7nmプロセスで製造されたチップセットで、5Gモデムを内蔵する。HUAWEI P30 Proなどに搭載されたKirin 980に比べ、CPUで23%、GPUで39%の性能向上が図られているほか、NPUは460%の向上が図られており、ファーウェイによれば、AIパフォーマンスは米QualcommのSnapdragon 865を大きく上回るという。

[設定]メニューの[SIM管理]にはeSIMのメニューが用意されている。[eSIMを追加]を選び、QRコードでSIMカード情報を読み込む仕様
[設定]メニューの[電池]で[ワイヤレス給電]を選ぶと、背面側で他のワイヤレス充電対応機器に給電できる

 メモリーとストレージは8GB RAMと256GB ROMを搭載し、メモリーカードはファーウェイ独自のNMカードに対応する。NMカードはnanoSIMカードと同サイズのメモリーカードで、デュアルSIMの2枚目のnanoSIMカードと排他利用になるが、eSIMにも対応する。デュアルSIMはどちらのスロットも5Gに対応し、eSIMでも5Gを利用できる仕様となっている。デュアルSIMの動作については、1枚目のSIMカードでVoLTEによる通話中、もう片方のSIMカードで着信を受けるなど、柔軟な運用を可能にしている。ただし、デュアルSIM及びeSIMの仕様は端末が発売される国と地域によって、変わってくる。

 Wi-Fiについては最新のIEEE 802.11axに対応する。3.5mmイヤホンマイク端子はないため、音楽などのサウンドは内蔵スピーカーか、Bluetooth 5.1対応のワイヤレスイヤホンなどを利用する。USB Type-Cはアナログ信号の出力に対応しているため、DACのないUSB Type-Cイヤホンでもそのまま、利用することができる。

ホーム画面は基本的に従来モデルのレイアウトを踏襲。ただし、Googleの検索窓もGoogle Playのアイコン、Googleアプリのフォルダもない
ホーム画面の2画面目には日本のアプリも自動的に提供された。もしかすると、日本市場向けに投入する準備が進められているのかもしれない

 プラットフォームはAndroid 10ベースのEMUI 10.1を搭載する。基本的な部分はAndroidプラットフォームを搭載した同社製スマートフォンと共通で、基本的な使い勝手も大きく変わらない。新しいところでは、HUAWEI Mate30 Pro 5Gにも搭載されていたマルチウィンドウ機能が搭載されている。ホーム画面で側面の湾曲部を内側にスワイプして、止めた時にメニューが表示され、アプリのアイコンをタップすると、アプリがウィンドウで表示される。

画面上部から引き出して表示する通知パネル。内容は基本的にこれまでの端末と大きく変わらない
[設定]メニューの[ショートカットとジェスチャー]でジェスチャー操作の設定が可能
Androidプラットフォームのナビゲーション操作はAndroid 10ベースのジェスチャー操作を採用。チュートリアルがあるので、はじめてのユーザーでもわかりやすい
従来のAndroidプラットフォームと同じように、3つのキーによるナビゲーションも利用できる
パンチホール内のセンサーを利用したエアジェスチャーにも対応
パソコンとの連携、他のファーウェイ製端末とのデータ送受信が可能な「Huawei Share」に対応
内側にスワイプして、ホールドすると、左側のようなメニューが表示され、マルチウィンドウ対応のアプリを起動できる。最下段の[+]をタップすれば、他のアプリも追加できる
マルチウィンドウではアプリをウィンドウ表示することが可能。電卓など、ちょっとしたツールを使うときにも便利
ファーウェイが提供する「AppGallery」にも少しずつアプリが増えてきたが、まだまだ足りない印象

 また、アプリについては冒頭でも触れたように、Googleが提供するGMSには対応しておらず、ファーウェイが開発したHMSを搭載する。今回はグローバル版のため、一部しか試すことができなかったが、Gmailなどはメールアプリなどで何とかなるものの、他の一般的なアプリなどがまだ不足している状況で、ユーザーが積極的にアプリを探したり、解決策を見つけるようにしなければ、実用はまだまだ従来環境に及ばない。今後のHMSとAppGalleryの拡充が期待される。


Leicaと協業した「Ultra Vision Leica Quad Camera」

 カメラについては今回もドイツの老舗光学機器メーカー「Leica」との協業によるマルチカメラを搭載する。

「Ultra Vision Leica Quad Camera」を搭載。色温度センサーの内蔵などにより、カメラ部はひと回り大きくなった印象

 今回試用したHUAWEI P40 Proは、背面に40MPイメージセンサーにF1.8のレンズを組み合わせた18mmのUltra Wide Cineカメラ、50MPイメージセンサーにF1.9のレンズと光学手ぶれ補正を組み合わせた23mmのUltra Vision Wideカメラ、12MPイメージセンサーにF3.4のレンズと光学手ぶれ補正を組み合わせたペリスコープ方式による125mmの光学5倍望遠カメラ、被写界深度を測るToFカメラという4つのカメラを搭載する。背面のカメラ部には、この他に8チャンネル色温度センサーも組み込まれており、撮影環境に合わせて、最適な色合いで写真や動画を撮影できるようにしている。

 4つのカメラの内、Ultra Vision Wideカメラと光学5倍望遠カメラには、HUAWEI P30 Proにも搭載され、話題となったRYYB配列のイメージセンサーを採用する。一般的なRGGB配列のイメージセンサーに比べ、40%以上、多くの光を取り込むことができ、暗いところでも明るく撮影することができる。

カメラのファインダー画面。AIで被写体を認識すると、画面に表示される

 また、イメージセンサーのサイズのそのものもライバル機種比べ、かなり大きくなっているのも注目される。昨年のHUAWEI P30 Proは1/1.7インチのイメージセンサーを搭載していたが、今回のHUAWEI P40 Proの50MPイメージセンサーは1/1.28インチというスマートフォンのカメラのイメージセンサーとしては最大級のものを搭載する。ちなみに、このイメージセンサーはHUAWEI P40 Proだけでなく、HUAWEI P40とHUAWEI P40+のカメラにも採用されている。ライバル製品と比較すると、Galaxy S20 Ultra(日本未発売)は1/1.33インチ、Galaxy S20+は1/1.76インチ、iPhone 11 Pro Maxは1/2.55インチのイメージセンサーをそれぞれ採用しており、いかに今回の1/1.28インチのイメージセンサーが大きいのかがよくわかる。また、スマートフォンのカメラでもデュアルピクセルセンサーによる高速なフォーカスを可能にしたものが増えてきているが、HUAWEI P40 Proでは8つのフォトダイオードを組み合わせた「Octa PDオートフォーカス」を実現し、暗いところでもより高速なオートフォーカスを可能にしている。

カメラを起動したときの1倍の画面
5倍ズームの画面。遠くに雲がかかった富士山が見える。青空はやや強調気味
10倍ズームの画面。5倍に比べ、富士山の全体がしっかりと捉えられた
50倍ズームの画面。5倍に比べ、富士山の山頂が捉えられているが、雲が流れてきて、隠れてしまった。スマートフォンでここまで寄れる機種はごく一部
1倍から50倍までのズームと同じ位置で広角に切り替えて撮影
HUAWEI P30 ProやHUAWEI Mate30 Pro 5Gなどと同じように、50倍ズームで満月を撮影。今やファーウェイのハイエンド端末の十八番とも言えるモード
手前の花にピントを合わせ、背景をぼかした写真
薄暗いバーで撮影。グラスの輪郭やフロスト感、背景のボケなど、相変わらずのクオリティ

 さらに、動画撮影も光学手ぶれ補正とAI手ぶれ補正の組み合わせにより、手持ちのまま、歩いて撮影してもジンバルで固定したときのような安定した動画を撮影することができた。このあたりはHUAWEI Mate30 Pro 5Gの撮影機能に、さらに磨きをかけてきた印象だ。

インカメラはディスプレイ左上のパンチホールにを内蔵。環境光センサーや赤外線深度センサーなども内蔵する

 インカメラは32MPイメージセンサーにF2.2のレンズを組み合わせたオートフォーカス対応のものを搭載する。環境光センサーや赤外線深度センサーもパンチホールに内蔵されており、周囲の環境に合わせた撮影ができるだけでなく、暗いところでも明るく撮影することができる。インカメラでも背景をぼかした撮影ができたり、4K対応のセルフィービデオも撮影できるようにしている。これまでインカメラというと、女性のセルフィーのニーズを満たす方向性ばかりが強調されてきたが、昨今、リモートワークやテレワークなどで、ビデオチャットやビデオ会議を利用するケースが増えており、今後はビデオの撮影なども含めた性能が求められることになるかもしれない。

 ちなみに、メインカメラでの動画撮影については、音声の録音も配慮されている。端末の上下に全指向性マイクがそれぞれ内蔵されているが、背面のカメラ部にもマイクが内蔵されており、動画でさつえいするときの被写体の音をしっかりと捉えて、録音(録画)することができる。

手持ちで桜並木を散策しながら、ビデオを撮影。明暗の差があるシーンで、他機種では真っ暗になってしまうことが多い場所だが、明るく撮影できている


最強カメラを搭載したHUAWEI P40 Proは日本上陸なるか?

 HUAWEI PシリーズとHUAWEI Mateシリーズのフラッグシップモデルは、ここ数年、グローバル市場において、非常に高い評価を得てきた。Leicaとの協業によるマルチカメラは、Leicaレンズだけでなく、RYYB配列というイメージセンサーの基本構造を変えるほど、ユニークなイメージセンサーを部品メーカー(おそらくソニー)と共同で開発し、AIを活かした画像処理エンジンを進化させるなど、スマートフォンのカメラの最先端をリードしてきた。カメラ以外にも画面内指紋センサーやワイヤレス給電などの機能をいち早く採用し、新しいユーザー体験を次々と提供してきた。今回のHUAWEI P40 Proもカメラを中心に、大きく進化を遂げており、おそらくもっとも先進的なモデルに仕上がっていると言って、差し支えないだろう。

 ただ、HUAWEI Mate30 Pro 5Gの記事でも触れたように、ファーウェイはGoogleとの取引を停止されているため、2019年6月以降に発表したモデルはGMSを搭載できず、HMSを搭載する形で出荷することになった。今回のHUAWEI P40 Proも同様の形で、グローバル市場には出荷される。

 ファーウェイとしてはHMS対応アプリを増やすため、開発者を幅広くサポートする体制を整えているものの、Google Playは10年以上の時間をかけて、現在の環境を整えてきたことを鑑みると、そう簡単には同レベルの環境を整えることは難しい。今回はグローバル版を試用したため、国内のAppGalleryの環境がどの程度、整ってきているかを確認できていないが、国内で5Gサービスがスタートしながら、グローバル市場において、5G対応端末ではサムスンとトップ争いをくり広げ、市場をリードしてきたファーウェイが主要3社には1機種も採用されなかった現実を見ると、まだ十分な評価を得られるレベルに達していないとも言えそうだ。

パッケージにはクリアタイプの背面カバー、イヤホン、USBケーブル、ACアダプタが同梱される。今回試用した製品はグローバル版のため、ACアダプタがCタイプのコンセントになっている

 HUAWEI P40 Proはライバル機種を圧倒するカメラ周りの性能をはじめ、4方向に湾曲したユニークなディスプレイ、美しいデザインと質感など、端末としての完成度が非常に高く、個人的にはぜひ国内でも利用したいと考えている。しかし、それが実現できるか、快適に利用できるかは、正直なところ、まだ何とも言えないというのが本音だ。できることなら、かつてのようにGMSを搭載しながら、HMSでも有用なアプリが数多く提供される形で、最強のカメラを搭載したHUAWEI P40 Proを試したいところだ。