三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

他のスマートフォンと一線を画すカメラライク! ソニー「Xperia 1 VII」の魅力とは

 Xperiaフリーク待望の新モデル「Xperia 1 VII」が登場した。最も劇的な進化を遂げたのが超広角カメラだ。大型化したセンサーは、評価の高いXperiaの画質をより一層磐石なものにしてくれるのかが興味深い。なお端末の特徴や詳細スペックなどは、本誌別記事を参照いただければと思う。

「Xperia 1 VII」に搭載される3つのカメラ。縦に並んだ精悍なルックスは健在だ。
カメラのスペックはこのとおり
項目内容
16mm(超広角)有効画素数約4800万画素(記録画素数約1200万画素)、F値2.0、1/1.56型センサー Exmor RS for mobile
24mm(広角)有効画素数約4800万画素(記録画素数約1200万画素)、F値1.9、48MP高画素撮影モード時は記録画素数約4800万画素、1/1.35型センサー、2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー Exmor T for mobile
85-170mm(望遠)有効画素数約1200万画素、F値2.3-3.5、ZEISS T*コーティング
「Xperia 1 VII」のカメラ画面はきわめてオーソドックス。シンプルかつ使いやすいインターフェースになっている。

 本機の特徴として、映像撮影時にAIを駆使した「AIカメラワーク」が活用できる。強力な手ブレ補正や被写体のトラッキングがうれしいところ。

「プロ写真」モードにするとマニュアルライクな操作感が味わえる。カメラの焦点距離表示が使いやすく感じた。

 ここで「Xperia 1 VII」各画角の写りを見てみよう。どの焦点距離も精細感があり、「デジタルカメラ」ライクなナチュラルな描写で好感が持てた。

0.7x
1x
2x
3.5x
7.1x
21.3x(デジタルズーム最大時)

 「Xperia」といえばやはり物理的なシャッターボタンだろう。指がかりがよく、絶妙なタッチのそれは「写真を撮る」という行為を盛り上げてくれる。

 横位置での撮影時には、しっかりと端末をホールドしながらシャッターを切ることが可能。また最大2TB対応のmicroSDカードスロットも搭載している。

「Xperia 1 VII」でブラブラ実写スナップ

 スリムかつシンプルな端末形状だが、撮影時のホールド感はなかなかよく、シャッターボタンを使ってのスナップ撮影が快適だった。センサーがアップデートされた超広角カメラの描写力も向上し、ウルトラワイドからデジタルズーム域まで、他のスマホと違った「デジタルカメラライク」な味わいの撮影が楽しめた。

今モデルの売りとなる超広角カメラの写りは良好だ。約2.1倍となる1/1.56インチセンサーはナイトシーンでも美しい描写を見せてくれた
広角カメラも低照度シーンで活躍してくれる。フルサイズ機並みの自然なコントラストと発色は、過度なコンピュテーショナルフォトグラフィーを見慣れた目に優しい
超広角カメラはスナップショット撮影に有効だ。広大な画角は「ネコ飛び出し注意!!」という看板と走り去るビンテージカーをしっかりとフレーム内に収めてくれた
近景から遠景まで広角カメラは安定した画質だ。茶葉の1枚1枚から、遠くの山までリアル感高い写りである
アジサイの花をテレマクロ的に撮った。複雑な花の構成と、微妙な色合いを「Xperia 1 VII」は見た目通りに捉えた
ピクセルビニングによる通常の12MPアウトプットと48MPアウトプットを比較してみた。やはり高画素による描写力は素晴らしい。蛇口の立体感と遠景の建物、芝の様子が比べものならない
オブジェに超広角カメラで迫ったが、その写りに驚かされた。金属のリアル感は言うまでもなく、スクラッチの感じ、連続したディテールに舌を巻いた。高級コンパクトデジタルカメラに匹敵する描写力だと感じる
こちらも同様の写りを見せてくれた。この超広角カメラの描写力だけ見てもアップデートの価値があるだろう。もっとこの端末でいろいろ撮影したい! と思ってしまったほど
デジタルズーム最大で頭上を通過する航空機を撮った。明るく見やすいディスプレイは晴天時でも視認性が高く被写体を捉えやすかった。ジャギーが感じられるがまずまずの写りではないだろうか
広角カメラの写りも圧倒的にいい。インテリジェントビルの窓枠ひとつひとつ、ガラスとメタリックを感じられる描写だ。ヌケ感も高く過度なコンピュテーショナルフォトグラフィーではない再現力が好ましい
遊びに来たクロネコを「ぼけ」モードで。黒い毛もしっかりと境界判定して、背景ボケを作ってくれた。レスポンスもよく好印象である
隅田川を航行する観光船を連写で。しっかりとオートフォーカスが追従し、船体のリアルな質感とともに写すことができた。サビや乗客の様子まで判別可能だ。シームレスなズーミングが可能な望遠カメラもこの端末の大きな武器だろう

「Xperia 1 VII」まとめ

 「Xperia 1 VII」は、特に超広角カメラのアップデートが非常に魅力的だった。低照度シーンでもその実力を存分に感じることができた。

 また、流行のスマートフォンとは一線を画す、デジタルカメラライクな自然で豊かな描写は、「写真的」な表現を求めるユーザーには深く響くことだろう。

 私自身も、もしこの「Xperia 1 VII」を手に入れたら、コンパクトデジタルカメラの代わりに日常使いしてみたい、と強く思わせる一台であった。

三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau