三井公一の「スマホカメラでブラブラ」
7.6インチディスプレイでの新たな撮影体験! グーグル「Pixel Fold」のカメラを試す
2023年8月30日 00:00
グーグル(Google)から登場したフォルダブルAndroidスマートフォン「Pixel Fold」。開けば小さめのタブレット、閉じれば普通のスマホという2つのスタイルで写真撮影を楽しめる端末だ。
ここ数カ月使用してみて、開いたスタイルでの撮影にすっかりはまってしまった。絶妙な大きさとバランスのディスプレイに写る街の風景は、それはそれはとても魅力的に見えるのであった。詳細スペックや価格などは本誌既報記事を参照してほしい。
「Pixel Fold」のカメラの特徴
搭載しているアウトカメラは3つだ。メインとなる48メガピクセル F1.7の広角レンズカメラ、10.8メガピクセル F2.2の超広角カメラ、10.8メガピクセル F3.05の望遠カメラ(光学ズーム5倍、超解像ズーム20倍)である。
フラッグシップ端末の「Pixel 7 Pro」と比較すると超広角域と望遠域、マクロ機能などやや物足りない点もあるが、夜景モード(Night Sight)やポートレートモードはしっかりと搭載されている。
どのカメラを使ってもコンピュテーショナルフォトグラフィーのパイオニア、グーグル「Pixel画質」で誰でも美しい写真を手にすることができる。
撮影に没入できるオープンスタイルでの撮影が楽しい
「Pixel Fold」は何といってもディスプレイを開いた状態での撮影が楽しい。
カパッと開くと5.8インチから7.6インチの大画面に早変わり。両手で「Pixel Fold」をホールドしながらタブレットに匹敵するサイズのディスプレイで被写体をライブビューするのが実にいい。とても撮影に没頭できるのだ。
大きくて明るく美しいディスプレイは、構図にこだわるフォトグラファーにとって最高のプレゼントである。
被写体をしっかりと見据え、画面の四隅まで余計なものが入っていないかよく確認できシャッターを切る。そのレスポンスも良好で撮影もスピーディーに行える。しかも撮影が終わった後はパタッと閉じてポケットにサッとしまえるのだから。これは新しい撮影体験だと言えよう。
前回記事でスマホカメラでは起動の速さが大切、と書いたが、この「Pixel Fold」も電源ボタンダブルクリックで即座に起動できるので問題ない。しかも大画面で構図の確認も確実に行えるので本当にすばらしい端末である。
また、下の写真のように自立するので、記念撮影やセルフィー(アウトカメラを使うのも容易だ)、動画やタイムラプス撮影で役に立つ。夜間に空気が澄んだ場所で「Pixel Fold」単体での「星景モード」による撮影も可能だ。
「Pixel Fold」は撮影環境を充実させてくれる端末
オープンスタイルでは写真を撮るだけでなく、さまざまな撮影に関する体験を「Pixel Fold」は広げてくれるのがいい。
広大なディスプレイで「カメラ」と「フォト」を同時起動して、片側に撮影ライブビュー、片側に撮影したカットを表示して比較しながら写真を撮ることも可能だ。
グーグル製の高機能写真アプリ「Snapseed」も、オープンスタイルなら現像加工処理もきめ細やかに行うことができる。
美しく明るいディスプレイは山座同定アプリ「PeakFinder」や星座早見盤アプリ「Stellarium」、航空機ロケーションアプリ「Flightradar24」も見やすく、撮影時の情報収集に何かと役立つ。ロケの際に「Googleマップ」も見やすく大いに助かった。
グーグル「Pixel Fold」でブラブラ撮影を楽しむ
というわけで「Pixel Fold」のオープンスタイルでの撮影は被写体をじっくりと観察しながら、慎重にフレーミングしての撮影が楽しめる。
6月から全国各地を撮り歩いたが、このスタイルでの撮影はクセになりそうなほど魅力的だった。ディスプレイのサイズ感とアスペクト比、それと「Pixel」シリーズの描写が素晴らしいからだと感じている。
「Pixel Fold」で新しい撮影体験を味わう!
この端末はトータルでの撮影体験をググッと高めてくれる。オープンスタイルでの撮影はもちろん、その広大なディスプレイを使って写真を加工したり、アプリを2つ立ち上げながら原稿を書いたりしてみたがサラッとこなせてしまうのだ。これには驚いた。
「Pixel Fold」で撮影をして「Googleドキュメント」でメモを書き記したりと、夏のブラブラ旅がとても楽しく有意義なものになった。ノートPCいらずである。ズバリ、オススメの端末と言える。
カメラの写りはトップレベルなので不満は特に感じられなかったが「Pixel 7 Pro」と比較するとカメラ機能が若干物足りない。しかしさまざまな使い勝手を考えると「仕方ないかな」と思ってしまうほどだ。
この新しい撮影体験を味わうには25万3000円という出費が求められる。悩みどころだがキャリアなどの施策をうまく利用すれば手が届くかもしれない?