法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
いよいよ27日発売「Pixel Fold」が開く、新しいフォルダブルの世界
2023年7月26日 00:00
「Googleが作ったスマートフォン」として、着実に支持を拡大しつつある「Pixel」シリーズに、ついにフォルダブルタイプのスマートフォン「Pixel Fold」が登場した。筆者も実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。
フォルダブルが新トレンドに?
スマートフォンの形と言えば、そのほとんどがスレート状(板状)のデザインを採用しているが、ここ数年、注目を集めているのが本体を折りたたむことができる『フォルダブル』だ。当初はサムスンやファーウェイなど、ごく一部のメーカーがプレミアモデルとして、展開していたが、最近ではモトローラやシャオミ、OPPOなどがグローバル向けにフォルダブルスマートフォンを展開し、新しい潮流が生まれようとしている。
フォルダブルスマートフォンにはいくつかのタイプがある。ひとつは端末を文庫本のように横方向に開くモデルで、サムスンの「Galaxy Z Fold」シリーズをはじめ、シャオミの「Mi Mix Fold2」やOPPOの「OPPO Find N2」(共に日本未発売)などが知られる。
いずれも有機ELディスプレイの曲げられる特性を活かしたモデルで、閉じた状態でも操作できるカバーディスプレイを備える。横開きモデルのバリエーションとしては、マイクロソフトの「Surface Duo2」、LGエレクトロニクスの「LG V60 ThinQ 5G」のように、物理的に2枚のディスプレイを搭載し、大画面を実現するモデルもある。
また、縦方向に開くフォルダブルとしては、サムスンの「Galaxy Z Flip」シリーズが好調な売れ行きを見せているが、モトローラも往年の名機『razr』のネーミングを継承したフォルダブルスマートフォンを発表し、今夏には国内向けに「motorola razr 40 ultra」を発売している。
こうしたフォルダブルスマートフォンのアドバンテージとしては、折りたたんだ状態でコンパクトに持ち歩きながら、利用するアプリやコンテンツに応じて、端末を開き、大画面で楽しめることが挙げられる。端末を閉じた状態での利用については、横開きと縦開きでやや方向性が違い、横開きモデルはほぼフルに機能を利用できるのに対し、縦開きモデルはかつてのケータイのサブディスプレイ的な使い方から、メールやスケジュールなどの通知を確認できるようにしたり、カメラ利用時に被写体側にプレビュー画面を見せるといった使い方に拡張しつつある。
今回、Googleから発売された「Google Pixel Fold」は、昨年から開発中であることが伝えられ、今年5月の開発者イベント「Google I/O」で正式に発表されたPixelシリーズ初のフォルダブルスマートフォンになる。最近の国内市場での「Pixel」シリーズの好調ぶりを反映してか、国内向けにも発売されることになり、Googleストアのほかに、NTTドコモ、au、ソフトバンクでも取り扱われる。フォルダブルスマートフォンとしては、はじめてもっとも幅広い販路で販売されることになり、国内市場での反響が期待される。
価格はGoogleストアが25万3000円を設定しているのに対し、NTTドコモが25万2890円、auが28万6080円、ソフトバンクが28万7280円としており、かなり高価格帯の商品になる。ただ、国内主要3社はいずれも2年後に端末を返却することで割安に利用できる 残価設定ローン型の端末購入ブログラムを提供しており、月額6000円前後の負担 で購入できる。この場合の実質負担額は15万円弱といったところだ。
ワイド&薄型ボディ
まず、外観からチェックしてみよう。ボディは閉じた状態で幅79.5mm、厚さ12.1mm、開いた状態で幅158.7mm、厚さ5.8mmで、重量は283gとなっている。現在、同じ横開きのフォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Fold4」に比べ、ボディ幅が広く、高さが少し低く、厚みもわずかに薄いワイド&薄型ボディに仕上げられている。重量は20gほど、重く、シャツの胸ポケットなどに入れたときは、やや重さの差を感じる。
筆者は10カ月近く「Galaxy Z Fold4」を使い続けていて、意外に端末を閉じたままの状態で使うシーンも多いが、閉じた状態としては「Google Pixel Fold」の方が一般的なスマートフォンの使用感に近い。
また、「Galaxy Z Fold4」は端末を閉じたとき、ヒンジ側が15.8mm、外側(開閉部側)が14.2mmで、全体的にウェッジシェイプ(くさび形)の形状なのに対し、「Google Pixel Fold」はヒンジ側が12.1mm(カタログ値と実測値)、外側が11.6mm(実測値)となっており、ほぼフラットに近い形状に仕上げられている。カメラ部の突起があるものの、ヒンジを挟んだ両方の筐体を折りたたむと、ちょっと厚めのスレート状のスマートフォンという感覚で操作できる。
ボディを開いたときの状態については、完全にフラットに開かれるわけではなく、ごくわずかに内側に曲がった「くの字」状になる。おそらく、ヒンジ部分の剛性やガラス面の強度、保護などを考慮して、このような形状になったと推察されるが、「Galaxy Z Fold」シリーズのフラットな開き方に比べ、最初は少し戸惑いがあった。とは言うものの、使いはじめてしまえば、すぐに慣れるので、あまり違和感はない。
ボディの右筐体(カメラ部を内蔵した側)の側面には、電源キーと音量キーを備える。レイアウトは他のPixelシリーズと同様で、上側が電源キー、下側に音量キーとなっている。
電源キーには指紋センサーが内蔵されており、指紋認証によるロック解除のほか、アプリ起動やサイトへのログインなどの本人確認に利用できる。顔認証にも対応しており、本体を閉じたときのインカメラのみで認証する。顔認証では目を開いた状態のみに反応するようにしたり、端末を持ち上げて、顔認証ですぐに使いはじめるといった設定もできる。ただし、顔認証はマスクやサングラスなどを着用した状態で利用できないため、指紋認証を併用する形になる。
耐環境性能については、IPX8準拠の防水性能をサポートしている。ただ、フォルダブルスマートフォンはヒンジ部をはじめ、複雑な機構を採用しているため、落下や衝撃などで防水性能が低下したり、失われることが考えられるため、一般的なスレート状のスマートフォンよりも注意深く利用する必要があるだろう。ちなみに、主要3社が提供する端末補償サービスでは、「Galaxy Z Fold」シリーズや「Galaxy Z Flip」シリーズが他のスマートフォンに比べ、数百円ほど高い月額料金が設定されている。原稿執筆時点で補償サービスの月額料金は発表されていないが、おそらく「Google Pixel Fold」も同程度の月額料金が設定されると推察される。
バッテリーは4821mAhの大容量バッテリーを搭載しており、通常利用で24時間、スーパーバッテリーセーバー使用時は72時間の駆動を可能にする。充電は本体下部のUSB Type-C外部接続端子に加え、Qi規格準拠のワイヤレス充電にも対応する。外部接続端子からの充電はUSB-PD 3.0(PPS)対応の急速充電が利用できる。Pixel 7などが対応するバッテリーシェア(他のワイヤレス充電対応機器に給電する機能)には対応していない。
閉じて5.8インチ、開くと7.6インチ
ディスプレイは本体の左筐体の外部カバー側に、2092×1080ドット表示が可能なフルHD+対応5.8インチOLED(有機EL)、本体を開いた内側に2208×1840ドット表示が可能な7.6インチOLED(有機EL)を搭載する。
まず、外側のカバーディスプレイはアスペクト比が17.4対9というスタンダードなサイズで、リフレッシュレートは60Hz~120Hzの可変、最大輝度は1200nit(HDR)、ピーク輝度は1500nit、コントラスト比は100万対1という仕様となっている。カバーガラスはCorning社製Gorilla Glass Victusを採用する。市販の保護ガラス(保護フィルム)を貼ったときにタッチパネルの感度を高める「画面保護シートモード」もサポートする。
内側のフルスクリーンディスプレイは、アクペクト比が6対5で、リフレッシュレートは60Hz~120Hzの可変、最大輝度は1000nit、ピーク輝度は1450nit(HDR)、コントラスト比は100万対1という仕様となっている。ディスプレイには保護プラスチック層を組み込んだ超薄型ガラスが採用されている。
ちなみに、Androidプラットフォームでは[設定]アプリの「ディスプレイ」では明るさや点灯時間などを設定することができるが、カバーディスプレイとフルスクリーンディスプレイの設定は共通となっており、個別に設定することができない。
これはライバル機種も同様で、Androidプラットフォームとして、今後、複数のディスプレイを持つデバイスにおいて、それぞれのディスプレイをどのようにコントロールするのかを考えていく必要がありそうだ。たとえば、カバーディスプレイは輝度を抑え、点灯時間を短く設定し、フルスクリーンディスプレイはより明るく、視認性を重視するといった設定ができるようにすることなどが考えられる。
Google独自開発「Tensor G2」搭載
チップセットは昨年の「Pixel 7」シリーズや今年5月発売の「Pixel 7a」同様、Googleが独自に開発したチップセット「Tensor G2(テンサージーツー)」を採用する。RAMは「Pixel 7 Pro」と同じ12GB、ストレージは256GBを搭載し、外部メモリーカードには対応しない。
「Tensor G2」のパフォーマンスについては、「Pixel 7」シリーズや「Pixel 7a」の記事でも説明したので、そちらを参照していただきたいが、チップセットそのもののパフォーマンスは米Snadragon 8 Gen 1と同等か、それに次ぐレベルとされており、フォルダブルによる二画面化でも快適に使うことができる。
「Tensor G2」搭載によるアドバンテージとしては、Googleが自らの最先端研究で培ってきた技術を活かしたAIや画像処理など、機械学習の情報を端末上で処理できることが挙げられる。具体的な活用例としては、Pixelシリーズでおなじみの「消しゴムマジック」や「ぶれ補正」(ボケ補正)をはじめ、リアルタイム翻訳や文字起こし、写真や動画撮影時の画像処理などが挙げられる。ちなみに、Google I/Oでの発表時、カバーディスプレイとフルスクリーンディスプレイを利用した「デュアルスクリーン翻訳」はまだ実装されておらず、2023年秋に提供が開始される予定となっている。
ネットワークについては5G/4G LTE/3G(UMTS/HSPA+/HSDPA)/GSM(クアッドバンド)に対応しており、5Gについては「Pixel 7a」に続き、NTTドコモに割り当てられた5G対応バンドの「n79」にも対応し、ミリ波についても対応する。昨年秋に国内向けに発売された「Pixel 7」「Pixel 7 Pro」はミリ波に対応しているものの、NTTドコモの5Gバンド「n79」には対応していなかったため、今回の「Pixel Fold」が国内各社の5Gネットワークにもっとも広く対応した「Pixel」シリーズという位置付けになる。
SIMカードはnanoSIM/eSIMのデュアルSIM対応となっている。Googleストアで販売するものも主要3社で扱うものもSIMフリーであるため、各社のSIMカードで利用できるが、事業者によってはAPNの設定が必要になる。基本的な対応は「Pixel 7a」のときと同様で、NTTドコモのSIMカードでは「spモード」と「mopera U」のみが表示され、NTTドコモ網を利用したMVNOのSIMカードでは、「IIJmio」や「BIGLOBE」など、おなじみのMVNO各社のAPNが表示される一方、「spモード」と「mopera U」も同様に表示される。
auのSIMカードでは「5G NET」と「5G NET for DATA」が表示されるが、au網を利用したMVNO各社のSIMカードでは「Rakuten mobile」が表示されるのみで、他のMVNO各社のAPNは表示されない。UQモバイルのSIMカードは、「UQ mobile」のみがAPNに表示される。
ソフトバンクのSIMカードを挿すと、APNは「Application」と「Closed Networks[Enterprise]」が表示され、ワイモバイルやMVNO各社のSIMカードを挿しても同じ内容しか表示されない。ところが、LINEMOのSIMカードはAPNに「LINEMO」が表示され、有効になる。楽天モバイルは「Internet」と表示され、自動的に接続された。
こうした動作状況は「Pixel 7a」のレビュー記事でも触れたが、各社のSIMカードを挿したときのAPNの表示が今ひとつ実状に合っていないことが気になる。最終的にはユーザー自身でAPNを設定すれば、基本的には動作するはずだが、せっかく国内の主要3社で扱う環境が整ってきたのだから、今後、最新の内容に更新されていくことも期待したい。
Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax(2.4GHz/5GHz/6GHz)に対応し、Bluetooth 5.2をサポートする。FeliCaも搭載しているため、Google Payで提供される交通系ICカードやQUICPay、iDをはじめとした各電子マネーも利用できる。衛星による位置情報測位システムは、GPS(米国)をはじめ、GLONASS(ロシア)、Galileo(欧州)、QZSS(みちびき)、BeiDou(中国)、NavIC(インド)に対応する。
画面表示はアプリによって、動作が異なる
プラットフォームはAndroid 13を採用しており、今回の端末は試用期間中に、2023年7月のセキュリティアップデートが適用された。Googleでは米国Googleストアの発売から5年間のアップデートを保証するとしており、将来的にも安心して利用できる。
今回の「Pixel Fold」で気になるのは、カバーディスプレイとフルスクリーンディスプレイという2つの画面がどのように動作するかという点だろう。カバーディスプレイでの利用については、一般的なAndroidプラットフォームのスマートフォンと変わらないため、基本的に操作なども同じだ。
これに対し、フルスクリーンディスプレイは前述のように、6対5という他のAndroidスマートフォンにはないアスペクト比のため、アプリによって、表示が異なる。
たとえば、Googleが提供する「Gmail」や「マップ」、「カレンダー」といったアプリは、アプリを起動すれば、フルスクリーンディスプレイ全体に表示される。「Gmail」では左半分にメール一覧、右半分にメールの内容というように表示したり、「カレンダー」も一覧、日、週、月で表示ができるだけでなく、左半分に月単位のカレンダーを表示しながら、右半分に日単位や週単位の表示をすることもできる。
ところが、Google提供以外のアプリについては、アプリによって動作が異なり、多くのアプリはフル画面で表示されず、中央付近のみに表示される。このとき、アプリの背後に黒く表示されている部分をダブルタップすると、表示位置を左右に寄せたり、再び中央に表示することができる。
また、カバーディスプレイでアプリを利用中、端末を開き、フルスクリーンディスプレイに切り替えたとき、アプリによってはアプリの再起動が求められることもある。
逆に、「Gmail」や「マップ」などのGoogle提供のアプリは再起動することなく、それぞれのディスプレイに適した表示ができる。ディスプレイ切り替え時の再起動は、「Galaxy Z Fold」シリーズでも同様の動作になっており、今後、各ソフトウェアベンダーが修正を加え、Google提供アプリなどと同じような動作が可能になることが期待される。
アプリによって、画面中央のみにアプリが表示されてしまう仕様だが、逆に広い画面を活かして、複数のアプリを分割表示する機能も搭載されている。
フルスクリーンディスプレイにアプリを表示しているとき、画面の下から上にスロースワイプ(通常のスワイプではホームに戻ってしまう)すると、画面下段から「タスクバー」が表示される。
ここに表示されているアプリをドラッグ&ドロップすると、フルスクリーンディスプレイに2つのアプリを分割して表示することができる。たとえば、「Gmail」で届いたメールを見ながら、「カレンダー」でスケジュールを確認するといった使い方ができるわけだ。分割表示中の片方のアプリを上方向にスワイプすれば、もう片方のアプリだけの表示に切り替えられる。他のフォルダブルスマートフォンでは、三分割表示などにも対応しているが、「Pixel Fold」ではタスクバーを使った分割表示がフルスクリーンディスプレイをうまく使いこなしていく重要なポイントと言えそうだ。
「Pixel Fold」を使っていくうえで、もうひとつ注意したいのがGboardによる文字入力時のソフトウェアキーボードのレイアウトだ。
カバーディスプレイ側は通常のAndroidスマートフォンと同じなので、好みに応じて、12キーやQWERTYキーを選べるが、フルスクリーンディスプレイ側はいくつかの表示スタイルが用意されている。
カバーディスプレイと同じように、フル画面に12キーやQWERTYキーを表示するだけでなく、キーボードを分割して、左右に別々のキーを表示したり、ソフトウェアキーボードをフローティング表示にすることもできる。このあたりは使う人によって、好みが分かれるので、自分で使いながらカスタマイズしていくといいだろう。
筆者は普段、日本語が12キーのフリック入力、アルファベットがQWERTY配列を利用しているが、フルスクリーンディスプレイでは右側に12キー、左側にテンキーという分割表示を選び、アルファベットに切り替えたときは分割されたQWERTYキーが表示されるようにしている。
広角/超広角/望遠のトリプルカメラを搭載
カメラについては、背面にトリプルカメラ、カバーディスプレイとフルスクリーンディスプレイにインカメラをそれぞれ1つずつ搭載する。
まず、背面には「Pixel 7」シリーズなどと同様のカメラバーに、広角、超広角、望遠の3つのカメラが収められている。
広角カメラ(25mm)は48MピクセルのQuad PDイメージセンサー(1/2インチ、ピクセルピッチ0.8μm)に、F1.7のレンズを組み合わせ、画角が82度。
超広角カメラは10.8Mピクセルのイメージセンサー(1/3インチ、ピクセルピッチ1.25μm)に、F2.2のレンズを組み合わせ、画角が121.1度の超ワイド撮影が可能。
望遠カメラ(112mm)は10.8MピクセルのデュアルPDイメージセンサー(1/3.1インチ、ピクセルピッチ1.22μm)に、F3.05のレンズを組み合わせ、広角カメラに対して、約5倍の光学ズームが可能。超解像技術を組み合わせたズームは最大20倍に対応するほか、レーザーAF、光学式及び電子手ぶれ補正などの機能を備える。
カバーディスプレイの上部のパンチホール内に収められた前面カメラは、9.5MピクセルのデュアルPDイメージセンサー(ピクセルピッチ1.22μm)に、F2.2のレンズを組み合わせる。フルスクリーンディスプレイ上部(右筐体)の額縁内に収められたインナーカメラは、8Mピクセルのイメージセンサー(ピクセルピッチ1.12μm)に、F2.0のレンズを組み合わせる。画角はどちらも84度で、ワイド撮影に対応するが、固定フォーカスのみの対応となる。
撮影モードは「カメラ(静止画)」「ポートレート」「動画」「長時間露光」「夜景モード」などに加え、「パノラマ」「360度写真」などにも対応し、当然のことながら、「Googleレンズ」も利用できる。動画も「Pixel 7」シリーズで注目された「天体写真タイムラプス」をはじめ、「シネマティック撮影」「4Kタイムラプス」「最大240fpsスローモーション」など、多彩なモードを備える。
また、フォルダブルならではの撮影スタイルとして、カメラを起動後、表示をカバーディスプレイに切り替え、背面側のメインカメラで撮影することができる。たとえば、背景の夜景を活かしながら、ポートレートを撮影したり、超広角カメラを使い、多くの人が写る集合写真を撮ったりできる。「Pixel Fold」をL字型に折りたたんだテーブルトップモードにして、机の上などに置いて、手のひらタイマーやGoogleアシスタントを使って、写真を撮ることもできる。
撮影した写真の編集については、おなじみの「消しゴムマジック」や「ボケ補正」をはじめ、背景をモノクロ化できる「カラーポップ」、手書きで文字などを書き加える「マークアップ」など、撮った写真を楽しむための機能が充実している。
「消しゴムマジック」や「ボケ補正」は、Google Oneを契約したGoogleアカウントであれば、Googleフォト上でも同様の機能が利用できるが、「Pixel」シリーズは端末上で画像処理をするため、動作が速く、快適に編集作業ができる。
「Pixel Fold」が開く、もっと楽しく、もっと便利なスマートフォンの世界
Googleが提供するさまざまなサービスを快適に利用できるスマートフォンとして、展開してきた「Pixel」シリーズ。2021年からは独自開発のチップセット「Tensor」シリーズを搭載し、AIを軸にしたスマートフォンの可能性を追求し、昨年秋からは第2世代となる「Tensor G2」を搭載したモデルを展開している。
これまでは秋にフラッグシップモデル、春から夏に普及価格帯のAシリーズという流れで新機種を投入してきたが、いよいよ「Pixel Fold」をひっさげ、フォルダブルという新しいジャンルに挑戦してきた。基本的にはこれまでの 「Pixel」シリーズで好評を得てきた機能やデザインなどを受け継ぎながら、コンパクトで持ちやすいサイズ感のフォルダブルスマートフォンに仕上げた という印象だ。
フォルダブルという形状を活かし、テーブルトップモードでコンテンツを楽しんだり、分割モードで複数のアプリを切り替えながら利用したり、カバーディスプレイとフルスクリーンディスプレイという2つの画面をうまく活かしながら、新しいスマートフォンの使い方を楽しむことができる。
ただ、本稿でも触れたように、フルスクリーンディスプレイで中央のみに表示されるアプリがまだまだ多く、プラットフォームとしても2つのディスプレイの設定や表示をどのようにコントロールしていくのかなど、今後、検討していかなければならない項目も少なくない。
とは言うものの、これまでのスレート状のスマートフォンとは違った楽しさや便利さが整っており、これからのスマートフォンの可能性を体験する一台であることは間違いないようだ。
悩みどころとしては、やはり、25万円前後という価格設定、フォルダブルという形状に対する落下や破損の不安だろう。前者については各携帯電話会社が提供する端末購入プログラムがひとつの解であり、後者については各社の補償サービスへの加入が安心感への裏付けになりそうだ。主要3社のショップなどにもデモ機が用意されるはずなので、ぜひ一度、手に取り、「Google Pixel Fold」のポテンシャルを感じ取っていただきたい。