レビュー

グーグル初の折りたたみスマホ「Pixel Fold」、閉じてスマホ/開いて大画面でイチオシの使い方とは

Pixelシリーズ初のフォルダブルスマートフォン「Pixel Fold」

 Google初の折りたたみタイプとして、7月下旬以降に発売予定の「Pixel Fold」。価格はGoogleの直販で25万3000円となっており、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクからも発売が予定されている。今記事では、発売前のテスト機をGoogleからお借りして、その使い勝手などをチェックしていく。

外観をじっくりチェック

 まず始めに、筆者はこれまでフォルダブルタイプのスマートフォンをタッチ&トライなどで触ったことはあるものの、じっくりと常用したことはなく、フォルダブルタイプを本格的に使用するのは初めてに近い状態である。

 大きさは折りたたんだ状態で139.7×79.5×12.1mm、広げた状態だと139.7×158.7×5.8mmとなっている。重さは約283gなので、開いた状態だと、重さが分散されるためそれほどでもないが、閉じた状態だと一般的なスマートフォンの感覚だとズシリと重い印象。

閉じた状態の正面
閉じた状態での背面
開いた状態での正面
開いた状態での背面

 ディスプレイの開閉はやや堅めで、片手で開ききるのは構造的にも難しく、両手での操作となる。またヒンジの部分は折れ目が若干目につくものの、使用している最中はそこまで気になるレベルではない。

指紋認証センサーは電源ボタンと一体型
閉じた状態では隙間はほとんどない
ヒンジはやや厚い
本体底面にはType-C端子とSIMトレーがある
本体上部
ヒンジの部分も隙間はほとんどない
意識して開かないと完全に真っ平らにはなりにくい
折り目は視認できるが気になるほどではない

高品質なディスプレイ

 ディスプレイは、開いた状態のインナーディスプレイが7.6インチ(1840×2208ドット)で、アウターディスプレイは5.8インチ(1080×2092ドット)。アスペクト比はインナーディスプレイが6:5で正方形に近く、アウターディスプレイは17.4:9となっている。

 どちらも有機ELパネルで、コントラスト比 1,000,000:1、HDR 対応、24 ビット フルカラー(1,600 万色)と発色もよく、リフレッシュレートは最大120Hzということで、動画なども高いクオリティーで楽しめる。

リフレッシュレートも高く、スクロールなどは滑らか

 ただし、アスペクト比的には動画コンテンツをそこまで大きく楽しめるわけではなく、たとえば16:9のYouTube動画の場合、インナーディスプレイを横に開いた状態で全画面表示にすると、上下の黒縁が多い。

 表示領域を計測すると、長辺は実寸で約148mm。また縦に開いた場合の長辺は124mmとなっている。

インナーディスプレイで横開きの場合は長辺約148mmで表示
インナーディスプレイで横開きの場合は長辺約124mで表示

 一方、アウターディスプレイは、標準の表示だとアスペクト比的に左右に黒枠ができ、表示領域の長辺は120mm。カメラのピンホールを気にせず上下をカットして左右に合わせた拡大表示で130mmだった。

インナーディスプレイで16:9の動画を全画面表示した場合は長辺約120mmで表示
インナーディスプレイで16:9の動画を左右一杯まで拡大面表示した場合は長辺約130mmで表示

用途によって感じる使い勝手の違い

 閉じた状態と開いた状態では、長辺の表示が「約20mm~30mmも違う」と感じるか、約20mm~30mm“しか”違わないと感じるか。

 個人的にフォルダブルタイプに食指が動かないポイントはココで、せっかく広げて使うなら、閉じたときの長辺と開いたときの長編が倍くらい違うと、フォルダブルタイプを持ち歩く意味がある気がする。

飛行機などでの移動中は、テントスタイルが便利そう
YouTubeアプリは今後のアップデートで画面下部にコントローラーが

 ただし、これは動画視聴に限った目線で、もちろん大きなインナーディスプレイを活用できるアプリやコンテンツも多い。

 たとえば、Kindleなどの電子書籍アプリは、最近のスマートフォンだと長辺が長いアスペクト比のものが多く、コミックなどは上下に余白が多くなり、小説などは1行が長くなるため、目線を動かす距離も長くなる。

 その点、「Pixel Fold」は6:5というアスペクト比のため、コミックなら見開き表示にすると上下の余白も気にならない。また縦にすると1ページ表示になるが、左右の余白も少なく読みやすい。小説などの縦書きテキストも、あまり目線を動かさずに読める。ただし中央にも文章が表示されるため、コミックのように中央部分に余白があるような表示するモードがあると、より読みやすいと感じた。

コミックは見開きで表示範囲も大きく読みやすい
縦書きの書籍は中央部分が気になるものの、読みやすい

 もちろん画面分割をしても、十分な表示領域があるので使いやすい。

 飲食店を探すときは横開き状態で片方に地図アプリを表示して店を探しながら、もう片方にWebブラウザーを表示してお店をチェックしたりできる。縦開きなら上下に分割できるので、片方に動画を表示しつつ、もう片方でSNSに投稿といった操作方法も簡単だ。

アプリ間でテキストや写真をドラッグ・アンド・ドロップで移動できるのは便利
縦開きにすれば動画を大きく表示しつつ、別のアプリもじゅうぶん使える表示領域が確保できる

 ちなみに、文字入力は左右にボタンを分けるスプリットのほか、片方に寄せるフローティングもできるので、開いた状態でも片手で持って入力可能だ。

通常のフリックだとやや打ちにくい
フローティングにすると片手で打てる
キーボードのスプリット表示も可能
一部アプリが全画面表示に対応していないのが残念

一番イイのはカメラ

 「Pixel Fold」は、アウトカメラにメインの4800万画素(F値1.7、センサーサイズ1/2インチ)、超広角の1080万画素(F値2.2、画角121.1度)、望遠の1080万画素(F値3.05)を搭載したトリプルレンズ仕様。フォルダブルタイプという形状の恩恵をいちばん受けると感じたのが、カメラアプリを使った撮影だ。

背面カメラはトリプルレンズ仕様

 Pixelシリーズのカメラは、「夜景モード」や「長時間露光」といった機能が秀逸だが、これらの撮影時には極力固定して撮影する必要がある。

 手持ちの場合はどうしても動いてしまうが、Pixel Foldは折り曲げた状態やテントモードの状態でも撮影できるので、三脚やフォルダーなどなしで単体で置いて固定できるという利点がある。

Pixelシリーズで定番のカメラ機能を搭載している
しっかりと固定して撮影できるのは便利

 アウターディスプレイにもインカメラ(1080万画素望遠、F値3.05)を搭載しているが、開いた状態にすれば、アウトカメラをインカメラとして撮影も可能。アウトカメラもインカメラも両方使うケースが多いという、ユーザーにはうれしいポイントだ。

高性能な背面カメラをセルフィーに使えるのもポイント

 以下は、Pixel Foldで撮影した作例。基本的にはレンズを向けたら明るさやピントなどの調整はせずにそのまま撮影している。Pixelシリーズらしい、コンピュテーショナルフォトグラフィーによる補正などではっきりとした発色になっている。

等倍で撮影
2倍で撮影
5倍で撮影
デジタルズーム20倍で撮影
0.6倍で撮影
等倍で撮影
夜景モード等倍で撮影
夜景モード2倍で撮影
夜景モード5倍で撮影
夜景モード0.6倍で撮影
長時間露光で撮影

 Pixel Foldを初めとするフォルダブルタイプの場合、 いかに「開いた状態」で使う頻度が高いか というのが、ユーザーの好みにフィットするポイントだと感じた。普段からスマートフォンでも複数アプリを使い、マルチタスクで作業するようなユーザー、写真や動画の編集など極力、画面が大きい方がいいアプリを使うユーザーには合っていそうだ。