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楽天モバイル、新たな割引施策「最強シニアプログラム」の衝撃度

 楽天モバイルは9月13日、新たな割引施策「最強シニアプログラム」を発表し、同日より提供を開始した。65歳以上の利用者を対象に、毎月110ポイントが還元される。

特定の年齢層を対象とした、3本目の割引施策

 特定の年齢層を対象とした割引施策としては、既に「最強こどもプログラム」と「最強青春プログラム」が導入されており、これで3本目となる。

 いずれの割引施策も、通信料金そのものには手を付けず、ポイントの付与を通じた“実質値引き”の枠組みを採用している点が共通している。

 付与される楽天ポイントは、付与日を含めて6ヶ月間の有効期間が設定されており、定期的にポイントを利用しないと無効になってしまう。裏返せば、ポイントの利用を通じた楽天経済圏の活性化が期待できる施策といえる。

 あわせて、通信料金の値引きを避けることで、投資家をはじめとした多くの関係者が注目している「ARPU」の下押し圧力も回避できる。

 なお、これら施策と併用可能な、幅広い家族のかたちで構成可能なグループ参加者に適用される「最強家族プログラム」については、通信料金の値引きを直接行っている。

シニア割の投入で割引対象者は“2割→5割”に急拡大

 今回の「最強シニアプログラム」は、特定年齢層向け割引施策としては3本目に過ぎないが、そのインパクトは非常に大きい。というのも、これまでの施策と比べて、対象者の範囲が極めて広いのだ。

 実際、どこまで対象者は拡大したのだろうか。対象者が年齢層で区切られているため、割引対象者数は日本の人口データから容易に推察できる。総務省統計局が公表している人口推計(1歳区切り)から、3本の割引施策対象者を確認したのが下のグラフだ。

 従来の若年層向け割引施策は、いずれも総人口の1割弱が対象で、2つを合わせても18.8%と限定的だった。ところが「最強シニアプログラム」の対象である65歳以上の人口は3622万人と約3割を占める。これにより、年齢別の割引施策としながらも、半数弱の47.9%が割引施策の対象者としてカバーされた計算だ。

 「最強シニアプログラム」の投入には、通信料金本体にはなるべく手を付けず、かつ、あくまで特定年齢層向けの限定的な施策と打ち出しながら、実質的には幅広く割引の恩恵を提供していく、そんな姿勢が見え隠れしていると言えそうだ。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/