ケータイ用語の基礎知識

第916回:IOWN とは

 「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network、アイオン)」とは、NTTがR&Dの知見に基づき、2019年5月に提案した、新しいネットワークの構想です。「NTT Technology Report for Smart World」と題する文書で発表されました。

 IOWNは、機能別の専用ネットワーク(Function-specific Dedicated Network)、コグニティブファウンデーション(Cognitive Foundation)、デジタルツイン基盤(Digital Twin Computing)から構成されます。

 「エレクトロニクスの世界からフォトニクスの世界へのシフトチェンジに挑戦することで、フォトニクス技術をベースとし、大容量、低遅延、低消費電力、かつ柔軟性に優れ、情報処理部分までの光化を含めた革新的なネットワークであるIOWNの実現を目指す」とされています。

スマートテクノロジーが「ナチュラル」に存在する世界

 IOWNが提案された文書「NTT Technology Report for Smart World」では、“スマートテクノロジーが、老若男女、職業人種を問わずあまねく人々が恩恵を受けられる必要がある”と説きます。そして、そのためには、テクノロジーは「ナチュラル」なものでなければならないと続けています。

 たとえば最先端のテクノロジーを体験しようと思うと、多くのデバイスが必要になったり、あるいは専門的な知識が必要とされたりすることがあります。すると、使いこなせる人とそうではない人で格差が生まれるかもしれません。

 「だからこそ、人々が意識できないほど、ナチュラルな存在であることがテクノロジーには求められている」というわけです。そして具体的には人工知能や、拡張現実など11の分野に注力する方針です。

  • 人工知能
  • 仮想現実/拡張現実
  • ヒューマン・マシン・インターフェース
  • セキュリティ
  • 情報処理基盤
  • ネットワーク
  • エネルギー
  • 量子コンピューティング
  • バイオ・メディカル
  • 先端素材
  • アディティブ・マニュファクチュアリング

 特に、「ネットワーク」に関しては、5Gの次の時代「ポスト5G時代」を支えるための革新的な光ネットワークの実現を目指すとしています。情報流通基盤で今までにないコラボレーションを創り出すことで、新たな世界を切り拓こう、というわけです。

 「NTT Technology Report for Smart World」では、技術の進展が、社会全般の変化をもたらすという未来を描いています。IOWNは、NTTグループが描き、手がける未来像を実現する土台になる仕組みのひとつと言えるかもしれません。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)