ニュース

NTTとマイクロソフトが戦略的提携

 NTT(持株)と米マイクロソフトは10日、新たなデジタルソリューションの実現に向けた戦略的提携に合意した。同日、米シアトルのマイクロソフト本社で両社のトップが合意文書にサインした。

マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏(左)とNTT代表取締役社長の澤田純氏(右)

 両社の提携は、ユーザーとなる企業のデジタルトランスフォーメーションを推進する、セキュアかつ信頼性の高いソリューションの提供を目指すもの。

 複数年に渡るもので、まずは、今年6月に設立されたばかりのNTTグループにおけるグローバル事業を担うNTT Limited(拠点:英国、NTTリミテッド)からの展開が想定されている。

短期的な展開はまずAzureとセキュリティ、AIなどの組み合わせ

 NTT持株広報によれば、まずはNTTリミテッド設立時に組み込まれた、旧NTTセキュリティや、米国でAIなどの研究を進めるNTT Disruption(NTTディスラプション)といった企業の事業を、マイクロソフトのクラウドプラットフォームである「Microsoft Azure」と組み合わせ、新たなサービスを検討していく。

 国内のNTT各社(東日本、西日本、ドコモ、コミュニケーションズ)とマイクロソフトとの議論はこれからで、来春を目途に何らかの方向性を打ち出せるよう進められる見込み。

光技術で共通する課題克服へ

 両社の戦略的提携では、2030年の商用化に向けてNTTが研究・開発を進める「IOWN(アイオン)」構想での連携も含まれる。

 IOWN構想では、光ファイバーだけではなく、端末内部に搭載される半導体まで、光信号で処理するフォトニクス技術の実現を目指している。いわばサーバーから伝送路、FTTH、そして携帯電話まで、エンドツーエンドで光で処理するというものだ。

 現在、携帯電話やサーバーでは、通信量の増大に伴い、発熱や消費電力の増大が課題。光半導体が実現すれば、そうした課題を解決できる、と期待されている。

 NTT持株広報によれば、マイクロソフトもまた、同様の課題に直面し、フォトニクス技術の研究を進めており、NTTからの提唱に賛同を得て、ノウハウを共有していくことになったという。

 IOWN構想は、2024年に仕様を固め、2030年の商用化を目指す。10月末には、NTT、インテル、ソニーがIOWNのフォーラムを設立済み。

 IOWN商用化の目標である2030年は、携帯電話の世界では5Gが普及し、さらに6Gと呼ばれるかもしれない次世代規格が動き始める時期になる可能性がある。NTTとマイクロソフトとの戦略的提携は、NTTにとって、モバイルを含めた次世代通信において、日本のみならず、グローバルでIOWN構想を広げていく取り組みの一環とも言えそうだ。