法林岳之・石川温・石野純也・佐藤文彦のスマホ会議(仮)

23万円超のXperia 1 VIIIに足りない一押し。識者が語る「スマホAI」の未来と価格高騰のリアル

 通信業界を中心に活躍するライター4人と編集長の関口による「スマホ会議(仮)」。今回はFitbit AirやXperia 1 VIIIといった最新機種に加え、Android Show、Google I/Oについて話し合っていきます。

ディスプレイなしのバンドはどう評価するべきか

佐藤
 グーグルから、ヘルスケアデバイスとして「Google Fitbit Air」が発売されました。

佐藤

法林氏
 値段(1万6800円)がちょっと高すぎるよね。シャオミやファーウェイのバンドが1万円を切る中で、画面もないのにこの値段。

法林氏

石川氏
 画面がないのが、ちょっとね。

石川氏

関口
 着け心地はいいですけど、バイブレーションをオンにしていると、すごく気になります。何の通知かわかりませんから。

石野氏
 謎のバンドを着けている人って感じになりますよね。

石野氏

法林氏
 ただ、機械式の腕時計を着けている人が、トラッキングをしたいと思った時のアイテムとしてはありなのかな。

石川氏
 それなら、機械式時計に付けられるバンドにするべきじゃないですか。wenaシリーズみたいに。

石野氏
 もっと細くしてもいいですよね。今はスポーティー感が強すぎる。

石川氏
 色も、何とも言えない感じ。

石野氏
 目立ちますよね。あまりかわいく見えない。

佐藤
 ちょっとダサすぎると思います。

石野氏
 これからジムに行く人なのかなっていう。まず、この素材が難しいですよね。

関口
 Fitbit Airの発売とほぼ同時に、FitbitアプリはGoogle Healthアプリに進化しています。かなり変わっていて、運動しない人にも寄り添ってくれるようなデザインになりました。

 これまで、この手のアプリは運動の意識が高い人向けのデザインが多かったですが、チャットベースで目標を設定できて、やさしいアドバイスをしてくれるようになっています。

石川氏
 Geminiに相談しながら運動をするという意味では、アプリの進化もありだし、ディスプレイデバイスがなくても、Geminiと会話をすればいい。先進的なのかもしれないけど、もう少しかっこよくできた気がする。

石野氏
 運動をあまりしない人でも使いやすいという話は、Fitbit Airのデザインとかみ合わないですよね。ただ、睡眠のログを取るときに、スマートウォッチだときつくて邪魔だったりするので、軽くてサッと巻けるのはありだけど、睡眠の時だけ着けるかと言われると、それはそれで難しい。

石川氏
 採血する前に付けるバンドみたい。

石野氏
 そうですね。非日常感が強すぎる。

法林氏
 デザインは別として、スマートウォッチ、スマートバンドを使わないで、機械式時計を使っている人に対するアプローチとしては、ありなのかな。

石野氏
 wena Xがクラウドファンディングでかなりお金を集めているのを見ると、需要はあるのかもしれません。

石川氏
 でも、wena Xはかっこいいじゃん。相当デザインにこだわっているからね。

石野氏
 確かにそうですね。wena Xは、モノとして見るとちょっと欲しくなる質感のよさ、カーブの綺麗さ、コンパクトさがあります。

法林氏
 個人的には、それはちょっと逆かも。ただでさえ重い機械式時計に、wenaを着けると考えると、かなり抵抗がある。

石野氏
 むしろ、普段はwenaを使って、寝る時だけFitbit Airにするといった使い分けはあるかもしれません。

佐藤
 ディスプレイ付きのスマートグラスがこれから流行って、目の前に情報が表示されるなら、Fitbit Airみたいな形でもいいのかなと思いますが、まだまだスマートフォンが主体の時代に出てくると、ちょっと早いかなと思ってしまいます。

石野氏
 そうですね。結局スマートフォンを見ないといけない。

法林氏
 でも、スマートフォンを見ることが第一になっているからこそのデバイスなんじゃない?

石野氏
 それこそ、スマートグラスなら、わざわざ見なくていいですからね。

法林氏
 それで言うと、僕はメガネをかけないから。最近、周りの人がスマートグラスで盛り上がっているけど、わざわざメガネをかけるのか? と思ってしまう。

石野氏
 いいじゃないですか。メガネかけましょうよ。

法林氏
 やだよ(笑)。

石川氏
 スマートグラスがスマートフォンの次のデバイスになることはないですよね。

石野氏
 人によって抵抗感は違いますね。あと、グーグルですら、形状は2パターンしかない。そもそも、Metaもグーグルも、今あるものはディスプレイがなくて、音だけのコントロールです。

 Google I/Oでも、デモンストレーションではディスプレイ付きのプロトタイプを見せていますが、実際に販売するのはオーディオグラスです。

石川氏
 ちょっと日和った?

石野氏
 Metaのスマートグラスも、オーディオグラスなんですよね。

法林氏
 10年くらい前に、マイクロソフトに見せてもらったデモンストレーションで、視覚障害の人がカメラ付きのメガネをかけて、目の前の情報を音声で伝えてもらうというものがあった。方向性としてはこれに近いよね。いいと思うけど、僕はメガネはかけません(笑)。

石野氏
 サングラスだったらどうですか?

法林氏
 いや、サングラスでもかけないかな。

石野氏
 まあサングラスは、常時着けていられないというデメリットもありますからね。

石川氏
 あと、メガネまで充電しないといけないのはいやだな。

石野氏
 そうですよね。以前、ファーウェイのオーディオグラスを使っていましたが、充電が面倒になって使わなくなりました。充電をしないと、ただのメガネになってしまいます。

佐藤
 ちょっと大きい、普通のメガネですね。

石野氏
 そうそう。ちょっとツルが太いメガネ。ただ、スマートグラスの使い方として、翻訳をしてくれるとかは便利だと思いましたね。あと、ディスプレイがついていないからこそ、度入りレンズに変えやすい。視力矯正のアイテムとしてメガネを使っている人でも、オーディオグラスなら使えます。

 ただ、グーグルのデモンストレーションを見ると、ディスプレイがあるメリットは結構大きいですよね。僕は普段からメガネをかけることが多いので抵抗がないですし、世の中的にも、黒縁のウェリントン型が流行っていたりするので、デバイスを載せやすいですよね。

Android Showで公開された近未来のAIエージェント

佐藤
 グーグルで言えば、Google I/O 2026に先駆け、「The Android Show: I/O Edition」が開催され、Androidの最新情報が公開されています。

石野氏
 Nothingのウィジェットを作るという発想が、さっそく取り入れられていて、ちょっとびっくりしました。

石川氏
 みんな、考えることは同じってこと。

法林氏
 それもあるし、Nothingのカール・ペイ氏がグーグルと仲がいいという話も関係あるのかもね。

石野氏
 ウィジェットを作るという発想は面白いですよね。アプリを探さず、アプリを作らせる時代になってきています。ネタが無限に広がります。

 Android Showで言われていた、アプリの自動化という話は、Galaxyの時にある程度予告されていたので、そこまで驚きはなかったですね。

石川氏
 本当にそこまでできるのかという疑問もある。

石野氏
 そうですね。それこそ、Natural AI Phoneを使ってみて、不安が増す結果になっています。グーグルだからといって、本当にできるのか。

法林氏
 ただ、1メーカーがやるのと、プラットフォーマーがやるのでは、全然話が違うからね。

石川氏
 そうですね。グーグルが本気でOSにAIを組み込んで、サムスンとがっつり手を組むなら、面白いことができるかもしれません。

法林氏
 AIエージェントの話になると、引き合いに出てくるのが、ドコモのSyncMe。先行体験版を入れて、使っているけど、アプリを起動しない限り見ない。

石川氏
 忘れられちゃいますよね。

法林氏
 そう。それを考えると、dアカウントの情報を用いてパーソナライズ化することで、ゼロスクラッチで作るよりも正確になるけど、起動しないといけないハードルはある。

石野氏
 SyncMeはまだモニター版という前提はありますが、現状はエージェントとは言えないですよね。なにもエージェントしてくれないというか、なにも代理してくれません。

法林氏
 そうなんだよ。エージェント的なことをやりたかったら、AI側から人間に対してアプローチをしないといけない。ただ、それはスマートフォンで行うのが正しいのかという疑問もある。僕は案外、シャープの「ポケとも」みたいな形がいいのかもしれないと思い始めている。

石野氏
 SyncMeも、アプリを開けばあれこれ言ってくるんですけどね。正式版になったときに、iコンシェルやmy daizみたいに、ウィジェットで出てくるかもしれません。

法林氏
 とはいえ、スマートフォンの画面の中だからね。記事を読んでいるときに、画面上に出てきて、話しかけられても邪魔だよね。

石川氏
 Natural AI Phoneも、AIが画面を占拠してしまって、ほかの作業ができなくなるのがつらい。それで思ったのが、折りたたみスマートフォンなら、片側でAIを動かして、反対側で自分がやりたいことをできる。やっと折りたたみスマートフォンの価値が出てくるかもしれません。

法林氏
 僕としては、ポケともが正解かどうかはわからないけど、スマートフォンとは別のデバイスが動くといいなと思ったかな。

石川氏
 SyncMeも、将来的には人形みたいなものを使いたいと言っていたので、ロードマップ的にはあるかもしれません。

石野氏
 あと、いまのSyncMeは、接続できるサービスがほぼない。「こういう書類を作って」と言っても、チャット欄に出すだけで、PDFにもWordにもしてくれません。唯一、ドコモサポートエージェントに引き継ぐことはできて、スマートフォンを機種変更をしたいといった相談をすると、プロフィールに基づいて、ハイスペックの端末をおすすめしてくれました。古い機種ばっかりだったので、「もっと新しいもの」とお願いをしたら、Xperia 1 VIIIをおすすめされました。そのまま予約方法の案内とかまで進めて、これはエージェントっぽいなと思いましたが、まだ自社サービスでしかできていません。

石川氏
 かつてのiモードみたいに、SyncMeを起点として、いろんな企業のAIエージェントに繋がっていくと面白いというか、前田社長らしくなってくる。銀行系もそうだし、全然別の企業とも組んでいくことに期待したい。

法林氏
 AIエージェント同士が会話をするという世界だね。

石川氏
 そうですね。今はパソコンで作業をするとき、GeminiやClaudeなどを使い分けていますが、最終的には1つのAIエージェントにお願いをすることになると思う。その時に、SyncMeがユーザーの接点になれたらベストだし、そこを取りにいかないといけない。

 一方で、スマートフォンのプラットフォームはグーグルが握っているので、どっちがユーザーの接点になるのかという勝負になってくる。

石野氏
 それこそ、Android Showで見たように、Geminiがアプリを操作し始めると、グーグルに持って行かれてしまいそうな気もしますよね。いかにグーグルが連携できなさそうなサービスを取り込んでいけるのか、ユーザー情報に基づいてレコメンドをするものとして、Geminiと共存する方法を考えていかないといけません。

石川氏
 あと、自分にとっては、SyncMeのかわいいキャラクターはいらないかな。

石野氏
 そこなんですよね。若い層を狙っている感じですよね。

関口
 ZTEが中国で展開しているスマートフォンでは、AIエージェントにアプリが対応するのではなく、画面に表示されている内容を解析して操作をしていると。

石野氏
 MWC26にもありましたね。それで言うと、Geminiがやっているアプリのバックグラウンド操作も、画面の様子を見て行っています。

石川氏
 そういう形でエージェントスマートフォンが出てくると、ユーザーがアプリの広告を見なくなって、広告ビジネスが崩壊しそうという話もあります。AIエージェントが動かせるようになると、ユーザー的には便利ですけど、いろいろなところに影響が出ると思います。

石野氏
 ほかにAndroid Showで気になったのが、Gemini Intelligenceに対応しているデバイスが少ないところ。オンデバイスで行っている作業が多いので、Pixelシリーズも上位モデルのみだったりと、広がるのには時間がかかりそうです。今後、対応機種は増えると思いますが、要件は厳しい。できることが多い反面、使えるデバイスは少ない。

法林氏
 大きな要素はメモリー容量だよね。

石野氏
 そうですね。

石川氏
 AIを訴求するとメモリーは必要で、値段は高くなる。メーカーとしては、ユーザーをハイエンドに持って行きたいので、AIが商材になってくるはず。これはスマートフォンに限らず、パソコンなども同じです。

石野氏
 あと、個人情報を記憶しておく仕組みが必要になってきます。対応デバイスはどうしても限られるので、そこをどうしていくのかが気になる。逆に、アップルはiOS上でそういうことをやるはずで、対応デバイスが多くなりそう。

法林氏
 プラットフォームの方向性、やり方が違うよね。アップルはiOSで長い期間をカバーするけど、Androidはそうならない。

関口
 ただ、iPhoneの歴代シリーズは、メモリーがあまり大きくないですよね。

石野氏
 そうですね。そこはアップルが方向性を間違えてしまった部分でしょう。AIを動かすためには、どうしてもメモリー容量が必要なので、Apple Intelligenceに対応しているiPhoneは、ここ最近の端末に限られます。

法林氏
 対応機種は、iPhone 15 Pro/15 Pro Maxと、iPhone 16以降だね。難しいのは、AIの分析の仕方に対して、ユーザーがどう感じるのか。そこがあまり語られていないのが気になるかな。

グーグル製パソコンはWindows・iPadの対抗馬になるか

関口
 Android Showでは、新しいパソコンとして「Googlebook」も名乗りを上げました。

石川氏
 マウスの先にあるものをAIが解析して、次の動きを提案してくれる。新しいと言えば新しい。グーグルとしては、ハイエンド路線で行きたいようなので、MacBook Airあたりを取りに行きたいのかなと思います。

法林氏
 対称的だよね。アップルは廉価モデルのMacBook Neoを出して、ライトユーザーを取りに行っている。

石野氏
 お互い、弱いところを取りに行きたいという考えですね。

関口
 Windowsのシェアに影響は出ると思いますか。

石野氏
 うーん。Windowsパソコンって、会社で用意されていたり、学校から指定されたり、こだわりなく選ぶときにチョイスするものだったりもしますからね。企業ユースを考えると、あまりシェアは揺るがない気もしますが、GIGAスクール構想でシェアを奪われているところは気になりますね。

石川氏
 GIGAスクール世代で、グーグルのサービスに慣れている人が買うパソコンとして、WindowsではなくChromebookやGooglebookが選ばれるかもしれないので、じわじわとシェアが移っていく可能性はある。ただ、グーグルは突然ハードウェア開発をやめることがある。

石野氏
 あと、GIGAスクールで導入された端末の評判がどうなのか。僕の子どもはiPadを支給されていますが、制限がかかっていて、検索すると先生に履歴を見られるようなものは使いたくないと言っていて、iPad嫌いになってしまいそうな勢いです。

関口
 うちの子はChromebookを支給されていて、友達とGoogle Meetで話していたりしました。逆に、Windowsに全く触れていないのが気になりますね。

法林氏
 社会人になって、Windowsの使い方がわからなくて困るという話はよくあるよね。

石野氏
 会社でChromebookを使っているという話は聞かないですからね。

法林氏
 ただ、「Windowsじゃないとダメ」と言われていた時代から比べると、ブラウザでいろいろなものが動くようになっているので、どっちでもいいという考えもある。それでもブラウザで4K動画を編集できるのかといった話はあるし、会社専用のアプリとかが出てきたときに、クラウドでいいのかという問題もある。まだまだ時間がかかると思う。

石野氏
 Googlebookは、Androidのアプリを使えるんですよね。

法林氏
 WindowsでもAndroidアプリが使えるっていう話があったけど、なくなっちゃったね。

佐藤
 ありましたね。

法林氏
 結局、それぞれのデバイスごとにアプリは作られているし、ソフトウェアベンダーは、それぞれのプラットフォームに最適化するのが、正しい道なんだろうね。

石川氏
 縦長でタッチ操作を前提としたアプリを作っているので、パソコン上では使いにくいのは、当たり前ですよ。

石野氏
 メリットとしてはゲームとかですかね。ただ、ゲームは端末のスペックに合わせてシビアに作っているので、この端末だと動かないといった話がよくあります。

関口
 最近はマルチプラットフォームで一気に出るゲームが多いですよね。

石野氏
 出るけど、スペックによっては動かないという話が多いのが、AndroidとWindowsです。

関口
 それで言うと、iPadは便利ですよね。

石野氏
 垂直統合で作られていて、それなりの足切りをしているというか、一定以下のものは作っていないので、何も考えずにいろいろと動かせるのは楽ですよね。

法林氏
 ところが、最近はそうでもなくなってきている。iPad OSが重くなってきているので、無印のモデルとかだと、普通の用途でも厳しくなっている。

石野氏
 そういう意味では、バッテリーの消費も激しくなっています。iPad OSのマルチウィンドウ化が進んで、Macとほとんど同じことができるようになっているので、その分動作は重くなるし、バッテリーは消耗する。

法林氏
 本来、iPadはiPhoneより大きい画面だけど、パソコンよりは軽くて、手で持って操作ができて便利という位置だった。最近はパソコンに近づこうとしていて、逆にいろんなアプリが重くなってきてしまっている。

石川氏
 MacBook Airとかと同じチップを積んでいたら、当然そうなりますよね。

法林氏
 本来のiPad OS、iOSの良さは、そんなにメモリ容量が大きくなくても、サクサク動くところだった。最近はそれが薄れてきている。

石川氏
 本当は無印だけでよかったんですけど、iPadはなかなか買い替えないので、買い替えを促進させようとしたら、ハイパワーになって、クリエイティブに使えるというアピールが進んでいった。iPadのカテゴリーからすると、これからどうするのかという立場になってしまっている。

法林氏
 すごいことができるけど、MacBook Neoが10万円以下で買えるからね。

石野氏
 iPad Proだと快適なんですけどね(笑)。

法林氏
 そうだけど、スマートフォンとMacBook Airを持っている人が、間のデバイスであるiPadに15万円を出すかというと、そうはならない。

石野氏
 Macより高いiPadですから、快適なのも当然ですよね。

石川氏
 iPadなら動画編集もできるとアピールされているけど、そんな使い方をしている人はなかなかいない。イラストレーターは重宝していると聞きますけど、それ以外のクリエイターのニーズが取れているのかは疑問。

Google I/Oで感じたエコシステムの強み

石川氏
 Google I/Oだと、Gemini Sparkは面白そうだと思いましたね。

関口
 これだけAIサービスがそろってくると、グーグルのサブスクサービスの契約も考えたくなってきますね。

石川氏
 グーグルはやっぱり強いというか、いろいろなサービスがすでに提供されているので、それがGemini化していくことで、強みを発揮できる。逆に、OpenAIとかは厳しそうだなと思います。

石野氏
 クリスタルインテリジェンスは不安ですよね。

石川氏
 厳しいよね。

石野氏
 ソフトバンクの孫さんがかなり投資していますが、心配になります。

法林氏
 とはいえ、これまでの投資でいえば成果を出しているから、文句は言えないかな。

関口
 最近の動向を見ていると、AIに力を入れ始めたグーグルに対して、ソフトバンクはあまり距離を詰められていないように感じます。キャリアとしては、KDDIのほうが近しいですよね。

法林氏
 そうだね。ただ、AIという切り口だけで考えると、積極的に通信と絡めようとしているのは、ソフトバンクのほう。問題は、それがちゃんと儲かるのかというところだし、ユーザーに説明できるのかは未知数。

関口
 今回、Gemini 3.5という形で発表されました。各社が新バージョンを発表するたびに、先端層はそっちに雪崩を打つような動きをしますよね。

石野氏
 ただ、昔ほどの大きな進化はなくなっているというか、進化の速度は緩やかになっていると思います。そもそも、バージョン3.5ということは、以前から0.4しか上がっていませんし、3.5になったのは一部だけです。

法林氏
 それに、それは道具の話でしかない。スマートフォンの使い方が劇的に変わる要素があるかというと、そこまでは実装できていないと思う。AIを組み込もうという姿勢は感じるけど、テック屋さんが騒ぎすぎている印象もある。

石野氏
 Android Haloも、バックグラウンドで動かして、進捗を表示するだけの話ですよね。大げさな名前というか、盛り上がりすぎている気がします。ただ、UIをAIに最適化するのは、いい流れだと思います。

法林氏
 インターネットの最初は、ヤフーのカテゴリーからメニューを探していたのが、グーグルが出てきて、一気に検索ができるようになった。そのあと、auがケータイの画面内で検索ができるようにして、次はAIモードで入力するようになっている。進化はありだけど、それも入口の話でしかない。

石野氏
 そういう意味では、グーグルの検索バーにAIモードのアイコンが表示されるようになったのは、大きな変化ですよね。

法林氏
 ただ、それもデフォルトの設定ではない。機種によっては、設定をオンにしないと、検索バーにAIモードが表示されない。

関口
 最近は、検索するときのワードが文章になってきましたね。

石野氏
 僕も、100%ではないですけど、文章を打つことが増えてきましたね。一方で、ソースを直接開きたいときは、AIモードだと不便なんですよね。

法林氏
 AIにやらせると、間違えることも多いしね。

石野氏
 結局、間違いがないかを確認しなければならないので、手間がかかるんですよ。

法林氏
 今後、アップルやマイクロソフトがどれだけ手を入れてくるのかはわからないけど、最近のグーグルは、とにかくテレビCMにお金をかけているね。サッカー日本代表の監督が出てきたり、俳優さんを海外サッカーのスタジアムに連れて行ったり。尋常じゃなくお金をかけていて、それだけ身近なものにしようと取り組んでいる。使ってもらうためのCMが増えている。

石川氏
 ただ、インターネットの王者であるグーグルも、頼るのはテレビCMなのかとは思いました。インターネットでリーチできない層に届けようと思うと、テレビCMになるんですね。

関口
 大学生くらいの世代だと、テレビを持っていない人が多いですよね。

石野氏
 逆にその世代は、普通にAIを使っていますし、GeminiとChatGPTの両方を使っているという人もいます。カフェで聞き耳を立てていると、GeminiとChatGPTのどっちがいいかみたいな話をしていることもあります。

石川氏
 Pixelも含め、グーグルはお金をかけてプロモーションをしてくるので、他社メーカーは、同じ土俵では戦えないという話も出てきてしまいます。

23万円超のXperia 1 VIIIに欲しいあと一押し

佐藤
 ソニーのハイエンドスマートフォン「Xperia 1 VIII」が発表されています。今年は価格(23万5400円~)も大きな話題ですが、いかがですか。

石野氏
 さすがにあの値段になると、Xperiaが好きな人も価格に言及していましたね。どんなにファンでも引っかかるポイントなのでしょう。発表前から、カメラのデザインが変わることはリークされていましたが、実際に見ると、質感とデザインはかっこいいですし、望遠カメラはきれいになっています。ただ、23万円超と考えると、もう一芸が欲しいと思ってしまいますね。シャオミだったら、1インチセンサーを搭載していて、Photography Kit Proを使えば、カメラみたいに使えるとか。

石川氏
 しかもLeitzphoneだからね。Xperia 1 VIIIは、背中をもう一押ししてくれる要素が足りない。

法林氏
 僕は、昨年AQUOS R10のproモデルが出なかったので、そろそろ次を買い替えたいと思っている。Xperia 1 VIIIは、選択肢としてかなり揺らいでいるモデルです。

石野氏
 すごくいいスマートフォンですよね。Xiaomi 17 Ultraを買っていなかったら、こっちを買っていたかもしれません。

法林氏
 いいなと思ったのは、カメラの癖がないところ。

石川氏
 逆に新鮮ですよね。

法林氏
 そうだね。ライカチューニングもいいけど、かなり癖が強くなる。

石野氏
 必要以上にドラマティックになるというか。

石川氏
 影が強いというか。

法林氏
 そうそう。AQUOSでいうと、スペクトルセンサー搭載で、リアルな色味を表現すると言っているけど、見た印象と変わっていて、調整したくなる。

石野氏
 正確に色味を認識していても、そこにライカのチューニングが加わりますからね。

法林氏
 Xperia 1 VIIIはかなり素直だよね。

石川氏
 αの技術が詰まっているということですよ。

法林氏
 それこそツッコミどころで、Xperia 1 VIIIは望遠カメラが強化されて、推し活カメラとして使えると言っているのに、αの文字は入れない。一方でBRAVIAの名前は出すとか。

石野氏
 αの名前も使えばいいのにって思ってしまいますよね。αの透かしが入るとかでもいい。

法林氏
 ほかのメーカーは使える名前がなくて苦労している。シャープは、それでライカと協業したわけだし。

石野氏
 Xperia 1 VIIIは、AFからシャッターまでの速さとか、色が素直なところはかなりαっぽいです。スマートフォンをデジカメライクに使おうと思ったら、仕上がりの写真はXperia 1 VIIIが一番近いという声も聞きます。

石川氏
 いまさらですが、カバーがなくても、本体にシャッターボタンがあるのはいいなと思いましたね。

石野氏
 そうですよね。すごい考えられていますが、もう一押し欲しい。

法林氏
 最後の一歩が出ない理由は、やっぱり価格だよね。折りたためるわけでもないのに、この値段だからね。

石川氏
 国内メーカーならではの、調達力の弱さが出ている。あと、Snapdragonのハイエンドにこだわる必要があるのかという疑問も出てくる。

法林氏
 そう。それこそ、AQUOSがノーマルとproに分かれたことにも関係している。

石野氏
 あの使い方なら、Snapdragon 8 Eliteシリーズじゃなくてもいいですよね。

石川氏
 そうだよね。Eliteを搭載して20万円を超えるなら、Snapdragon 7シリーズで10万円台のほうがいい。

石野氏
 7シリーズまでいかないにしても、EliteではないSnapdragon 8 Gen 5でもよかった。そこまでのコストカットにはならないかもしれませんが。

石川氏
 ユーザーはそこまでチップセットにこだわっているのかな。

関口
 先端的なAIを提供したいなら、Eliteがいいけど……ということですね。

石川氏
 Xperiaは、そこまで先端的なAIを提供していないですから。そこで勝負している端末ではない。サムスンはグーグルと組んで、最先端のAIを提供する立ち位置なので、カスタマイズされているSnapdragonを搭載しているけど、ソニーのユーザーがXperiaにそれを求めているのか。

法林氏
 写真の仕上がりとかに、どこまでSoCが関係しているのかはわからないけどね。

石野氏
 チップの力をどこまで引き出しているのかなと思うところはありますよね。AQUOS R9 proは、ISP(画像処理信号)がほとんど同じだから、Eliteじゃなくていいという話でした。先端的なAIを載せないなら、Eliteにこだわる必要はないのかなと思います。それよりも、αの部分にお金をかけてほしい。

石川氏
 ここ数年、カメラアプリのUIもかなり初心者向けになっています。そう考えると、23万円超えのスマートフォンとしては、整合性が取れていない気がします。以前採用されていたPhotography Proを使うなら、値段とかみ合っていますが、今のUIなら、もっと裾野を広げるべきかなと思います。

石野氏
 機能で間口を広げているのに、値段が間口を狭めてしまっています。23万円を出すのであれば、個人的にはPhotography Proのほうがいい。

法林氏
 普通の人が使えるし、今回はカメラアシスタントで設定の候補が出る。

石野氏
 炎上しましたけどね(笑)。

法林氏
 炎上は、マーケティング的な失敗はあるけど、機能としては悪くないよね。

石野氏
 そうですね。AIが被写体を判断して、クリエイティブルックを適用してくれる。

法林氏
 どんな設定が行われたのかがわからないのが、ちょっと嫌だけどね。明るくしたとか、一行でいいから出してくれたらいい。

石川氏
 タイトルを出してほしいですよね。

石野氏
 LLMで出してくれるといいんですけど、NPUを使いこなせていない感じがする。ただ、AIの使い方として、悪くないアプローチだと思います。Pixelのカメラコーチに似ていますが、カメラコーチは指示に従って設定している間に、被写体が動いてしまうけど、Xperia 1 VIIIのカメラアシスタントは、ワンタッチで設定できるのがいいです。

 ただ、どのレンズを選ぶかといった設定が、さりげなさすぎて気が付きにくいので、まだ課題はありますし、プロモーションにも課題は感じます。プロモーションをしている人が、良さを一番理解できていない。

相変わらずコスパ優秀なシャオミの新端末

佐藤
 新端末としては、シャオミから「Xiaomi 17T」シリーズが発売されています。

石野氏
 Xperia 1 VIIIとどうしても比べてしまいますが、買いやすい値段ながら、望遠カメラもきれいです。強化したのが望遠カメラっていう特徴が被っているのに、Proでも10万円台で、FeliCaも搭載されています。あと、標準モデルでも同じ光学5倍望遠カメラを搭載してきたのがすごい。

佐藤
 センサーが違うんでしたっけ?

石野氏
 望遠カメラは一緒で、メインの広角カメラはセンサーが違います。ただ、前モデルからの値上げ幅は、Proモデルは1万円、標準モデルは2万円以上違います。標準モデルは性能がかなりステップアップしているので、値上げ幅も大きくなっています。

関口
 今回も、2モデルともMediaTekのチップが採用されていますね。

法林氏
 一般の人は、そんなに気にしていないよね。

石野氏
 そうですね。全然問題ないです。Xiaomi 17T Proは、512GBモデルが13万9800円で、割賦で買えば1万円キャッシュバック、早割で6000円引きになる。

法林氏
 割賦で買ったほうがお得になるんだよね。

石野氏
 値上げ分はキャッシュバック、早割で帳消しにできていて、売り方もこなれてきた印象です。一方で、今回もキャリア採用がないのは残念なところ。あと、前モデルが出てから半年くらいしか経っていない。

法林氏
 Xiaomi 15Tシリーズからの差分はそんなに大きくないので、これくらいならとも思えるかな。

石野氏
 ポートフォリオを見直しているという話でしたね。

関口
 なぜ今年はこんなに早くなったんですかね。

石野氏
 下半期に何かを出したいんだと思います。

法林氏
 今年後半に面白いものを用意していると言っていたね。

石野氏
 フォルダブルとかですかね。フラッグシップモデルとTシリーズを春夏に出して、秋冬にフォルダブルという形。サムスンと同じですね。

関口
 それでいうと、日本市場からするとTシリーズはありがたいですが、シャオミのラインアップとしては、中途半端になりませんか。

法林氏
 フラッグシップの2番手シリーズとしては、早くから手をつけていたからね。Ultraがあって、Tシリーズがあると考えると、買いやすいんじゃないかな。

石野氏
 あと、ノーマルのXiaomi 17が日本で出なかったのは、Tシリーズを早めるからと考えられます。この価格帯で4機種が並ぶと、さすがに集まりすぎているので、1モデルはパスした格好。ハイエンド3機種だと、サムスンのGalaxy S26シリーズと一緒ですから、シャオミとしては、17と17Tを近づけて、1つのシリーズみたいにまとめ、秋冬はフォルダブルみたいなモデルを出したいんだろうなと解釈をしました。

関口
 Xiaomi 17Tシリーズは、モノとしての完成度はどうでしたか。

石野氏
 バランスがいいですよね。値段と性能、カメラの写りとか。Xiaomi 17 Ultraほどの画質ではありませんが、カメラが重くなくて、スマートフォンとしては使いやすい。マクロ撮影もしやすいですし、全体的なバランスは、Xiaomi 17Tシリーズのほうが、Ultraよりいいです。あと、今回はバッテリーがかなり大きくなっています。

佐藤
 Xiaomi 17T Proが7000mAh、標準が6500mAhですね。

石野氏
 あと、本体も薄いです。おサイフケータイ機能はProだけですね。

佐藤
 AirDropとの相互接続もProのみ。

石野氏
 そうですね。スマートフォンとしてのバランスが整っています。

法林氏
 基本をちゃんと押さえているよね。防水防塵もあるし。

石野氏
 一般の人におすすめしやすいですよね。Xiaomi 17 Ultraをすすめると引かれちゃう。

法林氏
 Xiaomi 17 UltraとかLeitzphoneは、予算も含め、普通の人はなかなか手を出せない。そもそもLeitzphoneはもう買えないけどね。

 Xiaomi 15Tシリーズの時点で、普通のいい端末に仕上がっていて、そのままXiaomi 17Tシリーズにも引き継がれている。劇的に変わったわけではないけど、完成度がもともと高いという考え方もできる。

石川氏
 それにしても、シャオミとしては、キャリア採用がなくていいんですかね。

法林氏
 au Flex Styleとか、Softbank Free Styleは、これからも続けると話していたよ。

石野氏
 今回は、提案はしていたけど、タイミングが早くなったので、キャリアと調整がつかなかったという話でしたね。

法林氏
 ただ、SIMフリー端末として採用されるとしても、前モデルがある程度売れていないといけない。今回は、半年前のモデルがあるし、REDMI Note 15 Pro 5Gもあるから、仕方ないよね。

石野氏
 それで言うと、実はauでは、Xiaomi 14 Ultraがまだ残っているんですよね。しかもXiaomi 17 Ultraよりも高い。

法林氏
 Androidはリセールバリューが低いという話があるけど、特にシャオミは、自社で値下げをして販売をするので、キャリア側は採用しにくい。消費者的には、欲しいタイミングで買えばいいけど、一般的なAndroid端末よりも、リセールバリューが下がる速度が速いことは覚えておいたほうがいい。

関口
 逆に言うと、中古端末がねらい目になるということですかね。

法林氏
 そうだね。

石野氏
 あと、新端末が出るときに、前のモデルを狙うとかもありです。