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「エリクソンモビリティレポート」2026年6月号が公開、5G契約は世界全体で31億件を突破

 エリクソン(Ericsson)は、グローバルのモバイル通信状況を調査し、まとめた「エリクソンモビリティレポート」2026年6月号を公開した。

世界の5G契約は30億を突破

 5Gプランの契約について、世界全体で30億件を突破し、2026年第1四半期には31億件となった。普及率を地域別に見ると、一番普及しているのが北米で79%、次いで北東アジアが60%、西欧が54%と続く。世界で約390社が商用5Gサービスを展開しており、そのうち90社で5G SAが導入されている。

 通常、4G契約は準備ができ次第5G契約に移行していくことから、2027年末には2025年末比で+12億件と同社は予想しており、サービス開始から9年で4Gを上回る主要なモバイル技術になる。さらに、2031年末の5G契約数は64億件に達するとし、モバイル契約全体の約2/3が5G契約を占めるという。5G SAの契約数も2031年には39億件以上となるほか、人口カバー率の上昇も期待できる。

 一方、旧世代技術の2Gや3Gのサービス終了も段階的に進められている。今後数年間は、世界レベルで3Gの廃止が2Gよりも速いペースで進むとみられている。

 また、次世代技術「6G」の標準化に向けた協議も始まっている。6Gでは、AIネイティブや非地上系ネットワーク(NTN)の統合が盛り込まれている。従来型のユースケースでは性能向上とサービス保証が強化されることが期待され、デジタルツインや自動運転など新たなユースケースを加え、より広範に商用導入されるとしている。

 6Gの実装可能な仕様は2028年末~2029年初頭までに登場するとみられ、早い地域では2030年頃に登場すると予測される。初期導入国は、5Gのサービス開始が早かった日本や米国、中国、韓国、湾岸協力会議諸国とする一方、5G SAの展開が遅れた欧州はそれよりも遅く6Gサービスが開始されるのではないかと見ている。

 なお同社は、世界の6G契約数を2031年末までに1億8000万件に達するとしている。

各地で異なる5G環境

 日本では3Gサービスが終了し、4Gと5Gサービスが提供されているが、たとえばサハラ以南のアフリカでは2Gや3Gサービスがまだ提供されている。ただし、若年層人口が多く手頃な価格のスマートフォンを手にできるようになったため、今後2G/3Gサービスの廃止は段階的に進んでいくとみられる。

 日本が含まれる北東アジアは、5G契約率が世界で2番目に高い地域となっている。中国本土の5G契約数は、2025年末で12億件に達しており、トラフィックの約70%が5Gネットワークで処理されているという。また、5G契約率が最も高い北米地域では、固定ブロードバンドとしての利用(FWA)が進んでいる。

IoTデバイスにも5G利用の波、日本でも進む「5G RedCap」

 IoTデバイス向けの通信技術「5G RedCap」の導入も、世界各地で進んでいる。コンシューマー向け製品では「Apple Watch」の一部セルラーモデルで対応しており、日本の一部キャリアでもサービスが提供されているが、世界では14の通信事業者が商用サービスを開始しており、27カ国42の事業者が5G RedCap技術へ投資している。

 「eRedCap」ではピークデータレートを10Mbpsに抑えられており、コストと性能のバランスを重視した技術となっている。通信量が比較的少ないIoTデバイスでは、これまで4G通信がメインに利用されてきたが、コストパフォーマンスが求められるデバイスでも、5Gが有効な選択肢になっている。「eRedCap」の本格展開は2028年以降と見込まれており、今後5Gを採用したIoTデバイスの増加も期待される。

 ブロードバンドIoTとクリティカルIoT(4G/5G)の接続数は、2025年末で約26億に達しており、2031年までセルラーIoTデバイスで最大の接続数になると見られている。加えて、大規模で高密度のデバイスやセンサーを利用する「Massive IoT」デバイスも世界各地で導入が進んでいる。

モバイル全体の通信量

 モバイルネットワーク全体のデータトラフィック量は、2025年第1四半期から2026年第1四半期にかけて22%の増加を記録した。スマートフォンの契約数増加と1契約あたりの平均データ使用量の増加が重なったことで大きな伸びを占めている。

 ネットワーク別のトラフィック量を見ると、5GネットワークとFWA(4G/5G)の伸びが顕著に現れている。5Gで処理されるデータ量の割合は、2025年の1年間で34%→48%に増加したという。2031年には85%に達すると見込まれており、XRデバイスの導入が本格化すれば、予測を大きく上回る状況になると分析する。

 スマートフォン1台における月間のトラフィック量を見ると、インドとネパール、ブータンの地域が一番多く利用されている。同地域では2025年時点で37GB利用されており、2031年には70GBまでに到達するとみられている。

世界人口の半分が5Gカバレッジ内に

 2025年末の世界の人口カバレッジは、4Gが90%、5Gが60%となっている。カバレッジは地域差が大きく、アフリカでは10%にとどまっている一方、北米や中国、インドでは90%を超えてきている。2031年にかけては、世界の人口カバレッジが4Gで95%、5Gで85%に拡大するとみられており、高速大容量通信が期待できるミッドバンドを使った5G通信の拡大も進むとみられる。

 また、5Gを固定ブロードバンド(FWA)としての利用も進んでいる。世界の通信事業者の7割が5GでFWAサービスを提供している。特にアルジェリアやアルゼンチン、台湾、ベトナムなどさまざまな市場での導入が大きいという。5G FWAの導入が進む北米では、ほとんどのFWAの料金プランが速度ベースの料金プランになっており、ブロードバンドの代替サービスとしてのサービス展開が広がってきている。

 2025年末のFWAの契約数は、世界で1億8500万件だが、2031年末には3億5000万件になり、そのうち85%が5Gによる接続になるとみられる。1契約あたり4人が利用すると仮定すると、約14億人がFWAによるブロードバンドサービスを利用していることになる。

 データ量で見ると、2025年末で世界のデータトラフィックに占めるFWAの割合は28%だが、2031年末の予想では全体の36%まで増加するとみられている。

衛星ブロードバンド契約数は2031年に3300万件へ

 近年、LEO(低軌道)衛星をはじめとするコンステレーションの拡大に伴い、衛星ブロードバンドネットワークの成長が続いている。

 レポートによると、世界の衛星ブロードバンド契約数は2025年末の約1000万件から、2031年末には約3300万件に増加すると予測されている。光ファイバーや5G FWA(固定無線アクセス)と並び、デジタル化が進む世界において通信環境が不十分な地域を補完する重要な接続手段として位置づけられている。

AIウェアラブルやスマートグラスの普及で「上り通信」需要が急増

 AIの進化に伴い、スマートグラスをはじめとするAIウェアラブルデバイスの市場も黎明期から急速な成長期に入りつつある。

 2025年のスマートグラス世界出荷台数は約1000万台に達し、2026年には販売量が2~3倍に増加すると予測されており、将来的な6G利用の先駆けになると見込まれている。
初期の製品は4G通信を内蔵しているが、今後3年以内には省電力・低コストな「5G RedCap」モデムの搭載が進む見通しだ。

 また、こうした端末はカメラ映像や音声、センサーデータをリアルタイムでクラウドAIへ連続送信するため、ダウンリンク(下り)よりもアップリンク(上り)のトラフィックが圧倒的に大きくなる特性を持つ。エリクソンは、これにより従来の「下り優位」を前提としてきたモバイルネットワーク設計の抜本的な見直しや、上り通信性能の強化が求められると分析している。