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Bluetooth対応Pocket PC、コンパック「iPAQ Pocket PC H3870」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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ほぼ1年ほど前、ジャケットシステムと呼ばれる拡張機能を備えたPocket PCがリリースされた。それが、コンパックのiPAQだ。ジャケットシステムは、その後のPDAに多くの影響を与えたのは言うまでもない。今回コンパックから新しくリリースされるPDAは、そのiPAQの後継機種にあたるものだ。従来のジャケットをそのまま使うことができるだけではなく、Bluetooth機能も内蔵されているという、なかなか面白いPDAに仕上がっているのだ。今回は発売前の製品をお借りすることができたので、新しいiPAQをレビューすることにしよう。
従来のiPAQとどこが違うのか?
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「iPAQ Pocket PC H3870」。Bluetooth内蔵モデル。コンパックの直販サイト、ダイレクトプラスでの価格は7万9800円
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まずはじめに、従来のiPAQと何が違うのかという点について書いていくことにしよう。最も大きな改良点は、Bluetoothモジュールが標準搭載されていること(H3870のみ)。General Access、Serial Port、Dial Up Networking、LAN Accessなど8つのプロファイルに対応している。Bluetoothを搭載したパソコン(SONY VAIO SRやC1など)とBluetoothを使った無線でのActiveSyncができるほか、NTTドコモ パルディオ633Sや、auのC413Sなど、Bluetooth搭載の携帯電話やPHSとリンクし、インターネットへのアクセスが可能となる。ちなみに、本体上部には左側にBluetoothインジケータとバッテリインジケータの2つがあり、Bluetooth動作中はこのインジケータが文字通り青く点滅するのがなかなかカッコいい。
拡張性に関しては、新たに本体上部にSDカードスロットが搭載された。いままでのiPAQでは、ジャケットを利用しなければ外部メモリを使うことができなかったが、新しいiPAQはジャケットを使わなくても、SDカードに限っては本体のみで利用することができるようになった。また、SDカードだけではなくMMCカードを使うこともできる。ただし、SD/IOには対応していないため、SDカード型の周辺機器を利用することはできない。
ちなみに、ジャケットインターフェイスは従来とまったく同様。現在発売されているCFカードジャケットや、PCカードジャケットなど、いままでのジャケットをそのまま流用できる。このようにインターフェイスの変更がないというのは、ユーザーにとっては非常にうれしい配慮だといえる。従来機ユーザーが新しいiPAQへ買い換えたとしても、今まで使っていたジャケットを、そのまま使えるのは嬉しい。PDAの世界では、たとえ同じメーカーから発売された機種だとしても、仕様やインターフェイスが変更され、古い資産を新機種では使えないケースが非常に多いのだが、ジャケットを1つの確立されたインターフェイスとして捉え、新しい機種でもその部分では変更はないというコンパックの姿勢は評価すべきことだ。
なお、購入時に本体に同梱されているジャケットは液晶画面とボタンをプロテクトするためのカバージャケットのみ。従来のiPAQのようにCFカードジャケットが同梱されているわけではないので、注意が必要だ。たとえば、PHSカードや無線LANカードのようなCFカードを使いたいときは、別途CFカードジャケットを購入しなければならない。ちなみに、このカバージャケットはもちろん、旧モデルのiPAQでも利用できる。
また、PCカード拡張パック・プラスとCF拡張パック・プラスの新しいジャケットもリリースされる。拡張パック・プラスはそれぞれPCカードインターフェイスやCFカードインターフェイスに加え、着脱可能なバッテリを組み合わせた新しいジャケット。このジャケットを利用すれば、連続動作時間をさらに延ばすことができる。また、これらのバッテリは専用の充電器を使うことで、2個同時の充電も可能になっている。
このほかにも、液晶ディスプレイが6万5536色表示になったこと(従来は4096色)、最大駆動時間が12時間から14時間へ強化されたバッテリ容量、32MBのフラッシュメモリと64MBのRAMを搭載と、従来のiPAQと比較するとハードウェア面でさまざまな改良が見受けられる。ちなみに、搭載されるCPUはStrongARM 206MHzで、旧モデルと同じ。また、輝度センサーを内蔵し、周囲の明るさに応じてフロントライトを7段階に自動調整する機能もそのまま搭載している。
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Bluetoothモジュールは本体上部に内蔵されている
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標準添付する液晶カバージャケット
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不満に思っていた部分も改良
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液晶の色数も4096色から6万5536色になった
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私自身、半年ほど従来のiPAQを利用していた。今回新しいiPAQを使ってみて、今まで使いにくいと思っていた細かい部分がいくつか改良されていることに気が付いた。改良点といっても、実際に従来のiPAQをかなりヘビーに使っていなければわからない点なのだが、機能などとはあまり関係のない細かい部分を改良する姿勢をメーカーとして評価したい。
まず、1点はスタイラス。今までのiPAQは、本体上部のボタンを押すと、スタイラスがポップアップしていた。このような機構だと、ごくまれにスタイラスが飛び出て落ちてしまうこともあったのだ。新しいiPAQでは、ポップアップボタンがなくなり、スタイラスの頭を押すとスタイラスが飛び出し、スタイラスを押し込むとロックするようになった。つまり、飛び出て落ちてしまうということがなくなるというわけ。また、スタイラスの断面も扁平なスタイルから丸くなったので持ちやすくなっている。
もう1点はアクションボタンに関して。たとえば、従来のiPAQにピンボールゲームをインストールしたとしよう。フリッパーボタンがアクションボタンの右と左にアサインされていたりすると、従来のiPAQではまともにプレイできないのである。その理由は、ナビゲーションボタンの左右同時押しや上下同時押しが出来ないから。アクションボタンの2つ以上のボタンを押す必要があるゲームなどは、iPAQでは極めて操作性が悪くなっていたのだ。ところが、新しいiPAQでは、この問題が解決されている。アクションボタンは今までのように、本体下部に配置され、上下左右のボタンがある。従来と違うのが、上と下や左と右のように、ボタンの同時押しができること。この改良によって、アクションゲームなどもかなり快適にプレイできるようになった。
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Bluetooth動作中はLEDが青く光る。カッコイイ
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ジャケットを使用するとじゃっかん厚みが増すのはいたしかたないところか
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豊富なバンドルソフト
さて、最後にソフトウェアについて書いておこう。搭載されているOSは当然のことながらPocket PC 2002だ。また、同梱されるCD-ROM(Companion CD-ROM)には、Easy Viewer for iPAQ(画像ビューア)、JRトラベルナビゲータ(乗り換え支援ソフト)など従来のiPAQにバンドルされていたソフトウェアに加えて、モバイルアトラス for iPAQ(地図ソフト)、T-Time for Pocket PC 2002(電子本ビューア)、Jeode(Java実行環境)、Pocket将棋、Pocket麻雀、Pocketオセロ、Virtual Game Gearなど、バンドルソフトは豊富だ。
さらに、本体にあらかじめ登録されているiTASKと呼ばれる支援ソフトもなかなか便利。Pocket PC 2002では、起動したアプリケーションは終了せずに、ずっとメモリ上に常駐する仕組みになっている。そのため、アプリケーションを多数起動すると、それだけ本体メモリを圧迫することになる。そうしたアプリケーションの終了を支援してくれるのがiTASK。本体の一番右のボタンを押すと、iTASKが起動して現在実行しているアプリケーションの一覧がポップアップされる。このときにアプリケーションの名称をタップすると、そのアプリケーションへ切り替えられる。
また、ホールドすれば、実行中の任意のアプリケーションや、すべてのアプリケーションを終了できるようになっている。また、あらかじめ登録されているアプリケーションの起動も可能だ。この機能は従来のiPAQでも実装されていたものだが、ユーザーインターフェイスがよりグラフィカルになり、使いやすくなっている。
■ 評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★ |
本体は今までのiPAQと同様、メタルボディなので質感はバッチリ。今回新たに追加されたBluetoothインジケータが青く光るのもなかなかいいです。
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実用性 |
★★★ |
他社製のPocket PC 2002搭載PDAのほとんどがCFカードスロットとSDカードスロットのダブルスロットを搭載しているのに対して、iPAQはSDカードスロットのみ。ただし、ジャケットで拡張できるので、拡張性は高いといえるでしょう。ジャケットを装着するとかなりサイズが大きくなってしまうのが問題といえば問題。
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お値段 |
★★ |
Bluetooth搭載モデル(H3870)はコンパックの直販サイトダイレクトプラス価格で7万9800円とやや高価。Bluetoothが搭載されていないモデル(H3850)は1万円安い6万9800円。ジャケットまで買い揃えるとなると、さらにお金がかかります。
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価格 |
7万9800円 |
きっと来年も新しいモデルがリリースされると予想されるので、利用期間は1年。iPAQの従来モデルを使っているユーザーで、調子に乗ってジャケットを色々と買い揃えてしまったという人ならば、十分に買い換える価値があります。なんといっても買ってしまったジャケットを新しいモデルで使うことができるのは、かなりポイントが高いと言っていいでしょう。
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利用期間 |
1年
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1日あたり単価 |
218円
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・ ニュースリリース
http://www.compaq.co.jp/press/press787.html
・ 製品情報
http://www.compaq.co.jp/products/handhelds/pocketpc/index.html
・ コンパック、Bluetooth内蔵・Pocket PC 2002搭載「iPAQ H3800」
・ かなりイイ感じのPocket PCコンパック「iPAQ Pocket PC H3630」
・ Return of iPAQ「iPAQのいろいろなこと」
(広野忠敏)
2002/03/20 13:30
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