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コンパクトにスタイリッシュになった アップルコンピュータ 「iPod 15GBモデル」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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5月にリリースされた新しいiPodは、2001年末にリリースされた初代iPodから数えて3代目の製品になる。今回リリースされたiPodの最大の特徴は、大きさがコンパクトになり、よりスタイリッシュなデザインが採用されたことだ。
■ コンパクトになったiPod
新しいiPodの大きさと重さは、2代目のiPodと比較するとわかりやすい。今回の15GBモデルと2代目のiPodを比較すると、厚さが約2.7mm薄くなり、重さは27g軽くなっている。さらに、新しいiPodは、角が丸いラウンドデザインが採用されていて、より一層コンパクトな印象を受ける。またラウンドデザインの採用は、手に持ったときの質感も向上させている。デザインがより洗練されたものになったことによって、より一層所有する喜びを満足できる製品になっているのも大きな特徴の1つだと言えるだろう。
操作系は、リング状のホイールセンサーの周りにボタンが配置されているものではなく、ホイールセンサーの上部に4つのボタンが配置されるように変更された。ちなみに、ボタンにはバックライトが搭載され、赤く妖しく光るのもなかなかポイントが高い部分である。
ホイールセンサー、ボタン共にタッチセンス式のスイッチが採用されていて、ちょっと触るだけでスイッチの操作が可能だ。このスイッチの感度であるが、非常にセンシティブ。ボタンを押すという感じではなく、ボタンにちょっと触れるだけで感知されてしまうため、若干使いにくく感じた。たとえば、ホイールを操作しているときに、センターボタンにちょっと触れただけで選択してしまう。また、何かの拍子にボタンにちょっと触れるだけで、そのボタンを押したことになってしまうといった感じだ。本体にはHOLDボタンがあり、HOLDボタンをオンにしておけば、なにかの拍子にボタンに触って誤動作させてしまうということはないが、HOLDボタンがオンになっていないときは、間違ってボタンに触れてしまうことも多い。
パッケージにはリモコンも付属している。ただし、このリモコンの操作系は2代目iPodと同様。ポータブルCDプレーヤーやMDプレーヤーのような液晶リモコンではなく、スイッチ類でボリュームの調整、曲送り/戻しが、再生/停止ができるという単純なもの。液晶リモコン搭載のポータブルプレーヤーに慣れている身としては、少々残念なところだ。結局、曲の選択といった操作はiPod本体でやるしかないため、リモコンはさっぱり使っていないというのが現状だったりするわけだが……。
ところで、iPodのラインナップは、HDDの搭載量によって3種類用意されている。10GBの「M8976J/A」、15GBの「M8946J/A」、30GBの「M8948J/A」だ。この3つのうち、10GBモデルと15GBモデルの大きさは同じ、30GBモデルは10GB、15GBモデルよりも若干厚く(3mm)なっている。さらに、15GB、30GBモデルには専用クレードルの「iPod Dock」が付属し、ケーブルの抜き差しをしなくても、iPodをクレードルに乗せるだけで充電やパソコンのMP3データの転送ができるようになっている。
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先代モデルよりスタイリッシュに、コンパクトに
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リモコンも付属するが、本体で操作してしまうことも
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■ 音楽データの転送も簡単
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クレードルは、IEEE1394ポートで接続するのがオススメ
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また、今回からはワンパッケージでMac OS、Windowsの両方に対応。Macに接続する場合は特に何も問題がなく接続可能。iTunes 4を使って簡単に音楽データiPodに転送することができる。ここでは、Windowsで使うときのことを中心に話を進めていこう。
Windowsマシンで使うときは、付属のCD-ROMからドライバ類やMUSICMATCH Jukeboxをインストールして、iPodをパソコンに接続すると自動的にiPodのハードディスクが初期化され、WindowsでiPodを利用することができるようになる。ただ、Windowsで使う際には、AACファイルをiPodに転送して聞くといったことはできない。再生可能なファイル形式はMP3だけとなる。
MP3データの転送は非常に簡単。すべてのソフトをパソコンにインストールした後で、IEEE1394ポートにクレードルを接続し、そこにiPodを乗せるだけ。ちなみに、USB2.0でも接続が可能だが、USB2.0で利用するためのケーブルは別売りで、本体に同梱されてはいない。ただ、USB2.0の場合はiPodを接続してもiPodの充電は行なわれないため、IEEE1394で利用した方がよいだろう。
iPodを接続すると、シンクロが実行され、自動的にMUSICMATCH Jukeboxのライブラリに登録されているMP3データが転送される。2度目以降は、変更が加えられたMP3データや新しくライブラリに追加されたデータだけが転送の対象になる。もちろん、手動で転送することも可能だが、シンクロを利用したほうが便利だ。ちなみに、データ転送時はものすごい勢いでiPodのバッテリーが減ってしまう。転送時にバッテリーが切れてしまわないように、6ピン(バスパワー供給)のIEEE1394ポートを利用してiPodに電源を供給しつつシンクロするか、あるいはフル充電の状態で実行した方がよいだろう。
■ タグ情報の管理には若干注意が必要か?
ところで、大量に音楽を格納するとなると問題になるのがアクセスのし易さだ。たくさんの音楽を格納できたとしてもアクセスしにくければ、思い通りの曲を聴くことはできない。数千曲の中から1曲だけを選ぶのは気が遠くなってしまうだろう。
iPodでは、MP3のタグ情報から聞きたい曲を選べるようになっている。iPodのメニューから「ブラウズ」を選択すると、アーティスト、アルバム、曲名、ジャンル、作曲者といったカテゴリで曲を表示することができる。また、ジャンルが「JAZZ」で、アーティストが「THE MANHATTAN TRANSFER」のアルバム全ての曲といったように、絞り込んで検索ができるのも嬉しい。うまく活用すればプレイリストを作るという面倒な作業がキライな人でも、その日の気分にあった音楽を聞くことが可能だ。
このように、音楽へのアクセスは非常に簡単。しかし、言い方を変えれば、iPodを快適に利用するにはMP3のタグ情報をしっかりと作成しておく必要があるというわけだ。大量のMP3データを持っていたとしても、タグの整理をきちんとしておかないと、iPodに転送された膨大なMP3ファイルから聞きたい音楽を探せなくなってしまうので注意が必要だ。
ただし、タグの作成には少々注意が必要だ。Windows版に限った話かもしれないが、MP3データのタグの内容によっては、シンクロを行なうときや、iPodでブラウズをするときに不具合が生じることがある。
具体的な現象としては、音楽データをシンクロするときに変更が加えられていないのにも関わらず、特定の曲だけが常に転送されてしまったり、iPodでブラウズをするときに、同じアーティスト名やアルバム名などがいくつも表示されてしまうといったことが起きることがあるようだ。
色々と試してみると、こうした不具合がおきるデータには一定の法則があることがわかった。MP3のタグ情報の前後に空白があると、そのデータが常にシンクロの対象となり、さらにそのデータについては、iPodでブラウズをしたときに、同じものがいくつも表示される。これを回避するには、MUSICMATCH Jukeboxでタグ情報を修正する必要がある。また、ID3V1形式のMP3データをMUSICMATCH Jukeboxのライブラリに登録すると、タグ情報の後ろに空白が含まれ、それによってシンクロやブラウズをするときに問題が起きることがある。あらかじめMP3データをID3V2形式に変換してからMUSICMATCH Jukeboxのライブラリに登録したときはこうした問題は起きなかった。同様の現象で困っている人は参考にしてほしい。
とはいっても、こうしたちょっとした不具合は「全体的に非常に完成度が高い」ため目立つのかもしれない。手軽に大量の音楽を「オシャレに」持ち歩きたい人にとっては、iPodはこれ以上ないベストなアイテムだといえるだろう。
評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★★ |
数あるポータブルオーディオプレーヤーの中でも質感はピカいち。持っているだけでも満足できる製品なので、当然のことながらイバり度は最強だといえるでしょう。 |
実用性 |
★★★★★ |
一度iPodに慣れると、他のオーディオプレーヤーには戻れません。というわけで、実用性も最強。 |
お値段 |
★★★ |
若干高めではあるけれど、性能を考えると妥当なセンではないでしょうか。 |
価格 |
47,800円(15GBモデル) |
15GBモデルで、カタログスペックでは約3700曲の音楽を保存することができます。アルバム1枚に12曲程度入っているとして、約308枚のアルバムを保存できる計算。これだけの音楽を気軽に持ち運べるわけだから、最強のオーディオプレーヤーといっても過言ではないでしょう。ちなみに、連続再生時間は約8時間。iPodにいくらたくさんの音楽を保存していても、一度にすべてを聴くことはできません。 |
利用期間 |
2年くらい |
1日あたり単価 |
65円 |
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■ URL
製品情報
http://www.apple.co.jp/ipod/
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(広野忠敏)
2003/06/11 12:45
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