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おとなのおもちゃタイトルGIF
かなりイイ感じのPocket PCコンパック「iPAQ Pocket PC H3630」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 コンパックのiPAQといえば、米国ではかなりのバックオーダーを抱えたPocket PCとして有名なのはご存知の人も多いかと思う。先ごろ国内でも発売されたが、やはりどこでも品薄のようで、入手できればラッキーという話を聞くことも多い。ちなみに私は今回リリースされたH3630というモデルではなく、後発で発売される予定のH3660を狙っていたりするのだが、かなり長時間に渡ってH3630を試用する機会があったので、今回はH3630についてレビューしてみよう。


なんといってもジャケットが便利

iPAQの大きさは130×83.5×15.9mmで重さは180g(オプションなし状態)。内蔵電池の充電やパソコンとの接続は標準添付のUSBクレイドルで行なう

 iPAQが何故にこれほどまでウケているのか。もちろん、米国でのiPAQ熱の影響も多少はあるとは思うが、後述するジャケットシステムの搭載によるところが大きいだろう。既に他社のPocket PCを使っている人や、Pocket PCに興味を持っている人はご存知のことと思うがが、Pocket PCの拡張手段はメーカーによってまちまちだ。たとえば、カシオのCASSIOPEIA E-700はSDメモリカードスロット、NTTドコモのGFORTはType2のCFスロット、日本HPのJornada 548はType1のCFスロットといったように、コレを買えばどのPocket PCでも使えるという拡張カードは存在しないのである。たとえば、P-in Comp@ctで通信をしたいからNTTドコモのGFORTを購入した後で、やっぱりカシオのE-700の方がいいからと買い換えてしまうと、せっかくのP-in Comp@ctが使えないというとても困った事態が発生してしまうのである。

 とまあ、そんな感じのPocket PC事情に一石を投じてしまったのがiPAQであり、iPAQが採用するジャケットシステムなのだ。iPAQはiPAQ本体とiPAQをすっぽりと包み込むようにデザインされた「ジャケット」と呼ばれる拡張パックで構成されている。これがジャケットシステム。iPAQ本体に搭載された外部インターフェイスは、赤外線アダプタとクレイドルに接続するためのコネクタのみなのだが、ジャケットを装着することによって、さまざまな拡張ができるようになるのだ。


上部中央に赤外線コネクタ、イヤホン端子、スタイラス穴がある

PCカードジャケット装着時。写真ではコンパックの純正無線LANカードを装着している。


 本体には「IPP CFカード拡張パック」が標準で添付。これは、Type2のCFスロットが搭載されたジャケットで、CFメモリカード、P-in Comp@ctなどのPHSカード、CFサイズのネットワークカードなどType1/2のCFカードをiPAQで利用できるようになる。さらにオプションで「IPP PCカード拡張パック」(1万5600円)が用意され、このジャケットを使えばPCカードをiPAQで利用することもできる(PCカード拡張パックにはバッテリも内蔵されている)。つまり、iPAQはジャケットによってキーボード付きのWindows CE機、いわゆるHandheld PC並の拡張性を手に入れているのだ。

 さらに、拡張機能を持たないカラフルなカラーリングのジャケットもオプションで6色用意(3色セットで4300円を2種類用意)。そのときの気分によってジャケットの色を変えてオシャレに楽しむなんて使い方をすることも可能だ。拡張性が高いジャケットが使えるのも、私がiPAQを気に入ってしまった理由の1つなのだが、カラージャケットもあるという部分が、さらに私の物欲心をくすぐってしまうのであった。今日は何色にしようかななんて考えると楽しげでしょ。


基本機能も充実している

 iPAQのウリはジャケットシステムによる拡張性の高さだけではない。Pocket PC本体と拡張のためのジャケットを分離したことによって、iPAQ本体は非常にコンパクト。iPAQ本体のサイズは130×83.5×15.9mm(縦×横×厚)で、曲面がうまく使われているために片手に持ったときのホールド感もかなりいい。さらにCPUには206MHzのStrongARMプロセッサを採用。現時点ではもっとも高速なPocket PCだといえる。


標準でこの薄さ。拡張スロットが要らないときは、このサイズで持ち歩けるというのがiPAQの魅力

PCカードジャケットを装着するとだいぶ厚みが増す感じ。まぁ、この拡張性ならば当然でしょ


 本体に32MBのRAM、240×320ドットで4096色表示の反射型TFT液晶とフロントライトを搭載。液晶上部には輝度センサが搭載されていて、外部の明るさに応じてフロントライトの明るさを自動コントロールする機能も装備されている。ちなみに、後発で発売されるH3660は本体に64MBのRAMを搭載している。


カーソルキー
 ところで、Pocket PCといえばスタイラスを画面でタップする操作のほかに、本体に装備されたボタン類で操作ができるように作られている。本体左側に上下スクロールボタンとしても動作するアクションコントロール、本体前面にカーソルキーがあるというのがPocket PCの標準的なスタイル。しかしiPAQにはアクションコントロールは存在せず、本体前面のカーソルキー(アクションコントロールとしても利用可能)を使っての操作となる。そのため、E-700やGFORTなどで、アクションコントロールを多用した使い方をしている人が初めてiPAQ使うと、かなり戸惑いを感じることになるだろう。というか、指が何もない場所をさまよう。個人的には、アクションコントロールによるユーザインターフェイスは好きものの一つなので、アクションコントロールがないのがちょっと残念といえば残念。

 搭載されているOSはWindows CE 3.0のPocket PC版。iPAQにはWindows CE 3.0に標準搭載されているアプリケーションのほかに、ストリームビデオ再生ソフト「PVPlayer」、MP3、MIDI、RMFなどの音楽再生プレーヤー「Beatnik Player」、JPEGやビットマップなどの画像ビューア「Easy Viewer」などが付属している。

 ちなみに、Windows PCとの接続にはUSBを利用する。あらかじめUSBケーブルでPC本体とクレイドルを接続しておけば、iPAQをクレイドルに乗せるだけでWindows PC上のOutlookとのデータ同期が可能だ。なお、クレイドルにセットするときに、ジャケットを脱がせる必要はなく、ジャケットが装着された状態でもクレイドルに乗せることができるのも嬉しい配慮だ。


どこでも通信環境が簡単に構築できるのだ

 というわけで、とても駆け足でiPAQのレビューをしてみたわけだが、やっぱりジャケットは便利。ジャケットを使わずにコンパクトに持ち歩くこともできるし、ジャケットを使って拡張もできるし色も変えられる。つまり、iPAQはバービーとかリカちゃんのごとく、TPOにあわせて着せ替えして楽しむという使い方ができるのだ。

 豊富な拡張手段があるというメリットを最大限に活用すれば、どこでも通信環境をとても簡単に構築することができる。コンパックからも無線LANカードなどの拡張カードがリリースされているが、もちろん他社製のカードを利用することもできる。ちなみに、
href="http://www.compaq.co.jp/products/handhelds/pocketpc/partners.html">コンパックのページ
にiPAQで利用できる他社製カードの一覧があるのでチェックして欲しい。たとえば、無線LANカード、PHSカード、PDCカード、モデムカード、PacketOneカード、ついでにハードディスクカードとかGPSカードあたりを全部揃えてしまえば、どんな回線を使ってどこにいてもインターネットに接続できるし、GPSで位置を調べて自慢もできるのだ。かなりお金はかかるけど。


評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★  本体だけでもかなりイバれるでしょう。ジャケット(色つきジャケットも)全部揃えればイバり度100%ってとこでしょうね。
実用性 ★★★★★  やっとちゃんと使える(含む自慢用途)Pocket PCにめぐり合えたという感じ。ジャケットはとても実用的です。
お値段 ★★  同クラスのPocket PCと比較すると少々高めな値段です。本体に64MBのRAMを搭載するH3660は8万9800円とHandheld PC並に高めです。買う予定だけどね。
価格 5万9800円  PDAって機種によってそれぞれメリットもデメリットもあるし、もちろん得手不得手もあるし、さらにユーザの思い入れなんていうモノサシで計れない基準もあります(ちなみに、私の思い入れはWindows CEですが)。iPAQはPalmキラーとは言われているものの、そういうわけで、PalmとかザウルスとiPAQを比較するのはとてもナンセンスなことなので比較はしません。ただ、今までのPocket PCはPalmユーザとかザウルスユーザに見せても「えー、こっちの方がいいよぉ。これもできるしあれもできるし便利だもんっ」って言われるだけ(実話)だったのですが、iPAQでちょっと反応が違ってくる、といいなあ(期待)。
利用期間 1年くらい
1日あたり単価 163円


・ コンパックのPocket PCページ
  http://www.compaq.co.jp/products/handhelds/pocketpc/index.html
・ iPAQ対応のサードパーティ製品リスト
  http://www.compaq.co.jp/products/handhelds/pocketpc/partners.html
・ iPAQ.net(iPAQ向けポータル)
  http://www.ipaqnet.ne.jp/


(広野忠敏)
2001/05/16 19:51

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