ケータイ Watch
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高級感たっぷりのネットワークウォークマン「NW-MS70D」
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おとなのおもちゃタイトルGIF
高級感たっぷりのネットワークウォークマン「NW-MS70D」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


NW-MS70D
 ソニーのポータブルオーディオプレーヤー「ネットワークウォークマン」の新機種がいよいよ来月発売される。今回は、ソニーより発売前の製品をお借りすることができたので、来月発売されるネットワークウォークマン「NW-MS70D」についてレビューしてみることにしよう。なお、今回お借りした製品は、発売前のものであり、実際に発売されるときには仕様変更などが行なわれる可能性もあるので、あらかじめお断りしておく。


新しいコンセプトのネットワークウォークマン

 ネットワークウォークマンといえば、この連載でもいくつかの機種を取り上げたこともあるし、すでにご存知の方も多いかと思う。独自の音楽圧縮技術「ATRAC3」と著作権保護技術の「Open MG」を採用した携帯用の音楽プレーヤーだ。今までのネットワークウォークマンには、音楽を記録するためのメモリとしてOpen MG対応のメモリースティックが採用された製品(旧メモリースティックウォークマン)と、本体にメモリを内蔵しているタイプの製品があった。

 今回発売されるネットワークウォークマン(NW-MS70D)は、本体に256MBの音楽記録用のメモリを搭載しているほか、新しい規格のメモリースティックDuoスロットを搭載。つまり、今までメモリースティックウォークマンと呼ばれていた製品と、ネットワークウォークマンと呼ばれていた製品の両方の特徴を持つものだといえる。さらに、NW-MS70Dはより高圧縮の音楽圧縮技術「ATRAC3plus」にも対応しているのも注目すべき点の一つだ。


高級感溢れるボディ

 それでは、さっそくMW-MS70Dを見ていくことにしよう。まず、NW-MS70Dを手にとってみてびっくりしたのが、その質感の高さだ。他社のポータブルオーディオプレーヤーでは、筐体にプラスチックが採用され、いかにもチープなデザインのものも多いのだが、NW-MS70Dはそれらのポータブルオーディオプレーヤーとはまったく違う。筐体はチタン製で「深絞り」と呼ばれる技術を採用している。ちなみに「深絞り」とはケータイのバッテリーなどを作るために使われる技術で、コンパクトでありながら、継ぎ目のない成型をすることができるのである。実際にNW-MS70Dを手に取る機会があれば一目瞭然なのだが、ポータブルオーディオプレーヤーでありながら、非常に高級感のあるデザインになっているのに驚かされる。元々、AV機器には「高級感」を売りにした製品が多いのはご存知の人もいるかと思う。今まではどちらかというとパソコンの周辺機器的な扱いをされていたポータブルオーディオプレーヤーだったが、NW-MS70Dの質感や高級感は、AV機器に向かった方向へシフトして行きつつあることを感じさせるものだ。

 ところで、金属製の筐体を採用していると気になるのは大きさと重さではないだろうか。NW-MS70Dの大きさは36.4×18×48.5mm(幅×奥行×高)と非常にコンパクト。金属製ということで、重いのではないかと思うかもしれないが、そのあたりの心配はいらない。重量は54gと非常に軽く作られている。後述するが、NW-MS70Dは首から下げて使うようにデザインされているのが、実際に首に下げてもそれほど重さを感じない。ケータイを首から下げたほうがよっぽど重いのである。


チタン製のボディは、機能的な印象で非常に美しい 小さく軽く、高い強度のチタン製ボディで携帯するにはぴったり

付属するクレードル経由でパソコンと接続できる 本体底部のメモリースティックDuoスロット

今までにない独特の音楽視聴スタイル

 筐体の質感と共に、NW-MS70Dを見たときに感激したのが、その独特な視聴スタイルだ。NW-MS70Dは付属のネックストラップを使って、首から吊り下げて使うようにデザインされている。このネックストラップがタダモノではないのである。一言で言ってしまうとネックストラップとヘッドフォンが「一体化」しているのだ。付属のヘッドフォンに、ネックストラップを装着すると、ヘッドフォンのコードがそのままネックストラップとして使えるようになっているのである。そのため、今までのようにネックストラップとヘッドフォンのケーブルが絡まってしまうといったことは起きない。ヘッドフォンコードそのものがネックストラップになるために、コードが邪魔でになるといったことは起きないのだ。

 ヘッドフォンコードをそのままネックストラップにしてしまうというアイデアは素晴らしいが、使っているうちに本体が落ちてしまうのではないかという不安があるかもしれない。しかし、このあたりも心配無用。ヘッドフォンとNW-MS70D本体との接続は、普通のプラグを使う。普通にプラグを使っただけでは、当然本体の重さで抜け落ちてしまうことになる。だが、NW-MS70Dでは、ヘッドフォンプラグをプラグカバーでガードして、プラグカバーと本体ががっちりと固定される形状になっているため、首から下げているときに、本体がヘッドフォンコードから抜け落ちてしまうという心配はいらない。

 操作に関しては、首かけスタイルを採用しているため、MDプレーヤーなどに一般的に使われているようなリモコンは付属していない。本体上部にはバックライト付きの液晶を装備。さらに液晶の両サイドにボリュームコントロールとシャトルスイッチが装備されている。シャトルスイッチは外側に引っ張って回したり、内側に押し込んで回したりするという操作も可能。再生、停止、巻き戻しや曲送りや曲戻しだけではなく、再生するフォルダ(プレイリスト)の選択など色々な機能を備えており、シャトルスイッチだけで簡単にコントロールすることができるようになっている。


本体とヘッドフォンはしっかりとホールド 本体上部のディスプレイに再生中の曲名などが表示される

ATRAC3plusの実力はどうなのか?

 ところで、MS-NW70Dにはあらかじめ256MBの内蔵メモリが搭載されている。そのため、別途メモリースティックDuoを購入しなくても、音楽を本体に転送することが可能だ。もしも、お金が余っているならメモリースティックDuoを購入すればより一層快適にMS-NW70Dを使うこともできる。たとえば、本体のメモリにはよく聴く曲を転送しておき、何枚かのメモリースティックDuoにお気に入りの曲を転送して用意しておけば、飽きたときに入れ替えて音楽を楽しむこともできる。つまり、今までのメモリースティックウォークマンとネットワークウォークマンの両方の良さを備えているのだ。

 音楽を本体に転送するためには付属の「SonicStage」を利用する必要がある。パソコンとの接続は、付属のUSBクレードルを使う。ちなみに、USBクレードルに本体をセットすると、本体のバッテリに充電することが可能だ。

 ちなみに、本体に内蔵されている256MBのメモリに音楽を転送すると、ATRAC3plus/48kbpsモードで、実に11時間40分程度の音楽を格納することができる。なお、ATRAC3とATRAC3plusのそれぞれのビットレートで、CD1枚(80分)の音楽に必要なメモリ量を表にしたので参考にして欲しい。

CD1枚分(80分)に必要なメモリ量
ATRAC3 132kbps 79.2MB
105kbps 63.0MB
ATRAC3plus 64kbps 38.4MB
48kbps 28.8MB


 実際の音質はどうなのかというと、ATRAC3/132kbpsとATRAC3plus/64kbpsを聞き比べてみると、やはりATRAC3/132kbpsのほうがたしかに音質は良い。ただ、人によっても違うかとは思うが、私の場合は実際に聞き比べてみて初めてわかるような性質のものだ。

 元々ポータブルオーディオプレーヤーは「音楽をじっくり聴く」ものではなく、電車の中や移動中など何かをしながら音楽を楽しむといった性質のものだ。つまり、ことさらに音質にコダワルのはナンセンスであるともいえるハズ。もしも、極限まで音質にコダワリたいというのならば、ポータブルオーディオプレーヤーを購入するのはやめたほうが賢明である。さすがに、“ながら音楽”でもATRAC3plus/48kbpsでは、ちょっと不満がないでもないが、フツーに“ながら音楽”を楽しみたいのならばATRAC3plus/64kbpsを使って、内蔵メモリやメモリースティックDuoにたっぷりと音楽を入れて持ち歩いたほうがシアワセになれるだろう。

評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★  かつてないほどにイバり度が高いポータブルオーディオプレーヤーだといえるでしょう。自慢のための一品。魅せるための一品になること間違いなし。
実用性 ★★★★  私は、この手のプレーヤーを首から下げて使っています。NW-MS70Dは、ネックストラップとヘッドフォンコードが一体化しているので、コードとネックストラップがからまりまくりなんていうトラブルはありません。非常に使い易いと感じました。
お値段  同クラスのポータブルオーディオプレーヤーと比べると、値段はかなり高価です。
価格 40,000円前後
(オープンプライス)
 以前のモデルが発売されてから1年半ほど経過しているので、予想利用時間は1年半。本体は非常に魅力的なのですが、問題は価格でしょうね。ソニー製品であるということ、高級感のある筐体、さらにはATRAC3plus、メモリースティックDuoといったキーワードに価値を認めることができ、人にも見せびらかしたいというのならば買っても決してソンはしません。私はきっと買っちゃいます。でも、古い自社規格をスッパリと切り捨てて、臆面もなくまったく新しい自社規格のものをリリースするのは、とてもソニーらしいことではありますが、今までのOpen MGメモリースティックが使えないのがかなりイヤかも。またメモリを買うことになっちゃいますからね。また、とりあえずポータブルオーディオプレーヤー(MP3プレーヤーも含む)が欲しいというだけなら、もっと安い製品が色々あるので、そっちを買った方がシアワセかもしれません。
利用期間 1年半
1日あたり単価 73円


・ ニュースリリース
  http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200212/02-1210/
・ 製品情報
  http://www.ecat.sony.co.jp/audio/walkman/acc/index.cfm?PD=10989&KM=NW-MS70D

マジックゲートメモリースティックDuo対応ネットワークウォークマン
第119回:メモリースティックDuo とは


(広野忠敏)
2003/01/29 13:42

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