ケータイ Watch
連載バックナンバー
まったく新しいコンセプトのPalm OS搭載PDA
ソニー CLIE「PEG-UX50」
[2003/08/20]

水の中でもバッチリ撮影ができる
ソニー サイバーショットU DSC-U60
[2003/08/07]

極楽テレビ生活再び
ソニー コクーン チャンネルサーバー CSV-P500
[2003/07/24]

ウイングスタイルはどう進化したのか
ソニー CLIE 「PEG-NX80V」
[2003/07/03]

小さい、軽い、安い!
日本HP iPAQ Pocket PC「h1920」
[2003/06/25]

コンパクトにスタイリッシュになった
アップルコンピュータ 「iPod 15GBモデル」
[2003/06/11]

ボールペンで書いたメモがそのまま画像データに!
ゼブラ「手書きリンク」
[2003/05/28]

小さくても性能はバツグン
ソニー VAIO U「PCG-U101」
[2003/05/14]

新しくなったシグマリオン
NTTドコモ 「sigmarionIII」
[2003/05/07]

指紋認証機能搭載のPocket PC
日本ヒューレット・パッカード「iPAQ h5450」
[2003/04/23]

家の中でもモバイル環境を実現
FMV-DESKPOWER L20C/S
[2003/04/16]

「使える」ボイスレコーダーを探す!
ソニー ICレコーダー「ICD-MS515」
[2003/04/09]

Graffitiが苦手でも安心
ソニー CLIE「PEG-TG50」
[2003/03/26]

大人気の英語トレーニングソフトを試す
プラト「えいご漬け」
[2003/03/13]

撮る、録る、見る、聴く、1台4役のマルチデバイス
パナソニック「D-Snap SV-AV30」
[2003/03/07]

PDA以上タブレットPC未満
サイプレスコーポレーション「e-Note」
[2003/02/26]

ドッキング可能なタブレットPC
富士通「FMV-STYLISTIC」
[2003/02/12]

さらに「ヘビー」になった“全部入りCLIE”
ソニー CLIE「PEG-NZ90」
[2003/02/06]

高級感たっぷりのネットワークウォークマン「NW-MS70D」
[2003/01/29]

メモ機能のついた英語重視の電子辞書
シャープ「PW-S7000」
[2003/01/16]


2002年

2001年

2000年

おとなのおもちゃタイトルGIF
家の中でもモバイル環境を実現
FMV-DESKPOWER L20C/S
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 富士通の「FMV-DESKPOWER L20C/S」は、Windows XPがプリインストールされたディスプレイ一体型のパソコンに、スマートディスプレイがセットされたモデルだ。ここでは、FMV-DESKPOWER本体に付属のスマートディスプレイを中心に、スマートディスプレイって一体どういうものなのか、スマートディスプレイがあるとどういう便利なことができるのか、ということを中心に紹介していくことにしよう。


スマートディスプレイって何?

FMV-DESKPOWER L20C/S
 スマートディスプレイは、Windows XP Professionalに搭載されている「リモートデスクトップ」に接続するための専用ディスプレイ端末。スマートディスプレイには無線LANが搭載されていて、無線LAN経由でパソコンと接続した状態で、パソコンを遠隔操作できるものだ。遠隔操作というとなんだかフクザツな感じもするが、実際のスマートディスプレイには、パソコンに表示される画面とまったく同じものが表示され、普通のパソコンと同じ感覚で使うことができる。ちょっと乱暴だが、パソコンのディスプレイをワイヤレスで使うという感覚に近いものがある。

 ちなみに、スマートディスプレイに搭載されているOSは、Windows CE.NETをベースにした「Windows CE for Smart Displays」。FMV-DESKPOWER L20C/Sに同梱されているスマートディスプレイは、10.4インチ、800×600ドットの液晶を搭載。操作はキーボードとマウスではなく、付属のスタイラスで画面をタップすることで行なう。言うなれば、画面が大きくなったPocket PCでパソコンを遠隔操作するといった感覚だ。Windows CEやWindows CE.NET搭載のハンドヘルドPC、またはPocket PCでもスマートディスプレイとほぼ同様のことができるが、スマートディスプレイは面倒な設定なしに、パソコンを遠隔操作できる点が嬉しい。

 実際にスマートディスプレイを使うときはこんな感じだ。パソコン本体の電源が入っている状態で、スマートディスプレイの電源を入れると、見慣れたWindows XP Professionalのログオン画面(ようこそ画面)がスマートディスプレイに表示される。このときに表示される画面はパソコンの本体と同じもの。つまりスマートディスプレイは、先述のとおり、ワイヤレスなディスプレイという感覚なのである。

 ログオン画面が表示されたら、スタイラスを使って、Windowsにログオンする。スマートディスプレイにはキーボードやマウスがないが、スタイラスの操作が、そのままパソコン本体に伝えられ、その結果が再びスマートディスプレイに表示されるというわけ。つまり、スマートディスプレイは画面を表示するディスプレイという役割だけではなく、キーボードやマウスと同じような入力装置としての役割も持っているのである。それゆえ、いつも使っているパソコンとまったく同じ感覚でスマートディスプレイを使うことができるのである。


 キーボードがないということで、それじゃあ、文字の入力はどうやってやるの? と不思議に思うかもしれないが、そのあたりも心配はいらない。スマートディスプレイの画面には、ソフトウェアキーボードを表示することができ、スタイラスでタップすれば文字の入力も可能だ。さすがに長文の入力には向いてはいないが、簡単な入力ならばソフトウェアキーボードで十分。普段PDAなどで慣れ親しんでいれば、特に戸惑うことなく使うことができる。

 ちなみに、スマートディスプレイの大きさは290×221×24.5mm(幅×奥行×高)、重さは約1.2kg。ノートパソコンのようにキーボードやハードディスクなど余計な機能が一切搭載されていないため、非常にコンパクトだ。

 ところで、スマートディスプレイは実際はWindows CEが搭載されたマシンなのは先にも書いたとおり。もちろん、パソコン本体に接続して使うことが前提だが、スマートディスプレイ単体でも使うことができる。スマートディスプレイのCPUは、インテルのPXA250 400MHz、メインメモリとして64MB、さらに32MBのフラッシュROMを搭載。また、SDカードスロットも用意されている。スマートディスプレイ本体には、Webブラウザや画像閲覧ソフト「IA Album」などが搭載されていて、パソコン本体に接続しなくてもホームページを閲覧したり、SDカードに記録されているデジタルカメラなどの画像を閲覧することも可能だ。

 また、スタイラスじゃあ使いにくい、どうしてもキーボードとマウスじゃないとイヤという人のために、キーボードやマウスを接続するためのUSBポートも2つ装備されている。ただし、スマートディスプレイにキーボードやマウスを接続して使うのは、スマートディスプレイが持っている可搬性がスポイルされてしまい、あまりスマートではない結果になるため、あまりオススメはできないが……。


SDカードスロットは本体上部
マウスやキーボードを接続できるUSBポートは本体左サイド

家のどこにいてもパソコンが使い放題

 スマートディスプレイの一番のメリットは、無線LANの電波が届く範囲ならば、どこにいてもパソコン本体を使えるということだ。そんなのは、ノートパソコンと無線LANがあればできるじゃないか、と思うかもしれないし、たしかに特に目新しいテクノロジーでもない。だが、スマートディスプレイはノートパソコンよりもさらに気軽に使えるのである。

 デスクトップパソコンに無線LAN、それにノートパソコンがあれば、スマートディスプレイのように、リモートデスクトップ機能でノートパソコンからデスクトップパソコンを使うことも可能だ。しかし、普通はそうそうパソコンを何台も買うわけにはいかないだろうし、設定も面倒だ。しかし、スマートディスプレイならば、面倒な設定をせずに、どこにいても無線LAN経由で、その名のとおり「スマート」にパソコンを使うことができるのである。

 たとえば、自宅の書斎にFMV-DESKPOWER L20C/Sを設置したとしよう。今までの単なるデスクトップパソコンならば、インターネットにアクセスしたいときやメールを読みたいとき、わざわざパソコンが置いてある書斎まで行かなければいけない。たとえば、リビングでテレビを見ているときに、インターネットのテレビ番組サイトを確認したい、と思っても不可能だ。ところが、スマートディスプレイがあれば、いままでのパソコンの使い方は一変する。スマートディスプレイさえ家の中で持ち歩けば、わざわざ書斎のパソコンの前にいかなくても遠隔操作できるのである。

 たとえば、書斎にパソコン、リビングにスマートディスプレイが置いてあるとしよう。先ほどのように、テレビを見ているときに、インターネットのテレビ番組サイトを確認したくなったら? スマートディスプレイがあれば簡単。リビングに置いてあるスマートディスプレイを使って、インターネットにアクセスするだけだ。メールを読みたくなったら? 同じくスマートディスプレイを使えば良い。わざわざパソコンを使いに書斎にいく必要がないのである。これは、まさに家庭内モバイル環境だといえるだろう。

 もちろん、使い道はリビングだけにとどまらない。スマートディスプレイを新聞代わりにしてトイレにこもることだってできる。キッチンでインターネットのレシピを確認しながら料理を作る。庭やベランダでお茶を飲みながら優雅にネットサーフィンをする。さすがに、お風呂でチャットはスマートディスプレイが防水性能を持っているわけではないため、かなり無茶だが、まさに、アイディア次第で色々な活用ができるアイテムだといえるのだ。


手軽にブラウジングできるのは、やはり便利 ソフトウェアキーボードを搭載しており、スタイラスだけでの操作でも充分活用できる

評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★  家庭内でのイバり度はかなり高いといえるでしょう。家族にイバるというのが正しいイバり方かもしれません。ただし、家族が理解してくれればという前提条件がありますが……。
実用性 ★★★★★  とても実用的です。とにかく気軽に持ち歩け、どこからでもパソコン本体を使えるというのは便利です。
お値段 ★★★  同クラスのパソコンに比べると価格はやや高価です。ただし、投資に見合う便利さを手に入れることができます。
価格 30万円前後  ちょっとホームページを見たい、とか、ちょっとメールを確認したいときなどにスマートディスプレイがあると非常に便利です。軽いし、小さいし、トイレの中だろうとリビングだろうとどこにでも持って行って気軽に使うことができるのが最大のメリットでしょう。スマートディスプレイを一度使うと手放せなくなるかも、それくらい便利です。ただし、画面の解像度が低い、キーボードがないという理由で、本格的にOfficeアプリケーションなどを使いたいということには向いていません。
利用期間 1年
1日あたり単価 821円



URL
  ニュースリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2003/01/15-1.html
  製品情報
  http://www.fmworld.net/product/frame/pcpm0301/deskpower/
  スマートディスプレイ紹介ページ(富士通)
  http://www.fmworld.net/product/hard/pcpm0301/deskpower/kino/smart_display/
  富士通、DESKPOWERシリーズを春モデルに一新(PC Watch)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0115/fujitsu1.htm


(広野忠敏)
2003/04/16 12:25

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