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新しくなったシグマリオン NTTドコモ 「sigmarionIII」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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先日発表されたNTTドコモの「sigmarion(シグマリオン)III」。発売予定日は5月下旬だ。リリースや本誌の記事を見て「をを、欲しいっ、絶対買うぜ!」と思っている人も多いかと思う。今回はいち早くシグマリオンIIIの評価機をお借りすることができたので、レビューしてみることにしよう。なお、評価機ということで発売時には仕様が変更される可能性もあることをあらかじめお断りしておく。
■ 大きく変わった本体デザイン
まず、本体を見てみると、大きく変わったのはそのデザイン。シグマリオンIIではゼロハリバートンのデザインを採用し、いかにも「オシャレ」、持っていても「オシャレ」という印象があったのだが、シグマリオンIIIでは黒を基調としたデザインに変更された。デザインについては賛否両論があると思うが、私はシグマリオンIIのゼロハリデザインよりも、黒を基調とした由緒正しいモバイルギアデザイン(かなり古いモデルだけど)の方が好きだ。今回のデザインは、いかにも標準的なWindows CEデバイスで、わりと精悍そうなイメージを与えてくれるものだと思う。
さて、そのほかにシグマリオンIIから大きく変更になったのは、大きさ、重さ、さらに液晶の解像度、そして本体の性能が向上していることだ。シグマリオンIIよりも45g軽くなり、厚さは6mm薄くなっている。ちなみに本体の大きさは189×117×21mm、重さは455gだ。気になるバッテリ駆動時間は、カタログスペックでは非通信時で4.5~8時間、通信時で3~5時間。さらにオプションの大容量バッテリーを利用すれば非通信時に16時間の駆動が可能だ。
ディスプレイは5インチの800×480ドット、65,536色表示可能なTFT液晶ディスプレイを搭載。解像度が大きくなったことにより、一度に多くの情報を画面に表示できるようになった。ベースはWindows CEなので、Windowsのように多くのウィンドウをオーバーラップさせてアプリケーションを使うといったことはできないが、Webブラウズなどはたしかにやりやすくなった。
ただ、5インチの液晶は決して大きいとは言えないのも事実だ。5インチで800×480ドットの表示だと、アイコンの下に表示される文字は豆粒のように小さい、遠視が入っている人にとっては、ちょっと見にくい、なんてことになってしまうだろう。もちろん、こうしたフォントの大きさは変更することもできるのだが、フォントの大きさを変更すると一部のアプリケーションで表示が崩れてしまうなどの悪影響もある。
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左:シグマリオンII
右:シグマリオンIII
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上:シグマリオンIII
下:シグマリオンII
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本体の液晶ディスプレイ部分を見てみると、ディスプレイ上部にそれぞれ1cm程度、左右にはハードウェアボタンが装備されているが、ハードウェアボタンを含めてそれぞれ3cm程度の余裕がある。強度の問題もあるとは思うが、解像度は同じでもう少し大き目のディスプレイを搭載した方が視認性がよくなったのではないかと思う。いやホント、文字が小さすぎるんですよ。
ちなみに、液晶ディスプレイの左右にはハードウェアキーがそれぞれ5つずつ搭載されている。シグマリオンIIIを両手に持ったときに丁度親指に当たる位置に配置されているため、なかなか使い勝手はいい。左側の5つのハードウェアキーはカスタマイズ不可だが、右側の5つに関しては、ユーザーが自由にカスタマイズすることが可能だ。
搭載されているキーボードのキーピッチは14.1mmとシグマリオンIIと同様。シグマリオンIIで「バリバリに入力できるぜっ」という人なら問題なく使うことができる。ノートパソコンなどに比べると、さすがにキーボードは小さいが、慣れてしまえばタッチタイプも可能。比較的キーボードに関しての操作感は良い。
ちなみに、搭載されているOSは、Windows CE.NET 4.1、CPUはインテル製XScale PXA255 400MHzと、この手のデバイスとしては標準的なものだ。しかし、シグマリオンIIと比較するとスピードは段違い。利用するアプリケーションによっては、少し待たされるということもあるが、ほぼ快適に使うことができるハズだ。
■ 拡張された外部インターフェイス
シグマリオンIIのユーザーは、メモリのやり繰りに困っていたという人も多いのではないだろうか。シグマリオンIIの拡張手段はCFスロットオンリーだったからだ。PHSカードを差すと、CFメモリカードは使えない。CFメモリカードを差すと、PHSカードが使えないというジレンマに陥ってしまったのは私だけではないはずだ。シグマリオンIIIでは、TYPE2のCFカードスロットに加え、SDIOに対応したSDカードスロットが新たに装備された。そのため、SDメモリカードを購入して外部ストレージとして使いながら、CFカードスロットにはPHSカードを挿入して通信を行なうという使い方が可能になった。少ないメモリをやり繰りしつつ使っていた人には朗報だろう。
ちなみに、シグマリオンIIで問題とされていた「他のキャリアのPHSカードが使えない」、いわゆるプロテクトについては、評価機ということでテストはしてない。このあたりは、是非とも試してみたいので、実際に製品が発売されてから改めてレポートしてみたいと思う。
SDカード、CFカード以外の外部インターフェイスとしては、赤外線ポートと、miniA、miniBの2つのUSBポートが搭載されている。USBポート経由ではパソコンと接続してOutlookなどとデータの連携ができるほか、別売りのケーブル(是非とも同梱していただきたいものだが……)でPDC、FOMAを接続した通信が可能だ。
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キー配列
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本体左サイド。miniUSBポートとSDカードスロットが配されている
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本体右サイド。スタイラスの収納やCFカードスロットはこちら
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本体前面。赤外線ポートやマイクジャック、イヤホンジャックがある
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■ 内蔵アプリケーションは?
内蔵されているアプリケーションについては、それほど特筆するべきものはない。スケジューラやアドレス帳、受信トレイといったPIM関連のソフト、Internet Explorer 5.5 for Windows CE、Windows Media Player for Windows CE、Microsoft Messenger for Windows CEなど、どれもWindows CE.NETに標準搭載されているものだ。それらに加え、「Picsel Browser」を搭載、これは簡単な操作で画面を拡大・縮小できるブラウザで、Webブラウジングだけではなく、PDFやWord、Excel、画像データなどの閲覧が可能。拡大・縮小の操作(タップ&ドラッグ)には慣れが必要だが、なかなか面白いアプリケーションだ。
さらに、FOMA設定ソフト、P-in電波状態確認ユーティリティー、パケットカウンタなど、NTTドコモオリジナルのソフトウェアも同梱される。
ざっとシグマリオンIIIを紹介してみたが、やはりこのスペックで6万円を切るのは非常に魅力的なのではないだろうか。シグマリオンIIからシグマリオンIIIに乗り換える人のために、かなりスペックを充実させているのも非常にポイントが高いといえるだろう。
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5インチ、800×480ドットのディスプレイ
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拡大・縮小が自在なブラウザ「Picsel Browser」
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拡大時
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縮小時。キー操作かスタイラスの操作で自在に拡大・縮小が可能。複数の段階が用意されており、自分の見やすいレベルを選択できる
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評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★ |
キーボード付のハンドヘルドPC(それもWindows CE.NET入り)って今となっては結構珍しいデバイスなんですよね。PDAに押されぎみなので、是非頑張って欲しいということでイバリ度は高めです。 |
実用性 |
★★★ |
拡張手段が充実したことで非常に使い易くなりました。NTTドコモの@FreeDにも対応。ドコモ製PHSカードを持っているなら「買い」でしょうね。 |
お値段 |
★★★★★ |
安い!このスペックのデバイスが6万円を切る価格で買えるのは驚き。 |
価格 |
60,000円くらい |
例によってコストパフォーマンスが良いのがサイコー。とにかく安く購入できるのがいいですね。ちゃんと打てるキーボードを搭載したPDA、さらに「通信もできる端末が欲しい!」という人にはベストチョイスだといえるでしょう。 |
利用期間 |
半年くらい |
1日あたり単価 |
328円 |
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■ URL
ニュースリリース
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew0422.html
製品情報
http://www.nttdocomo.co.jp/info/products/sigmarion3/
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・ ドコモ、キーボード付きPDAの最新機種「sigmarionIII」
(広野忠敏)
2003/05/07 12:46
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