|
|
|
極楽テレビ生活再び ソニー コクーン チャンネルサーバー CSV-P500
|
|
|
|
広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
|
ソニーのチャンネルサーバーといえば、ご存知の方も多いかと思う。TV放送をビデオテープではなく、ハードディスクに録り貯めしておくタイプの、いわゆるハードディスクビデオレコーダーと呼ばれるジャンルの製品だ。CSV-P500は、チャンネルサーバーのラインナップの中でもやや異質の製品。CS放送のスカイパーフェクTV(スカパー)のチューナーと連携させることによって、スカパーで放送する番組を手軽に録画できるという素敵な機能がサポートされているのだ。
■ スカパー対応!のハードディスクビデオレコーダー
|
CSV-P500
|
現在市場に存在するハードディスクビデオレコーダーは大きく2つのグループにわけることができる。一方は、ハードディスク以外の記録手段を持つ製品。たとえばハードディスクレコーダーとDVDレコーダーの両方の機能を持つものだ。もう一方は、録画手段としてハードディスクのみが採用されているものだ。ハードディスクビデオレコーダーは、よく家庭用VTRと比較されることが多い。ハードディスクに加えて、DVDレコーダーの機能を持つものは、家庭用VTRと同じように使うことができる。つまり、録画した番組をライブラリ化して保存しておくという使い方だ。ところが、ハードディスクのみが採用されている製品に関しては、録画を別のメディアに保存して使うといったことができない。ハードディスクは有限なので、記録容量が少なくなってくれば、当然のことながら既に録画されている番組を消さなければならないわけだ。そのため「ハードディスクビデオレコーダーのメリットや使い道がいまいちわからない」といった声を聞くことも多い。しかし、これは、あくまでも家庭用のVTRと比較して、というお話。ハードディスクビデオレコーダーは、たとえ有限なハードディスクにしか録画できなかったとしても、十分に便利なのである。
さて、ソニーのコクーンシリーズは、記録メディアとしてハードディスクを採用したビデオレコーダーである。その最新モデル「CSV-P500」は、地上波放送を録画するだけではなく、スカパーのチューナーと連動させることにより、スカパーの番組を簡単に録画できるのが最大のメリットだといえる。
実際に、CSV-P500のレビューをする前に、ここで、視点を明確にしておきたいことが1つある。それは、ハードディスクビデオレコーダーは、家庭用VTRのようにTV番組を「録画」するためのものではない、ということだ。もちろん、番組の録画が基本機能ではあるが、あくまでも、番組を「見る」ためのツールだと思って欲しいのだ。ハードディスクビデオレコーダーは、番組を録画して「保存」するためのツールではないのである。たとえば、たくさんの番組を記録しておき、その中から見たい番組だけを見るとか、タイムシフトといったハードディスクビデオレコーダーならではの機能を活用して、番組を「見る」。そうした使い方が、ハードディスクビデオレコーダーの最も大きな役割であり、使う人が一番メリットを受けることができる使い方だといえるのである。ちなみに、このあたりの話は、まさに「チャンネルサーバー」と呼ばれるように、コクーンのコンセプトだったりするのであるが、いまいち一般には浸透していないのが現状だ。
では、実際にCSV-P500を見ていくことにしよう。CSV-P500は、それ単体ではスカパーのチューナーは内蔵されていない。スカパーのチューナーとCSV-P500を接続して、CSV-P500からスカパーのチューナーをコントロールすることにより、番組の録画を実現している。今までのハードディスクビデオレコーダーや家庭用VTRなどを使って、スカパーで放映されている番組を録画したいときは、スカパーのチューナーを録画機器に接続、さらに、時刻を指定して予約を実行する必要があった。ところが、CSV-P500では、特定の時間になると、スカパーのチューナー経由で番組表(EPG)をダウンロードし、CSV-P500のハードディスクに保存する。番組の録画予約は、CSV-P500に表示されるEPGから可能なのである。つまり、スカパーの番組を予約するときに、スカパーのチューナーを操作するといった手間は一切かからないのだ。ハードディスクビデオレコーダーと多チャンネル放送は非常に相性が良いということを実感する製品だとも言えるだろう。
実際に使うときは、あらかじめどのチャンネルの番組表をダウンロードするのかをCSV-P500で設定する。番組表をダウンロードするチャンネルは最大20個まで設定可能だ。特定の時間になると(デフォルトでは午前4時30分)、設定された20個のチャンネルの番組表がチューナー経由でダウンロードされる。番組表がダウンロードされたら、あとはCSV-P500で表示して、予約操作をするだけで番組を録画できる。イメージとしては、スカパーのチューナーに録画機能がそのまま内蔵されているといった感覚で使える。ただし、いくつかの制限もある。1つは、コピーガードが含まれた番組を録画することができないこと。もう1つは、PPVなどのようにインタラクティブな操作が必要な番組は、CSV-P500単体では予約できないこと。PPVを録画したいときは、チューナー側で番組購入の操作が必要になる。ちなみに、CSV-P500には、地上波番組のEPGを表示させる機能もあり、地上波で放映される番組を予約録画することも可能だ。
もちろん、ハードディスクビデオレコーダーの特長を活かした再生をすることもできる。たとえば、番組の録画中に、既に録画された番組を再生することも可能。また、CSV-P500は、録画予約とは別に、常に一定の時間分の放送内容が保存されるようになっている。これは、特に録画操作をしていなくても、CSV-P500に入力されている映像が一定時間分録画されている状態。たとえば、これを活用すると、番組を見ているときにちょっと席を外さなければいけなくなったときなどに、一時停止をしておき、戻ってから番組の続きを見たり、お気に入りのシーンを繰り返し再生するといったこともできる。
|
|
スカパー・地上波双方の番組表をダウンロードできる
|
録画番組の一覧。“保存”するために録画するのではなく、自分の都合の良い時間にテレビを“見る”ために使われるのがハードディスクレコーダーだ
|
■ シリーズ予約はめちゃめちゃ便利
|
既に録画済の再放送番組は録画されない「シリーズ予約」
|
さらに、CSV-P500には、スカパー対応だからこその機能が用意されている。それが「シリーズ予約」と呼ばれる機能だ。既にスカパーの放送を楽しんでいる人は、ご存知かと思うが、スカパーのチャンネルで放映されているドラマは、定期的に再放送が放映される。たとえば、月曜日の夜にドラマの新しい回が放映されるときは、火曜日から日曜に、それと同じ内容が繰り返し放映されるといった感じだ。つまり、地上波のように1話だけを見逃したときは、いずれ再放送が放映されるまで待つ必要はなく、次の日や、その次の日に放映される再放送を見れば良いというわけ。このように、同じ番組が繰り返し放映されるという特性をうまく利用したのが「シリーズ予約」と呼ばれる機能。
一言で言うと「シリーズ予約」はドラマなどのシリーズを丸ごと勝手に録画してくれる機能だといえる。たとえば「シリーズ予約」で「スタートレック」を予約したとしよう。すると、CSV-P500は、番組表の情報に「スタートレック」とつくものを予約しようとする。そのまま「スタートレック」が含まれている番組すべてを予約すると、再放送など同じ放映内容の番組も予約されてしまうと思われるかもしれないが、そのへんはバッチリ抜かりない。シリーズ予約では、前回に録画されたときとまったく同じ番組タイトルのものは予約対象とはならない。つまり、再放送は録画されないのである。また、不幸なことに、他の予約と重なってしまったときは、再放送の番組が自動的に予約対象になる。つまり、ドラマなどのシリーズを、まるごと録画してくれるという、非常に便利で強力な機能なのだ。
前述のように「スタートレック」というキーワードでシリーズ予約しておけば、わざわざEPGをチェックして録画予約操作をしなくても、オリジナルシリーズ、ネクストジェネレーション、ディープスペースナイン、ボイジャー、さらには、最新作のエンタープライズまでも内容が重なることなく、勝手に録画してくれるという、まさにドラママニア、アニメマニア福音の機能なのである。いや、マジで、この機能だけに注目して購入する価値があるとも言えるのだ。ちなみに、シリーズ予約で設定できるのは3つまで。たとえば、スタートレック、ガンダム、サッカーの3つを登録しておしまい。このあたりはやや不満が残る。せっかく多チャンネルのスカパーに対応しているわけだから、もっと数多く設定できるようにして欲しいものだ。
また、シリーズ予約以外にも、番組表のキーワードとマッチしたときや、ジャンルを設定しておくだけで、その番組を録画してくれる「おまかせ・まる録」機能も搭載されている。シリーズ予約はスカパーの番組専用の機能だが、「おまかせ・まる録」は、地上波、スカパー両方の番組で利用できる。たとえばキーワードに「野球」と登録しておき、とにかく「野球」関連の番組を全部録画するとか、好きなタレントが出演している番組をすべて録画する、といった使い方が可能だ。ちなみに、「おまかせ・まる録」の設定も地上波3つ、スカパー3つまで。シリーズ予約と同様にさすがに、数が少なすぎるでしょ、と思っているのは私だけではないハズだ。
|
|
録画操作をしていなくとも、CSV-P500経由で見ている番組は、一定時間保存されている
|
キーワードやジャンルを設定するだけでどんどん番組を録画してくれる「おまかせ・まる録」はやはり便利
|
評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★ |
あんまり人に見せていばるものではありません。チャンネル争いとはわりと無縁になるので、家族にイバれるかもしれませんね。 |
実用性 |
★★★★★ |
スカパーとの連動とシリーズ予約はとにかく便利です。とりあえず「スタートレック」と「ガンダム」を設定して、スタートレック全シリーズ、ガンダム全シリーズを予約録画中です。 |
お値段 |
★★★ |
めちゃめちゃ快適なテレビ生活が送れます。この値段でこの快適さが手に入るなら、良しとしましょう。 |
価格 |
89,800円(ソニースタイル) |
搭載されているハードディスクは160GB。録画モードはSP、LP、EPの3種類で、SPで最大50時間、LPで最大80時間、EPで最大100時間の録画ができます。ただし、LP、EPモードで録画したときの画質は期待しないようにしましょう。実際に使ってみた感じでは、LPモードでVHSの3倍モード程度だと思った方がよいでしょう。綺麗に録画して保存するためのツールではなく、放映されている番組を、テレビ放映スケジュールではなく、自分のスケジュールで「見る」ためだけのツールだと思った方が、幸せになれることでしょう。 |
利用期間 |
1年くらい |
1日あたり単価 |
246円 |
|
■ URL
製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/cocoon/CSV-P500/
(広野忠敏)
2003/07/24 13:39
|
|
|
|
|