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発売半年でも人気が衰えない「arrows Alpha」、“FCNTが大躍進”の秘密とは? 法林・房野・佐藤が語る

 2025年8月28日に、FCNTから久方ぶりのハイエンドスマートフォン「arrows Alpha」が発売された。

 FCNTらしい圧倒的な堅牢性に加え、扱いやすいサイズ感、優秀なバッテリー性能を搭載しながら、8万円台で買える高コスパを見せる1台。発売半年が経過した3月時点でもAmazon.co.jpや楽天市場のスマートフォン売上ランキングでTOP3にランクインするなど、市場からの評価も高い(FCNT調べ)。

 また、弊誌読者の投票で選ばれる「読者が選ぶ ケータイ of the Year 2025」でも、3位にランクインするなど、大きな反響を呼んだ。同社が一つ前に発売した「arrows We2」では19位だったため、メーカーという枠組みでは大躍進したと言えるだろう。

 そんな「arrows Alpha」について、その魅力や、今後のFCNTに期待するポイントを、ライター陣がざっくばらんに語り尽くした。

 参加者は、携帯業界に精通するライターの法林岳之氏、房野麻子氏、佐藤文彦氏の3人。モデレーターは編集部 竹野が担った。

左から房野麻子氏、法林岳之氏、佐藤文彦氏

「arrows Alpha」は「バランスの良さ」が好評の秘訣

――2025年の「読者が選ぶ ケータイ of the Year 2025」の結果だと、1位はみんなが憧れるような機種になった「Galaxy Z Fold7」、2位は王道の「iPhone 17」ですが、同率3位に「arrows Alpha」と「AQUOS sense10」が並ぶ結果となりました。

 王道メーカー、機種が並ぶ中で、「arrows Alpha」が3位にランクインした理由や、これからのarrowsに求めるものをざっくばらんに語り合ってもらいたいと思います。まずは「arrows Alpha」の印象について伺いたいです。

佐藤
 僕はサイズ感、ディスプレイ性能の高さが気に入っています。約6.4インチを「小さい」とするのかは疑問ですが、片手でも操作しやすいサイズ感なのに加えて、144Hz駆動でゲームも快適です。縦に持っても、横に持っても操作しやすい端末になっていると思います。

 このサイズ、最近は意外と市場に少ないんですけど、ニーズは一定数あると思いますし、この辺りの評価もあって、同率3位という結果になっているんじゃないですかね。

――「人を選ばない」「女性も使いやすい」といったポイントですね。

佐藤
 そうですね。大きい画面にも良さはありますが、スマートフォンをコミュニケーションツールだと考えた時に、文字の打ちやすさなどは絶対的に必要なものです。誰でも扱いやすいのはいいところですし、それがarrowsブランドから出ていることが大事だと思います。

房野氏
 私はかつて、arrowsが大文字だった頃、ハイエンドモデルを使っていましたが、フリーズしたり、電源が落ちたりと、結構厳しかったんですよね。当時はスマートフォンがここまで安定していない時代だったこともあり、そういう端末も多くて……。悲しい思い出もありますが、その頃のarrowsを使っていた人間からすると、「arrows Alpha」はすごく変わったなと思える端末です。

 一応ハイエンドと言われていますが、私としてはミドルハイくらいのイメージ。それに相応しい安定した使い心地で、見た目以上にタフ。防水防塵もしっかりしていて、おサイフケータイにも対応していながら、ミドルハイらしい価格なので、使っていて満足度が高い端末だと思いました。キャリアの購入プログラムを利用すると、かなり安く使えるので、ランキングに入ってくるのも納得です。

法林氏
 一言で言えば、非常にバランスのいい端末。ミドルクラスよりは上のスペックだけど、トップオブトップのハイエンドではない。ただ、現状、多くの人が求めているスペックとしては十分。FCNTが「ハイエンド」と言っていることにも、個人的にはありだと思います。

 バランスというのは、スペックと価格、内容のバランスという意味。あと、佐藤氏も言っているけど、コンパクトなハイエンドモデルが市場にあまりないんだよね。2024年はXperia 5シリーズの後続機が出なかったこともあって、いい価格帯、いいスペックの位置をとれたのではないかと。ユーザーの満足度が高いとも聞いているので、バランスのよさがうまく伝わって、手に取ってもらえて、満足してもらっている。幅広い層が、我慢せずに使える端末として、よくできていると思う。

――片手でも扱いやすく、満足できるスペックが好評の要因ということですね。ハイエンドか、ミドルハイかという話もありますが、販売価格を見ると、かなりアグレッシブな価格になっていると思います。実際、スマートフォンの販売価格には、どのような要素が反映されるのでしょうか。

佐藤
 複合的な要因と言ってしまえばそれまでですが、チップセットのランクもありますし、メモリやストレージも影響します。最近は特にメモリの価格が話題ですね。

 ほかにも、ディスプレイやバッテリーなど、色々な要素が絡み合っての販売価格でしょう。

法林氏
 その通り。ただ、現実的に考えれば、大きい要素はいくつかある。チップセット、ディスプレイあたりが大きく影響する。

 そういう意味では、「arrows Alpha」のチップセットには「MediaTek Dimensity 8350 Extreme」が採用されている。Snapdragonの最上位モデルに匹敵するわけではないけど、「Snapdragon 7」シリーズなら戦える。一定のライン以上のチップセットなら、ある程度使えることがわかっているので、ベンチマークスコアだけを見ている人もいるけど、体感できる差ではないと思う。

「MediaTek Dimensity 8350 Extreme」を搭載

 あと、「arrows Alpha」は結構大きいメモリを搭載しているのも、評価できるポイントだと思う。

――12GBも搭載していますからね。他社の動向を見ても、12GB搭載でただのミドルレンジとは言えない印象です。ちなみに、MediaTekのチップセットは、これまでハイエンド機種に搭載されることが少なかったですよね。

法林氏
 ケータイ of the Year 2025にランクインしている端末では、ほかにMediaTekのチップセットを搭載したモデルがないね。ベンチマークのスコアだけを見るなら、中国系のメーカーが多くMediaTekを採用しているので、上位に出てくるかもしれないけど、体感できる差はない。ヘビーなゲームをするとちょっと違うかもしれないけどね。

佐藤
 それで言うと、「arrows Alpha」は、結構ゲームも快適なんですよ。流石に長時間プレイし続けると、本体の熱が出てくる感覚はありますが、満足できるレベルでヌルヌル動きます。

房野氏
 ダイレクト給電もできますしね。

佐藤
 そうですね。法林氏の話にもありましたが、一定のランクを超えると、体験、体感の差はほとんどなくなってくるので、ベンチマークはそこまで気にしなくて良いと思います。

 それに、arrowsはベンチマークスコアで上位に来なくても、日本ではすでに知名度のあるブランドなので、数字を気にせずに手に取ってくれる人も多かったんじゃないですかね。

房野氏
 「arrows Alpha」を購入する人は、おそらくそこまでベンチマークスコアを気にしていないですよね。

法林氏
 結局は総合力なので、チップセットだけを見て買うのが正しいとは思わない。比較的上の年代の人は、パソコンで同じことを学んでいて、チップセットが良くても、メモリが少ないとダメといった経験があることが多い。ケータイ of the Year 2025のラインアップを見ても、読者が「本当に必要なものが何か」をよくわかっている気がする。

arrows AIから考えるスマートフォンのAI機能

――最近の傾向を見ると、メーカーも体験の部分に注力している印象があります。「arrows Alpha」はAI機能にも注力していて、Geminiはもちろん、独自のAI機能を搭載していて、どんどんアップデートもしています。今はどの機種を見てもAIを搭載していますが、肌感的に、AI機能は必要不可欠なのでしょうか。

房野氏
 「MWC26 Barcelona」を見ても、AI一色でしたね。

編集部注
「MWC26 Barcelona」、毎年スペイン・バルセロナで開催されているモバイル業界の総合見本市。2026年も3月2日~5日に開催され、NTTやKDDIなど日本企業も出展している。

――消費者目線で見ると、そこまでAIはいらない、使いこなせないという意見もあると思いますが、arrows AIは生活に寄り添った機能が多い印象です。みなさんのイメージとして、AIはどうなっていってほしいとお考えですか。

房野氏
 自分からAIを使いにいくというよりは、スマートフォンを使っていく中で、自然とAIが助けてくれるような形が好ましいです。arrows AIで言うと、通知を要約できるのが便利という話をインフルエンサーさんからも聞いていて、外国語の通知も、一部は翻訳してくれるみたいなので、こういう「自分でやらなくていい」機能が増えると良いですね。

 AIエージェントが自動的にアプリを動かすみたいな機能も面白いですが、もう少し細々としたところで、使い勝手が良くなってくれると嬉しいです。

――複雑なAI機能は、そもそもユーザーに伝わっていない可能性もありますからね。頭脳というよりは、気が利くAI機能がほしいという感じですかね。

佐藤
 僕の肌感でも、通知の要約機能は便利です。長時間飛行機に乗っている間とか、物理的に通知をチェックできないタイミングはあると思うので、後から見返しやすいのは助かるポイントです。

 あと、arrows AIには、端末の細かな設定をAIに丸投げできる機能があります。文字を大きくしてほしいとか。設定アプリって、わかりやすいようでわかりにくいんですよね。

――ほかのスマートフォンだと、AIから設定アプリで設定を変えるられるものはあまりない印象ですが、arrows AIはその点最初からできていましたね。

法林氏
 ただ、「arrows Alpha」の発売直後はあまり完成度が高くなかった。日本語の解釈がイマイチで、「画面」と言うか、「ディスプレイ」と言うかで結果が変わるようなことがあった。

佐藤
 そうなんですよね。でもアップデートでかなり良くなっています。リテラシーが高ければ、そこまで重要ではない機能ですが、誰でもAIに丸投げするだけで、設定ができるのは良いところですし、スマートフォンにあまり明るくないユーザーが多いarrowsだからこそ大事な機能だと思います。

――arrows AIには学習機能もありますが、こういったものよりは、通知の要約とか、設定に使えるAIの方が印象的ですか。

佐藤
 学習機能に関しては、年単位で使ってみてどうかなというところだと思います。三世代、四世代……とarrowsを使い続けることで、面白くなっていくかもしれません。

 個人的には、スマートフォンのAIは、アプリを自分で立ち上げずに全ての動作ができるようになるのが理想だと思っています。一言でメールを書いてくれて、チェックするだけでいいとか。ただ、これはまだ時間がかかると思うので、今できることをきっちりとAIでアプローチして、発売からまだ半年程度ながら、アップデートをかけ続けているのは好印象です。

法林氏
 Geminiの部分は、グーグルがどういう方向に行くか次第ではあるので、ほかの部分をどうユーザーの使い方に当てはめていくのかが、メーカーの腕の見せ所。そういう意味では、arrows AIは頑張っていると思う。

 あと、日本語でAIを動かすことにちゃんと取り組んでいる。文字起こし、要約などを含め、よくやっていると思う。日本語のAIはやっぱり難しくて、「ここは英語のままでいいのに」みたいな部分はある。利用者としては、ちゃんと日本語にフォーカスしてほしいし、arrowsはよく取り組んでいることが見て取れる。

――「arrows Alpha」のアクションキーはどうですか。AIを複数使っている人には便利という声もあります。

法林氏
 スマートフォンを使う用途として、AIを使う機会と、支払いをする機会で、どっちが多いのかという話になる。そう考えると、アクションキーは、支払いアプリが立ち上がる方が大事だと思う。

 将来的にAIが進化して、買い物しようとしている時に、位置情報を読み取って、店舗のアプリを立ち上げてくれるような使い方が、本来のAIの進化。ただ、それは相当ステップを踏まないといけない。アクションキーの使い方で考えると、やっぱり決済アプリとか、お店の会員アプリとかになっていくと思う。

佐藤
 そういう意味だと、「arrows Alpha」のアクションキーは、AIアプリ以外も設定できるので、僕もそうですし、決済アプリにしている人も多いでしょう。「arrows Alpha」のアクションキーは、短押し、2回押し、長押しの3パターンが設定できるのが便利です。

――飛行機のチケットは、チケットレスになっていて、ウォレットアプリに登録できるようになっています。時間が近くなると、自動的に通知が出てきて便利ですが、これに近い体験がAIで増えるといいですね。

房野氏
 確かに、チケットは対応しているけど、ほかのアプリはなかなか対応しませんね。

法林氏
 それは時間軸で設定しているから。位置情報を取るとなると、個人情報の取り扱いなど、まだ壁が多い。

――逆に、毎週金曜日に薬局で買い物をするから、このお店のクーポンを出すみたいな機能が出来てもいいですね。位置情報を取得するという話だと、日本メーカーであるFCNTの安心感は強いと思います。ケータイ of the Year 2025のコメントを見ても、日本メーカーに期待する声は多くあります。

法林氏
 そういう意味だと、日本のユーザーならではの困りごとを解決してくれるような機能がほしい。最近だと迷惑電話が多いので、国際電話はすべて拒否するようなAIが出てきてもいいはず。

佐藤
 確定申告までしてくれないかな(笑)。

――会計アプリだと、写真をアップロードするだけで計算してくれたりしますよね。

佐藤
 そうなんですけど、アプリにアップロードする手間すらなくなって、arrowsでただ領収書の写真を撮るだけでいいとか、支払いアプリから決済データを取得してくれるとか。そこまできたら嬉しいですね。

法林氏
 それを端末側でやるのは、流石にまだ大変だよね。

――ライターという職業柄、アウトプットにそのままAIを使うわけにはいかないと思いますが、皆さんはAIは活用されていますか。

法林氏
 執筆はやらせない。圧倒的に調べ物に使っているね。

佐藤
 あとは、情報の整理に使うことはあります。それと、文字起こし機能は多くのライターが使っていると思います。

法林氏
 僕たちにとってレコーダーでの文字起こしは必須級の機能だけど、一般の人が普段の生活で録音、文字起こしをするかというと、ほとんど使わないよね。ビジネスパーソンが会議の録音をして、議事録を作るくらいかな。

佐藤
 僕は両親と話す時は全部録音していますよ。

法林氏
 それは特殊だと思う(笑)。

房野氏
 あとは、アイデアを録音するという人はたまにいますね。

法林氏
 たまにいるけど、やっぱり録音するシーンは少ない。文字起こしが便利と言っても、一般の人からすると、写真から人物を消す機能とかの方が大事になるし、それが本来、スマートフォンにおけるAIの入り口になる。

――一方で、音声でプロンプトを入力する形は、日本人的にはあまり見ないですよね。

法林氏
 最近は増えてきたけど、世界的に見ても、日本人は音声での入力が少ないらしいね。

5000mAhの大容量バッテリーと90W充電器の同梱が嬉しいポイント

――スマートフォンに求める機能はさまざまですが、「arrows Alpha」が5000mAhバッテリーを搭載しているのに加え、90Wの充電器を同梱している点については、どう受け止めていますか。

法林氏
 お得だよね。最近はそもそも充電器が同梱されない製品も多いし。

90Wの急速充電器が同梱されている本機

――急速充電機能は、必須と考えますか。

法林氏
 あった方がベターだし、充電器が同梱されている方がよりベター。あとは、充電のコントロール、温度管理とかが端末側でしっかりとできていることが大事。

 僕らは特殊で、複数の端末が机の上に並んでいたりするので、端末の写真を撮るときに急いで充電したりする。一般ユーザーでも、寝るときに充電を忘れてしまっても、朝支度をしている間に充電すればいいという安心感は大きい。急速充電があるからといって、絶対に使わないといけないわけではないからね。

 「arrows Alpha」は電池持ちも良いので、同梱の充電器は、家に置いておいていい。

房野氏
 1日使っていても問題ないバッテリー容量ですね。

――バッテリー関連でいうと、先ほどもダイレクト給電のお話が出ましたね。

法林氏
 長くスマートフォンを使っていくと、電池がへたっていくのは仕方ないので、バッテリーを保護する意識が広まっているのは良いこと。そういう意味では、急速充電はバッテリーの負荷が大きいんだけど、保護はしっかりとできている。

佐藤
 最近はシリコンカーボンバッテリーといって、搭載バッテリーの大容量化が進んではいますが、「arrows Alpha」の画面サイズで5000mAhバッテリーを搭載している意義は大きいです。バッテリーの消費は、ディスプレイが大部分を占めるので、「コンパクトながら5000mAhバッテリーを搭載しているから電池持ちがいい」というのは、わかりやすいメリットです。

――以前、「arrows Alpha」を分解するところを見せてもらいましたが、バッテリーがかなりの容量を占めています。大事だと言いつつ、スペック上削りやすいのもバッテリーだったりするので、かなり工夫を感じるポイントですよね。

房野氏
 SIMスロットを廃止して、バッテリー容量を増やしたと言われている機種もある中で、「arrows Alpha」はSDカードにも対応しながら、5000mAhを搭載していますからね。

――分解はかなり力技でした。

2人がかりで分解するほど頑丈なarrows Alpha。修理時には専用の治具を使用する

房野氏
 防水防塵もすごいですよね。

法林氏
 「arrows Alpha」のすごいところは、分解修理をした後も、耐衝撃とか防水を担保した状態でユーザーに戻ってくること。これが結構すごい。テスト環境が整っているし、国産メーカーの耐衝撃性はやっぱり目を見張るものがある。

国内にラボを持ち、耐久試験を実施している(画像は、arrows Alphaがねじられているところ)

佐藤
 そういう意味では、やっぱりケースを着けずに使ってもらいたいですね。せっかくのコンパクトサイズですし。

約5000万画素のカメラを搭載。望遠カメラは必要?

――アウトカメラは広角約5030万画素、超広角約4990万画素、インカメラが約4990万画素ですが、印象はいかがですか。


法林氏
 インカメラの約4990万画素はなかなかないよね。これこそハイスペック。

佐藤
 びっくりしたポイントですね。

――イメージセンサーも小さいわけではなく、手ぶれ補正もあって、必要機能は揃っている印象ですかね。

法林氏
 アウトカメラ、インカメラの両方だけど、5000万画素もあれば、ピクセルビニング(隣り合う複数のピクセルを1つの大きなピクセルとして使う技術)がしやすくなる。インカメラでの撮影は、どれだけ光を撮れるのかが重要になるけどね。

――AI機能も充実していて、ポートレートもしっかり撮影できます。近年はインカメラで動画を撮ったり、推し活で使われたりと、カメラのニーズが高まっていますよね。

佐藤
 推し活という意味ではアウトカメラが主流だと思いますが、ショート動画をインカメラで撮るニーズは増えていますよね。

 「arrows Alpha」のアウトカメラは、いい意味で驚かされる完成度でした。ここまで綺麗に撮れるようになったのかと。

法林氏
 最近のスマートフォンは、どれでもある程度綺麗に撮れるようになってきているから、差別化が難しいところではあるけど、一番違いが出るのは、暗いところ。「arrows Alpha」は暗いところでもしっかり撮れるようになっている。

 超広角カメラは、周囲の歪みが若干あるけど、それはみんなそうだからね。細かいことを言い出すとキリはないけど、完成度は高いと思う。

――超広角カメラに約4990万画素を搭載しているのもポイントですよね。一方で、望遠カメラが非搭載となっていますが、ここの評価はいかがですか。

法林氏
 今すぐではないだろうけど、望遠カメラは購入動機になっていくと思う。スマートフォンのカメラは、これから推し活のためのカメラになっていくので、望遠カメラがあって、明るく撮れて、AIで人物補正がしっかりとできないといけなくなっていく。

佐藤
 アーティストのライブとかだと、最近は“一曲だけ撮影OK”みたいな時間があるので、望遠カメラが必須という話も聞きます。

房野氏
 私は最初「いらないかな」と思っていましたが、やっぱりあると使いますね。

法林氏
 食事だけ撮影する人はいらないかな。

房野氏
 食事も、少し離れて、望遠カメラで撮影すると、影が入らないとか、結構使い道がありますよ。ただ、「arrows Alpha」はカメラの下に自律神経を測定するセンサーがついているので、これとどちらを取るのかになってしまいますね。

――望遠カメラは「あった方がいい」とお考えですか。

佐藤
 ないものねだりじゃないですけど、もちろんあった方が嬉しいのは事実です。ただ、望遠カメラを搭載すると、どうしても価格は上がるので、どちらを取るのかという話でしかない。バランスを見た結果、アウトカメラは2眼になったんだろうなという納得感はあります。

法林氏
 やり方はいろいろあって、広角カメラのセンサーサイズを大きくして、撮影したものを切り出して、AIで補正するといった方向もある。望遠カメラを入れてもいいけど、構造は複雑になるし、価格はどうしても上がる。

佐藤
 ただ、そこで引っかかった話をするのであれば、望遠カメラ非搭載のモデルで、ハイエンドモデルと言い切るのは違うかなと思ってしまいました。必要かどうかという話はさておき、ハイエンドを名乗ると、他社のハイエンドと見比べてしまいますし、arrowsとして、今後も望遠カメラを搭載する上位のモデルが出てこないのではないかという想像もしてしまいます。

法林氏
 難しいところだね。ハイエンド、フラッグシップという言葉の定義が難しいタイミングが来ている。

佐藤
 ただ、少なくとも二眼カメラは優秀なので、シングルカメラのモデルを選ぶよりは、こっちの方が使い勝手はいいんじゃないかなと思いますね。

次なる「arrows Alpha」に求める機能とは

――「arrows Alpha」の注目度が高かったこともあり、おそらく後続モデルも出てくると思いますが、ケータイof the Year 2025で3位だったことを踏まえて、2位、1位と昇っていくために必要な要素は、どのようなところだと思いますか。

房野氏
 価格のバランスは難しいと思いますが、個人的には、512GBストレージは持て余すので、そこを減らして、望遠カメラをつけて欲しいなと思いました。

――ストレージのバリエーションが欲しいですかね。

佐藤
 microSDカードも使えますからね。

法林氏
 そう。microSDカードが使えるから、512GBではなくてもよかったかなと思う。

房野氏
 256GBと選べるようになって欲しいですね。あと、いろいろと値上がりしていますが、なるべく今の値段をキープしてほしいです。

法林氏
 10万円を切るというのは、いい狙い目だと思う。キャリアの割引を踏まえて考えると、月々の支払額もかなり抑えられる。その中で、じゃあ次のスペックとして何を求めるのかと考えると、画面サイズが大きいものが欲しいとか、望遠カメラが欲しいとかになるかな。

――画面サイズが大きくなると、本体も大きくなりますが、この辺りはいかがでしょう。

法林氏
 そうなんだけど、コンパクトなサイズはできているので、もう1つ大きい画面があってもいい。ただ、大画面はライバルが多くなる。

佐藤
 2サイズ展開するということですか?

法林氏
 そうすると、売り上げがばらけるんだよね。ただ、コンパクトなサイズは、ユーザーの年齢層を狭めている気がする。今は動画を見る人が圧倒的に多いので、ディスプレイサイズはもう少し踏み込んでもいいと思うよ。

 画面を大きくすると、耐久試験とかもやり直さないといけないから、大変なんだけど。「arrows Alpha」のサイズ感は、本当に絶妙なんだよね。

佐藤
 小さいのが好きな人がいれば、大きいのが好きな人もいるのが世の常ですから、正解はないですよね。

房野氏
 私はそもそも、「arrows Alpha」はそこまで小さいと感じないんですよね。縦に長いですよね。

佐藤
 6.4インチを小さいと表現するのは、数年前の基準で言うと、若干違和感がありますよね。

法林氏
 ただ、世の中の傾向として、ディスプレイの基準サイズは少しずつ大きくなっている。「arrows Alpha」の好評は、このスペックでこのサイズというライバルがあまりいないことも要因だと思う。

――サイズもそうですが、個人的にはカラーバリエーションがあってもいいと感じています。耐久性にも優れている端末として、ケースを着けない人のためにも、黒と白だけではもったいないと感じてしまうのですが。


法林氏
 3色目となると、シルバーを選びがちなんだけど、arrowsにはそこを超えて、もう少し新しい色が欲しいな。ただ、背面パネルに色をつけると、素材から色をつけるのか、塗るのかといった話も出てくる。「arrows Alpha」の素材で、そもそも何色が作れるのかという話にもなってくるよね。

佐藤
 やっぱり流行りのシースルーじゃないですか。

房野氏
 それはFCNTっぽくないですね(笑)。

佐藤
 だめですか(笑)。いずれにせよ、もう1色くらいは欲しいですね。

法林氏
 本体カラーじゃなくて、色のついたクリアケースをつけるとかでもいいけど、いろいろとアレンジの仕方はあるよね。ただ、ケースを出すにしても、手帳型がいいとか、クリアケースがいいとか、悩む部分は多い。

――ケースでもいいから、個性が欲しい?

法林氏
 ファンが「俺はarrowsを使っている」って主張しやすいデザインは欲しい。やっぱり、カラーバリエーションは欲しいかな。

佐藤
 言い方はよくないですけど、売れ行きとしては白と黒が大部分を占めるでしょう。だからこそ、プロモーションとしてもう1色、目を引く色があってもいいと思います。

法林氏
 それはそうだね。

佐藤
 そうですよね。広告を出すときに、白と黒のスマートフォンが並んでいるのと、派手な色のスマートフォンがあるのだと、目の引き方が違うと思います。認知されるためという意味でも、やっぱりカラーバリエーションは欲しいです。

法林氏
 売り上げ台数がそこまで伸びなくてもいいからね。インパクト次第で、その色だけ爆発的に売れるようなこともあるけど。

――今後の期待という形では、「arrows Alpha」は現時点で、かなりバランスが整っている端末という印象ですかね。

法林氏
 バランスはすごく取れていると思う。ちょうどいい落とし所が見つかっていて、普通に使う人なら不満がない完成度。

房野氏
 もっと上位の、フラッグシップモデルは出てこないんですかね。

佐藤
 フラッグシップモデルを見たい願望はありますけどね。

法林氏
 売れるかという問題があるし、フラッグシップモデルはいろいろと制約があるからね。

佐藤
 折りたたんでみますか?

法林氏
 いや、FCNTは折りたたまないで欲しいな。無理に折りたたみとかはやらないでいい。バリエーションを出すなら、やっぱり大画面モデルかな。

――海外展開をするなら、尚更大画面が欲しいですね。

法林氏
 そうだね。コンパクトモデルが求められる日本は特殊で、アジアではやっぱり大画面が支持されているので、同スペックで2サイズ展開をするのは、悪い話ではない。あとはカラーバリエーションかな。

arrowsブランドの安心感と今後の期待

佐藤
 ケータイof the Year 2025で3位にランクインしているのは、一時期調子を落としていたFCNTが、ここまでバランスの整った、いいスマートフォンを作っているという喜びと、今後への期待感も込みだと思います。

 だからこそ、次が勝負どころだと思っていて、大画面なのか、フラッグシップなのか、カラーバリエーションなのかは分かりませんが、注目度はかなり上がっていると思います。

法林氏
 そうだね。

房野氏
 期待を上回らないといけませんからね。

佐藤
 あえてここで、スマートウォッチとイヤホンを作ってくださいと言っておきましょうか。

法林氏
 それもありかな。イヤホンで言うと、ノイズキャンセリングみたいなことを最初にやったのは、富士通のらくらくホンなので、音響技術は持っている。オーディオ側に振ると難しいけど、片耳イヤホンみたいなのを作ってもいいよね。スマートフォン本体の背面に、片耳用イヤホンがつけられるとか。

佐藤
 そうですね。ウェアラブル機器の展開があっても面白いです。あと、背面に取り付けると言う話で思い出しましたけど、ワイヤレス充電機能は欲しいです。

法林氏
 厚さが変わるから難しいけどね。

佐藤
 Qi2じゃなくてもいいので、ワイヤレス充電はぜひ。

法林氏
 マグネットは、ケース側でつけてもいいからね。それでイヤホンも取り付けてもらおう。

房野氏
 最近は、イヤホンに健康管理機能が搭載されているものも出てきていますからね。

佐藤
 そうですね。周辺機器にヘルスケア機能を搭載して、arrowsスマートフォンでまとめるとか。

――スマートフォンのトレンドが色々とある中で、「arrows Alpha」が選ばれる要素、ただ「安い」だけではない魅力は、どのようなところですか。

法林氏
 スマートフォンの買い替え動機は、「壊れたから買う」がとても多い。あとは、端末購入プログラムの期限になったからとか。そういう人は、買うタイミングでしかスマートフォンのことを調べないので、普段からarrowsのブランドイメージは作っておかないといけない。

 arrowsの大きなアドバンテージは、絶対的に安心、安全である点。買い替えサイクルが4年くらいになっていることを考えると、長く安心して使えるという要素も重要になる。

 耐久性に優れると言っても、実際にスマートフォンを落として、割れていなかったというシーンを目にする人は少ない。目にする、体験することで、次は耐久性に優れた端末を買おうと思えるので、CMでもいいけど、普段の生活に近い演出があった方がいい。洗い物中に水没させるとか、自転車を漕いでいる時にアスファルトに落とすとか。多くの人にベーシックなイメージを持ってもらうという意味では、壊れない、安心という要素は大きい。

房野氏
 自律神経測定も含めて、小ネタはたくさんあるので、大掛かりなCMじゃなくても、ちょこちょこと露出できるといいですよね。

佐藤
 トレンドという流れを読むのは難しいですけど、自律神経測定機能が好きな人がいれば、ディスプレイ性能の高さが気に入っている僕みたいなのがいて、コンパクトなハイエンドとしてバランスがいいと言う法林氏もいる。どこが誰に刺さるかは未知数なので、色々な機能を、色々なところでアピールし続けて、「arrows Alpha」の認知度を上げる勝負なんじゃないかなと思っています。

法林氏
 引き出しは多い方がいいよね。

佐藤
 そうですね。細々とでもいいので、いろいろな要素を露出できるといいなと思います。発売前後だけではなく、長く露出してもらいたいです。

法林氏
 海外メーカーには初速を大事にしているところが多いけど、僕は逆に、長く露出していくべきだと思っている。初速だけだと、2カ月後には忘れられてしまう。

佐藤
 端末が壊れるタイミングで、検索結果に上がってくるか、目に入るかという勝負なので、情報は出続けていないと厳しいですよね。

法林氏
 小ネタでいい、細かいのでいいので、1年を通してネタが出続けている方が、効果はあると思う。

佐藤
 発売からしばらく経ってから、あらためてキャンペーンをやってもいいですしね。

法林氏
 それこそ、自律神経測定の時間が短縮されたとか、そういうアップデートの情報は、どんどん発信していいよね。アップデートって、セキュリティパッチみたいな、マイナスを解消するためというイメージが強いけど、本当はプラスの機能もある。これからもどんどん露出していってほしいね。

――ありがとうございました。

 完成度が高い「arrows Alpha」。ライター陣からは、バランスの良さや画面サイズ、バッテリー性能、AI機能などさまざまな点が評価された一方、次世代に向けてさまざまな意見、アイデアが出された。

 ソフト面では、直近でもAI機能や自律神経測定機能の機能改善が図られており、アップデートを重ねるたびに完成度が向上している。「長く使えるスマートフォン」として、この春に機種変更を考えている方は、その候補にぜひ「arrows Alpha」を加えてもらいたい。