iPhone駆け込み寺

アップル発表会を総まとめ――2つのサイズが用意される「iPad Air」と薄くて高性能になった「iPad Pro」

ティム・クックCEO

 アップル(Apple)は、5月7日23時(日本時間)にイベントを開催し、iPad AirとiPad Proの新モデルなどを発表した。予約受付はすでに開始されていて、発売は5月15日以降となる。

 発表会の冒頭では、2月に北米で発売されたVision Proの活用事例も紹介されたが、Visionシリーズの新モデルや北米地域以外での販売などについてはアナウンスされていない。

2サイズ展開になるスタンダードモデルの「iPad Air(M2)」

 iPad Airシリーズとしては、「iPad Air(M2)」が発表された。前モデルまでは11インチの1サイズのみだったが、新たにサイズバリエーションが追加され、11インチと13インチから選べるようになっている。

 発表会においてアップルは、「iPad Proユーザーの約半数が大きなサイズを選ぶので、iPad Airにも13インチモデルを作った」と説明している。

 ちなみに前モデルのiPad Air(第5世代)のスペック表記は「10.9インチ」で、iPad Air(M2)の表記は「11インチ」になるが、いずれもディスプレイのスペック上の解像度は2360×1640ピクセル、264ppiで同等。詳細なスペックでは、11インチiPad Air(M2)のディスプレイは10.86インチ相当とされている。

 13インチのiPad Air(M2)のディスプレイ解像度は、2732×2048ピクセル、264ppiで、こちらは前モデルの12.9インチiPad Proと同じ解像度となる。詳細なスペックでは、13インチiPad Air(M2)のディスプレイは12.9インチ相当とされている。

 従来は短辺側ベゼルに内蔵していたインカメラの位置が長辺側に変更され、横長状態でスタンドなどに立てかけてビデオ会議などが使いやすくなっている。空間オーディオ対応のステレオスピーカーを内蔵し、13インチモデルでは低音域が強化されているという。

 前モデルに比べるとプロセッサが強化され、新たにM2チップを搭載する。アップルでは「M2は多くの面でM1を上回るパワフルなチップ」と紹介していて、CPU/GPU/Neural Engineの強化に加えメモリ帯域の高速化により、クリエイティブアプリからゲーム、AIを使った処理が高速化しているとしている。システムメモリの容量は8GBで、こちらは第5世代モデルと同等。

 このほかのサイズやカメラなどのスペックは、従来製品とほぼ変わっていない。引き続きトップボタンに指紋認証センサー内蔵のTouch IDを搭載する。通信機能の面では、新たにWi-Fi 6Eに対応したほか、セルラーモデルでnano-SIMが廃止され、eSIMのみの対応となっている。

 充電はUSB-Cポートで、こちらのポートは最大10GbpsのUSB 3とDisplay Portに対応するが、Proモデルと違ってUSB 4やThunderboltには対応しない。

 サイズは11インチモデルが247.6×178.5×6.1mmで重さは462gで、こちらは前モデルとほぼ同じ。13インチモデルは280.6×214.9×6.1mmで重さはWi-Fiモデルが617g、セルラーモデルが618g。

 ストレージ容量のバリエーションは、いずれのモデルも128GB/256GB/512GB/1TBの4種類。第5世代では64GBと256GBだったので、最小容量が増やされるとともにバリエーションが増えている。

 アクセサリ製品としては、同時に発表された「Apple Pencil Pro」に対応するほか、既存製品の「Apple Pencil(USB-C)」にも対応するが、「Apple Pencil(第2世代)」には対応しない。

 「Magic Keyboard」には対応し、「11インチiPad Air(M2)用Magic Keyboard」は従来の11インチのiPad Air/Proとの互換性がある。一方で11インチ向けの「Smart Keyboard Folio」(トラックパッドのないキーボードカバー)の互換性リストにiPad Air(M2)はリストされていない。キーボードのないカバーの「Smart Folio」は用意され、11インチモデルは従来のiPad Air向けのものと互換性がある。

 なお、今回発表されたiPadの名称は、従来のアップル製品で一般的だった(第5世代)といった呼称ではなく、代わりに採用チップセット名で、「11インチiPad Air(M2)」のような表記となっている。

 Wi-Fiモデルの価格は、11インチモデルで9万8800円~18万6800円、13インチモデルで12万8800円~21万6800円。セルラーモデルは2万6000円高くなる。

新プロセッサ「M4」を初搭載する「iPad Pro(M4)」

 iPad Proシリーズの新製品「iPad Pro(M4)」は、新チップセットの「M4」を搭載する。ディスプレイにはiPadでは始めてOLEDを採用。デザイン面では従来モデルよりも薄型化している。

 サイズは従来モデル同様に2種類だが、大型モデルの呼称が従来の「12.9インチ」ではなく「13インチ」になっている(11インチモデルは継続)。

 ストレージ容量は256GB/512GB/1TB/2TBの4種類で、256GB/512GBモデルに比べ1TB/2TBモデルはシステムメモリ容量やプロセッサのコア数、ディスプレイに表面仕上げが上位仕様となっている。

 M4は今回初めて発表されたされたチップセットで、Macにも未搭載のものとなる。前世代のiPad Pro(第6世代)はM2を搭載しているので、一気に2世代のアップデートとなる。

 M4は第2世代の3ナノデザインで、電力効率を向上させていて、同じ作業をするならM2の半分の電力で稼働するという。256GB/512GBモデルのM4は、3つの高性能コアと6つの高効率コアの9コアCPU、10コアGPU、16コアNeural Engineを搭載でシステムメモリは8GB。一方、1TB/2TBのM4はCPUが4つの高性能コアと6つの高性能コアの10コアでシステムメモリは16GBとなっている。

 M1/M2/M3では4つの高性能コアと4つの高効率コアの組み合わせだったので、M4では主に高効率コアが強化され、さらにCPUコアに次世代の機械学習アクセラレータを備えている。機械学習向けのNeural Engineはコア数こそ従来チップ同様の16コアだが、「アップル史上最もパワフル」としている。

 M4チップはレイトレーシングとメッシュシェーディングのハードウェアアクセラレータも内蔵。また、新しいOLED向けのディスプレイエンジンも搭載している。筐体内にグラファイトシートを内蔵し、背面のアップルロゴに銅を採用することで、排熱性能は2割向上しているという。

 ディスプレイにはOLEDを2枚重ねることで輝度やダイナミックレンジを強化したタンデムOLED構造の「Ultra Retina XDRディスプレイ」を搭載する。ディスプレイの解像度は11インチモデルが2420×1668ピクセル、264ppiで、13インチモデルが2752×2064ピクセル、264ppi。いずれも前モデルよりも若干大きくなっている。

 前モデルに比べると輝度が向上したほか、1TB/2TBモデルではナノメートル単位のエッチング処理を施し、環境光を散乱させることで屋外での視認性を向上させる「Nano-textureディスプレイガラス」をオプションとして選択できる。Nano-texture仕様はMac向けディスプレイ製品「Studio Display」などでもオプション提供されている。

 デザイン面では横幅などのサイズは前モデルとやや異なっていて、とくに薄型化・軽量化が図られている。

 11インチのiPad Pro(M4)は、249.7×177.5×5.3mmで、重さはWi-Fiモデルが444g、セルラーモデルが446g。前モデルの11インチのiPad Pro(第4世代)は247.6×178.5×5.9mmで、重さが466gと468gだったので、サイズが若干変更され、薄型・軽量化している。

 13インチのiPad Pro(M4)は、281.6×215.5×5.1mmで、重さはWi-Fiモデルが589g、セルラーモデルが582g。前モデルの12.9インチのiPad Pro(第6世代)は280.6×214.9×6.4mmで、重さは682gと684gだったので、11インチモデルより大幅な薄型・軽量化となっている。

 カメラは前モデルのiPad Pro(第6世代)では12MPの広角カメラと10MPの超広角カメラのデュアル構成だったが、iPad Pro(M4)では12MPの広角カメラのシングル構成となっている。LiDARスキャナーは引き続き搭載。

 インカメラは前モデル同様、顔認証のFace ID機能を搭載するTrueDepthカメラで、スペックも同等だが、搭載位置が長辺側となることでiPadを横向きスタンドに置いた状態でビデオ会議などが使いやすくなっている。スピーカーは従来のProモデル同様の4スピーカー構成。

 通信機能は前モデル同様にWi-Fi 6Eまでの対応。セルラーモデルもnano-SIMスロットは搭載せず、eSIMのみの対応となる。USB-Cポートで充電や通信を行なうが、こちらは前モデル同様、ThunderboltやUSB 4の接続にも対応している。

 アクセサリ製品としては、新発表の「Apple Pencil Pro」と「Apple Pencil(USB-C)」に対応する一方、従来の「Apple Pencil(第2世代)」には非対応。キーボードカバーも新デザインの「iPad Pro(M4)用Magic Keyboard」のみの対応となる。安価な「Smart Keyboard Folio」はないが、キーボードのないカバー「Smart Folio」は用意される。iPad Pro(M4)はサイズが微妙に変更されていることもあり、多くのケース製品で従来製品との互換性がない。

 「iPad Pro(M4)用Magic Keyborad」は、従来モデルになかったファンクションキーが追加されたほか、トラックパッドは大型化し、クリックは機械式ではなく触覚フィードバックとなるなど、MacBookに近い進化をしている。また、機械加工されたアルミニウム製となり、本体に合わせた2色のカラーバリエーションで展開する。従来モデル向けの製品同様、パススルー充電が可能なUSB-Cコネクタをキーボードヒンジ側面に搭載する。

 Wi-Fiモデルの価格は、11インチモデルで16万8800円~34万800円、13インチモデルで21万8800円~39万800円。セルラーモデルは3万6000円、Nano-textureガラス仕様は1万6000円高くなる。

新iPad専用の「Apple Pencil Pro」

 Apple Pencilの新製品として、「Apple Pencil Pro」も発表された。こちらは今回発表されたiPad Air(M2)とiPad Pro(M4)のみが対応する。

 Apple Pencil Proからの新機能としては、従来は側面タップ操作のみだったのに対し、側面を指で強く押す「スクイーズ」操作が追加される。さらにジャイロスコープを内蔵することで、回転も検出する。スクーズやタップ操作を分かりやすくするための触覚フィードバックも追加されている。

 このほかにも新たに「探す」アプリで位置を検出できるようになった。ホバーやダブルタップなどの操作、iPad側面に貼り付けての充電・ペアリングは従来のApple Pencil同様に対応。

 Apple Pencil Proの価格は21,800円で、Apple Pencil(第2世代)と同額。今回発表されたAir/ProはApple Pencil ProとApple Pencil(USB-C)のみの対応で、従来のApple Pencil(第2世代)には対応せず、逆に従来のiPadシリーズではApple Pencil Proは利用できない。

プロ向けアプリ「Final Cut Pro」と「Logic Pro」もアップデート

 アップルによるプロ向けビデオ編集アプリ「Final Cut Pro」とプロ向け音楽編集アプリ「Logic Pro」もアップデートされる。

 Final Cut Proは複数のiPhoneやiPadを接続し、それらのカメラをコントロールするライブマルチカメラ機能が搭載される。このための「Final Cut Camera」というアプリも配信される。

 Logic ProではAI機能を使ったドラム追加機能にバスプレイヤー機能とキーボードプレイヤー機能が加わる。

無印iPad(第10世代)は価格改定で若干の値下げ

 iPad(第10世代)は価格改定された。日本でも約1万円の値下げとなり、58,800円からとなっている。

 今回発表されたiPad Air(M2)とiPad Pro(M4)も含め、日本での価格と北米での価格を税抜きで比較すると、概ね1ドル150~155円のレートとなっている。

 北米での初出価格は、11インチのiPad Air(M2)が599ドルからで、前モデルのiPad Air(第5世代)の初出時価格と同じ。物価上昇や最小ストレージサイズの倍増を鑑みると、北米での最小価格の据え置きは値下げにも等しいが、日本での初出時価格は前モデルiPad Air(第5世代)が7万4800円からに対し、iPad Air(M2)が9万8800円からと、円安ドル高を反映して大きな値上げとなっている。