レビュー
さらなる進化を期待したいが、現状でもコスパ最強! Nothingのスマートウォッチ「CMF Watch 3 Pro」
【CMF Watch 3 Pro】
2025年9月26日 00:00
Nothingが7月24日に発売したスマートウォッチ「CMF Watch 3 Pro」を使ってみた。「CMF」はNothingのサブブランドで、低価格ながらデザインに凝った製品をリリースしている。CMF Watch 3 Proも昨今のスマートウォッチとして十分な機能を備えつつ、1万3800円とお手頃だ。筆者はNothing Japanから製品を借りて、2週間ほど使ってみた。iPhone 16 Pro(iOS 18)とペアリングして使ったが、試用期間中にNothingのPhone(3)を購入したので、Phone(3)と接続させた場合の挙動も確認した。
奇抜ではなく、多くの人に支持されそうなデザイン
Nothingのデバイスは、個性的なデザインに惹かれて購入する人が多いだろう。CMF Watch 3 Proもシンプルにかっこいい。奇抜さはなく、多くの人に好まれるデザインのようにも思う。
文字盤は腕時計として一般的な円形で、ケースは金属製。ベゼルは内側に向かって傾斜があり、窪みにディスプレイがある。お皿のような形状だ。うっかり壁などにぶつけても、画面にキズがつく心配はないだろう。
ケースの右側には回して操作できるボタンを搭載。押すと機能メニューが表示され、回してスクロールできる。カチカチと2回押して、よく使う機能を素早く呼び出す設定も可能。初期設定ではボイスレコーダーが設定されている。
筆者は前モデルのCMF Watch Pro 2を持っているが、CMF Watch 3 Proは前モデルよりも画面が大きくなり、よりスタイリッシュな印象になった。前モデルはチープ感というか、いい意味でカジュアルな趣だったが、CMF Watch 3 Proにチープさはない。高級とは言えないが、オモチャっぽくは見えず、1万円台とは思えない質感に仕上がっている。
カラバリはダークグレー、ライトグレー、オレンジの3色。ベルトはシリコン製で、仕上げはそれぞれ異なるようだ。筆者はダークグレーを使ったが、軽やかな装着感で、着けたまま寝ても気にならなかった。
設定やデータ管理に使うアプリもスタイリッシュ
スマホとの接続や初期設定、計測したデータの管理などには「Nothing X」アプリを用いる。前モデルまでは「CMF Watch」アプリを用いたが、「Nothing X」アプリに統合された。「Nothing X」はNothingのスマホにはプリインストールされていて、Nothingのイヤホンにも使うアプリなので、Nothingデバイスのユーザーには便利だろう。
筆者はiPhone 16 Proと接続して使ったが、迷うことなくペアリングに導かれて、使い始めることができた。
「Nothing X」アプリは各種設定を行う「マイデバイス」とヘルスケアデータを管理する「健康」の2つの画面を切り替えて使う趣向。Nothingのデザインコンセプトに合わせて、白・黒・赤の3色で構成されたデザインになっている。見栄えはよいが、普段、色を多用する画面を見慣れている筆者には、パッと見での視認性が低いように感じた。
ヘルスケア機能は必要十分
健康状態を調べる機能としては、心拍数、血中酸素濃度、睡眠、ストレスを測定可能。いずれも自動でモニタリングする設定ができ、必要な設定をしておけば、あとは何もしなくていい。
計測の精度が高いか否かを判断するのは難しいが、筆者が普段使っているスマートウォッチと比べて違和感のない数値が出ていたので、信用していいだろう。なお、Nothingによると、心拍数の測定精度は前モデルに比べて、運動中は最大30%、安静時は最大15%向上しているとのこと。それによって、睡眠のモニタリング性能も向上しているそう。睡眠はかなり細かく分析され、簡単なアドバイスも得られる。必要十分といった印象だ。
ワークアウト機能は一般人向けの印象
「軽い運動」から起動するスポーツモードは131種類を用意。そのうちランニング、ウォーキングなどの7つのアクティビティは運動を開始したことを自動で認識する機能を備えている。例えば、筆者が10分ほど歩いていると、ウォーキングの開始が検出され、有効にすると、10分前からの歩行データが遡って記録された。
デュアルバンドのGPSを搭載し、ランニングやウォーキングの際に位置情報を取得することも可能。接続したスマホを持っていなくても、走った距離・速度などが記録され、あとでスマホの「Nothing X」に同期し、走った経路を地図で確認することもできる。
ワークアウト機能の使用感は標準的だったが、運動中に表示される画面もスタイリッシュなので、運動の強度・時間などの視認性は低いと感じた。
継続的にランニングしたい人に向けて、AIがパーソナルなランニングプランを作成してくれる機能もある。比較的、継続しやすいプランが提案されるようで、例えば「15分程度の軽いジョギングを週に3回程度」といったプランを作ることもできる。CMF Watch 3 Proのワークアウト機能は、本気のアスリート向けではなく、健康維持のために“軽い運動”を続けたい人に適している印象だ。
CMF Watch独自の機能としては「アクティブスコア」というものがある。心拍数から導き出され、1週間の活動スコアが数値で表示される。100を超えるのが目標で、使っていると、運動が足りているか否かを客観的に判断する目安となった。
ChatGPTとの連携にはNothingのスマホが必要
CMF Watch 3 Proには、いくつかの便利な独自機能が搭載されている。まずはボイスレコーダー。正確には「録音の文字起こし」という機能で、ウォッチで音声を録音でき、そのデータを「Nothing X」アプリに送信すると、文字起こしができるというもの。しかし、残念ながら英語にしか対応していない。ダメ元で、日本語の録音を試してみたところ、英語に翻訳されて文字起こしされた。それができるのであれば、逆もできるのでは? と期待してしまう。今後のアップデートに期待したい。
次に「ChatGPT」との連携機能。これはNothingのスマホと接続している場合にだけ使える機能だ。筆者がPhone(3)と接続して試してみたところ、声で質問すると、話し言葉で回答してくれた。非常に使いやすかった。
なお、どのスマホと接続した場合も音声アシスタント機能を利用可能。iPhoneと接続した場合は「Siri」、Androidスマホと接続した場合は「Gemini」を利用できた。
「Essential ニュース」という機能もある。あらかじめ設定した情報に基づき、AIがユーザーに最適化したニュースが音声で聴ける趣向。これも英語のみで、日本語のニュースは聴けない。なお、Essential ニュースは「Nothing X」アプリでも聴けて、スマホで聴いたほうが音がいい。ウォッチの機能としては、さほど魅力を感じなかった。
電話の着信時や音楽再生時などに使えるジェスチャー機能もある。手首を回したり、腕を軽く振ったりする動作に、自分がよく使う機能を割り当てることができる。素早く反応させるにはコツが要るが、片手しか使えない状況で役に立ちそうだ。
1日中着けっぱなしでも電池は1週間持つ
バッテリーは標準的な使い方で13日間、画面を常時表示にして負荷の高い使い方をしても4.5日間は持つとのこと。筆者は常時表示をオフにし、健康モニタリングは全てオン、毎日30分程度ウォーキングをした。寝るときも装着して、1週間使っても20%以上残っていた。1日中着けっぱなしでも充電は1週間に1回程度で済むだろう。
充電は付属の充電ケーブルで行う。ウォッチの背面にマグネットでカチッと取り付けられるが、安定した場所に置いて充電しないと、ケーブルが外れやすいので注意が必要。スペック上の充電時間は99分で、実際、満充電までにはやや時間がかかった。しかし、バッテリーを劣化させないように80~90%程度の充電で使うのが正解だろう。
コスパを最重視する人におすすめ
CMF Watch 3 Proのディスプレイは1.43インチと比較的大きいので、タッチ操作がしやすかった。「電話」「計算機」「カレンダー」といったアプリもスムーズにタッチ操作できた。ただし、文字入力には対応しておらず、受信したメッセージに返信したりはできない。スマホと連携する機能については「通知を確認でき、必要最低限のアプリを使える」といった印象だ。原則として、アプリを追加することはできず、決済機能にも対応していない。
しかし、筆者もそうだが、多くの人は「これで十分」と思えるはずだ。IP68の防塵・防水性能も備えている。Apple WatchやGoogle Pixel Watchよりも電池が持つことも魅力。1万3800円は「ありがとう」と言いたくなる安さだ。コスパを重視する人は検討するといいだろう。































