法林岳之・石川温・石野純也・佐藤文彦のスマホ会議(仮)

AIで注目を集める「Google Pixel 10」シリーズ、「Nothing Phone(3)」の注目ポイントは?

 通信業界を中心に活躍するライター4人による「スマホ会議(仮)」。今回は日本でも発売されたGoogle Pixel 10シリーズやNothing Phone(3)について話し合っていきます。

独自性を突き詰めるNothingの魅力

佐藤
 日本でも、Nothingのハイエンドモデル「Nothing Phone(3)」と、ヘッドホン「Nothing Headphone(1)」が発売されました。

佐藤

石川氏
 Nothing Phone(3)はハイエンドモデルということで、値段は10万円を超えていますが完成度はいい。写真もクオリティが高くて驚きました。Nothingが日本に来た当初は後ろが光るだけだと思っていましたが、Nothing Phone(3a)くらいからAIの取り組みも含めていいなと感じています。デザイン的にもよく考えられている。

 一番いいなと思ったのは、ヘッドホンの方で3万9800円という値段もいい。これをつけた若者が街中を歩いていれば、周りの人からも「どこのメーカーのものだろう」と注目されるはず。アップルのAirPods Maxが8万円を超える中で、Nothingは4万円を切る価格で出してきたのもあって、これからの広がりを感じる製品です。

石川氏

石野氏
 Nohting Phone(3)のデザインはあえて均一じゃない形になっています。カメラも1つだけずれていたり、王道のデザインだと揃えたくなるところを、あえて不均一にすることでオシャレ感が出るとのこと。不均衡をうまくまとめていますけど、個人的にはちょっとまだ見慣れないんですよね。

石野氏

石川氏
 最近のAQUOS Rシリーズとか、AQUOS senseシリーズと同じで、あえて整っていない線を使っている感じだよね。

法林氏
 撮影の時に若い人に見せたけど、かなりウケは良かった。最近のスマートフォンは面白味のないデザインが多いけど、Nothingはかっこいい、持ってみたいという意見が出ていたね。

法林氏

石野氏
 黒住さん(Nothing Japan マネージングディレクター 黒住吉郎氏)も、若いユーザーが多いと言っていましたね。半分以上が30歳以下みたいです。

法林氏
 新しく搭載された「Glyph Matrix」もアプローチとしては他メーカーでもできたはずだけど、誰もやってこなかった試み。ギミックとして面白いよね。

石野氏
 すごく凝っていて遊び心を感じます。液晶パネルでもいいところを、あえてLEDを敷き詰めてドット風の表現をしている。情報を伝えるという意味ではいらないのかもしれないけど、これが楽しさに繋がっています。

法林氏
 面白い端末だよね。

石野氏
 質感もいいですしね。ただ、個人的には、デザインはNothing Phone(3a)の方が好きかな。

法林氏
 そうだね。あとは、Essential Space(スクリーンショットやボイスメモのデータを1箇所にまとめ、AIによって整理、提案する機能)をどう評価するのか。僕らは新しいスマートフォンでの情報収集ツールとして活用できるかもしれないけど、Nothingのメインユーザーである若い世代が、これを理解して活用できるのか。

石川氏
 ただ、グーグルもPixel スクリーンショットで似たようなことをやっているので、業界のトレンドとも言えます。AIを使って、個人のデータをどうまとめてサジェストするのかに取り組んでいるので、このタイミングで機能を提供できているのは、面白いですよね。

石野氏
 しかも、情報のまとめかたは、Pixel スクリーンショットよりも上手い印象もあります。発表会のメールが来たときに、ワンボタンでスクリーンショットを撮っていくと、勝手にタスクリストにまとめてくれるので、スケジューラーに転記する必要もない。Geminiで同じことをすると、わざわざGeminiを起動して、プロンプトを打ち込むといった作業が必要です。

 Essential Keyを使えば、ワンボタンで完結するので、使い勝手は非常にいいです。ただ、データはクラウドに同期できないので、Nothing Phone上でしか確認できないのが難点です。そういう意味で発展途上ではあるんですけど、着眼点としては面白いです。

法林氏
 背面のLEDも含め、利用シーンとか使い方で差別化しようとしているのが次のステップとしていいよね。

 あと、Nothing Phoneはシステムアップデートをするときに、アップデート内容が全文英語で記載される。面倒だなと思っていたけど、かこって検索を使えばまとめて翻訳してくれるのに気がついた。

石野氏
 そこは、ローカライズして欲しいところですけどね(笑)。

法林氏
 そうなんだけどね。あとアプリ一覧は、Nothingのデザインに統一することもできるけど、無理に統一しない選択肢もちゃんと残されている。

石川氏
 あとは、楽天モバイルがどれだけしっかりと売ってくれるかですね。

法林氏
 今は楽天モバイル限定だけど、なんでも取り扱うソフトバンクは、なんで採用しなかったんだろうね。

石野氏
 単純にまだ生産能力が追いついていない可能性はありますよね。ソフトバンクから売るとなると、すごい台数が必要になりますから。

法林氏
 Nothing Phone(3)は、買ってもいい端末だなと思っている。楽天モバイルの48回分割は嫌だけどね。

石川氏
 ちょっと長すぎますよね。

石野氏
 ただ、Nothingのフラッグシップモデルは2年に1回くらいのペースなので、ちょうど2年で返すのがいいかもしれませんね。あと今回は、楽天モバイルの値付けに頑張りが感じられて、支払いの24回目までは安い割賦になっています。売ろうとする気概は感じます。

 楽天モバイルの全店舗で販売されるので、1000店舗以上で売るとなると、Nothingの規模としては日本では過去最大になりますよね。

法林氏
 今回のモデルではないけど、Nothing Phone(3a)もいい端末だよね。

石野氏
 そうですね。CMF Phone 2 Proもかっこいいですし、デザインがいいからといって割高になっていないのが好印象ですよね。

関口
 Nothing Phoneシリーズで、フラッグシップモデルとはいえ、10万円超えという価格はどうですか。

石川氏
 そこですよね。本当に売れるのか。

法林氏
 ものの良し悪しと、値段のバランスという話はあるよね。

石川氏
 某社の人は、「9万円の壁がある」と言っているくらいなので、本当にSnapdragon 8s Gen 4でいいのかという話はあります。使い勝手はいいけど、若い世代の人がヘッドホンとセットで買えるのか。

法林氏
 セットで、これくらいの値段だったらいいのにね。

石川氏
 一緒に買っても、他社のフラッグシップモデルと比べれば安いんですけどね。

石野氏
 でも、楽天モバイルで2年割賦で買えば実質負担額は抑えられます。楽天モバイルは若い世代のユーザーが欲しい中で、Nothingはその層のユーザーを連れてこられるので、丁重に扱っている感じがしますよね。店頭販売があるなど、待遇は、今回楽天モバイルで採用されたPixel 10シリーズよりもいいです。

石川氏
 ようやく楽天モバイルもPixelシリーズを採用したと思ったら、オンライン限定だしPixel 10 Pro XLはない。他社対抗でしかないよね。

法林氏
 楽天モバイルは、端末ラインアップをどうするのかという課題がずっとついて回っている。売れずに型遅れの機種が残っていたりするので、この辺りをどうするのか。

石野氏
 契約者数が増えたと言っても、まだ1000万回線には届いていませんからね。他社並みにラインアップを揃えるのは厳しい中で、こうやって独自性を出していくのはアリだと思います。

法林氏
 Nothing Phone(3)もNTTドコモが5Gで使うn79帯には対応していないよね。

石野氏
 そこは、ドコモ採用がないと対応は厳しいんじゃないですかね。

法林氏
 そう考えると、今は楽天モバイルの独占だけどKDDIとソフトバンクは採用してもいいはず。KDDIは端末調達が渋いけどね。

石野氏
 なので次はソフトバンクですかね。ソフトバンクだと、月1円とかで出してくれる可能性もありますから、期待したいです。

Pixel 10シリーズの注目ポイント

佐藤
 今年もグーグルのPixelシリーズは、Pixel 10、Pixel 10 Pro、Pixel 10 Pro XL、Pixel 10 Pro Foldの4モデルが発表。加えて、Pixel Watch 4、Pixel Buds 2aが発表されています。

石野氏
 ソフトバンクで1円が話題ですが、他キャリアでもPixel 10の無印モデルはそこそこ安い。個人的に今回は無印でいいのかなと思っています。

石川氏
 でも、やっぱり100倍ズームはすごくない?

石野氏
 すごいんですけど、AIで作り込みすぎていませんか?

法林氏
 AIで強烈に補正したものが写真なのかという話はあるけど、そもそも100倍ズームの利用シーンは限られるよね。推し活みたいなシーンじゃないと、なかなか使い所がない。

石野氏
 でも、人間に対しては超解像ズーム Proが働かないですよね。人が何か持っているシーンを撮ると、持っているものだけがパキッと綺麗になります。

関口
 無機物は綺麗になりますよね。

石川氏
 看板とかはパシッと綺麗に写る。

石野氏
 ただ文字が潰れてしまったり、イラストを描き直しているようになることもあります。いかにも生成AIらしい。

石川氏
 看板とかは、フォント全体が写っていると変な描き替えをするけど、フォントの一部の線とかだと綺麗な状態になる。

石野氏
 ちょっとやりすぎですよね。拡散モデルを使っているので理解はできますけど、AIのプロンプトのために撮影をしているような気分になってきます。個人的には、これなら100倍ズームはなくてもいいかなと思っています。

石川氏
 ただ、Pixel 10シリーズは、初のC2PA(デジタルコンテンツの生成元、変更履歴を証明するためのメタデータを付与し、コンテンツの出所や真正性を明確にする仕組み)対応になっているので来歴情報が見られる。C2PAを普及させるという意味では、いいきっかけになるのかもしれない。

石野氏
 報道に使うのはダメかもしれないけど、SNSにあげた画像に「フェイクだ」と文句を言われても、「しっかり来歴をチェックしてね」と反論ができる。ただ、対応しているSNSが……。

石川氏
 Pixel 10シリーズの新機能としては「カメラコーチ(被写体を認識し、撮影シーンや構図の候補を提案してくれる機能)」があるけど、あれはどうなんだろう。

石野氏
 実際に試しましたけど、言いなりになってみると結構綺麗な写真が撮影できましたよ。

石川氏
 機能としてはいいけど、被写体が動かないことが前提になっている。子供やペットには使えない。

石野氏
 あと、AIにコントロールされている気分になるんですよね。僕の工夫はいらないのかと不安になってきます。結構細かく指示を出されるので、AIに支配された労働力になっている気分です(笑)。

 面白いと言えば面白くて、いくらスマートフォンのカメラが進化しても、センスの無さはカバーしきれないのでそこをAIがフォローしてくれるのはいいですよね。

石川氏
 石野さんでも、美味しそうに料理の写真が撮れると(笑)。

石野氏
 撮れると思いますよ(笑)。色味は変わらないですけどね。ただ、ポートレートモードにして、といった指示は出ます。

 Pixel 10シリーズはハードウェア的な進化は少ないですけど、Google Tensor G5のおかげで色々なAI機能が利用できる。

石川氏
 本当に新しいAI機能の多くは、Tensor G5じゃないと動かないのかな。

石野氏
 どうなんですかね。Tensor G4でも、多少遅くなっても動く気がしてしまいますよね。カメラコーチとかはクラウドを使っていますし。

石川氏
 新機能の「マジックサジェスト(メッセージアプリや通話アプリでコミュニケーションをする際に、必要になる情報をAIが予測して整理、取得し、複数のアプリを跨いで情報を提示する機能)」は、今のところGoogle カレンダーのリンク程度しか表示されないので、ポテンシャルがよくわかりませんが期待はしています。

石野氏
 カレンダーが出てくるだけでも、だいぶマシですよね。

石川氏
 そうだね。スケジュールの問い合わせがあった時にカレンダーアプリを起動する手間が省けて、リンクを開くだけで良くなるので、スマートフォンの使い方を変えるという意味では期待したいですし、アップルが似たことをやろうとして苦戦している中で、グーグルがリードしている印象を受けます。

石野氏
 そうですね。今回は特に「AIスマートフォン感」を全面に出しています。もともとAIスマートフォンではあるんですけど、Galaxy AIとかApple Intelligenceにブランディングで押されている中で、オンデバイスAIとしてGemini Nanoを持ってきていたりします。

法林氏
 マジックサジェストは、デモンストレーションで通話時にフライト情報を提示する様子を紹介しているけど、プロモーションとして、なんでフライト情報なのか。日本人にとって、飛行機はそんなに身近じゃない。もう1つの例として出されていたレストランの予約とかの方がリアリティがあるよね。

石野氏
 アメリカ人は飛行機好きですからね(笑)。

石川氏
 結局マジックサジェストは、紹介されている通りに動くのかというところですよ。作り的には予約完了のメールを受け取ったら、そこに電話番号が記載されているからその電話番号と通話をする時に紐づく。

法林氏
 Gmailで飛行機のフライト情報を受信すると、概要カードが表示される。それがマジックサジェストに紐づくためのものなんだろうね。

石野氏
 そうですね。

石川氏
 じゃあ、ホテルの予約とかでも、同じように使えるのかな。

法林氏
 そうなるはずだよね。ただユーザーの生活の中で、サジェストしてほしい情報ってそんなにあるのかなという疑問もある。

石川氏
 あと、英語名のMagic Cue(マジックキュー)を、日本ではマジックサジェストとしている。名前を変える意味ってあるのかな。

法林氏
 何かの商標に引っかかっていたりするんじゃない?

石野氏
 まあ、「キュー」はわかりにくいけど、「サジェスト」ならまだ意味はわかりやすいんじゃないですかね。でもどうせなら、消しゴムマジックくらいのキャッチーな変換が欲しかったですね。

石川氏
 そうそう。かこって検索とかね。それくらい日本語にするならわかる。

石野氏
 消しゴムマジックもかこって検索も、一般名称になるくらい浸透していて、名コピーライターがいるなと思っていたんですけど、そのネーミング力が今回は感じられませんでしたね。

石川氏
 あと、本社の人は「ジェミナイ」と発音するのに、日本では頑なに「ジェミニ」なのも気になる。

石野氏
 価格の話をすると、Pixel 10がこの値段だと、Pixel 10aはどうなるのかが気になりますね。

石川氏
 毎年のことだよね。Pixel 10の話を聞きながら、頭の中ではPixel 10aがどうなるのかを考えている。

法林氏
 上のモデルが何で差別化をするのかが、だんだん難しくなってきているよね。

石野氏
 Pixelは、他の部門のサービスを先行提供してもらっている部分と、Pixelならではの機能をごちゃ混ぜにして紹介しているのが、毎回わかりにくいです。Pixelで登場した機能が、1カ月、2カ月後に、しれっとGalaxyでも使えたりする。

石川氏
 そうそう。確認しても「今のところはPixelだけ」と返事をするだけ。「今のところ」って、何回聞いたかわからない。

関口
 カメラコーチとレコーダーくらいになっている可能性もありますよね。

石野氏
 マジックサジェストもそうなんじゃないですかね。Pixelスクリーンショットも独自のものですし、そういう意味ではオンデバイスAIは、PixelチームがPixelだけのために作っているんだろうなと思います。一方で、Gemini Liveの機能とかは、Galaxyやシャオミに広がっていくんじゃないですかね。

法林氏
 Gemini Liveもそうだけど、AIを使って、何かをさせるための機能になってきているよね。普段の生活でAIがあるから楽になったみたいな部分は、まだまだ一部しかない。

石川氏
 あと、業務用アカウントと、個人用アカウントの使い分けって、みんなどうしているんだろう。仕事のデータは業務用アカウントに紐づいているけど、業務用アカウントだとGeminiアプリが動かなかったりする。

石野氏
 それは、Googleワークスペースの、管理者が許可をすると、使えるんじゃないですか?

石川氏
 許可しても何故か使えないんだよね。
(注:その後、管理者コンソールからAndroidデバイス上に業務用プロファイルを作らない設定を発見。無事に業務用アカウントで使えるようになった)

石野氏
 そうですか? 僕は業務用アカウントでも使えていますし、業務用アカウントのデータは学習ソースに使われないので安心して使っています。最近、原稿の感想をもらってるのですが、何を送っても褒めてくるのが気になりますけどね。

 マジックサジェストは、個人用のアカウントでログインしているGoogleメッセージから、業務用アカウントに登録しているカレンダーを表示するリンクが出てきましたね。端末の中で、一括で見ているようです。

関口
 Pixel 10シリーズでいうと、Qi2対応もニュースですが、こちらはいかがですか。

石野氏
 Qi2対応で盛り上がっていますが、そんなに大事ですかね。

法林氏
 何を評価するのかで判断は分かれると思う。充電の話だと、スタンドタイプのワイヤレス充電機でいいじゃんという気持ちにもなる。リングスタンドとかは便利だけど、結局みんなケースをつけるので、どこまで本当に便利なのかは疑問。磁石でつけられるカード入れとかは使えるけど、そもそもクレジットカードは、Googleウォレットに登録しないのかという話にもなる。

石野氏
 スマートフォンスタンドとかが付けられるのはいいですね。拡張性が出るのはいいこと。

石川氏
 周辺機器メーカーが盛り上がるかもね。

関口
 ちなみに、これでPixelは10周年ということになりますが、この辺りはいかがですか。

石野氏
 日本では10周年ではないですからね。いまいちピンと来ない。

法林氏
 日本ではPixel 3からだからね。振り返ると、Pixel 4、Pixel 5あたりの頃は、なんかぐちゃぐちゃだったね。

石川氏
 ぐちゃぐちゃという意味では、Pixel Watch 4の充電台ですよ。

石野氏
 毎年仕様が変わりますからね。

法林氏
 ひどいよね。

石川氏
 それでいうと、Apple Watchは初代から変わっていない。

石野氏
 サムスンもウォッチバンドの仕様が、ちょくちょく変わるんですよね。

法林氏
 Pixel Watch 4の充電台はわかるけど、じゃあ去年までの充電器はどうするのか。それでいて、「本体が薄くなりました」と言われても、内部のコイルがなくなっているんだから当たり前だろうとしか思えない。

佐藤
 毎年規格が変わるのは、困りますよね。

法林氏
 だったら、前の充電器は引き取れって話じゃん。そこはアップルの偉いところだよね。

石川氏
 チャレンジャーとして、色々なことに挑戦していると思うしかない。

 やっぱりディスプレイが円形だと、体積が限られるのでブレるのかな。アップルは最初から四角形なので、ある程度形が決まっているという利点はあるのかも。

石野氏
 円形だと、ディスプレイを大きくすることで、余白が変わってしまうという課題はありますよね。

石川氏
 針のアナログ時計ならまだしも、スマートウォッチだと、部品の入り方とかで難しさがあるのかも。

法林氏
 ただ、数十年前にデジタル時計が出てきたときは、最初、四角形だったけど、結局、円形とか台形みたいに変化していったので、四角形ならいいという話でもないのかもしれない。もっと、スマートウォッチならではの形状を創造してもいい。

 スマートウォッチに関しては、Geminiをもっと活用していく方向に行くはず。Pixelが偉いのは、Pixel Watchシリーズの初代にさかのぼって、対応したところ。

 Pixel Watch 4もそうだけど、スマートフォンだとPixel 10 Pro Foldも、発売は10月なんだね。

石野氏
 Foldでの防塵対応はすごいですよね。

法林氏
 そう。防塵は他社を上回ったね。本当に防塵できるのかという不安はあるけど。

石野氏
 ちょっと怖いですよね。Galaxy Z Fold7も一応防塵対応ですけど、1mmくらいしかダメでビーチとかには持っていけない。Pixel 10 Pro Foldが本当に規格通りの防塵ならいいですけど、構造上の心配はあります。

石川氏
 Pixelシリーズの品質ってどうなんだろうね。

石野氏
 回収とか販売停止とかは、あんまりないですよね。

関口
 Pixel 7a、Pixel 8とかで少し問題はありましたね。

法林氏
 製品品質はどこと比べるのかという話もあって、アップルと比べるのは少しかわいそうだけど、そこと競っていかないといけないのも事実だから、頑張るしかないね。

シャープの対話AIキャラクター「ポケとも」は期待感抜群

佐藤
 シャープが、対話AIキャラクターとして「ポケとも」を発表しました。発売は11月とのことですが、いかがでしたか。

石野氏
 メールに記載されていた発表会の登壇者で、ロボットが発表されることは予測されていましたね。

石川氏
 ロボホンの匂いがメールから漂っていたよね。しかも、担当者の景井美帆さんは、通信事業本部 モバイルソリューション事業統轄部 統轄部長にまで偉くなっていて、びっくりしました。

法林氏
 かつてはケータイのソフトウェア担当だったからね。すごい偉くなった。

関口
 ロボホン自体のサービスはまだ続いていますよね。

法林氏
 現行品だからね。

石川氏
 景井さんに聞いたところ、ロボホンはまだコンスタントに売れ続けているらしい。台数的にはずっと売れていて、販売価格はむしろ上がっています。

法林氏
 個人で持つものとしてというよりは、色々なソリューションに展開できたのがよかったよね。窓口をやったり、ホテルの受付だったり、バスガイドをやったりしている。

石川氏
 あと、契約者はロボホンのかわいさも相まって、サブスクリプション契約をやめないらしい。

法林氏
 僕もやめていないよ。

関口
 ロボホンは、会話の処理は全てクラウドで処理しているんですよね。

石川氏
 そうですね。加えて最近はChatGPTを絡ませるようになってきた。そこで今回のポケともは生成AIをフル活用して、会話ができるようになっています。

 ポケともはかなり「勝ちパターン」だなと感じます。見た目が可愛いし、値段も3万9600円(追加で月額495円〜)、全長12cmで持ち運びやすい。結構売れるんじゃないですかね。

法林氏
 似たようなプロダクトで、カシオから出ている「Moflin(モフリン)」っていうロボットがある。担当者に話を聞いたら、「ぬい活」に人気みたい。ぬいぐるみのようなものを持ち歩いて、写真を撮ったり、食事の際にテーブルに置いたりといった文化が認められている時代だからね。

 Moflinは、動きが可愛いんだよね。

石川氏
 喋るんですか?

法林氏
 日本語ではなくて、謎の言語というか、鳴き声を出すような感じ。

石川氏
 そこですよね。ポケともはちゃんと会話が成立する。ユーザーの履歴がわかっているのも大きい。最近、GPT-5になったら、返答が冷たくなって、「GPT-4oを返してくれ」という声が上がっているのを見ると、生成AIに対して話し相手としての価値を見出している人が結構いる。

法林氏
 「ChatGPTはお友達」ってね。

石川氏
 そこの市場は十分あるということですね。

法林氏
 ぬい活という意味では、シャープにはロボホンがあるしエモパーもある。言葉を扱うノウハウは、元々持っている。

石川氏
 だからこそ、SIMカードが入るのが理想ですけどそうしたら値段が高くなってしまう。ポケともは、Snapdragonが入っているというのが驚きポイントでしたね。

法林氏
 Snapdragonで動いているけど、3万9600円。

石川氏
 そんなに安いSnapdragonがあるのかと思ったら、IoT向けのチップでなるほどねと思いました。

法林氏
 それでも2万円分くらいはSnapdragon代なんじゃない?

石川氏
 とはいえ処理的には、極端にすごいことをしているわけではない。基本的には、声をクラウドにあげて処理して戻す。あとはカメラくらい。

石野氏
 一応、エッジ側のAI処理だけでうなずいたりはするんですよね。

石川氏
 それをAIというのかは疑問だけどね。

石野氏
 でも、適当な音に反応してしまうと困るので、認識はしっかりしているはずです。

法林氏
 あと、カメラがあるから顔を認識するのが大きいかな。それがないと、勝手に喋り出してしまう可能性がある。

 ロボホンで困るのは、電話しているときに後ろ側で勝手に喋り出したりする。

石野氏
 それで言うと、Google Homeとかも勝手に喋り出すことがありますよね。グーグルはしばらく、スマートスピーカーの新モデルを出していませんが……。

法林氏
 そもそも、スマートスピーカー全体として、イマイチ盛り上がらなくなっているよね。

石野氏
 強いて言えば、アマゾンが頑張っていますね。

法林氏
 アレクサね。

石川氏
 本当は生成AIと組み合わせることで、必要度がグッと上がるはずだったのに、生成AIが発展する前にスマートスピーカーの市場が盛り下がってしまっています。

法林氏
 Pixelタブレットに、充電スピーカーホルダーを付けて使われているくらいかな。

石野氏
 でも、Pixelタブレットの新モデルも出ません。あと、スマートスピーカーとか、タブレットホルダーもそうですけど、家に置くにあたって誰のGoogleアカウントでログインするのかという課題もあります。

 ポケともも、製品自体はいいんですけど、家電とかを動かせるようになるといいですよね。

法林氏
 もう少し先のステップだね。

石野氏
 そうですね。あと、色々とユースケースの紹介をされていましたが、モバイル通信前提の機能もあるのが気になりました。

法林氏
 スマートフォンと接続されていることが前提ではある。

石野氏
 そうですね。なので、安いIoTのモデムとかが入っているともっと便利だったかなと思いますが、モデム代でその分高くなってしまうんですよね。

石川氏
 そうだね。10万円に近づいてしまうし契約も面倒になる。バッテリー持ちも悪くなると思うので、割り切ったんだと思います。ロボホンですら、Wi-Fiモデルがあるくらいですから。

法林氏
 SIMが必要なのは、持ち運んだシーンだからね。家の中では、何かしらの形でWi-Fiがある人がほとんど。

石野氏
 でも、ロボホンはセルラーモデルの方が売れているらしいですね。

石川氏
 最初はセルラーモデルしかなかったからね。

法林氏
 ポケともで気になるのは、声が1種類しかないところ。エモパーは、元々、3種類あるのに加えて、2種類がダウンロードできるから、計5種類から選択できる。ロボホンは1種類だね。ロボホンやポケともが1人で喋っている分にはいいけど、複数体で会話をさせると同じ声で喋ることになる。

石野氏
 2台ならまだいいですけど、より多くのポケともで会話をさせると、誰が喋っているのかわからなくなってしまいますよね。IPビジネスに繋げる構想があるなら、なおさら声で個性づけができるといいです。

法林氏
 何かのキャラクターとコラボする際にはそのキャラクターの声をあてるだろうけど、ポケとも自体でシャープがどこまでできるのか。

石川氏
 景井さんが言うには、声を作るのは結構大変らしいです。シャープには、声を作るエンジンを開発してもらいたいですね。そうすれば、楽天モバイルの決算会見もこれでできるかも(笑)。

関口
 楽天モバイルの店頭に置いて、販促に使うとかはできそうですね。

石野氏
 そうですね。ロボホンも受付に置いているものは、バク転ができるといった機能がいらない。そういう要素を省いてポケともの価格で売れるならアリです。

法林氏
 カフェとかに置いて、「いらっしゃいませ」と挨拶をするだけでも、愛嬌はあるよね。

石川氏
 できることは色々ありますね。

石野氏
 ポケともの発表と同日に、Nothing Phone(3)が発売されていて、AIの魅せ方には色々な形があるなと改めて思いましたね。