レビュー
「arrows Alpha」レビュー、独自機能とハイコスパを両立したFCNT渾身の一台
2025年9月24日 00:00
FCNTからリリースされたスマートフォンの最新モデル「arrows Alpha」。arrowsブランドとしては久しぶりのフラッグシップモデルで、価格はオープンマーケット版が約8万8000円。通信キャリアではNTTドコモやIIJmio、H.I.S.Mobileなどでも購入可能となっている。
本体の大きさは約72(W)×8.8(D)×156(H)mmで、重さは約188g。背面周辺の緩やかに傾斜した形状によりグリップしやすく、最近のフラッグシップは200gを超えるモデルが多いこともあり、手に持ってみるとかなり軽く感じる。
本体カラーはホワイトとブラックの2色展開。側面のフレームは金属素材を使用。このフレームにより、落下時の衝撃を和らげてくれる性能も持つ。本体背面はサラサラとした感触で指紋は目立ちにくい仕上げになっている。
arrowsらしいタフネスさもしっかりと搭載されており、MIL規格23項目に準拠しIP66/68/69の防塵防水性能にも対応。加えて1.5mの高さから落下させる独自テストも行われており、ケースなしでラフに扱っても安心。arrowsといえば当たり前となっている、ハンドソープ(泡タイプ)の洗浄や、アルコール除菌にも対応している。
ディスプレーは6.4インチ(2670×1200ドット)と460ppiの高精細な有機ELパネルを搭載。ピーク輝度は3000nitで屋外でも明るくて見やすく、実測では643luxだった。
リフレッシュレートは最大で144Hz。そのため画面のスクロールなどはスムーズで、ゲームなどの使用にも期待が持てる。そのほかブルーライトを軽減し、目の負担をやさしく和らげるEye Care Displayも搭載している。
バッテリー容量は5000mAhで、製品には90Wの専用充電機も付属。これにより1%から100%の充電が約35分で終了する。テスト用の貸し出し機には充電機が付属していなかったため、テストはできなかったが、手持ちの100W対応充電機で計測したところ、約30%の充電状態では44W前後で充電できていた。
最大輝度でYouTubeの4K動画を充電100%の状態から再生し続けたところ、17時間27分でバッテリー残量がゼロになった。フラッグシップモデルとしては、かなり長時間利用ができる設計になっているので、急速充電と組み合わせることで、バッテリーに関してはストレスなく使用できそうだ。
本体右側面には電源ボタンと音量調整ボタンを装備し、本体左側面には「アクションキー」を搭載。本体底面にはSIMスロットとUSB Type-Cポートがあり、USB 3.1に対応。USB Type-Cからの映像出力(DisplayPort1.4)も利用可能だ。
電源ボタンは指紋認証センサーと一体になっているほか、画面スクロールなどが行える「Exlider」の操作にも使用。Exliderをオンにして、電源ボタンにしばらく触れていると、Exliderが起動し、そのまま上下に指を動かすと画面がスクロールできる。そのほかダブルタップで画面拡大といった機能も利用でき、片手でスムーズに操作可能だ。
またFASTフィンガーランチャー機能で、指紋認証に登録した指ごとに起動するアプリを設定可能。スリープ状態から瞬時に使いたいアプリを起動できるので便利だ。
SIMスロットはトレー式でピンを使わずに引き出せるタイプ。デュアルSIM対応でnanoSIMx1とeSIMx1、またはeSIMx2での運用が可能。
対応するバンドは5Gが1/3/28/40/41/77/78/79、LTEは1/2/3/4/5/8/12/18/19/21/28/38/39/41/42となっている。国内で使用するぶんには問題ないが、海外で対応するバンドが少ないので、海外渡航が多いユーザーは注意が必要だ。
そのほかWi-Fi 6とBluetooth 5.4と対応。Wi-Fi 7やBluetooth v6に対応していないのは、フラッグシップモデルとしては物足りなさを感じるが、規格の普及具合から言えば、現状では使用に不便さを感じるような問題はない。
本体スピーカーはステレオ仕様。左右のバランスも良くDolby Atmosに対応しているのでクリアで迫力のある音質だ。
またBluetoothではLDAC、LHDCに対応し、aptXとaptX HDの高音質コーデックも利用可能。ヘッドホンやイヤホンで高音質なコンテンツを楽しみたいユーザーにはうれしいポイントだ。
カメラ性能は背面に広角カメラ(5030万画素、f値1.88、1/1.5インチセンサー)、超広角(4990万画素、 f値2.05、1/2.7インチセンサー)を搭載。インカメラは4990万画素、f値2.0、1/2.7インチセンサー、視野角は91度となっている。
以下はarrows Alphaで撮影した作例。いずれもレンズを向けたらそのまま撮影して、明るさやピントは調節していない。arrowsシリーズはしばらくフラッグシップモデルがなかったため、エントリーやミッドレンジで撮影した印象があったこともあり、かなり進化を感じた。
仕上がりは解像感もしっかりとあり、普通に撮影するぶんにはミスショットなく撮りやすい。中国メーカーなどの、ゴリゴリにAI補正された発色ではなく、みたままの自然な色合いが出ている。
チップセットはMediaTekのラインナップとしてはミドルハイに位置するDimensity 8350 Extremeを採用。メモリー12GBで、内蔵ストレージは512GB。アプリの切替や画面スクロールなどは問題なく、キビキビとストレスなく動作する。
また、メモリーや内蔵ストレージも十分なスペックなので、ヘビーなゲームもプレイするぶんにはじゅうぶん。10万円を切る価格と言うこともあり、子ども向けのモデルとしても要望に応えられる仕様だ。
GoogleのAI機能「Gemini」のほか、自然な言語で機能を探せる「arrows AI」を搭載。arrows AIは、アップデートで通知の要約や文章からの画像生成にも対応予定だ。
さらに本体左側面に搭載したアクションキーから、各種AI機能の呼び出しも可能。アクションキーは「1回押す」、「2回押す」、「長押しする」の3パターンで設定できるので、3種類の機能を使い分けられる。
背面カメラの下にはバイタルセンサーを搭載し、arrows We2 Plusと同じく身体の不調や不安など心身の健康に影響する自律神経パワーを指先で測定可能。自律神経のバランスや心拍数などをチェックして、日々のヘルスケアに役立てられるのも、ほかのメーカーにはない機能だ。
もちろんおサイフケータイにも対応しており、日本語入力はATOKを採用しているなど、日本人向けの機能にもしっかりと対応。
さらにセキュリティーアップデートは最大5年間対応と、長期利用も問題なし。使いやすい独自機能とあわせて、バランスの良い端末に仕上がっている。












































