レビュー
見やすい画面と電池持ち、決済機能が魅力 GARMINの「Instinct 3 AMOLED」を使ってみました
2025年5月9日 00:00
ガーミンが1月30日に発売した「Instinct 3 AMOLED」を使ってみた。ガーミンのスマートウォッチは複数のシリーズが展開されているが、Instinctシリーズは耐久性に優れていることが特徴。アウトドアアクティビティを趣味とする人に支持されているようだ。
Instinct 3 AMOLEDは、同シリーズで初めてAMOLED(カラー有機ELディスプレイ)を搭載したモデルで、45mmと50mmモデルが用意されている。価格は45mmが7万9800円、50mmが8万7800円。筆者は、ガーミン・ジャパンから借りた45mmモデルを使った。
5つのボタンでの操作には慣れが必要
Instinct 3 AMOLEDはべセルが太めで、ケースがネジでしっかりと固定され、見るからに頑強な印象。うっかり何かにぶつかったとしても画面にキズが入る心配はなさそうだ。重さは53g。写真を見るとゴツく感じるかもしれないが、実際に装着すると、むしろ軽く感じられた。
最大の特徴といえるディスプレイは、背景色が黒で、文字や図などがカラフルにクッキリと表示された。ちなみに、同時期に発売されたソーラー充電機能を備えた「Instinct 3 Dual Power」はモノクロ表示なのだが、画面の視認性では、やはりAMOLEDが上回る印象。たとえば、ワークアウトの開始はグリーン、停止は赤で表示されるなど、直感的に判断できるのはカラーならではの利点といえよう。
ディスプレイはタッチ操作に対応しておらず、全ての操作をボタンで行う仕様。左側に3つ、右側に2つのボタンを搭載している。
左上のCTRLボタンは、長押しすると、スマホで言うところのコントロールパネルのような画面を呼び出せて、カチカチッと2回続けて押すとライトが点灯する。左中はMENUボタン、左下はABCボタンで、これら2つのボタンは画面のスクロールにも用いる。右上のGPSボタンは、ワークアウトの起動のほか、表示した項目の決定・実行など、頻繁に使う。右下のSETボタンは1つ前の画面に戻すときなどに用いる。
筆者はApple Watch、Google Pixel Watchなど、タッチで操作するスマートウォッチを使うことが多いので、Instinct 3 AMOLEDの物理ボタンでの操作にはかなり戸惑った。使い始めた当初は押し間違いを繰り返し、スムーズに操作できるようになるまでに1週間ほどかかった。しかし、そもそもスマートウォッチの小さな画面はタッチ操作に適しているとも言えない。慣れてしまえば、ボタンのほうが操作しやすいと思う人は少なくないだろう。
ワークアウト&ヘルスケア機能も万全
Instinct 3 AMOLEDはiPhone、Androidのどちらにも対応しているが、筆者はiPhone 16 Proと接続して使った。ペアリングには「Garmin Connect」アプリを使用。初期設定も同アプリで行える。
ワークアウトは80種類以上に対応。筆者は、特に熱心に取り込んでいる運動はないので、主にウォーキングを計測したが、一定時間歩いていると計測に導かれ、位置情報の取得もスムーズに行われた。ガーミンのスマートウォッチはGPS性能に定評があるが、実際、運動開始時のGPS信号の捕捉が早く、測定データも正確と思えた。
健康指数は心拍数、血中酸素レベルを測定でき、睡眠の質、ストレス値、ガーミンの独自の指標である「Body Battery」レベルなども算出される。電池持ちがいいので、まずは初期設定のままで、いろいろな機能を使ってみて、それから自分の使い方に合わせてカスタマイズするのがいいだろう。
バッテリーは余裕で2週間以上持つ
他社のスマートウォッチに比べて、大きな優位性と感じたのが電池持ちだ。45mmモデルの場合、通常の「スマートウォッチモード」で約18日間、「バッテリー節約ウォッチモード」で約24日間使い続けられるとのこと。実際に筆者が10日ほど使っても50%以上残っていたので、充電はときどきで済みそうだ。GPSを駆動したままにする「GPSモード」でも約32時間持つので、ワークアウト中に切れてしまう心配も皆無。ちなみに、50mmモデルは「スマートウォッチモード」で約24日間、「バッテリー節約ウォッチモード」で約30日間持つので、電池持ちを重視する人には50mmモデルがおすすめだ。
Suicaにも対応。クレカの利用には注意が必要
Instinct 3 AMOLEDは「Garmin Pay」に対応し、キャッシュレス決済も利用できる。一部のクレジットカードとSuicaに対応しているが、筆者はSuicaを設定して使ってみた。
Suicaはスマホで使っているものを同期して使うのではなく、スマートウォッチ用に新しいSuicaを追加し、チャージして使う仕組み。チャージにはGoogle Payを用いる。筆者はAndroidスマホでGoogle Payを使っているので、そのGoogleアカウントでログインしてスムーズにチャージできた。Apple Payやクレジット決済には対応していないので、iPhoneと接続して使っていて、Google Payを使っていない人は、ちょっと手間がかかるかもしれない。
「Garmin Connect」アプリでSuicaの設定を終えると、すぐにウォッチに同期される。Suicaの起動はCTRLボタンの長押し→「ウォレット」の選択→パスコードの入力という手順で行うが、自動で「ラピッドパスカード」として設定されるようで、改札を通るときも、コンビニで買い物をするときも、読み取り機にかざすだけでピッと素早く認識された。Suicaが使えるスマートウォッチはまだ限定的で、ガーミン以外のウォッチは電池持ちに不安がある。「電池持ちが良く、Suicaも使える」は大きなアドバンテージと言えるだろう。
なお、クレジットカードはVisaとMastercardに対応しているが、筆者が使っているVisaは設定できなかった。あとで調べたところ、Garmin Payと提携する金融機関のカードしか設定できないようで、VisaはPayPay銀行、ソニー銀行、三菱UFJ銀行だけが対応していた。どうしてもクレジット決済を使いたい人は事前に調べておく必要があるだろう。
実際に使ってみると、多くの人が満足できそうな印象
Instinct 3 AMOLEDは、MIL規格に準拠する耐衝撃性を備え、10ATM(100m防水)にも対応している。屋外で作業するときも、水回りでも、何かにぶつかったり、汚れたりするのを心配することなく使えた。ディスプレイには多少汚れが着くこともあったが、その際は、ウェットティッシュなどで拭けばOK。タッチ操作に対応していないので、それで誤動作する心配もなかった。
カラーディスプレイは視認性が高く、スマホの通知をチェックしたり、ワークアウト時に計測中のデータを確認したりするには最適。だが、ついついタッチ操作したくなることが多かったのは事実。せめて回転式のボタンがあって、素早く画面をスクロールできればなぁと思った。
それでも、Instinct 3 AMOLEDを使って満足できる人は多そうだ。タフネス性能を重視する人、物理ボタンで操作することを便利だと感じられる人、電池持ちを重視する人、決済機能が必須の人は、積極的に検討していいだろう。