レビュー
薄型軽量ゲーミングスマートフォン「REDMAGIC 10 Air」は8万円台とは思えない超ハイスペック端末
2025年5月15日 12:37
ZTEのゲーミングブランドであるREDMAGICは、2025年5月26日に、シリーズ最新モデル「REDMAGIC 10 Air」を発売。5月15日より、先行予約販売も開始する。
REDMAGICシリーズのスマートフォンと言えば、空冷ファンを搭載することで冷却性能を高め、長時間のゲームプレイも快適に行えるスペックが特徴だが、新モデルは、名前の通りゲーミングスマートフォンながら〝薄さ〟を追求したモデル。空冷ファンは非搭載となるが、その分、普段使いの使用感が増しているのが特徴となる。
発売前に1か月ほどREDMAGIC 10 Airを試す機会をいただいたので、使用感を紹介していく。
8万円台とは思えない高性能と豊富なゲーム向け機能が魅力
REDMAGIC 10 Airは、Snapdragon 8 Gen 3を搭載。メモリー、ストレージ構成は、12GB+256GB、16GB+512GBの2パターンで展開される。チップセットは型落ちという扱いにはなるが、2025年5月時点でもまだまだ現役といえるハイスペック。
加えて、ゲーミングチップのRedCore R3と、Cube AIアルゴリズムを組み合わせており、アプリゲームは非常に快適に動作する。体感としては、最新のハイエンドチップを搭載したモデルとそん色ない印象だ。
本体側面右側には、スマートフォンをコントローラーのように使うための520Hzショルダートリガーを搭載する。ゲームごとにキーを割り当てることで、コントローラーのL/Rボタンのように使用できる。
FPSゲームなどでうまく活用すると便利な機能で、ボタンではなくセンサーになっているため、本体に極端な凹凸が生まれていないデザイン性も気に入っている。
本体側面左側には、「マジックキー」と呼ばれる赤いボタンが搭載されており、「REDMAGICゲームスペース」を起動できるようになっている。ゲームスペースには、各ゲームアプリが格納でき、それぞれのアプリごとに細かな設定ができるようになっている。
ゲームプレイ中には、フローティングウィンドウとして別アプリを起動したり、ゲーム画面のアスペクト比、表示方向を自由に変更できる。
個人的には、対応ゲームにて、通常60fpsまでしか対応していない場合も、フレームを補間し、最大120fpsのフレームレートにできる機能が気に入っている。長時間プレイしていると、細かい部分で画面の滑らかさに違いがしっかりと感じられるのが魅力だ。
公式ストアでの販売価格は、12GB RAMモデルが8万4800円、16GB RAMモデルが10万9800円となっている。搭載チップやメモリと価格のバランスだけを切り取っても、かなり高いコストパフォーマンスであるのに加え、多数のゲーム機能を搭載することで、ゲーミングシリーズならではのコンセプトを強く打ち出しているのがいい。
ゲーミングスマートフォンというと、10万円は優に超えるハイエンドモデルがほとんどであるだけに、「この値段なら買ってみよう」と思える人もいるはずだ。
ゲーム体験以外にも快適なUDC搭載大画面ディスプレイと薄型ボディ
ディスプレイは6.8インチのBOE Q9パネルで、解像度1116×2480、リフレッシュレート最大120Hzとなる。タッチサンプリングレートは、マルチポイントが最大960Hz、ピンポイントが最大2000Hzで、最大輝度は1600ニト。発色が良く、明るい表示ができるのも、ゲーミングスマートフォンならではの魅力だろう。
特徴的なのがインカメラ部分で、画面下に埋め込まれた「UDC」というものを搭載している点。画面欠けがなく、大きなディスプレイをフル活用できるのが魅力だ。基本的にはゲーム体験向上のためと考えられるが、動画視聴、Web閲覧など、いかなるアプリであっても、画面に欠けがないというのは、それだけでストレスが低減される。
ZTEのスマートフォンに多く見られるUDCだが、より多くのメーカーに広まってほしいと感じる、非常に使用感のいいデザインだ。
本体の大きさは164.3mm×76.6mm×7.85mm、重さは205gとなる。ゲーミングスマートフォンの中ではかなり薄い設計で、側面が湾曲しているため、大画面モデルながら、握り心地も決して悪くない。何より、6.8インチディスプレイを搭載しながら、205gに収まった軽さが優秀だと感じる。
内部のパーツ配置が見直され、横持時に1:1の重量バランスになるように設計されているとのこと。そもそも軽く、持ちやすいゲーミングスマートフォンではあるが、確かに長時間アプリゲームをプレイしていても、疲れは感じにくい。
背面にはアンチグレアガラスが採用されており、さらっとした手触りが特徴。見た目としては光沢があるものの、指紋の付着もほとんど気にならない。均等に配置されたカメラと、控えめに刻印されたロゴもクールな印象だ。
防塵防水対応で普段使いしやすいゲーミングスマートフォンに
冒頭でも触れた通り、REDMAGICのスマートフォンシリーズは、空冷ファンを搭載することで、本体の冷却性能を高め、長時間のゲームプレイを快適にすることが、1つの大きな特徴であるが、今回のREDMAGIC 10 Airは、薄型化のためか、空冷ファンが搭載されていない。
そのため、冷却性能はハイエンドモデルよりも若干劣る印象で、長時間アプリゲームをプレイしていると、本体は少しずつ熱くなっていく。複合液体金属による冷却システムは採用されており、排熱性能が極端に悪いわけではないので、「あくまで上位モデルと比べると」という点は留意しておきたい。
また、空冷ファンの非搭載により、本体の穴が減ったことで、上位モデルにはないIP54の防塵防水規格に準拠した。REDMAGIC 10 Airを完全なゲーム機ではなく、あくまでゲームに強いスマートフォンだと捉えると、空冷ファンよりも、防塵防水対応がうれしいと感じる人もいるはずだ。
バッテリーは6000mAhの大容量。最新の上位モデルであるREDMAGIC 10 Proは7050mAhと、インパクトのある大容量バッテリーを搭載しているため、数字上はかなりバッテリー容量が削減されていると言えてしまうが、薄型ボディを搭載しながら、6000mAhものバッテリー容量を確保しているのは驚きだ。
普段使いにおいては、かなりバッテリー持続時間が長く、使いやすいスマートフォンに仕上がっている。ワイヤレス充電は非対応だが、最大80Wの高速充電や、充電分離機能に対応している。
アウトカメラは50MP広角と50MP超広角の2眼構成。カメラにこだわられたスマートフォンではないため、仕上がりに極端な特徴は見られないが、近年のミドルレンジスマートフォン特有の「普通にきれいな写真が撮れるカメラ」という印象。超広角カメラも、多少ゆがみは見られるものの、充分実用的だろう。
なお、REDMAGIC 10 Proより対応したおサイフケータイ機能は、今回は非対応となる。その分、販売価格を抑えたと捉えれば、個人的にはさほど気にするポイントではないと感じている。
8万4800円から購入できるゲーミングスマートフォンとして、驚異的なコストパフォーマンス、完成度なので、〝そこそこ〟アプリゲームをプレイするような、ライトゲーマーにも推奨できる、ユニークな端末だ。