レビュー

「Pixel 8a」レビュー、「かこって検索」などAI機能充実・廉価ながら長く使える1台

 グーグルは、Pixelシリーズ最新モデル「Pixel 8a」を5月14日に発売する。グーグル直販サイトでは7万2600円(分割時は6050円×12カ月)で購入できるほか、ドコモ、au、ソフトバンク各社でも購入可能となっている。

5月14日発売の「Pixel 8a」

 ここ数世代のPixelシリーズは、各モデルともコンセプトやデザインを踏襲しており、今回のPixel 8aもそれは同じ。キープコンセプトながら、細かな点に改良や変更が加えられている。

 ディスプレイサイズは6.1インチ(1080×2400ドット)、アスペクト比20:9のOLEDパネルで、Pixel 8とPixel 8 Proにも搭載されている「Actua ディスプレイ」を採用。最大輝度は1400ニト(HDR輝度)/2000ニト(ピーク輝度)で、コントラスト比は1,000,000:1以上。リフレッシュレートは可変で最大120Hz、HDRをサポートし24ビットフルカラー(1600万色)となっており、ピクセル密度も430PPIと精細感がある。

四辺のベゼルは最近のスマートフォンとしては幅がある印象

 本体の大きさは約72.2×8.9×152.1mmで重さは約188g。前モデルの「Pixel 7a」は約72.9×9.0×152mmだったので、幅は若干ながら広くなっており、厚さと高さは減っている。さらに四辺が丸みを帯びたデザインのため、数値以上にコンパクトになった印象だ。

横幅72.2mmとグリップしやすいサイズ

 重量も前モデルと比べて約5.5gの軽量化がはかられている。バックパネルの素材がマット仕上げのリサイクルプラスチック素材を採用していることもあり、持ったときの手触りも良く、こちらも数値以上に軽くなった印象を受ける。「Pixelのaシリーズ」に「コンパクトさと軽量」を求めていたユーザーにはうれしいポイントだ。

バックパネルはマット仕上げのプラスチック素材

 フロントガラスは傷がつきにくいCorning Gorilla Glass 3を採用。本体周辺のフレームは、背面と同じくマット仕上げのアルミニウム製。IP67に準拠した防塵、防水性能で、グーグルは「aシリーズで最も高い耐久性」とうたっており、水気のある場所や悪天候の屋外でも安心して利用できる。

周辺のフレームはアルミニウム製で適度なアールが握りやすい

 ちなみに製品の全重量に対してリサイクル素材を24%以上使用しており、本体とカメラバーのアルミニウムは100%リサイクル素材。バックパネルのプラスチックも76%がリサイクル素材となっている。

ボタン類は本体右側面にあり、電源ボタンが上の配置
左側面にはSIMスロットを装備
本体上部
本体下部にType-C端子を装備

 本体カラーはObsidian(オブシディアン/黒系)、Porcelain(ポーセリン/白系)、Bay(ベイ/青系)、Aloe(アロエ/緑系)の4色。純正ケース(4900円)も同色のものが用意されている。

 チップセットはPixel 8やPixel 8 Proと同じく「Google Tensor G3」で、プライバシー保護などの処理を行う「Titan M2 セキュリティコプロセッサー」も同じく搭載している。生体認証は画面内の指紋認証と顔認証が利用可能。

 メモリーは8GB、内蔵ストレージは128GBとなっている。一部海外モデルでは内蔵ストレージに256GBのモデルをラインアップしているが、日本では128GBのみ。microSDは利用できないため、写真や動画を多く撮りたいユーザーや、「原神」などデータ容量の大きいゲームをプレイしたい場合には若干物足りなさがある。

 本体スピーカーはステレオ仕様。左右のバランスは悪くないものの、若干本体との共鳴が気になる感じで、高音質でコンテンツを楽しみたい場合は、別途イヤホンなどを用意したほうがいい。オーディオテスターアプリで1000Hzの正弦波を最大ボリュームで鳴らして、15cm離れたところの音量は約80dbだった。

音楽再生時のステレオ感はある
1000Hzの正弦波を最大ボリュームで出力した際の数値は約80db

 チップセットは、最新のTensor G3ということで、動作は十分。アプリの切り替えやWebサイトの閲覧、テキストベースのアプリなどは、スクロールもスムーズでストレスなく利用できる。OS、セキュリティ、Feature Dropのアップデートは7年間提供となっており、長くスマートフォンを使いたいというユーザーにもピッタリだ。

 バッテリー容量は4492mAh。最大輝度でYouTubeの4K動画を充電100%の状態から再生し続けたところ、約7時間で残り41%という状態だった。充電は最大18Wの急速充電に対応。ワイヤレス充電(最大7.5W)も利用できるが、マグネットは内蔵していないため、磁力で貼り付けて充電するタイプは対応するケースが必要となる。

 輝度を最大にして、ヘビーなオンラインゲームをするのではなく、一般的なスマートフォンの使い方なら十分なバッテリー性能といえる。ただし、OSなどのサポートの延長により、長期間利用するユーザーも多くなっているため、バッテリーが劣化した際のオトクなサポートもあるとうれしかった。

  通信面では、セルラーの対応バンドが5Gはn1/2/3/5/7/8/12/20/28/38/40/41/66/77/78/79。LTEはn1/2/3/5/7/8/12/20/28/38/40/41/66/77/78/79。5GはSub6のみだが、現状のエリア展開を考えると実用的には問題ない。物理SIMは本体左側面にピンで押し出すタイプのトレーを装備。nanoSIM1枚をセット可能。eSIMにも対応しており、デュアルeSIMでの運用も可能だ。

物理SIMはnanoSIMを1枚セットできる

 無線LANはWi-Fi 6Eに対応。Bluetoothはバージョン5.3で、FeliCaも搭載されており、おサイフケータイなども利用可能だ。

 カメラは背面に広角カメラ(6400万画素、画角80度、F値1.89、センサーサイズ1/1.73インチ)と超広角カメラ(1300万画素、画角120度、F値2.2)を搭載したデュアル仕様。フロンカメラはパンチホール型で1300万画素、画角96.5度、F値2.2となっている。

背面カメラは広角と超広角のデュアルカメラ
フロントカメラはパンチホール
カメラ部分の厚みは実測で約9.8mm

 同じ広角と超広角カメラの組み合わせとなるPixel 8と比べると、メインの広角カメラは画素数こそ6400万画素(Pixel 8は5000万画素)だが、ピクセルビニングがPixel 8がOcta PDなのに対して、Pixel 8aはQuad PDとなっている。そのためピクセル幅はPixel 8が1.2μmなのに対して、Pixel 8aが0.8μmと小さい。そのため、暗所での撮影や明暗差といった点ではスペック的にPixel 8のほうに軍配が上がる。

Pixel 8と同じくピクセルビニングを解除しての高解像度撮影には対応していない
デジタルズームは最大8倍

 とはいえ、Pixel 8aでも下記の作例のように普通に撮影するぶんには十分なクオリティ。よほど撮影条件の悪いシーンでなければ、構えてシャッターを押すだけで、ミスショットなく高いクオリティの写真が撮れる。ただしマクロフォーカスは非対応なので、被写体に近接した撮影は苦手だ。

広角の1倍で撮影
デジタルズームの2倍で撮影
デジタルズーム最大の8倍で撮影
超広角の0.5倍で撮影
広角の1倍で「被写体から離れてください」が消えるギリギリの距離で撮影
広角の1倍で撮影
「夜景モード」の1倍で撮影
「夜景モード」のデジタルズーム2倍で撮影
「夜景モード」の超広角0.5倍で撮影
インカメラで撮影

 さらに映り込んだ被写体を消す「消しゴムマジック」や、複数枚撮影した集合写真を最適な1枚に合成する「ベストテイク」といった、Pixelシリーズで人気のAIを使った機能も利用可能。「夜景モード」や「長時間露光」といった写真の撮影機能や、動画では手ぶれを抑えてシネマティックに撮影できる「パン」なども同じく利用できる。

「パン」モードで、映画のような滑らかな映像も撮影可能

 カメラ以外のAI機能もPixelシリーズではポイントのひとつ。Pixel 8aでは、内蔵型のAIアシスタントに、グーグル独自のAI「Gemini」をプリセット。検索したい画像を指で囲って指定する「囲って検索」や通話の着信時に迷惑電話かどうかの判別、つながりにくい電話の対応をPixelにまかせ、つながったら通知してくれる「代わりに待ってて」といった機能が利用可能だ。もちろん音声のテキスト化なども引き続き搭載している。

囲って検索など、Pixelで人気の機能も利用可能

 米国の販売価格は前モデルから変わらず499ドルだが、円安の影響もあり日本では直販の場合、1万円の価格上昇が気になるポイント。しかもキャリアモデルを中心にPixel 8の価格が下がっていることもあり、性能や機能、OSのアップデート対応など似通っているPixel 8aとPixel 8のどちらを選ぶか悩ましいところではある。

 ある程度カメラ性能にこだわりたいユーザーはPixel 8、それ以外の使い勝手の良いサイズ感や重量などを重視したいユーザーはPixel 8aといったポイントから選ぶのが良さそうだ。

使いやすいサイズ感を求めているユーザーにオススメ