≪新刊立ち読み≫

「できるfit ずっと使えるGoogle Pixel 8a/8 Pro/8/7a対応」発売記念リレーコラム第3回

 GoogleのAIスマホ「Google Pixel」はGmailやGoogleフォト、Googleドライブなど、さまざまなGoogleサービスをフル活用できるスマートフォンです。そんなGoogle Pixelの基本から活用までを余すことなく解説した書籍「できるfit ずっと使えるGoogle Pixel 8a/8 Pro/8/7a」が発売されました。最終回では著者陣の一人である小山氏に、Google Pixelのイチ推し機能を語っていただきました。

 法林氏によるリレーコラム第1回はこちら。平澤氏によるリレーコラム第2回はこちら

便利で高画質なカメラを搭載したPixel

 Pixelと言えば、カメラが高性能という点も見逃せないポイントです。Pixelシリーズは、早くからAIの力を使った「コンピュテーショナルフォトグラフィー」でカメラの処理をしており、特に夜景や望遠撮影のような難しい撮影で力を発揮します。

 撮影だけでなく、撮った写真を編集したいというときにも強力なAI機能が使えます。カメラとして存分に活用できるのがPixelシリーズです。

Pixel 8 Proのカメラ。Pixelシリーズは当初からカメラ機能に定評がありました

コンピュテーショナルフォトグラフィーで進化したPixelカメラ

 Pixelシリーズでは、機種によって搭載されているカメラは異なりますが、たとえばPixel 8 Proは5000万画素の広角カメラ、4800万画素の超広角カメラ、4800万画素の望遠カメラを搭載しています。

Pixel 8 Pro(左)とPixel 8。Pixel 8 Proだと望遠カメラが追加されています

 ピクセルビニングと呼ばれる技術は、複数(4の倍数)の画素を1つの画素として扱って画質を向上させるという技術です。

 カメラのセンサーは、光を取り込んでデジタル化して画像を生成しています。この光を受けるのがセンサーにある1つ1つの画素です。同じ面積に同じ容量のバケツを並べているようなものです。同じ面積であれば、バケツの直径を小さくすればたくさん置けますが、入る水(光)の量は少なくなります。バケツを大きくすれば水がたくさん入りますが、1つ1つが大きいと細かい描写ができません(ドット絵のイメージです)。

 今のトレンドは、バケツを小さくしてたくさん置きつつ、バケツ4つ分の水を1つの大きなバケツに移して(4つのピクセルを1ピクセルと見なして)水の量を増やす、という手法を使っています。

 多くのスマートフォンに搭載のカメラが同様の手法を使っており、その場合、5000万画素は1250万画素、4800万画素は1200万画素で記録されます。

メインカメラの写真。隅々までピシッと再現し、メリハリのある描写になっています

 カメラはオートフォーカス(AF)によるピント合わせを行って撮影をしますが、大雑把に言うとAFを行うための小さなセンサーがこのバケツの中にあります。このピクセルが細かくなると、より細かなピント合わせができるため、AFでは5000万画素、撮影では1250万画素、というように使い分けるのが最近のトレンドです。

 高画質を実現するために、さらに設定の異なる複数枚の写真を撮影して合成する技術も使われています。明るいところから暗いところまでしっかりと描写するHDR画像が撮影できますし、暗所で発生しがちなノイズをおさえつつ明るい夜景が撮影できます。

 こうした機能は、すっかりスマートフォンのカメラでは一般的になりましたが、Pixelは初期からこうした機能を先行して搭載。コンピュテーショナルフォトグラフィーと表現し、従来の写真とは異なるやり方で、難しいシーンでもより簡単にキレイな写真が撮れるようになりました。

 そんなPixelシリーズのカメラですが、標準カメラの高画質だけでなく、Pixel 8 Proには強力な望遠カメラが搭載されています。4800万画素のピクセルビニングによる高画質なだけでなく、最大30倍というデジタルズームが特に強力です。

5倍の望遠カメラで撮影
デジタルズームで30倍まで拡大。拡大するとモワッとした写真になりますが、サムネイルやスマートフォンの画面であれば細部まで分かるほどにうまくできています

 4800万画素の中央部分の切り出しと拡大処理によって実現しており、この拡大処理にコンピュテーショナルフォトグラフィーが使われていて、他社に比べても高画質になっています。

 もちろん、拡大すると無理があるのですが、スマートフォンのカメラとしては優秀といえます。

夜景も美しく描写してくれます

 同様に、夜景撮影も優秀です。こちらも以前からPixelが得意としていたシーンですが、最近ではさらに「長時間露光」や「アクションパン」といった機能も追加。長時間露光は、走行する車のテールランプを光の線で描写したり、川の流れを絹のようにシルキーに表現したりといったことができます。

長時間露光で水の流れを撮影
普通に撮影すると水の流れが止まってしまいます

 アクションパンは、移動する被写体に合わせて写真を撮りながらカメラを振ると、背景がブレてスピード感のある写真が撮れます。いずれも、本来はレンズ交換式カメラで三脚を使って撮影するような写真が、手持ちで簡単に撮れます。

撮影後に写真をさらに良くする機能

 こうしたAIを活用した撮影技術に加えて、撮影後にもAIが活用されています。

 Google純正のフォトアプリにはさまざまな編集機能が搭載されていますが、その中でも「消しゴムマジック」は、写真内の人物をワンタッチで簡単に消去して背景もきれいに合成してくれる機能で話題です。

写真内の人を消してくれる消しゴムマジック
手動で選ぶこともできて、きれいに消すことができました

 ほかにも、あいにくの空模様でも青空に変えたり、ゴールデンアワーの幻想的な色合いに変えたりということもできます。たとえば動き回る子供を連写で撮影してあとでベストショットを探そう、という場合も、フォトアプリがベストショットを探してくれます。

普通の写真をゴールデンアワーの写真のように補正してくれます

 さらに最新モデルのPixel 9シリーズでは、カメラに「一緒に写る」などの機能も追加されています。こうした機能はソフトウェア的に実現しているので、Pixel 8や7シリーズにも提供されるでしょう。これはフォトアプリの機能でも同様です。

撮影した写真を拡大するとぼやけてしまいます
これをAIの力でよりくっきりさせる機能も搭載しています。離れた場所の被写体を撮ったあとに試してみると良さそうです

 このあたり、Pixel 7aなら2026年5月、Pixel 8/8 Proは2030年10月、Pixel 8aは2031年5月までOSアップデートが提供されることもあって、AIによって実現しているカメラ機能であれば、かなりの時間、最新機能を体験できるようになります。そうした点も、Pixelシリーズのメリットと言えるでしょう。

書誌情報
できるfit ずっと使えるGoogle Pixel 8a/8 Pro/8/7a対応
価格:1760円
発売日:2024年8月20日
ページ数:288ページ
サイズ:A5判
著者:法林岳之・平澤寿康・小山安博&できるシリーズ編集部
内容
第1章
Google Pixelがすぐ使える基本ワザ
第2章
知って快適! Google Pixel最新のワザ
第3章
やり取りに便利な電話&メールワザ
第4章
快適にインターネットを見られる便利ワザ
第5章
撮る&見るで役立つ写真ワザ
第6章
視聴がもっと楽しくなる音楽&動画ワザ
第7章
定番&話題のアプリを使いこなす便利ワザ
第8章
ひとつ上の快適設定ワザ
第9章
これで安心! スマホ乗り換えワザ