レビュー

「Mate 30 Pro」でミュンヘンの街並みを撮ってみた

 9月19日、独ミュンヘンで発表されたファーウェイのハイエンドスマートフォン「Mate 30 Pro」は、3つのカメラと3D深度センサーという4つの眼を備える機種だ。

Mate 30 Proは4つの眼を備える

 超広角カメラ(18mm)は、RGGB配列の1/1.54インチの40MPイメージセンサー×F1.8のレンズ。

 標準として使う広角カメラ(27mm)は、RYYB配列の1/1.7インチの40MPイメージセンサー×F1.6のレンズという組み合わせ。

 そして、8MPのイメージセンサー×F2.4のレンズという望遠カメラ(80mm)が用意される。

 これらのカメラで体験できるのは、広々とした風景を余すところなく収める超広角(0.6倍)での撮影や、ISO409600まで対応する暗闇での撮影も可能にした「Night Shot」、AI撮影、そして光学3倍、デジタル30倍でのズーム撮影など。

 さらにそうした新たな撮影体験は、静止画のみならず、動画撮影でも味わえるようになっており、4Kサイズでの60fps撮影や、最大7680fpsというウルトラスローモーション撮影などの機能もある。

 旅行の想い出を記録する相棒として「Mate 30 Pro」の実力はどの程度のものか――発表会後、報道陣に貸し出された実機を手に、観光気分でミュンヘン中心部を歩き、撮影した写真や動画をご紹介しよう。

ミュンヘン中心部のイザール門~マリエン広場を撮る

 まず降り立ったのは、中世に築かれた城壁が今に残る(と言っても、現在のものは復元、移築されたものという)イザール門(Isartor)。門の中央にある門塔を「Mate 30 Pro」の超広角レンズで捉えると、鮮やかな青空に包まれた立派な姿を収めることができた。

超広角(0.6倍)で撮影したイザール門
標準(27mm広角)で撮影
光学3倍で撮影

 イザール門からは、タール通りという道沿いに進む。このとき、Mate 30 Proを手に動画を撮りながら歩いてみた。

 人がいない場所で、画面もあまり見ずに進んだのだが、広角での撮影や、手ブレ補正がきちんと効いたこともあってか、後から見返すとなかなか満足感の高い仕上がり。

タール通りを超広角でぱしゃり。切り取った風景は、そのとき観たままの視野に近い印象。色味はやや青が強調されているように感じる

 多くの店が集まる繁華街であるタール通りを進むと、ミュンヘンの著名な観光スポットのひとつで、市庁舎のある「マリエン広場」にたどり着きます。

高い塔の足下から超広角で撮影
標準
光学3倍
デジタルズームで時計部分を撮影。撮影中は「粗いのかな?」と思っていたのだがパソコンで確認すると、ディティールも色合いもしっかり記録されているようだ
露店に並ぶフルーツのカラフルさもきちんと記録されています
マリエン広場に入ってきました
多くの人とともに市庁舎の姿を1枚の中に収めます
広場といっても、そこそこの広さだので、大きな建物と広場の様子を一度に収められるのは超広角の魅力のひとつ

 マリエン広場も、タール広場も、当然のことながら広さには限りがある。邪魔にならないようにする、あるいは、多くの人がいるような場面では、本当に撮りたいポジションに行けないこともある。そうしたシチュエーションにも強く、撮影する場所が限られたとしても目にする風景に近い写真を記録できることは、Mate 30 Proのような超広角で撮影できる機種の魅力のひとつに挙げられる。

超広角で撮るマリエン広場の市庁舎。広場と建物の両方を収められる
標準で撮影
塔の上に光学3倍ズーム
塔の上の像をデジタルズーム。粗さはあるが、その姿をきちんと捉えている

 続いて、マリエン広場に隣接する塔に登り、上からの風景写真にチャレンジ。やや手が震える気がしつつも、しっかり構えて撮影してみた。より広い風景の写真を撮れる超広角で、ついつい枚数を重ねてしまったが、ときおり標準、ズームも交えて写真を撮ってみた。

 広場に戻ると、ちょうど市庁舎の仕掛け時計が動く時間。ここはズームで撮影してみた。

流れる水でスロー撮影

 マリエン広場から少し移動し、別の広場に足を踏み入れると、足下から階段の下に向かって水が吹き出している。ちょっと変わった噴水だが、スロー撮影にはピッタリ、ということで最高で7680fpsというスロー撮影を試してみることに。

 ところが、7680fpsで撮ってみると、あまりにスローすぎて、被写体である水が本当に流れているかどうか、よくわからない。そこでスローさを落として(より速い速度にして)撮ってみると、水の流れがよりわかりやすくなりました。ちなみに7680fpsというスローモーション撮影は、動きを検知して一定時間、自動的に記録する。被写体があまりに小さいと撮影されないため、使いたい場面では被写体に近づいたり、動きがわかりやすいものを選んだりするといった工夫は必要だろう。

【7680fpsで撮影】
【1920fpsで撮影】

 発表会では7680fpsの使いどころとして、ハチドリが一例として紹介されていましたが、日常でも旅先でえも、そういう場面に運良く出会えるかどうかわからない。活用が難しいと感じるかもしれないが、たとえば列車に乗って車窓の風景をスローで撮影してみると、人の眼では感じ取れない風景の見え方になって面白い。そうした工夫を楽しんでみるのもいいだろう。

【960fpsで撮影】
【通常速度で撮影】

夜景撮影にチャレンジ

 かつてオリンピックが開催されたミュンヘン。その跡地の公園にはオリンピックタワーがそびえ立ち、高さ190mあたりの場所には展望台がある。発表会の翌日の夜、そのタワーに登る機会を得て、「Mate 30 Pro」を使い、ミュンヘンの夜景撮影にチャレンジした。

 展望台で撮影した写真は、裸眼で見る風景よりも見事と感じ入るほど。HDRが効いて明暗がくっきり記録された。オリンピックタワーのすぐ近くにはBMW博物館があり、屋上にあるロゴが夜景に含まれたものの、白でつぶれず、ある程度わかる形になっている。

 地上に降りると照明が少なく、かなり暗い。そこで超広角で撮ると、眼で見たとおり暗い風景になるのだが、標準で撮ると、グッと明るく持ち上げた写真になった。

オクトーバーフェストの風景を撮ってみる

 取材期間の最終日は、ちょうどオクトーバーフェストというお祭りが始まる日だった。日本でも、いたるところで季節を問わず開催され、その名が知れ渡っている同イベントはまさにミュンヘンがその本場。今回は、そのお祭りの一端をMate 30 Proで撮影することになった。ちなみにこの日の撮影では、ファーウェイのスマートフォンでお馴染みのウォーターマークを入れる設定を選んでいる。

 今回の訪問で初めて知ったのは、オクトーバーフェストはビールを運び入れる馬車によるパレード、そしてミュンヘン市長の挨拶といったセレモニーを経て、開始日正午にビールが開栓されるという一連の流れ。

 また会場のテレージエンヴィーゼは普段、ガラガラの空き地だそうで、オクトーバーフェストにあわせて、ビールや食事を提供するテントと、移動遊園地のアトラクションが仮設で設置される。アトラクションもちょっとしたおまけではなく、会場の半数を占めるのでは? と思えるほどの規模。かなり巨大なものが多く、ここでもまた超広角撮影が活きた格好だ。

 会場のいたるところで、ハートをかたどったアイテムが販売されていることも目をひく。調べてみると、これはレープクーヘンと呼ばれるお菓子だそうで、欧州のお祭りではよく見かけるものだとか。当地ならではの風景を素早く撮れるのは、スマートフォンならではの楽しみ方だ。

 いよいよ正午が近づき、会場にはビールを運ぶ馬車が続々とやってくる。その沿道には多くの人が立ち並び、皆、同じようにスマートフォンを手にして撮影しようとしている。筆者もまた、同じように撮影してみたが、なかなか難しい。ときにズームを交えながら撮影してみたが、その場の雰囲気は残せたように思う。

 パレードから離れ、中心からやや離れたところでようやく開栓時間を迎えて、ビールを口にした。オクトーバーフェストで提供されるビールは、この日、この時刻になってようやく味わえるものだそうで、さらにそのアルコール度数も通常より少し高い。

 ちなみに今回、オクトーバーフェストの会場に、大きなカバンは持ちこめなかった。ポケットに入るもの以外は持ち運びにくいわけで、そうした面でもスマートフォンがぴったりなイベントでもあった。とはいえ、そうしたイベント以外でも、旅行のお供にいまやスマートフォンは欠かせない。

 今回Mate 30 Proで丸2日にわたって撮影してみたが、よく晴れた場面では、青がやや強めに出るなど、ファーウェイのスマートフォンではお馴染みという色味に仕上がりつつ、ディティールがくっきり記録できたり、超広角で見たままの風景と思える写真になったりしたと感じている。ズーム撮影は、「P30 Pro」ほどのスペックではなく、デジタルズームのときはそれ相応の画質になる。超広角や、夜景での撮影といったあたりが魅力と言える機種だろう。

 一方、今回はSIMカードを装着しない状況だったこともあって、バッテリー消費はさほど多くなかった。また取材時のミュンヘンの気候は、最高気温で20度前後と、かなり涼しかった。そうした環境もあってか、撮影を繰り返したMate 30 Proは、温度が上昇することもなくスムーズに撮影できた。とはいえ、従来のスマートフォンと比べ、大きなセンサーを備え、超広角や望遠、スロー撮影など多彩な機能が充実しているのは面白い。日本で発売されるかどうかはまだまだわからないが、使いやすい形で展開されることに期待したい。