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「au VoLTE」12月開始、スマホの画面共有など多彩な機能を用意

 KDDI、沖縄セルラーは、「4G LTE」のデータ通信で通話サービスを提供する「au VoLTE」を12月初旬より開始する。2014年冬モデルで2機種を対応端末としてラインナップし、今後発売するモデルで対応を拡大していく。

 「au VoLTE」の基本機能と下記の「シンクコール」の機能の利用料は無料。「ボイスパーティー」はオプションとして月額300円(税抜)。「ボイスパーティー」については、留守番電話や割込通話などのオプションサービスをセットにした月額400円の「電話きほんパック(V)」にも含まれる。

4G LTEのネットワーク
au VolTEの概要

 料金プランは「au VoLTE」に対応するモデル向けに別途用意されるが、既存の4G LTE端末向けの料金プランと同じ内容。具体的には、「電話カケ放題プラン(V)」「データ定額 2(V)」などのように、名称の最後に「(V)」が付いたプランになる。将来的には内容が変更される可能性がある。

 「au VoLTE」は、高音質な通話や、素早い発着信、通話とデータ通信を同時に利用できるといった基本的な特徴を備える。その上で、付加的な特徴を「シンクコール」と命名してアピールする。「シンクコール」自体の利用料は無料。

 「au VoLTE」の基本機能として、スマートフォンのWebブラウザやアプリなどを利用中でも、同時に並行して着信や通話ができる機能を用意する。着信時のダイアログが画面全体を覆わなくなり、例えばゲームをプレイ中に着信があった場合でも、プレイを続けながら通話を開始することができる。

 2015年2月以降は、「シンクコール」として機能が拡張され、「au VoLTE」端末同士の1対1での通話において、動画・音声を含めたスマートフォンの画面の共有機能、メインカメラの映像の共有機能、手書き文字・イラストなどの共有機能、位置情報を地図上で共有する機能が提供される。

 共有機能などでデータ通信を利用した場合は、パケット通信が発生する。シンクコールの機能で発生する通信のうち、通話以外のデータ通信はWi-Fiでの接続にも対応する。

 このほか、「ボイスパーティー」として、発信者を含めて最大30人と同時に通話ができる機能が有料のオプションとして用意される。「ボイスパーティー」は「au VoLTE」が開始される2014年12月初旬より提供される。通話相手は「au VoLTE」以外でも利用できる。

 なお、すでにドコモがVoLTEのサービスを提供しているが、VoLTEの事業者間接続は現在未定。ドコモのVoLTE端末に電話をかけても、VoLTEの特徴や付加機能は利用できない。VoLTEの事業者間接続については、標準化が終わっていない部分があり、他キャリアと検討を始めているところとしている。

VoLTEの通話ではアイコンに「HD」のマークが付く
「au VoLTE」の基本機能として、着信のダイアログは画面上部のウィジェット型に
通話中でも、メニューを呼び出せばシンク機能を利用できる
画面シンクで相手側に表示される承認画面
画面シンクでつながったところ。受信している側は緑の枠が付く。通話しながらこうした画面の共有が可能
「カメラシンク」はメインカメラの映像を共有できる
「位置シンク」のデモはなく、イメージ画像
こちらもイメージ画像の「手書きシンク」。こちらは双方向で利用できる

「au VoLTE」対応2モデル、3Gを非サポート

 「au VoLTE」に対応するモデルは、2014年冬モデルでは「isai VL LGV31」と「URBANO V01」になる。アップデートを含めて、既存のモデルは対応しない。

「au VoLTE」に対応する「isai VL LGV31」(左)と「URBANO V01」(右)

 「au VoLTE」に対応する「isai VL LGV31」と「URBANO V01」については、日本国内において3Gをサポートせず、モバイルネットワークにおける音声通話・パケット通信の両方がLTEに一本化されている(WiMAX 2+は利用可能)。国際ローミングについてはW-CDMAやGSMを利用できる。

 今回発表された「au VoLTE」対応の2機種が3Gをサポートしない点について、KDDIではその理由として、「4G LTE」のエリアが3Gと同じ人口カバー率99%になっていること、独自に調査したLTE(800MHz帯対応機種)の「接続維持率」が99.9%に達していること、170万回以上のVoLTEの試験コールで品質を確認できていること、地球2周半に相当するという9万6000kmにおよぶ全国主要道路の走行でVoLTEの連続性を確認できていることなどを挙げている。

 またKDDIでは、「4G LTE」と3Gの両方に対応した既存の機種では、しきい値の設定により、LTEの電界強度が瞬間的に低下した場合に3Gにハンドダウンする(アンテナ表示が「3G」になり、通信中の場合は3Gを維持する)設定になっていると説明しており、今回の「au VoLTE」対応端末のように「4G LTE」のみに対応したモデルでは、瞬間的な電界強度の低下に対してもLTEの接続を維持するとしている。こうしたことから、既存の端末で一時的に3Gにハンドダウンする場所や状況であっても、必ずしもLTEの電波の“圏外”になっているわけではないとしている。

「au VoLTE」対応端末はSIMカードも変更

 「au VoLTE」に対応した「isai VL LGV31」と「URBANO V01」では、auで「nanoSIMカード Ver.4」と呼ぶ新しいSIMカードが提供される。形状は従来のnanoSIMカードと同じだが、色などのデザインは異なる。

 「isai VL LGV31」と「URBANO V01」では、「au VoLTE」対応と同時に国内の3Gに非対応となっており、音声通話が「au VoLTE」に統合され、3Gにハンドダウンしないなど、ネットワークとの協調の仕方が一部で変更されている。また、ネットワーク側でも新たな仕組みが導入され、制御されている。こうしたことなどから、「au VoLTE」対応端末専用という形で「nanoSIMカード Ver.4」が導入される。

 「nanoSIMカード Ver.4」は、従来の4G LTE端末用のSIMカードと互換性はなく、「nanoSIMカード Ver.4」を従来のLTE端末に装着して使うことはできない。また、「au VoLTE」端末に従来のSIMカードを装着しても、使うことはできない。

 これに伴い、既存の4G LTE端末から「isai VL LGV31」などの「au VoLTE」端末に機種変更する場合、機種変更手数料は2000円(税抜、以下同)ではなく3000円になる。これは、WIN端末からLTE端末に機種変更する場合と同じで、SIMカードの変更分が含まれた価格になる。将来的に、au VoLTE端末から(au VoLTE非対応の)4G LTE端末に機種変更することになった場合も、SIMカードを切り替えるため、機種変更手数料は3000円になる。

太田 亮三