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ドコモ前田社長、第2四半期決算の増収増益と通期上方修正を発表――地震速報不達には「あってはならないこと」と陳謝

代表取締役社長の前田義晃氏

 NTTドコモは4日、2026年度第2四半期(2026年7月1日~9月30日)決算を発表した。

 決算説明会では、代表取締役社長の前田義晃氏が、業績や通信品質改善を含めた設備投資の方針、10月に発生した「緊急地震速報の不達事象」などを説明した。

第2四半期は増収増益

 営業収益は、前年同期比+8.2%の3兆2821億円、営業利益は同+1.5%の4821億円、四半期利益は同-3.0%の3295億円となった。また、EBITDAは同+3.4%の8852億円、設備投資額は同+11.7%の3970億円となった。

 スマートライフ、コンシューマー通信、法人それぞれの分野で増収を達成した一方、コンシューマー通信と法人分野では減益しており、スマートライフ分野での大幅な増益(前年同期比+606億円)でトータルの増収増益となった。

コンシューマー通信

MNPプラスを継続

 コンシューマー通信での主な数字を見ていくと、MNPは当期も引き続き転入超過(転入が転出を上回る)で、4四半期連続でプラスとなった。他社からの乗り換えだけでなく、新規契約数も前年同期比+33%と増加した。親子割などの施策が功を奏し、特に15歳以下の若年層では+63%と大幅に増加し、新規獲得をけん引した。

 MNP転入や新規獲得数の半分以上はオンライン専用プラン「ahamo」だが、ドコモMAXをはじめとした大容量プランの契約も増加傾向にあるという。

ドコモMAXは好調、お金に頼らない営業を推進

 料金プランでは、引き続き「ドコモMAX」が好調に推移している。10月27日時点で契約者数は年度末目標の500万契約を突破した。好調を背景に前田氏は、年度末目標を600万契約に引き上げるとし、通信以外の価値も高めることで料金プラン全体の体験価値を高める取り組みを引き続き続ける。

 施策を展開する場所や方法を見直し、営業力を高めることにも取り組んでおり、営業費用だけに頼らない施策の展開も進めているという。

 ドコモMAXやポイ活プラン、ドコモ光や金融サービスのクロスユースユーザーも、前年から230万人増加し1570万人となった。前田氏は、長期間利用する「ロイヤルユーザー」の獲得につながっているとし、将来的に顧客基盤の安定や販促効率、利益向上につながるとアピールした。

 これらの取り組みの成果として、顧客1人あたりの単価(ARPU)は、前年同期比+80円の4040円となった。上期の減収幅も前年の221億円から46億円へ大幅に縮小しており、今年度内に増収へ転換することを目指している。

端末販売と端末購入プログラム

 iPhoneをはじめに端末販売の繁忙期となる9月~10月の販売状況について、高価格帯端末の構成などから「例年よりやや低調となる可能性がある」と前田氏は説明する。

 端末購入プログラムについては、残価率の算出ルールを共通化することが公平な競争に重要との見解を示す。現行の「端末を安く提供すること」だけに依存する競争では“望ましくないサイクル”につながるとし、高性能端末を手に取りやすい形で提供するだけでなく、返却端末の再流通など事業者とユーザー、端末市場を循環するエコシステムの構築に取り組みたいとした。

緊急地震速報の不達事象

前田社長

 同社では、災害情報などを契約者の端末に配信する緊急速報「エリアメール」を提供しているが、10月16日に気象庁が出した緊急地震速報が配信されない事象が発生した。配信されなかった理由として同社は「気象庁から配信された緊急地震速報のデータ形式が従来と一部異なっていたため」と説明したが、他社(KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)では通常通り配信されていた。

 前田氏は、同事象について「気象庁からの電文のなかに、多少違う形式のものが含まれていた。ただし、仕様上で届いた形式のものが排除されるわけではなく、我々がきちんと対応しているべきだった」と説明。「こういうことはあってはいけないこと。こういった齟齬がないように、関係省庁や自治体とも常にコミュニケーションを取って、常にチェックしていかなければならない」とした。

通信品質改善に「Sub6・NR化・SA同時並行で進める」

 通信品質改善の取り組みでは、2026年度上期(4月1日~9月30日)にLTEで2500局、5Gで4500局の基地局を構築した。5G基地局には、Sub6とミリ波のほか、4Gの周波数を転用したもの(NR化)も含まれる。これにより、累計基地局数は、第2四半期段階で32万3900局、うち5Gは6万3300局となった。

 また、鉄道利用時の品質改善として、全国の主要鉄道動線と地下駅で取り組みを進めている。鉄道動線で快適に利用できる水準を満たす路線は、第2四半期末で主要59路線のうち30路線に拡大、年度末には39路線以上に増やすとしている。地下駅では、都営地下鉄の地下駅98駅すべてで5Gを導入した。

 前田氏は、通信品質改善の取り組みについて「Sub6・NR化・SAを同時並行で進めていく」と述べる。まずは通信容量が大きいSub6帯のエリアを増やす取り組みを進める。

 NR化については、「4G LTEと通信容量は変わらないが、体感品質を高めるためにも必要。スピーディーに進めていく」とコメント。5G SAのエリア展開には「装置を旧型から新型へ更新することや、新型装置での新規基地局展開で進めている」と説明する。

 品質改善にあたって前田氏は「Sub6でネットワーク全体の容量を拡大しつつ、NR化やSAによる体感品質改善を同時並行で進めていく」「品質改善の完成までたどり着けているわけではなく、完成はないと思っている。引き続き投資を継続する」とした。

 最新技術を使った体感品質向上への取り組みとしては、ノキア製最新装置を導入したマルチベンダー接続の実現や、混雑状況に応じて基地局間、周波数間でリソースを分配し最適化する「MantaRay SON」の取り組みを紹介。山間部や海上でも通信を届ける「docomo Starlink Direct」とともに、さまざまな場所で通信サービスを届ける施策を説明した。

料金値上げなどで通期見込みを上方修正

 前田氏は、好調な業績と12月に予定している通信料金の値上げを鑑み、2026年度通期の営業収益と営業利益を上方修正するとした。

 また、設備投資金額も増額すると発表。前田氏は「トラフィックの増加やコスト上昇が続く中、安定した通信品質とするためには継続投資が不可欠。投資を支える収益を料金見直しで確保していく」と料金改定に理解を求めた。

 修正後の業績予想は、営業収益が前回予想比+200億円の6兆8410億円、営業利益が同+200億円の9630億円、当期利益は同+140億円の6410億円、EBITDAは同+200億円の1兆8180億円、設備投資は同+430億円の9000億円とした。

 設備投資に関しては、通信品質対策の拡大に加え、必要な物品の前倒し調達を進める。具体的には、5G SAの早期展開に伴う収容ネットワーク増設コストの増加に加え、部材(メモリー)価格の高騰なども影響。今後の価格高騰を鑑み、より早い段階で装置の導入を進めていく方針だ。前田氏も「中期的にはコントロール(抑制)していきたいが、まずは(装置導入の)スピードアップをしていくことが重要」との認識を示している。

スマートライフ事業

 スマートライフの営業収益は、前年同期比+34%の8372億円だった。ドコモSMTBネット銀行の連結効果を含む金融事業の拡大に加え、マーケティングソリューションやエンタメ事業などが好調で、ドコモ全体の成長をけん引する形となった。

 dカードやd払いをはじめとする金融決済取扱高は、前年同期から1兆円以上増加した9兆3100億円となった。dカードでは、ゴールドカードやプラチナカードの契約が86万契約増加した1247万契約となった。銀行口座数は、前年同期比+11%の961万口座で、新規口座開設数も同+12%と好調に推移していた。

 従来通信サービスの契約がメインだったドコモショップでも、金融サービスの取り扱いを加速させる。ネット銀行の利便性と対面で相談できる安心を掛け合わせる取り組みとして、スマホ教室などで培ったサポート力を生かし、口座開設やアプリ操作、引き落とし口座の設定などを支援する店舗を、年度内に1000店舗規模へ拡大する。

法人事業

 法人事業では、企業のAI活用やセキュリティ強化を支えるインテグレーションとクラウド基盤サービスを提供するプラットフォームを成長領域とし、これらの収益は前年同期比+5.6%に増加している。受注もセキュリティ需要を取り込み同+29%と好調に推移しており、下期の利益増加を目指す。

 AI領域の取り組みとして前田氏は「AI-Centric ICTプラットフォーム」を挙げる。さまざまなニーズに対応するコンピューティング環境として、計算設備にネットワークとセキュリティを組み合わせたプラットフォームとして提供するもので、関連サービスは約2000社に導入されている。今後、コンテナ型データセンターやGPUを必要に応じて利用できるサービスも展開し、導入拡大を図るとしている。