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スマホ回線の乗り換え割引に新展開、総務省有識者会合で最長1年の「回線継続割引」を容認へ
2026年6月26日 15:28
総務省の有識者会合「情報通信行政・郵政行政審議会 電気通信事業部会 市場検証委員会 利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」の第8回会議が6月24日に開催され、専門委員会の取りまとめが行われた。
ホッピング・短期解約への対策
今回の取りまとめでは、MNP(のりかえ)契約によって得られるポイント還元などを目的に、短期間でのりかえを繰り返すホッピングや短期間での解約への対策として、事業者の自主的な対策の徹底を求める一方で、現在は禁止されている継続利用を条件とした還元について、最長1年間に限って分割での利益付与を認める方針を示した。
短期解約の問題として、MNO・MVNOともに少なからず事業運営上の損失が生じているほか、解約による顧客流出を新規獲得で補うために、販売現場が強引な販売をするなどの問題があるという。一方で、全ての関係者が「利益還元の獲得のみを目的とするような悪質な解約かどうかを特定することは困難」と回答したことから、ホッピング目的での解約なのかを厳密に判断することは容易ではない。
回線の継続利用を条件とする還元は「行き過ぎた囲い込み行為を禁止」する目的で、2019年10月の電気通信事業法の改正により禁止されたため、いわゆる大手通信事業者が毎月分割して還元することや、回線契約を一定期間継続したらポイント還元などのキャンペーンが行えなくなっている。
このほか、ホッピングや短期解約への対策では、現在は電気通信事業法で税別1000円に定められる違約金の引き上げや、利益提供の上限額を現行の税別2万円から引き下げるなどの案も検討された。
違約金の引き上げについては、乗り換えに伴うスイッチングコストを高めることから慎重な検討が必要、継続利用を条件とする利益提供を可能とするよりも強く事業者のサービス選択の自由を妨げるという意見があった。
また、利益提供額の引き下げについては、短期解約であっても善良な解約者が存在することや、利益提供が健全な利用者の乗り換えを促すための手段であり、制限の中で利益提供をどの程度行うかは、事業者の経営判断として認められるという考え方が示された。
「お試し割」廃止、新規契約での通信料金割引を最長1年間に緩和
今回の見直しにより、乗り換えを含む新規契約を条件とした通信料金の割引について、最長1年間にわたり分割で提供することが認められる方向となった。
従来のルールでは、通信料金の割引はユーザーの継続利用を間接的に誘引する効果があるため、原則として禁止されていた。しかし、短期解約問題への対処として利益提供の設計に最長1年間の柔軟性を認めることに伴い、通信料金割引についても同様の期間での提供を可能とする。
この見直しに伴い、これまで特例として設けられていた最長6カ月間の「お試し割」は、新しい制度に統合される形で発展的に解消となる。お試し割については、これまで実際に導入した通信事業者が存在しなかったことも統合の理由に挙げられている。
端末購入を条件とする通信料金割引は引き続き一律禁止
新規契約を条件とする場合であっても、端末の購入を条件とする通信料金割引については、引き続き一律で禁止する方針が維持された。端末の購入を伴う料金割引を認めた場合、購入する機種によって同じ料金プランであっても割引の有無や程度が異なる事態が生じる。割引に差が生じることで、ユーザーが通信サービス単体での価格を比較することが難しくなるためという。
総務省は、端末市場の競争から切り離した純粋な通信サービス間での競争を促進する観点から、この規制を継続することが適当と判断した。なお、通信料金は通信サービスの対価であるため、割引の提供条件(割引期間や割引額など)を明示して案内することを消費者保護ルールの観点から求めている。
端末購入プログラムにおける残価率算出ルール
端末購入プログラムの残価率算出のルールについては、グループごとに算出した残価率が機種によっては本来の残価率より大きくつり上げられるなど潜脱が発生しているほか、算出にあたってリユースモバイルジャパン(RMJ)の買取り実績が少ない機種では残価率が正確に反映できない点があること、現行の算出ルール運用が複雑で業務の負担になっている点などが課題となっている。
端末購入プログラムの残価率算出ルールは、総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するワーキンググループ」による議論を経て、2024年12月に端末買取り時の残価率算出がルール化された。
今回のとりまとめ案では、各社の裁量によるグループ化を広く認めている現行ルール下では、規制の潜脱が発生しているため見直す必要がある。とした上で、全機種の残価率を一律化する案は、MNOの裁量を排除する点や業務負荷を低減する観点では有効であるものの、機種ごとの市場価値の違いが反映されないなどの問題があり、今回は採用されていない。
残価率の算出にあたっては、MNOの裁量を排除しつつ本来の市場価値から乖離しないことを最重視される。この方向性に沿って、詳細な見直し案の検討が必要とされた。
特定関係法人の指定について
電気通信事業法27条の3では、MNOによる規制の潜脱防止を目的に、MNOの特定関係法人であるMVNOや、契約数のシェアが4%を超える独立系MVNOを規制の対象としている。
特定関係法人に指定されているのはNTTドコモがNTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)、NTTPCコミュニケーションズなど、KDDIがソラコム、ビッグローブ、JCOMなど、楽天モバイルが楽天コミュニケーションズ。
特定関係法人に指定されているMVNOで最もシェアが大きいのはJCOMだが、同社のシェアは0.6%であり、独立系MVNOで基準となっているシェア4%を大きく下回っている。
独立系MVNOと特定関係法人であるMVNOとの競争では、前者のシェアは増加傾向であるが、特定関係法人のMVNOのシェアは減少傾向にあり、特定関係法人の相対的な競争力は低下しているという。
こうした背景から、特定関係法人を電気通信事業法27条の3の規制の対象外とする方針が示された。ただし、事後的にグループ内優遇などの潜脱行為をしていることが疑われる行為を実効的に防止する仕組みの導入が必要とされた。
「2万円以下」の廉価端末、値引き上限の基準は維持
販売価格が2万円以下の廉価端末の本体代金の値引き上限については、近年の端末価格の高騰を理由に、廉価端末として扱う金額の引き上げを求める意見があったが、過度な値引きなどに頼った競争慣行からの脱却を根拠に現行ルールの維持を求める関係者が多いとして、廉価端末の基準は見直されない方針が示された。
キャリアの「認定中古品」大幅割引、中古市場への影響を注視
MNOが認定中古品の端末を販売する例が増加しており、新品の端末と同様に値引きしている場合があるが、これにより中古端末の実売価格がRMJの平均買取価格を下回る廉価な価格で販売されるなど、中古市場への影響が懸念される。
こうしたことから、MNOが中古端末を販売する際の利益提供を新品の機種販売時よりも厳格にすべきとRMJから意見が出された。RMJは、会員企業の売上・買取り実績で、売上単価や買取り単価が2025年上半期から減少していることを明かし、高価格帯のユーザーが、MNOの端末購入プログラムを利用していることや、MNOによる認定中古品販売時に大幅割引していることが一因と指摘、規制の導入を求めた。
とりまとめ案では、MNOの端末購入プログラムや中古端末の販売する際の利益提供ルールを慎重に考える必要があるとしつつ、MNOが認定中古品として中古端末を販売する機会が増えていることや、MNO以外から端末を購入端末を購入する人の割合が増えれば、MNOによる過度な端末値引きなどに頼った競争慣行の弊害が相対的に弱まるとして、今後の状況を注視することが示された。
総務大臣のコメント
とりまとめ案が公開された後の閣議後記者会見で、林芳正総務大臣はホッピング行為について有識者会議の提言を踏まえ、必要な制度改正を実施するとともに、通信事業者などの関係者に対して自主的な対策に積極的に取り組むことを促進するとコメントした。












