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「リユースモバイル事業者認証」制度に携帯市場など4社が認定――中古携帯の信頼度向上、市場の活性化目指す

 リユースモバイルジャパン(RMJ)は、日本テレホン、携帯市場、ソフマップ、ブックオフを「リユースモバイル事業者認証」の第1号として認定した。

第1号として4社が認定

 リユースモバイル事業者認証制度とは、リユースモバイルジャパンが認定する中古携帯電話端末販売業者の認定制度。ユーザーに安心で安全な中古端末を提供することを目的に、販売業者に対して、一定の審査基準を設け、クリアした場合、認証マークの利用が許可される。

 審査基準は現在、第二版に改訂されており、第三版についても検討するという。販売業者は規定のガイドラインを遵守しているか、経営状態は健全か、企業内自治が機能しているかという3つの基準で判断される。

 RMJでは、中古端末を購入するユーザーに対して、認証マークがある店舗での購入促進のため啓蒙活動を行うとしている。

 2019年にRMJによって策定された。その後新型コロナウイルスの感染拡大による影響があったとしながらも今回、携帯市場、ソフマップ、ブックオフコーポレーション、日本テレホンら4社がリユースモバイル事業者の認証を受けた。

新美育文 明治大学名誉教授

 今回、認定された4社はリユースモバイル事業認証審査委員会委員長を務める明治大学名誉教授の新美育文氏によって発表された。

 発表の場には、総務省 大臣政務官の衆議院議員 古川康氏が登壇。

総務省 大臣政務官 古川氏

 古川氏は「携帯電話は今や生活必需品。これまで規制によりユーザーの希望の形ではなくても販売側のルールで買わざるを得なかった。携帯料金の値下げも値下げ自体が目的ではなく、公正な競争で必要な形で提供するため」と語る。

 武田良太総務相から「(携帯電話料金は)安くするだけではだめ。わかりやすく、納得感のあるものでなくてはならない。これが総務省としてのスタンスであるべきだ」という言葉があったことを紹介。

 通信利用料金と端末代金が一体になっていた時代は、本当にその高性能な端末が必要なのかどうか覆い隠されていたのではないかと指摘。「端末と通信料金が一体化したわかりづらさは脱却しつつある」と評価。SIMロック解除のガイドライン改正で大幅に解除件数が増加したことにも触れ「(リユースモバイル事業者認証がなされた)今日は大きな一歩だが、今回を終着駅とせず、しっかりとルールを作っていく」とした。

中古端末の需要は増加の兆し

 MM総研によれば、中古スマートフォン市場が2025年度には265万大規模に拡大するという。また、RMJの正会員企業の店舗数は全国で1700店舗。日本テレホン 代表取締役社長の岡田俊哉氏は、市場は堅調に流通数が増えているとしており、流通規模としては、MNOの流通量に対して6%の量という。

日本テレホン 岡田氏

 また、総務省の調査によると中古端末を検討するユーザーの多くが安さを理由に挙げる。中古端末利用ニーズも30%ほどと「一般的なサービスとして確立できるステージに来た」と岡田氏。

 一方で消費者からは故障や特にバッテリーの健康状態に不安を持たれる事が多い。リユースモバイル事業者認証制度は、バッテリーのみに特化した「リユースモバイル事業者認証(バッテリー関連)」も用意されており、ガイドラインの中ではネットワーク利用制限についても保証を設けることで対応した。

 認定にあたっては、外部有識者で構成される認証審査委員や総務省がオブザーバーに入るなど、第三者性を確保。高品質な運営を保つため罰則規定を設けた。

今後のRMJの展開は

 リユースモバイルジャパン理事長 リユースモバイル関連ガイドライン検討会座長を務める携帯市場 代表取締役社長の粟津浜一氏は同団体の目指す今後のビジョンを語る。

携帯市場 粟津氏

 MM総研の調査によれば、2020年度スマートフォン(新品)出荷台数は2410万台、うち5G端末が396万台という予測。加えてMVNO市場は21年3月末に純減するものの、IoTの需要拡大からふたたび純増に転ずる見通し。

 中古端末においては、MNOによる下取り端末が640万台、RMJによる買取が178万代で約881万台と予測され、販売亜では775万台とされる。

 中古端末において最も課題となるのが「ネットワーク利用制限」だと粟津氏。端末の割賦代金などの延滞があった場合に端末を特定、SIMカードを挿入したとしてもネットワークに接続させないもの。現状のルールでは、新品で購入した前ユーザーが延滞していた場合、その端末を中古で購入したユーザーがネットワークを利用できないという不利益を被る可能性がある。

 端末代金と通信料金が分離された今、ネットワーク利用制限の在り方や適用ルールを見直していくべきだと粟津市は説明した。

 加えて、電子決済の普及によりニーズの高まっているFeliCaなどのデータ消去についても安全性の高いデータ消去機能実装のための基準や対応ルール構築などが求められるとした。さらに現在、定義が曖昧となっている「リファビッシュ端末」についても明確な定義を策定、ネットオークションなどCtoC取引時の端末の評価基準なども合わせて定義づけたいという。

 粟津氏は最後に「RMJはリユースモバイルガイドライン、認証制度、市場課題への提言を行うことで、消費者にとって分かりやすく、納得感のある料金・サービスの実現、安心安全に取引できる中古端末市場をつくっていく」と今後への意気込みを見せた。