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KDDI「au Starlink Direct」説明会を開催、衛星SOSや衛星IoTなどサービス拡大

 KDDIは23日、スマートフォンとの直接衛星通信サービス「au Starlink Direct」に関する説明会を開催した。説明会では、「圏外ゼロ」の実現に向けた進捗とともに、緊急通報を支援するSOSセンターの新設や海外ローミングの拡大などが発表された。

つながる体感で国内初の4連覇

 KDDIは、5GのSub6基地局数での実績や、5G SAの申し込み不要での提供、世界初となるミリ波メッシュ技術の実用化など、通信品質へのこだわりをアピール。

 これらの取り組みにより、英OpenSignal社の国内レポートで国内初となる4連覇、グローバルでも2連覇を達成。日々積み重ねてきたネットワーク構築と品質改善が、客観的な評価として実を結んだ形を示した。

利用者は400万人を突破、LINE対応やUQ mobileでも無料に

 衛星通信サービス「au Starlink Direct」は、提供開始から1年で利用者数が400万人を超えた。対応機種はApple Watchを含め89機種、1100万台以上に拡大しており、これは昨年4月から約2倍の規模となる。21日からはLINEでのデータ通信にも対応し、利用可能アプリは計44種類に達した。

 料金面では、UQ mobileの「コミコミプランバリュー」「トクトクプラン2」において5月から無料提供されるほか、今後は専用プランへの加入なしでも無料利用できる準備を進める。

海外でも圏外ゼロへ、SOSセンターの開設も

 海外での利用シーンも拡充される。先行して開始されていた米国(T-Mobile)に加え、6月以降はカナダ、フィリピン、ニュージーランドでもau Starlink Directによるローミングが可能となる。各国の通信事業者と連携し、空が見える環境であれば、従来は通信が困難だった海外の観光地などでもStarlinkを介した通信が提供される。

 安全・救助面での大きな進展として「au Starlink Direct SOSセンター」の新設が発表された。圏外にいるユーザーが対応アプリからSOSを発信すると、センターが24時間365日体制で情報を受信し、警察や消防などの緊急通報受理機関へ代理通報を行う。5月下旬以降、「auカーナビ」や登山アプリ「ヤマレコ」などの提携アプリから順次利用可能となる。

 また、KDDIが提供する機能以外でも、海上レジャー向けの「マリンコンパス」や登山者捜索サービス「ココヘリ」など、パートナー企業が展開するアプリについても開発支援が行われる。

国内初、衛星直接通信をIoT分野へ

 国内初となるIoT回線向けの衛星直接通信サービス「au Starlink Direct for IoT」を23日より開始した。これまで通信圏外だった山間部や島しょ部など、日本の国土面積の約40%を占めるエリアにおいて、専用のアンテナ設置なしでIoTデバイスを活用可能にする。これにより、人手不足が深刻なインフラ点検や、現場確認が困難だった遠隔地でのデータ収集を効率化する。

セキュリティを強化した閉域接続を拡充

 法人向け固定通信サービス「Starlink Business」において、4月30日より「KDDI Wide Area Virtual Switch」を介した閉域接続サービスの提供を開始する。従来のStarlinkはインターネットを経由する仕組みだったが、インターネットを通さず、企業の社内ネットワークや自治体の専用網に直接接続できるのが特徴。

 この仕組みの導入により、病院で扱う個人情報や官公庁の機密情報、さらには電力や交通といった重要インフラの監視データなど、高いセキュリティが求められる情報の通信をより安全な環境で行うことが可能になる。外部のインターネットから隔離された経路を利用することで、サイバー攻撃のリスクを抑えた安定的な運用を支援する。

 提供の背景には、2024年1月に発生した能登半島地震での実体験がある。KDDIは同地震の際、600台を超えるStarlink Businessアンテナを被災地に投入して自治体や避難所の通信を支援したが、その活動の中で病院や学校から「個人情報を扱うために、インターネットを介さないセキュアな回線が欲しい」という強い要望が寄せられたという。

 これに応えるため、SpaceX社と1年にわたる協議と開発が重ねられた。KDDIの鶴田悟史氏は、被災地での切実な声が今回のサービス化を後押ししたと語る。料金は、1回線あたり月額25万円からとなる。

ビジネスグロース事業本部 グロース事業開発本部長 鶴田悟史氏

主な質疑応答

――衛星SOSについて、au回線の利用者のみが利用できるという話だが、他社でも利用できたほうが良いと思う。

門脇氏
 こういった機能は、広く使っていただくことに非常に価値があると思っております。今後、色々なアプリ提供事業者様に働きかけていきますし、また他通信事業者の方からご要望があれば、連携も検討はしていきたいと考えております。まずはau Starlink Directのお客様から始めるというふうにご理解いただければと思います。

執行役員 パーソナル事業統括本部長 兼 事業戦略本部長 門脇誠氏

――衛星SOS対応アプリが、標準でインストールされたアプリではない。au PAYアプリなど、標準でインストールされているアプリで対応するほうが適切だと思う。逆に、山に登るならこのアプリを入れましょうというキャンペーンを実施するつもりなのか。

秋田氏
 アプリに関しては、多数のお客様にサービスを活用いただくためには、アプリのインストールをしていただかな蹴らばいけません。さまざまな方法でお客様にアプリを拡げていくために、どのような方法があるか考えていきたいと思っています。

 自社アプリだけでなく、お客様が使っているアプリに入れることが大切で、1100万人にしっかりと使える環境を整えていくことが重要だと思います。

 キャンペーンなどに関しては、積極的に周知活動をしていきます。

パーソナル事業統括本部 事業戦略本部 事業企画部長 秋田翼氏

――衛星SOSについてアプリ経由になっているが、本当の緊急時など、アプリを立ち上げる暇もないときや、OSレベルでの対応などは考えているか。

秋田氏
 入力項目を減らすなど、いかに迅速に呼べるかを検討しています。今回、アプリの中で入力する情報は、緊急機関と連携して整理し、最小限の入力にしています。

 OSベンダーの皆様とも、今回の件を含めてどう進められるかは引き続き協議していきたいと思っています。

――au Starlink Direct for IoTについて、山の中に置くことが多いと思うが、空が見えないケースが多々ありそう。どう対策するのか。

鶴田氏
 IoTの場合は、ずっと繋がり続ける必要はなく、センサーで溜めて、繋がった時にデータを送ればいいというところもあります。山奥でも少しでも繋がればデータを送れるということが確認できているので、広げる場所としてはまだまだ残っているんじゃないかなと思ってます。

――サービスを開始してからの1年間、どういうシチュエーションで使っているユーザーが多いのか。

門脇氏
 やはり従来圏外であった場所、山間部や海上、離島での利用が非常に多いです。レジャーだけでなく、お仕事のシーンでも使われています。

――4月から他社もStarlinkサービスの提供を始めたが、どこで差別化するのか。

門脇氏
 昨年4月からau Starlink Directを開始していて、現在400万人超のお客様にご利用いただいています。大変ご好評もいただいています。

 こういったサービスを先に提供させていただくことで、色々なデータやお客様の声が集まってきます。実際のデータを見た上で、何が必要かというのを考えて提供できるという点が、非常に大事なことだと思っています。

 今回発表したSOSセンターなどもそうですが、こういったサービスの改善というのは、先にやっているからこそ提供できるというものがあるため、今後もお客様の声や集まってくるデータを活用して、新しいサービスを先手必勝でやっていきたいと考えています。

――パーソナル部門のサービスは大体無料で利用できると思うが、Starlinkを使う人が増えれば増えるほど、コストになると思う。どういったところで収益化しているのか。

門脇氏
 個々のサービスを提供するにあたってのコストという話は控えさせていただきますが、全体のお客様の便益に貢献するサービスということで、全体の中で賄っていくという考え方でやっています。

――これから空の交通網が発展していく中で、空の通信網をどう考えていくのか計画があれば教えてほしい。

秋田氏
 空の通信に関しては、NTL(Non-Terrestrial Network)領域として非常に重要だと思っております。今使えるものをいかにお客様に使っていただくかという取り組みと合わせて、空の取り組みも引き続き検討していきたいと思っております。