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KDDI、24時間365日ネットワークを支える現場を紹介 災害対策などの取り組みも
2025年9月4日 00:00
KDDIは、社会の基盤である通信ネットワークを24時間365日守り続けるため、運用体制の強化と最新技術の活用を進めている。東京・多摩市のネットワークセンターでは、その強靭性が改めて示され、3日には取り組みを紹介する説明会も開かれた。
運用体制とDXによる進化
KDDIは企画・開発や品質管理を担い、KDDIエンジニアリングが設備設計や運用保守を担当する体制を構築。激甚化する自然災害やトラフィック増大、システムの仮想化に対応するため、運用の自動化とDXに注力してきた。
2016年から約2000種類の業務を分類・標準化し、約4000件のシステム化要件を整理して自動化を推進。2021年には東京と大阪の2拠点をミラー化した「スマートオペレーション」を導入した。
ダッシュボードで状況を把握し、ゼロタッチやワンタッチで対応できる仕組みを整備。AIによる障害検知も進められている。5G SA装置では自動化を前提とした構築ルールを導入し、運用の高度化を加速させている。
能登半島地震での対応とStarlink活用
自然災害の広域化・長期化に対応するため、KDDIは電源車や車載基地局、衛星回線を活用して早期復旧を進めてきた。
令和6年能登半島地震では、発生から3分後に災害対策本部を立ち上げ、直ちに復旧活動を開始。道路の寸断や余震で現場に入るのが難しい中、輪島市のauショップが入るショッピングセンターにベースキャンプ車両を留めて拠点とした。
このとき大きな力を発揮したのが衛星通信「Starlink」だった。基地局のバックホール回線や避難所へのWi-Fi提供に活用され、機動性と速度が高く評価された。直前から訓練を始めていたこともあり、現場のエンジニアからは「昔の重たい機材には戻れない」との声も聞かれたという。
石川県庁との連携や通信事業者間の協力も進んだ。NTTドコモの船舶に相乗りし、吹雪の中でStarlinkを活用して沿岸部の通信を確保。自衛隊や災害派遣医療チーム(DMAT)などとも連携して避難所にWi-Fiを提供した。
技術力向上と訓練の積み重ね
KDDIの通信インフラは全国12拠点の連携で守られている。監視拠点では切り替えや復旧を迅速に行い、地方拠点では装置交換や災害復旧の指揮を担う。黒部峡谷鉄道のエリア化やイベント会場での車載基地局配備など、「つなぐ」ための活動も広く展開してきた。
災害対応力を高めるため、年間約1000件の訓練を実施。首都直下地震や南海トラフ地震を想定した全社訓練には、技術部門だけでなく営業や広報も参加し、復旧体制から周知方法までを検証している。2018年からは技能コンテストを行い、車載基地局やStarlink設営のスピードと安全性を競う取り組みも続けている。






























