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KDDIのネットワークセンターを見学、日々の通信を守るための取り組みとは

 電話やSNSなどのコミュニケーションから、日々の生活にすっかり浸透した印象のキャッシュレス決済まで――モバイル通信は、日常と切っても切り離せないものになった。では、通信を滞りなく提供するために、通信事業者はどのような取り組みを続けているのだろうか? 今回は東京・多摩市にあるKDDIのネットワークセンターを訪れ、設備などを見学した。

センター内の監視室には巨大なモニターが設置されており、全国の通信の状況などを確認できる
KDDI 執行役員常務 技術統括本部 副統括本部長 兼 エンジニアリング推進本部長 山本和弘氏
KDDIエンジニアリング 運用保守事業本部 サービス運用本部長 山本智也氏
KDDI 技術統括本部 エンジニアリング推進本部 運用管理部 副部長 水田秀之氏
KDDI 技術統括本部 エンジニアリング推進本部 ネットワーク強靭化推進室長 大石忠央氏
KDDIエンジニアリング 運用保守事業本部 多摩支社長 宮田知承氏

 KDDIのネットワークセンターは、日々めまぐるしく変わるネットワークの状況を監視しながら、安定した通信の提供を支える施設。災害などの発生時にも、すみやかに対応できるような運用システムが整えられている。

2021年度には、運用業務において東京・大阪の完全ミラー化を実現。どちらか一方の拠点で災害が発生しても、もう一方で対応できる
運用の自動化も進められている

 ネットワークセンターの場所として多摩市が選ばれた理由は、災害リスクの低さ。複数の候補地が挙がるなか、地震の影響を受けにくい地形であることや、洪水や津波に強い高台といった要素が決め手になったという。

ネットワークセンターの屋上
冷却水を循環させる装置「チラー」などが配備されている

 また、ネットワークセンターの建物自体は最新の免震構造を備える。揺れを緩和する構造として積層ゴムやオイルダンパーなどが設置されており、大きな地震にも耐えるしくみ。

積層ゴム
オイルダンバー
地震の揺れを計測する「ケガキ計」

 KDDIでは約1年前の2022年7月2日、結果的に約2300万人に影響する大規模な通信障害が発生。2日1時35分~4日15時までの61時間25分という長時間の障害を教訓とし、再発防止の取り組みや、災害などを含む有事の際の復旧手段の拡充が進められている。

 水陸両用車などの特殊車両や船舶型基地局、携帯電話の電波捕捉システムは、いわば「陸・海・空」の復旧手段。これに加え「宇宙」として、米Space Exploration Technologies(SpaceX)による衛星通信サービス「Starlink」を活用する。

左は衛星通信機材として「Starlink」を用いた車載型基地局、右側は従来の車載型基地局。「Starlink」は従来のものと比べて小型化や軽量化を実現しているが、特性の違いなども考慮し、2つを併用していくという
4輪バギー車両
水陸両用車

 KDDIは、衛星通信サービス「Starlink」をバックホール回線として用いる車載・可搬・船舶型基地局について、2023年度末までに全国へ約200台導入する。快適な通信サービスの提供に加え、万が一の際にもすぐ通信を復旧できるような取り組みを続けていく。