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ファーウェイ、スマホ業界初の切り替え式デュアル望遠カメラ搭載の「HUAWEI Pura 80 Ultra」発表
2025年7月24日 06:00
ファーウェイは7月22日、タイ・バンコクで発表イベントを開催し、「HUAWEI Pura 80」シリーズ3機種、タブレット端末「HUAWEI MatePad 11.5」を発表した。
いずれもアジアパシフィック地域向けの発表で、現時点では国内市場への投入はアナウンスされていない。
「HUAWEI P」シリーズの系譜を受け継ぐ「HUAWEI Pura」シリーズ
スマートフォンのカメラの進化において、数々の先進的な技術や機能を開発してきたことで知られるファーウェイ。
2012年に発表された「HUAWEI P9」は国内向けにも発表され、それ以降、「HUAWEI P」シリーズでは、カラーイメージセンサーとモノクロイメージセンサーの組み合わせによる高品質な写真撮影をはじめ、マルチカメラによるボケ味のあるポートレート写真の撮影、Leicaとの協業による高画質化など、次々と新しい技術を投入し、国内外のスマートフォンのカメラをリードしてきた。
その「HUAWEI P」シリーズは、2024年から「HUAWEI Pura」シリーズへと継承され、「Fashion Forward」をキーワードに、さらなる進化を続けている。
今回、発表された「HUAWEI Pura 80」シリーズは、ひと足早く、今年6月に中国市場向けに発表され、好調な売れ行きを示しているモデルで、アジアパシフィック地区向けにも展開される。ただし、残念ながら、現時点では国内向けへの展開はアナウンスされていない。
アジアパシフィック地区に展開される「HUAWEI Pura 80」シリーズは、最上位モデルの「HUAWEI Pura 80 Ultra」、プロフェッショナルなニーズにも応える「HUAWEI Pura80 Pro」、標準モデルの「HUAWEI Pura 80」の3機種がラインアップされる。
価格は「HUAWEI Pura 80 Ultra」が4万9990バーツ(約22万8000円)、「HUAWEI Pura 80 Pro」が3万8990バーツ(約17万8000円)、「HUAWEI Pura 80」は後日発表とされた。
業界初の切り替え式デュアル望遠カメラを搭載した「HUAWEI Pura 80 Ultra」
最上位モデルの「HUAWEI Pura 80 Ultra」は、背面から側面へかけての美しい仕上げが特徴的なボディ。大きさは163㎜×76.1㎜×8.3㎜で、重さは233.5gにまとめられている。
カラーはPrestige Gold、Golden Blackがラインアップされる。耐環境性能はIP68/IP69の防水防塵に対応する。
ディスプレイは2848×1276ドット表示が可能な6.8インチ有機ELを採用。最大輝度は3000nitsで、1~120HzのLTPOリフレッシュレート、300Hzのタッチサンプリングレートに対応する。表面には耐衝撃や耐スクラッチ性に優れた第二世代のCrystal Armor Kunlun Glassを採用する。
チップセットは7nmプロセスルールで製造されたKirin 9020オクタコアを搭載。メモリーとストレージは16GB RAMと512GB ROMで構成され、外部メモリーはサポートされない。
バッテリーは5170mAhで、最大100Wの有線による急速充電、最大80WのHUAWEIワイヤレス充電に対応するほか、ワイヤレスでのリバース充電も利用可能。プラットフォームは中国国内向けモデルのHarmony OSではなく、Android 12をベースにしたEMUI 15.0を搭載する。
切り替わるカメラ
カメラは50MP/F1.6~F4.0可変の1インチ超高輝度HDRカメラ(23㎜)、50MP/F2.4の超大型望遠カメラ(83㎜)、12.5MP/F3.6の大型望遠カメラ(212㎜)、40MP/F2.2の超広角カメラ(13㎜)で構成され、1.5Mマルチチャンネルスペクトルセンサーを組み合わせる。ディスプレイのパンチホール内には13MP/F2.0超広角フロントカメラを内蔵し、オートフォーカスに対応する。
「HUAWEI Pura 80 Ultra」でもっとも特徴的なのは、業界初となる切り替え式デュアル望遠カメラで、ペリスコープ式カメラの内部でプリズムを移動させることにより、光学3.7倍と光学9.4倍の望遠を可能にしている。イメージセンサーが業界最大クラスの1/1.28インチと大きいため、離れた被写体の写真や動画を撮影するとき、高品質な撮影を可能にしている。
これまでの望遠カメラは、各社のフラッグシップモデルでも光学3倍や光学5倍程度で、イメージセンサーのサイズも小さいため、画質も限度があるうえ、さらに被写体に寄るにはデジタルズームを組み合わせる必要があり、どうしても画質の劣化は避けられなかった。
これに対し、「HUAWEI Pura 80 Ultra」の望遠カメラであれば、光学3.7倍と光学10倍の望遠撮影が可能で、センサーサイズも大きいため、より多くの光を取り込むことができ、高品質な写真や動画を撮影することができる。
ちなみに、3.7倍はセンサーサイズをフルに活かして撮影できているのに対し、10倍はセンサーサイズの一部をクロップする形で撮影しているため、3.7倍で撮影した方がよりクリアな写真や動画を撮影できる。
たとえば、コンサートやイベントなどで、アーティストやタレントを撮影できるケースが増えているが、できるだけ被写体に寄った写真や動画を撮ろうとすると、周囲の暗さの影響もあり、どうしても画質が悪くなってしまうが、そういったシチュエーションでも「HUAWEI Pura 80 Ultra」の望遠カメラなら、被写体に寄った構図で、クリアな写真や動画を撮影できるわけだ。
今回、発表会後のタッチ&トライでは、ライブハウスのようなステージが用意され、数メートル離れた位置から撮影する体験スペースが用意されたが、周囲が暗く、ライトアップされたステージという環境にもかかわらず、ボーカルの女性の動きを捉え、きれいな写真や動画を撮影することができた。昨今の『推し活』のニーズにも応えられるカメラと言えそうだ。
1インチセンサーを搭載した「HUAWEI Pura 80 Pro」
「HUAWEI Pura 80 Pro」は最上位モデル「HUAWEI Pura 80 Ultra」のデザインを継承した特徴的なボディに仕上げられたモデル。
大きさは163㎜×76.1㎜×8.3㎜と共通だが、内部パーツの違いにより、重量は219gにまとめられている。
カラーはGlazed Red、Glazed White、Glazed Blackの3色がラインアップされる。耐環境性能はIP68/IP69の防水防塵に対応する。
ディスプレイは「HUAWEI Pura 80 Ultra」と共通で、2848×1276ドット表示が可能な6.8インチ有機ELを採用。最大輝度は3000nitsで、1~120HzのLTPOリフレッシュレート、300Hzのタッチサンプリングレートに対応。表面には耐衝撃や耐スクラッチ性に優れた第二世代のKunlun Glassを採用する。
チップセットも「HUAWEI Pura 80 Ultra」と共通で、7nmプロセスルールで製造されたKirin 9020オクタコアを搭載。メモリーとストレージは12GB RAMと512GB ROMで構成され、外部メモリーはサポートされない。
バッテリーは5170mAhで、充電の仕様も「HUAWEI Pura 80 Ultra」と共通となっている。プラットフォームはAndroid 12をベースにしたEMUI 14.0を搭載する。
カメラは50MP/F1.6~F4.0可変の1インチ超高輝度カメラ(23㎜)、48MP/F2.1の望遠カメラ(93㎜)、40MP/F2.2の超広角カメラ(13㎜)で構成される。ディスプレイのパンチホール内には13MP/F2.0超広角フロントカメラを内蔵し、オートフォーカスに対応する。
「HUAWEI Pura 80 Ultra」と違い、切り替え式デュアル望遠カメラは搭載されていないが、超高輝度カメラ(広角カメラ)はイメージセンサーのサイズが1インチと大きく、より多くの光を取り込めるため、高品質な写真や動画を撮影することができる。
フラットなデザインで仕上げられた「HUAWEI Pura 80」
「HUAWEI Pura 80」は「HUAWEI Pura 80 Ultra」と「HUAWEI Pura 80 Pro」のデザインを踏襲しながら、ボディサイズをわずかにコンパクトに仕上げたモデル。
大きさは157.7㎜×74.4㎜×8.2㎜で、重さは211gにまとめられている。カラーはFrosted Gold、Frosted White、Frosted Blackの3色展開。耐環境性能はIP68/IP69の防水防塵に対応する。
ディスプレイはひと回り小さく、2760×1256ドット表示が可能な6.6インチの有機ELを採用。上位2モデルのディスプレイが両側面を湾曲させた形状であるのに対し、「HUAWEI Pura 80」はフラットなディスプレイを採用する。最大輝度は2800nits、最大120Hzのリフレッシュレートに対応する。表面のガラスは第二世代のKunlun Glassを採用する。
チップセットは7nmプロセスルールで製造されたKirin 9020オクタコアを搭載。メモリーとストレージは12GB RAMと256GB ROMで構成され、外部メモリーはサポートされない。バッテリーは5170mAhで、最大66Wの有線による急速充電、最大50WのHUAWEIワイヤレス充電に対応する。
カメラは50MP/F1.6~F4.0可変の1/1.3インチ超高輝度カメラ(24㎜)、12MP/F3.4の望遠カメラ(125㎜)、13MP/F2.2の超広角カメラ(13㎜)で構成される。ディスプレイのパンチホール内には13MP/F2.0超広角フロントカメラを内蔵し、オートフォーカスに対応する。
タブレットも発表
今回の発表では「HUAWEI Pura 80」シリーズのほかに、オールラウンドに使えるタブレット「HUAWEI MatePad 11.5」も発表された。
2456×1600ドット表示が可能な2K対応11.5インチの液晶ディスプレイを搭載したタブレットで、6.1㎜というスリムなボディで、重量も515gと軽量に仕上げられている。カラーはViolet、Space Grayがラインアップされる。
ファーウェイによれば、同社のタブレットはリーズナブルな価格と扱いやすさなどから、若い世代を中心に人気を集めており、電子書籍などのコンテンツ閲覧をはじめ、学習、クリエイティブな作業などに活用されている。
本体には10100mAhバッテリーが内蔵され、ローカルでのビデオ再生が最大14時間が可能で、最大40Wの急速充電にも対応する。
アプリもオリジナルのHUAWEI NotesやWPS Officeアプリがインストールされており、幅広いシーンでの活用が可能としている。
日本市場向けスマートフォンの復活を期待したい
現在、ファーウェイは2019年に米商務省のエンティティリストに追加され、2020年以降は国内の携帯電話各社での取り扱いが停止されたことで、国内市場には5年以上、スマートフォンを投入できていない。
その一方で、スマートウォッチやスマートバンド、イヤホンなどのウェアラブル製品は好調な売れ行きを示しており、ゴルフナビを搭載した「HUAWEI Watch GT5 Pro」などはこれまでスマートウォッチにあまり興味を持っていなかったゴルフユーザーにも高い注目を集めている。
ワイヤレスイヤホンのオーディオ製品も「HUAWEI FreeBuds」シリーズや「HUAWEI FreeClip」シリーズなど、他社にはない個性的な製品で人気を集めている。
今回発表された「HUAWEI Pure 80」シリーズは、かつて国内市場で販売されるスマートフォンのカメラで、たいへん高い人気を得ていた「HUAWEI P20 Pro」や「HUAWEI P30 Pro」などの流れを継承するモデルになるが、グローバル市場ではライバル製品との激しい競争が繰り広げられており、今回のモデルも切り替え式デュアル望遠カメラで他社に先んじようとしている。
フォルダブルスマートフォンでも三つ折りの「HUAWEI Mate XT ULTIMATE DESIGN」を投入するなど、積極的に進化を続けており、グローバル市場向けにはファーウェイらしい先進性を感じさせる製品群が次々と発売されている。
今回の「HUAWEI Pure 80」シリーズを含め、こうしたスマートフォンが国内で利用できないことは非常に残念であり、今後、何らかの形で日本市場向けスマートフォンの復活を期待したいところだ。






































