レビュー
ヘルスケア&ワークアウト機能が飛躍的に進化! 「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」を使ってみた
2025年7月4日 00:00
ファーウェイ・ジャパンが6月3日に発売した「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」。ファーウェイのスマートウォッチは「WATCH Ultimate」、「WATCH」、「WATCH GT」、「WATCH FIT」、「WATCH D」の5つのシリーズで展開されている。その中で「WATCH FIT」は機能が控えめで、「Band」シリーズを除くと最も安かった。
しかし、FIT 4 ProはFITシリーズでは初めて「Pro」と付くフラッグシップモデルで、「WATCH GT」シリーズの上位モデル「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」と同等の機能を備えている。
カラバリは3色あり、フルオロエラストマーベルトのブラックとブルーは3万7180円、ナイロンベルトのグリーンは3万9380円。筆者はファーウェイ・ジャパンから提供されたブラックを使用している。
軽い装着感と見やすい大画面が魅力
ファーウェイのスマートウォッチは文字盤が円形のモデルが多いが、FIT 4 Proの文字盤は正方形に近い長方形。Apple Watchに近いデザインと言っても差し支えないだろう。
ディスプレイは1.82インチの有機ELで、解像度は480×408ピクセル。最大輝度は3000nitsと明るく、文字がクッキリと表示されるが、小さな文字は見づらく感じることがあった。
しかし、通知やワークアウト中の計測データなど重要な情報は見やすい文字サイズで表示されるので、不便を感じることはなかった。
大きさは約40×44.5×9.3mmで、重さ(ベルトを含まず)は約30.4g。カジュアルな雰囲気で、装着感は非常に軽い。運動するときも、着けたまま寝るのも気にならなかった。
ディスプレイ部に耐摩耗性に優れたサファイアガラスを採用し、ケースに航空グレードのアルミニウム合金やチタニウム合金を用いるなど、かなりタフな作りになっているので、うっかり何かにぶつけたりしても心配なさそうだ。
右側にクラウンと機能ボタンを搭載。クラウンを押すとアプリのメニューが表示。使用中のアプリを停止したり、ホームに戻したりする際にも用いる。“操作に迷ったらココを押せ” 的なマルチなボタンだ。
なお、回して画面をスクロールすることもできる。下の機能ボタンを押すとワークアウトのメニューを呼び出せる。
また、自分がよく使う機能を呼び出すように設定変更することも可能だ。もちろんディスプレイはタッチスクリーンで、スマホと同じ感覚で操作できる。
筆者が使っているブラックのベルトは、熱や汗に強いフルオロエラストマー製。穴が多く、緩めにしたり、キツめに締めたりという調整がしやすかった。ベルトはボタンを押すだけで外せる。サードパーティ製のベルトが多く発売されており、着せ替えを楽しむこともできそうだ。
わずか30秒で心電図も測定できる
身体の状態は心拍数、血中酸素レベル、ストレス、睡眠のモニタリングが可能。いまや、どのスマートウォッチにも搭載されている機能ではあるが、ファーウェイは「HUAWEI TruSense」という独自のセンシングシステムを持っていることを優位性としてアピールしている。
計測データの精度については、素人の筆者には評価できないが、少なくとも違和感のある結果が表示されることはなかった。咳がひどくて熟睡できなかった夜は、睡眠のスコアが非常に低くなるなど、納得のいく結果が出た。
心電図を測定できるのも魅力だ。日本で医療機器として認証された心電図機能を搭載するスマートウォッチはまだ少なく、Apple WatchとHUAWEI WATCHの一部機種だけだ。
ちなみに「Pro」が付かない「HUAWEI WATCH FIT 4」に心電図機能はない。ヘルスケア機能を重視するなら、FIT 4 Proを選ぶのが得策だ。
心電図の測定方法は非常に簡単。「心電図」アプリを起動し、電極が搭載されている機能ボタンに指を当てて30秒静止するだけ。調べられるのは心房細動(不整脈)で、異常がない場合は「洞調律」と表示される。
基礎疾患がある人を除けば、いつも「洞調律」と表示され、測定することに飽きるかもしれない。しかし、時々の測定を続けることが病気の早期発見につながる可能性はあるだろう。
個人的には「ボディメイカー」という機能も気に入った。食事で摂取したカロリー量を入力することで、ウォッチが算出した消費カロリー量と差し引きされて、カロリーの過不足がわかるという機能だ。
体重の目標などを設定することで、目標とすべきカロリー赤字(消費カロリー量 ― 摂取カロリー量)が提示され、それを目安にダイエットや健康維持に生かせる趣向。前世代のFIT 3から継承された機能だが、久しぶりに使ってみると、操作性が改良されていた。
以前は、カロリー量の入力は「HUAWEI Health」アプリで行う必要があったが、現在はウォッチでも入力できるようになっていた。筆者は「ボディメーカー」を使うことで「今日は食べ過ぎたから少し運動しよう」、「今日はボリュームのある夕食でもいいかも」と、食事や運動に対する意識が向上した。
地図をダウンロードして、オフラインでも見られる
ワークアウトモードは、ランニング、ウォーキング、サイクリング、水泳などに加えて、登山、ゴルフ、フリーダイビング、スキーといったモードも備えている。
ファーウェイが発表会で強く推していたのが登山とトレイルランニングだ。「HUAWEI Health」アプリから等高線入りの地図をダウンロードしてウォッチに同期でき、さらに登山ルートのGPXデータをインストールすることで、地図を見ながら安全に登山やハイキングを楽しむことが可能。
オフラインでも現在地がわかり、来たルートを戻る案内をしてくれる機能もあるので、道に迷ったときにも安心だ。
筆者は、まだ登山で試したことはないが、インストールした地図はランニングやウォーキングをするときにも見られるので、ウォーキング時に表示させてみた。細い道もすぐに判別できる視認性で表示され、位置情報も正確だった。
登山やハイキングをせずとも、例えば、旅行先でスマホを持たずにウォーキングしたりする際にも役立ちそうだ。
ファーウェイは昨年来ゴルフ機能に注力している。上位機種にゴルフ場でのプレイをサポートする機能が搭載されているが、FIT 4 Proでも同じ機能を利用できる。「HUAWEI Health」アプリからゴルフ場のマップをダウンロードし、ウォッチに同期すれば、ワークアウトの「ゴルフ」→「コースモード」から起動できる。
筆者はゴルフをしないので、実際には試していないが、ゴルフを趣味とする人には見逃せない機能だろう。
また、5ATMの防水性能を備え、水深40mまでのフリーダイビングにも対応している。ちなみに、下位モデルのFIT 4では等高線マップ、ゴルフ場でのナビゲーション、40mダイビングは利用できず、これらの機能はFIT 4 Proの優位性となっている。
ヘビーに使っても電池は1週間持つ
ファーウェイのスマートウォッチは電池持ちの良さにも定評がある。HUAWEI WATCH FIT 4 Proのバッテリー持続時間は「通常使用で約10日間、ヘビーユースで約7日間」となっている。
筆者が実際に使ったところ、フル充電から10日経過しても、まだ電池が残っていることがあった。使い方や設定によっては、さらに長く持たせることができるだろう。同梱の充電器で充電もスピーディに行えた。
Apple Watchの対抗になるかも!?
HUAWEI WATCH FITシリーズの前モデルはFIT 3だけだったが、今年はFIT 4とFIT 4 Proの2モデルがリリースされた。機能を重視するならFIT 4 Proがおすすめだ。
また、心電図やゴルフ機能に惹かれてHUAWEI WATCH GT 5 Proが気になっている人もFIT 4 Proを選択肢に加えるべきだ。両モデルの機能はほぼ同等なので、円形の文字盤や軽さを好むのであれば、FIT 4 Proを選んだほうが満足度は高いだろう。
強いて不満をあげると、Suicaなどの決済機能がないこと。ファーウェイのスマートウォッチは海外ではファーウェイ独自の決済機能が利用できる国・地域があるようだが、日本では未対応。今後の対応に期待したい。
しかし、決済機能を必要としないのであれば、Apple Watchよりも電池持ちが良く、使い勝手のいいウォッチと評価できそうだ。