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「au Starlink Direct」がさらに繋がりやすく、SMS送受信は30秒以内に

 KDDIは、人工衛星とスマートフォンが直接通信する「au Starlink Direct」において、7月17日までに衛星からの電波発射を追加し、SMSの送受信時間が従来の約2分から30秒以内に短縮されたと発表した。

利用状況とユーザーの声

 「au Starlink Direct」は、4月10日のサービス開始から7月10日までのわずか3カ月で、ユニークユーザー数が100万人に到達。対応機種の増加により、今後さらに利用者の拡大が見込まれている。

KDDI 技術企画本部 技術企画部 通信プラットフォームグループリーダー 志田裕紀氏

 KDDI技術企画本部の志田裕紀氏によれば、山間部や僻地など、従来は圏外となる場所での通信確保に貢献しており、登山中のメッセージ交換、峠道での緊急連絡、悪天候時のキャンプ場での使用など、ユーザーから安心の声が寄せられているという。

パートナー連携と遭難救助実証

 法人との連携も進んでおり、KDDIは5月に登山アプリ「ヤマレコ」や長野県と協力し、遭難救助に関する実証試験を実施。

 この試験では、遭難者がアプリを通じて位置情報や状況を送信できるようになり、従来は数日かかることもあった初動対応が、衛星通信によって30分以内に短縮された。

位置情報の送信
質問に答えてSOSメッセージを送ることができる

衛星技術の飛躍的向上

 サービス品質の向上には、衛星技術の進展が貢献している。これまで赤道から53度傾いた軌道を周回する衛星を使用していたが、新たに43度傾斜の軌道を周回する専用衛星を追加。これに伴い、総務省からの電波発射許可も取得した。

赤道に対する角度が軌道傾斜角
軌道傾斜角43度を追加したことで密度が増した

 衛星は約300機増え、合計約600機体制となり、日本上空の衛星密度が向上。これにより、中緯度地域にあたる日本での接続率が大幅に改善された。

接続品質の具体的な改善

 同じ一定時間内において、53度軌道のみだった場合は約50秒間の圏外が2回発生していたが、43度軌道の追加後は、約25秒間の圏外が1回のみに減少。接続品質が大きく改善された。

 SMS送信時間も、開けた場所では90%以上のケースで30秒以内に完了し、従来と比べて約4倍の高速化が確認されている。北海道を含む全国で品質向上が報告されている。

相手が入力中であることも表示された

今後の展望

 KDDIは今夏、「au Starlink Direct」でデータ通信サービスの提供を予定しており、登山中の地図アプリ利用など、メッセージ以外のデータ通信にも対応していく方針。

データ通信サービスはもうまもなくとのこと

 なお、音声通話の提供には、さらなる接続率の向上が必要であり、今後の課題とされている。KDDIは今回の改善を踏まえ、より安心で便利な通信環境の実現を目指している。

Gemini in Google メッセージ