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マイナ救急、意識障害の急病人の早期回復などにつながる――4月から全国で実施
2025年2月21日 18:12
消防庁は、健康保険証としての利用登録がされたマイナンバーカード(以下、マイナ保険証)を活用して、救急搬送時の病院選定時などに資する情報を把握する実証事業(以下、マイナ救急)について報告を行った。また、令和7年度からは全国の全ての消防本部で実証事業を行う。
実証事業の結果として、約2カ月間でマイナ救急によって情報閲覧があった件数は約1万1000件におよび、氏名、生年月日、住所などの基礎情報に加え、受診した医療機関名、既往歴、薬剤情報などの医療情報が救急隊によって確認されたという。
マイナ救急が活用された事例として、実家に帰省中でお薬手帳を所持していなかった50代女性が、食事中に意識を失ってしまい薬剤情報が不明であったが、マイナ救急によって薬剤情報が確認できたために、円滑に搬送先医療機関が選定できた。
また、外出先でふらついて立ち上がることができなくなってしまった男性が、意識障害を起こしている原因がわからなかったが、本人が所持しているマイナ保険証から医療情報を参照し、糖尿病を患っていることが判明したため、ブドウ糖を投与したところ、搬送中に意識レベルが回復して病院到着時には会話可能な状態まで回復した例などが報告された。
救急隊員からの声
実証事業では、マイナ保険証を準備しやすい住宅内での実施率が高くなったが、前掲の事例でもあるように外出先の事故や病気などでも有用性が確認されていることから、マイナ保険証の携行を呼びかけることが重要とした。
また、意識不明など傷病者と意思疎通が困難な場合には、マイナ救急の有用性が高く、意識清明な場合でも傷病者の負担軽減や情報の正確性の裏付けに役立つことがわかった。といった救急隊員の声が寄せられた。
救急搬送された傷病者の声
糖尿病によって意識不明となる可能性があったが、マイナ救急により持病を伝えることができた事例や、傷病者本人が慌ててしまったり、思い出せなかったりするなどの理由で伝えられない情報がマイナ救急によって伝えられたりした、お薬手帳が見つからなくてもマイナ保険証で服用している薬や受診した病院が伝えられた、といった声が報告された。
病院からの声
傷病者の氏名や年齢などの特定に要する時間が減り、診療を重視することができた。服用している薬が事前にわかったため、緊急手術にあたって事前準備ができた。増加している独居や身寄りのない高齢患者について、正確な情報が事前に得られるのがありがたい。などの声が寄せられた。