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東京ビッグサイト周辺で自動運転のオンデマンド交通サービス、無料
2025年1月21日 18:34
MONET Technologies(MONET)は、東京都の臨海副都心で自動運転車によるオンデマンド交通サービスの実証実験を開始する。一般向け試乗という位置づけで実証期間は1月22日~3月中旬。利用料金は無料。
無料で乗車可能
乗降場所は国際展示場駅、東京テレポート駅、東京ビッグサイト、シティサーキット東京ベイの4カ所で、利用状況にあわせて12本のルートで運行する。利用できるのは平日の10時~16時。2台の車両が運行され、3月中旬まで利用できる予定となっている。
乗車には、MONETが提供するアプリ「MONET」経由で予約する必要がある。実証実験として展開されるサービスで、料金は無料。将来的には、他社の配車アプリにも対応することも視野にいれる。実証は3月中旬までだが、その後も新たな展開が用意されており、後日あらためて発表される見込み。
車両は北米トヨタのミニバン「シエナ」。トヨタ自動車と米国のMay Mobilityが開発したもので、日本向けに調整した。備える自動運転機能はレベル2のため、セーフティドライバーが乗車する。定員は運転手含めて6名。
人間の判断を機械で実現
実証に用いられる車両は、トヨタ自動車が北米地域向けに展開しているトヨタ・シエナ。May MobilityによるADS(Autonomous Driving System、自動運転装置)システムと車両側の仕組みが連携して自動運転を実現する。
車両にはレーダーやLiDAR、カメラを搭載しており360度全周を監視する。車両の動作の意思決定に関わる部分は「MPDM」(Multi-Policy Decision Making)というMay Mobility独自の仕組みを備える。事前に設定したルールに基づくのではなく、センサーが認知した環境をもとに、その場でシミュレーションして安全かつ一番快適な選択肢をとるという。May Mobility Japan カントリーマネージャーの中村卓史氏は「人間がする判断をソフトウェアで実現する」と話す。
通常、自動運転は事前に学習したパターンから動作を選択するというが、学習していない事態におかれた場合に対応できなくなるほか、多くのパターンを学習する必要があることからコストもかさむ。May MobilityのMPDMの場合、想定外の事態に対応しやすいメリットがあるほか、相対的に認知のための学習量が少なくなるため、コスト低減にもつなげられる。迅速なサービス展開にも寄与するという。
実証のなかでは、危険がある場合や特定の場所では万全を期すために、セーフティドライバーが介入する場所がある。最大速度は約40km/h。米国で開発された仕組みのため、日本にあわせて信号や道路の車両防護柵など米国にはない独自の環境にあわせた調整を行っている。一方でまだ対応できない状況もあり、そうした場所を通らないよう配慮している。今後、機能をアップデートすることで対応できる範囲を広げる。
MONET Technolologies 代表取締役社長 兼 CEOの清水繁宏氏は「自動運転MaaSの社会実装」という同社の目標を説明。モビリティサービスで、通常の車両と自動運転車が混在する環境のなかでも、自動運転の運行支援が可能になるAPIの提供などを進めていくとしている。