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筑波大で自動運転バスの実証実験、道路のセンサーと連携したレベル2の自動運転
2024年1月22日 05:30
KDDIとつくば市、筑波大学、関東鉄道、アイサンテクノロジー、ティアフォー、SOMPOリスクマネジメント、損害保険ジャパンは、筑波大学(茨城県つくば市)において、自動運転バスの走行実証を1月9日~30日までの期間で実施している。1月22日~30日までは、一般ユーザーを乗せた実証実験を行う。
大学構内の道路を走行
今回の実証実験では、大学構内の道路を走行する。構内の道路ではあるが、一般車も通過利用できる道路であり、取材に向かった平日午後でもそれなりの通行量があった。
また、大学生の行き来も多く、走行ルート脇の歩道や、道路を横切る横断路もあり、徒歩だけでなく自転車による横断も多い。
今回の実証では、死角となりやすいこうした横断路や交差点での安全確保に向けて、車両側のセンサーだけではなく道路側にもセンサーを配置し、車両内で道路側のセンサーで検知したものを確認(路車協調)できるようにしている。今回の実証では、自動運転機能との連携はないが、将来的には取り入れることが考えられているという。
今回は、自動運転レベル2の実証で、運転の主体は人間で、自動運転の技術は運転補助や運転支援にとどまるが、アクセル/ブレーキ制御やハンドルの方向制御はシステムが行っているという。
Bluetoothで料金収受までを目指す
また、今回の実証では、バスの自動運転だけでなく、iPhoneとBluetoothを活用したデータ連携機能への取り組みも行う。
ユーザーは、iPhoneにあらかじめ指定されたアプリをダウンロードしておき、バス利用時にアプリを立ち上げたままにしておく。すると、バス停やバス車内のBluetoothビーコンと通信し、ユーザーが「どこから乗車したのか」「今乗車中かどうか」「どこで降りたのか」といったデータを収集できる。
ユーザーは、端末を取り出したり端末にかざしたりせず、運行事業者も計測せずにデータを収集できる。
今回の実証では、料金収受は行わないが、実証がすすめば、利用区間に応じた運賃の収受や定期券の確認などを、タッチレスで行えるようになるとしている。
つくばスーパーサイエンスシティ構想
つくば市では、持続可能な社会実現に向けて最先端技術の社会実装と都市機能の最適化を進める「つくばスーパーサイエンスシティ構想」があり、高齢者や子育て世代、外国人、障がい者など状況にかかわらない住民中心の都市への取り組みを進めている。
筑波大学 システム情報系 教授の鈴木 健嗣氏は、「都市と郊外部の二極化」が進んでいるといい、「病院や施設までの移動」というアクション1つを取ってみても「バスの数が減少している」ことや「バス停までの移動も大変」といった声が市民からあり、加えてバス事業者からも、「運転手の高齢化」や「二種免許保有の運転手が不足している」現状などが挙がっている。」
鈴木氏は、今回の自動運転バス以外にも、オンデマンドタクシーやシェアリングモビリティの活用や、投票所自体を移動させたり病院まで検体をドローンで運んだりする取り組みでネットワークを構築し、必要なときに必要な場所へあらゆる移動手段を持てる都市を目指すとした。
2027年の「レベル4 定常運行」を目指す
KDDI 事業創造本部 BI推進部 オープンイノベーション推進1G グループリーダーの松田 慧氏は、2017年以降に同社が実証している自動運転は、日本全国で19カ所30回以上行ってきたと説明。
今回の自動運転では、KDDIだけでなく、アイサンテクノロジー(高精度地図など)やティアフォー(車両の提供など)、損保ジャパン(リスクアセスメントなど)などのパートナーと連携し、自動運転実証ノウハウを蓄積しているという。
官民学のオープンイノベーションで進められている今回の実証を踏まえ、2025年度には公道かつ一部区間の無人運転や車体の大型化を目指し、2027年にはレベル4の定常運行に向けて、取り組みを進めていくとしている。