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仙台市で自動運転バスの実証実験、凍結路・災害時も安全走行 ドコモビジネスら10者
2025年11月27日 14:07
NTTドコモビジネスやNTTドコモ、仙台市など10者は、宮城県仙台市の2カ所で自動運転バスの実証実験を開始した。津波が想定される沿岸部や通信が難しい山間部で複数キャリア回線とローカル5G、都市OSを組み合わせた自動運転サービスの可能性を検証する。
NTTドコモビジネス、NTTアドバンステクノロジ、NTTデータ経営研究所、パナソニック コネクト、ドコモ・テクノロジ、タケヤ交通、先進モビリティ、NTTドコモの8社で構成されるコンソーシアムと、東北大学および仙台市が参画する。
輻輳や不感地帯での安全走行を検証
実証は、沿岸部の「東部北ルート」と山間部の「秋保ルート」の2カ所で実施される。東部北ルートでは、ドコモの5G(SA・NSA)に接続できるバスが走行する。災害時の通信輻輳を想定して、5G ワイドによるパケット優先制御やスライシングで遠隔監視に必要な通信を優先的に確保できるかを検証する。
秋保ルートでは、山間部で電波状況が不安定になりやすい環境を想定して、ドコモおよびKDDIの5Gネットワークとローカル5Gに接続。自動切り替え制御や商用ネットワークが届かない場所でのローカル5Gによる補完を検証する。ローカル5Gは光回線を「Starlink」で代替する。
両ルートともにdocomo MECによるエッジ処理で低遅延化やセキュリティ向上の効果を検証する。また、都市OSを通じて工事や災害情報と連携する安全走行の実現可能性や車両のセンサーで収集した路面凍結の情報を連携し、走行制御に反映する仕組みを検証する。
NTTドコモビジネスが10月に発表した「通信安定化ソリューション」を活用する初の実証実験。仙台市は、公共交通サービスの維持や観光客の移動手段として自動運転の導入に向け実証を行っている。津波の可能性や電波がつながりにくい場所は、自動運転サービスの展開に課題があることから、それぞれ特徴が異なる東部北ルート・秋保ルートの2カ所で検証を行う。
今回の実証を通じて得られた知見は、仙台市の地域交通の維持に活かすとともに、全国で同様の課題を抱える地域での自動運転サービスの展開にも取り組む。複数キャリア回線やローカル5G、都市OSの活用といった技術は2027年までに、商用の自動運転サービスへ適用することを目指す。
一般の利用も可能
東部北ルートの運行期間は11月27日~12月7日。秋保ルートは2026年1月19日~1月30日。東部北ルートは三井アウトレットパーク 仙台港を起点に夢メッセ宮城、仙台うみの杜水族館など、秋保ルートは、秋保・里センターを起点に秋保神社や秋保大滝などを巡る。
予約用のWebサイトで申し込めば、運賃無料で乗車できる。天候などの影響でドライバーによる運転への切り替え、もしくは運休する場合がある。申し込めば、三井アウトレットパーク 仙台港と秋保・里センターに設置される遠隔監視システムも見学できる。
ほかにも車内体験の実証として、東部北ルートでは、車内カメラで白杖利用者をAIで検知し、視覚障害者が単独でも乗車できる環境構築を検証する。案内ロボットが車内に白杖利用者がいる情報をもとに、目的地まで案内する。また、乗客の年代・性別を判別して、興味関心に応じた広告の表示も行う。
さらに、東部北・秋保ルートの両方で、車内ディスプレイを通じてVTuberによる情報発信や乗客からの質問にリアルタイムで応答できるかの検証も合わせて実施する。いずれの検証も一部日程で、デモンストレーション形式での実施となる。




