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新料金プラン「auマネ活プラン」登場、その背景とは――髙橋社長らが語ったこと

 KDDIと沖縄セルラーは、auの新料金プランとして「auマネ活プラン」を発表した。9月1日から提供され、利用料は月々7238円。「au PAY カード」やauじぶん銀行の口座など、KDDIグループの金融サービスの利用による特典が用意される。

 新プランの特色はどういったところにあるのか、提供の背景とは――本稿では、KDDI 代表取締役社長 CEOの髙橋誠氏、執行役員常務の竹澤浩氏、auフィナンシャルホールディングス 代表取締役社長の勝木朋彦氏の質疑応答との様子をお届けする。

髙橋氏
竹澤氏
勝木氏

「auマネ活プラン」提供の背景など

――今回の「auマネ活プラン」はどうして実現できたのか。他社との差別化のポイントや、アドバンテージは。

髙橋氏
 我々は金融事業について、auじぶん銀行のスタートのときから力を入れてきました。その後ここまで十数年かけて、(関連会社やサービスの)ラインアップを作ってきたということが、ひとつの要因になると思います。

 ほかの会社さんの金融分野の取り組みでは、基本的にオープンに提供するという金融ビジネスがすごく多いような気がしますね。

 我々は、通信サービスと金融サービスを連携してサービスを提供するしくみづくりにこだわってきました。

 オープンではあるが、サービス連携によって多くのメリットを提供するということが、au IDを含めたID連携によって実現できていました。

 楽天さんができているような気はしますが、ID連携を金融サービスとされている会社さんも少ないので、このあたりは我々の特色だと思っています。

――「auマネ活プラン」の目標は。

髙橋氏
 「auマネ活プラン」にはシミュレーターがあり、僕もシミュレーションをやってみたんですが、結構いいメリットが出るんですよ。

 すごくお得で自信を持っているんですけど、自信のほどは竹澤のほうから宣言してもらいたいと思います。

竹澤氏
 店頭で(auに)ご加入いただいている7割の方が「使い放題MAX 5G/4G」を選択いただいています。「使い放題MAX 5G/4G」を利用いただいているほとんどの方に、今回の「auマネ活プラン」を利用いただきたいと思っています。

 「auマネ活プラン」のシミュレーターで、自分に合っているかどうかも確認できますので、そちらも活用いただきたいと思います。

――「auマネ活プラン」は「家族割プラス」の対象外になる。

竹澤氏
 今回このプランを仕立てるにあたって、金融サービスを使うとさらにお得になるようにしたかったというのがあります。そこで、「家族割プラス」の代わりに、金融サービス特典を充実させるという選択をしました。

 ただ、やはりご家族で使う方も多いと思いますので、「家族割プラス」の人数カウントには入るようにしています。

髙橋氏
 「auマネ活プラン」の基本的なポイントは、選択性のプランということです。興味ある方はプランに加入していただいて、メリットが少ないという場合はまた戻れるという点は重要です。

 ただ、シミュレーションをやっていただいたらわかるように、かなりお得なので、ずっとお使いいただけるのではと思っていますが……。まずはぜひシミュレーションしていただき、実際にお得かどうかをご覧いただければと思います。

――UQ mobileやpovoでも同様のプランを提供していくのか。

髙橋氏
 今回、このサービスをどのブランドから入れようかということはかなり議論しました。

 auで「使い放題MAX 5G/4G」は好評で、データ上限を気にせず使いたい方は貯蓄にもすごく興味がある……そんなデータもありましたので、まずはauから入れてみました。

 UQ mobileのお客さまにも、金融に興味がある方がたくさんいらっしゃるというのは理解しています。ただ、「コミコミプラン」などを入れたばかりなので、まずは通信料にフォーカスして提供するというイメージです。

 UQ mobileやpovoのお客さまについて、(auと)まったく同じかたちではありませんが、ターゲットに応じたかたちのプランは引き続き検討していこうと思っています。

 具体的な時期は申し上げられませんが、ほかのサービスの展開も考えています。

――「auマネ活プラン」には契約から12カ月限定の特典がある。(2024年に始まる)新NISAを狙って、少し無理している部分があるのか。

竹澤氏
 12カ月限定の特典に関しては、新NISA開始の時期に関わらず、もちろんこのまま続けていこうと考えています。

 資産形成は長く続けていくもの。ですから、ベースの部分で「ずっとおトク」になるような特典も用意しました。長くお付き合いいただけるようなプランになっていると思います。

ターゲット層など

――「auマネ活プラン」はどのような層の利用を見込んでいるのか。

竹澤氏
 2点あり、投資や資産運用に興味はあるが、開始できていないお客さまというのが1点目です。

 2点目として、すでにポイントを含めてau経済圏やほかの経済圏を利用いただいている方で、まとめて“マネ活”を進めていきたいと思っている方を主なターゲットとしています。

 世代などはあまり意識していません。

――店頭での説明が複雑になりそうだが。

髙橋氏
 たとえば高校での金融教育の必須化など、資産形成については政府も後押しをされているように思います。

 いろいろ調べてわかったんですが、我々の世代よりも、今の若い方のほうが、資産形成への意欲がかなり高い。学園祭でキャッシュレス決済を使いたいという話や、その延長線上で若者向けの金融教育へのニーズも多くあります。

 興味関心が高い方がいらっしゃいますので、そこに対する店頭での説明は丁寧にやらないといけない。

 複雑になっているというご指摘ですが、我々としては「ずっとおトク」「賢く増やそう」というかたちで整理しました。これを、工夫しながら店頭でご説明すればわかりやすいのではということで、我々もかなり考えました。

 若者を中心に投資意欲への関心が高まっているので、シミュレーターなど活用しながらわかりやすく拡大を図っていきたいと思っています。

業界におけるKDDIの立ち位置など

――金融サービスとのID連携を実施している会社として、楽天との違いは。

髙橋氏
 金融サービスのラインアップ、そしてそれを提供する会社群としては、楽天さんはかなり揃っていると思います。

 我々も、基本的には銀行からクレジットカードまですべてご用意しましたし、キャリア決済やau PAYなどもあり、ラインアップとしては非常に揃っています。

 たとえばドコモさんやソフトバンクさんを見てみると、ドコモさんは銀行はお持ちになっていない。そういう意味では少し差分があるのかなと。

 楽天さんとの違いですが、楽天さんは経済圏からモバイルに入ってこられた会社。我々は逆に、モバイルから金融に入っていこうとしている会社です。

 そういった状況で、何をベースにすればわかりやすいのかということで、auやUQ mobile、povoのお客さまに金融サービスを提供する……今回はまず、auからサービスを提供するということになりました。

――「auマネ活プラン」はどういった意味で“業界初”なのか。

竹澤氏
 通信と金融を融合したというところがひとつのコンセプトで、データ使い放題のようなプランに(金融サービスの)特典を組み込んだのが業界初だと考えています。

髙橋氏
 スマホ向けの料金プランとして打ち出すのが、携帯業界初だとご理解いただければ。

――auじぶん銀行について、メインバンクにしづらい部分もある。

髙橋氏
 私もそう思って、auフィナンシャルホールディングスには日々プレッシャーをかけています(笑)。勝木社長のほうから心意気を。

勝木氏
 日常のメインバンクになれるよう、これからも機能拡充を図っていきます。

 税金還付や年金の受け入れなど、公金の取扱いもスタートしていますが、公金の支払いサイドの機能がこれからというところもありますので、このあたりを含めて拡充を進めます。

――経済圏におけるKDDIの立ち位置は。

髙橋氏
 我々は「au WALLET」を世の中に提供し、今でいうプリペイドに発展していますが、その後PayPayやdポイント、楽天ポイントなどが出てきました。

 我々からすると、最初に打ち出したものの、キャンペーンやゴールドカードの拡大などで、残念ながら少しビハインドしたのかなと思います。

 先陣を切って始めた者としては、「追いつき追い越さなきゃ」という思いがありました。

 たとえばゴールドカードであればドコモさんと比較するとまだ半分くらいかなと思いますし、拡大の余地がありますので、今回の「auマネ活プラン」を皮切りに力を入れてやっていきたいと思います。

金融サービスの状況など

――Pontaポイントの状況は。発行規模などを知りたい。

竹澤氏
 Pontaポイントの発行規模については、ほかのステークホルダーさんもいらっしゃいますので、具体的な数字は控えさせていただきます。

 今回の「auマネ活プラン」については、Pontaポイントの発行において、非常に大きな“てこ”となると考えています。ポイント経済圏から“マネ活”経済圏への広がりを生んでいきたいと思っています。

――金融サービスの目標は。

勝木氏
 たとえば(auじぶん)銀行では月間の口座開設数の倍増を目指します。ゴールドカードの加入率では、現状の2割を5割まで引き上げるという目標で進めていきたいと思っています。

NTT法などの改正について

――電気通信事業法やNTT法の見直しに向けた議論が活発化している。

髙橋氏
 NTT法や関連する事業法の議論は、通信事業者としては非常に重要なので、しっかりと注視していきたいと思っています。

 法律の制定から時間が経っているという観点についてはその通りだと思っていますし、現代社会に合わせて改定すべき内容について議論するタイミングであることも理解しています。

 ただ、重要な法律でもありますので、改定すべき内容とそうでない内容を明確にして、ユーザー目線に立った議論が必要かなと。

 もう少しお話すると、NTTさんが国際競争力を発揮するにあたって足かせになっている部分の見直しが必要であることは、非常に我々も理解できます。

 一方、災害など有事が多いなかで、通信という国にとって非常に重要なインフラを、安全保障上どのように担保していくのかも大きな課題です。このあたりは十分に議論していかなければいけないポイントかなと思っています。