ニュース
スマートホームの新規格「Matter」で何が便利になるの? Amazonの中の人による説明を聞いた
2023年7月4日 20:57
朝起きたときに「おはよう」と言えば電気がついたり、帰宅前にスマホアプリからエアコンの電源を入れたり……生活が便利になるスマートホーム製品の存在は、日本でも少しずつ浸透してきた印象がある。
そんなスマートホーム製品を、もっと便利なものにするための新規格――それが、2021年5月に発表された「Matter(マター)」だ。スマートホーム製品間の互換性を向上するというねらいのもとで発表され、2022年には「Matter 1.0」が登場。アマゾン(Amazon)やアップル(Apple)、グーグル(Google)をはじめとするさまざまな企業が参画している。
では、Matterでいったい何がどのように便利になるのか? アマゾンジャパンは4日、報道陣向けの説明会を開催し、Matterに向けた取り組みや、音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」の事業の概況などを説明した。
スマートホームをよりシンプルなものに
Matterは、米国のConnectivity Standards Alliance(CSA)が策定した、スマートホームの接続規格。スマートホーム製品やシステム、音声アシスタントの相互接続をその目的としている。
先述の通りアマゾンもMatterに参画しており、「Echo」シリーズのデバイスでMatterのサポートを進めてきた。
Matterの普及によって期待される大きなメリットは、乱立するさまざまなスマートホーム規格の一元化を図れること。利用者にとって、スマートホーム製品を使い始める際のハードルが下がる。
たとえば、あるメーカーのスマートプラグを購入し、それを照明につなげてアレクサから操作したいとする。通常であれば、スマートプラグメーカーのアプリをインストールしてセットアップし、それをあらためてアマゾンのAlexaアプリで認識させなければならない。そうして初めて、「アレクサ、(スマートプラグにつながった)照明を消して」というコマンドを使えるようになる。
もしスマートプラグがMatterに対応していれば、手順はもっとシンプルだ。スマートプラグメーカーのアプリのインストールは不要になり、Alexaアプリからデバイス(スマートプラグ)を登録するだけでいい。
Amazon Alexa インターナショナルのジャパン カントリーマネジャーを務めるティニス・スキパース(Theunis Scheepers)氏は、「複数のスマートホーム製品があり、それぞれで環境を構築しなければならないというような“負荷”が、Matterによって下がる。そして最高の体験が実現する」と語った。
アレクサにおける取り組み
アマゾンでは従来から、スマートデバイス向けに「フラストレーションフリーセットアップ(Frustration Free Setup:FFS)」と呼ばれる拡張機能を提供している。これは、デバイスのセットアップの際、Wi-Fiパスワードなどの入力を省くことで、利用までの手順を簡略化するもの。
FFSに含まれるソリューションのひとつとして、Matter対応デバイス向けにも「Matter Simple Setup(MSS)」が用意され、シンプルな手順でセットアップが完了する。
そのほか、アレクサ経由で操作されるMatter対応デバイスをローカルでコントロール可能にすることで、遅延などの低減につなげる機能「コミッショナブルエンドポイント」や、開発者向けのAPIセット「Ambient Home Dev Kit」も用意される。