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「1円スマホ」の規制など提言、総務省の有識者会合

 総務省の有識者会合は20日、「競争ルールの検証に関する報告書 2023」の草案を公開した。あわせて6月23日~7月24日の期間で、同報告書案に対する意見募集を実施する。

1円スマホを規制へ

 報告書案では、2019年に施行された改正電気通信事業法で規定された、通信契約に紐づく端末の値引きは2万円までという上限について見直しを提言。

 値引き規制は、導入後一定期間は効果があったものの「白ロム割」と称される回線契約の有無に関わらず適用される割引やそれにともなう「1円スマホ」が再燃。規制の対象外である白ロム割も、通信契約とセットで購入する場合は、その対象に含めることや値引きの上限自体を「4万円とすることが適当」とされた。

 NTTドコモは、過去の会合で1円スマホについて「激しいMNP競争下において、キャリアが自主的に取りやめることが難しい」としており、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルも同様に規制の必要性を訴えた。

 1円で購入したスマートフォンを高値で転売する行為などが横行しており、公正取引委員会は1円スマホを独占禁止法の不当廉売にあたる可能性があると指摘していた。

SIMのみ契約での還元も規制対象に

 加えて端末を購入せず回線のみ契約する「SIMのみ契約」でのキャッシュバックが、2万円以上の値引きにつながっており、規制の潜脱行為のひとつともされた。これにより、踏み台となる回線を用意して回線を契約しキャッシュバックを受け取るために契約するという行為があるという。

 販売代理店が独自に実施する割引や還元は規制の対象外で、現行制度では問題にはならないが、規制の趣旨について「主体によって潜脱の有無が変化するものではないことに鑑みれば、潜脱行為となる行為は等しく規律さるべき」として、事業者が代理店に対する措置をとることをガイドラインに含むべきとされた。

「踏み台」も抑止へ

 サービスを利用するのではなく、還元などを目的としたMNPも抑止するべきとされた。MNPは、ほかの契約形態に比べて高い割合での端末値引きなどが受けられるケースがあり、実際にサービスを利用するのではなく、MNPすることが目的の「踏み台」と呼ばれる行為が横行しているという。

 報告書案では、踏み台にされた事業者にとっては、通常の申込みとの区別は困難と指摘。ただし、乗り換えに障壁を設けることは、これまでの施策の趣旨と逆行するとして、踏み台の原因となるMNP優遇を見直すことを提案している。

 一例として、転入元事業者での契約期間が短い新規ユーザーに対して利益を提供しないなどの措置を講じない場合、業務改善命令の対象とすることをガイドラインで規定する案が示された。

 そのほか、報告書では残る課題として5月から順次開始されている「MNPワンストップ化」について、対応事業者が限られていることや店頭・電話での対応などについて検討すべきとしている。