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「スマホの対応周波数のルール化は慎重に」、総務省のWG

 総務省は24日、「競争ルールの検証に関するWG(第31回)」をオンライン開催した。

 本稿では、同WGの資料のうち、「携帯端末の対応周波数等について」に焦点を当ててご紹介する。

現状

 本誌過去記事ですでにご紹介したとおり、携帯電話端末については、電気通信事業法や電波法上の技術基準を満たすことが求められる一方、「どの携帯事業者の周波数に対応するか」といったことに関するルールはない。

 そして、携帯事業者が販売する“キャリア端末”のなかには、ほかの事業者の周波数に対応していないものもある。このような状況のなか、総務省の消費者センターには、「SIMロック解除はできるようになったが、周波数の問題があり、(ある事業者から購入した端末を)他社で使えないのはおかしい」といった意見などが寄せられていたという。

今後の方向性

 こうした課題に対し、今回のWGでは、今後の方向性が話し合われた。

 その結果として、携帯端末について、『各キャリアの主要な周波数への対応』をルール化・標準化すること」が案として挙がった。諸外国の例として韓国が挙げられ、「電気通信設備の相互接続基準に基づき、実態として同国内で販売されている端末は、キャリア専売モデルの端末を含め、複数キャリアのすべての周波数に対応しているもよう」と紹介された。

 一方、こうした措置に対する懸念の声も挙がった。特に、「低価格帯の端末ニーズに沿えなくなる」「ユーザーの選択肢を奪うことになる」という懸念が示された。

 また、「現状の国内において、すでに複数キャリアに対応した端末も、ある程度普及していることを踏まえれば、ルール化や標準化が必要なほど、市場全体に問題が顕在化していないのでは」との声も挙がった。

 これらの意見を受け、「拙速にルール化・標準化を推し進めることは適当ではない。当面は、端末メーカーの自主性を尊重し、可能な範囲で複数の携帯キャリアに対応した端末を開発・製造することを促していく。そうした考え方を、ガイドラインなどのかたちで示すことが適当では」との提案がなされた。

 同時に、「ユーザーが多様な選択肢のなかから情報を得て、合理的な選択をできる環境整備が重要」という意見もあった。環境整備の具体例としては、「携帯キャリアや端末メーカーのWebサイトなどの充実」「実際の端末購入時のわかりやすい情報提供」などが示された。

 また、WGでは、「今後の端末市場の状況によっては、複数キャリアの周波数に非対応の携帯端末の問題が顕在化する可能性もないとはいえない。そうした場合に、あらためてルール化・標準化の必要性などを検討すべきではないか」とされており、今後の検討の余地も残されている。