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クアルコム、有識者会議で5Gミリ波の重要性をアピール

「最新iPhoneの1円販売」は業界発展に繋がるのか? と苦言も

 総務省は11日、「競争ルールの検証に関するワーキンググループ 第30回」を開催した。

 本稿では、同会議に参加したクアルコムジャパンの主張を紹介する。

 会議でのヒアリング対象事業者には、クアルコムジャパンのほかに、Apple JapanやMVNO、中古端末の販売事業者も含まれている。

 クアルコムジャパンに対しては、「競争ルールの検証に関する報告書2021」以降の端末販売の状況や、5G端末の販売状況、特にミリ波対応端末の取り扱い・販売状況に関するヒアリングが行われた。資料の一部は構成員に限り公開されたが、一般に公開されている内容からクアルコムジャパンの主張を整理したい。

端末販売状況について

 クアルコムジャパンは、報告書2021以降の端末販売の状況について、「各MNO、端末ーメーカーからの回答がより適切」としながらも、第三者機関のデーターに基づく見解を明かした。

 クアルコムジャパンは、電気通信事業法の改正に伴い緩やかな増加傾向から減少に転じたものの、2020年6月に第1回目の緊急事態宣言が解除されてから現在に至るまでは、端末販売台数は概ね回復傾向にあると評価した。

端末市場の現状について

 MNO各社が提供するahamo、povo2.0、LINEMOなどの廉価プランや、魅力的な4G/5G端末、ミリ波通信に対応する機種などが継続的に市場投入されると共に、リモートワークやリモート授業など、新たな日常が定着したことが、端末販売台数の回復を下支えしているとした。

 一方で、国内市場は他の地域と比べて高・プレミア価格帯の販売割合が高いことが特徴であったが、近年では低・中価格帯の販売台数が増加している。

 今後は、量販店などで実施されている一部の特定機種への大幅値引きの影響がどのように生じてくるかなどについて、詳細な分析が必要と主張している。

5G対応端末の取り扱いについて

 クアルコムジャパンは、国内の全MNOからミリ波対応5Gサービスが提供されているほか、対応端末が他地域と比べて順調に増加、スマートフォン以外でもミリ波に対応するパソコンなどが登場するなど、日本国内で5Gへの移行が順調に進展していると評価した。

 しかしながら、ミリ波通信に非対応な一部の特定機種に対する割引を重点的に行う販売方式が定着・拡大することは、電波の能率的な利用や、健全な電気通信市場の発展を阻害するおそれがあると主張した。

 同社は、総務省に対して市場状況をより詳細に分析するとともに、ミリ波普及促進の観点から必要に応じた対策を講じることを求めた。クアルコムジャパンは、ミリ波の普及促進は消費者が"真の5G"の便益を享受するためにも重要であると主張している。

 クアルコムジャパンが総務省に提出した資料によると、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが国内で販売する機種のうち、2020年冬モデルのミリ波対応機種はAndroidスマートフォンが2機種、21年夏モデルと22年冬モデルでは4機種ずつ、22年夏モデルでは9機種がミリ波に対応するという。

 なお、国内向けのiPhoneはミリ波対応モデルが発売されていない。

国内向けのミリ波対応機種の投入状況

 また、クアルコムジャパンは最近の国内の販売動向として、"本体代1円セール"が、主に量販店で再開していると指摘した。

 割引が大きいスマートフォンには型落ちモデルだけでなく新型のiPhoneも含まれるが、これらの機種は5Gのミリ波に非対応であり、これらの割引が業界の発展、特にミリ波の普及促進に有効だろうか? と疑問を投げかけている。

 クアルコムは、最新チップセット「X70」では、SA対応のミリ波帯の通信速度が8Gbpsを記録したこと明かすなど、ミリ波帯の優位性をアピールしている。