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楽天モバイル「新たな試合観戦体験」の実証実験、プロジェクトメンバーが紹介

 楽天モバイルと楽天ヴィッセル神戸は、「ヴィッセル神戸」の本拠地であるノエビアスタジアム神戸にて5Gを活用した新たな試合観戦体験の実証実験を行っている。同社は、2021年11月3日に実施した今年の実証実験について、昨年から進化したポイントや、今後の展望などを公式ブログで紹介している。

昨年から進化したポイント

 楽天モバイルの佐藤氏は、実験では「VPS技術を活用した選手情報、試合情報のAR表示」「VPS技術を活用したAR広告の表示およびインターネットショッピングとの連携」の2項目を検証したという。

 選手の基本情報や、シュート数、パス数、走行距離などの試合情報のAR表示に加えて、今年の実験はVPS(Visual Positioning System)技術を活用しスタジアムの形状に合わせて任意の場所に正確にAR表示ができるようになった。デバイスの位置情報を特定する精度が向上したため、スタジアムのどの位置からでもARを表示できる。

 また、ARコンテンツの内容も充実させたという。例えば、今回は、ゴールシーンにあわせて演出エフェクトが表示された。このARグラフィックデザインやUI/UXの設計は、楽天デザインラボが担当しており、今後は楽天グループ内のコラボレーションも加速させていくという。

楽天モバイルパートナープログラムで協働する企業と行った実証実験

 楽天モバイルのケルヴィン・チェン(Kelvin Cheng)氏は、実験に用いたVPS技術は空間マッピング技術を保有しているImmersal社の提供であることを明かしている。

 Immersal社が開発する都市規模のVPSソリューションが、ノエビアスタジアム神戸のような大規模会場でも利用できる可能性を考え、楽天モバイルから声をかける形で今回の協働に至ったという。

 VPS技術ではカメラで捉えた画像を高頻度でサーバーに送ることで、より位置特定の精度を高めている。そのため、高速大容量通信や超低遅延といった特長を持つ5Gの活用が今後さらに期待されている。

 また、実証実験用に作成した3Dマップは、楽天モバイルパートナープログラムで協働する企業にも共有し、サービス化を視野にいれた実証実験を検討していくという。

次回に向けて検討していること

 楽天モバイルの益子氏は、5G対応スマートフォンの普及を考慮しながら、サービス化に向けた取り組みを加速させていく予定だという。

 VPSと5Gを掛け合わせていく観点で、スタジアム内のナビゲーションサービスや座席ごとのクーポン発行(例えば、ヴィッセル神戸側で観戦している人には特別なクーポンを発行する)など、よりパーソナライズされたサービスの検討にも意欲を示している。

 また、同氏は、すでに主要観客席が5Gエリア化されている東北楽天ゴールデンイーグルスのホーム球場「楽天生命パーク宮城」への横展開や3DデータとVPS技術のさらなる活用、楽天モバイルパートナープログラムで協働する企業や団体との新しい取り組みにも生かしていきたいと述べている。