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ドコモ「10月14日の障害」、音声通話は約460万人、データ通信は830万人以上に影響

 NTTドコモは、10月14日~15日にかけて発生した通信障害について、音声通話は約460万人、データ通信は830万人以上に影響があったと発表した。

 利用できないユーザーは、当初、約200万人とされていたが、その後の精査の結果、約100万人と修正された。これは普段と比べ、障害中の差分から推定された数値となる。

 音声通話とデータ通信についても、通常と障害時の違いから推定。通話は、電話のコール数の違いと、1人あたりの平均コール数から算出。データ通信は4Gサービスの位置登録の差分(普段よりも最も大きく減った分)とされている。

 データ通信は「830万人以上」となっているが、これは最大830万人という規模ながら、若干数のユーザーが4G→3G、3G→4Gへ入れ替わった可能性があり、その人数を踏まえ、「830万人以上」という表現になったという。

謝罪する小林ネットワーク本部長

 24時間以上利用できない場合は返金されるが、今回は「利用しづらいが、通信はできる」という状況だったため、返金対象ではないと判断された。またdポイントの付与などでの対応も検討されていない。

14日の障害は

 通信障害は、自動販売機やタクシーなどに搭載されるIoT機器向けの位置情報サーバーを新しいものへ切り替える工事の中で発生した。

 IoT製品は海外でも利用されることがあるが、サーバー切り替え工事の中で、一部のIoT製品が海外滞在時に、位置情報を登録できないことが判明。新設備へ切り替える予定を変更して旧設備へ切り戻すことにした。

 その際、一度に大量のIoT機器から旧設備へ位置情報を登録する処理を進めることになった。しかし、あまりに大量過ぎたため処理しきれず、ドコモのネットワーク全体を規制することになった。

 多くのユーザーに影響を与え、法律上、「重大な事故」となり、同社では総務省へ報告。事故翌日にも説明会が開催されていたが、約1カ月を経た今回、あらためて報道向け説明会が開催された。

 同社によれば、4Gおよび5Gの端末は、12時間11分、3Gは29時間6分にわたり、利用しづらい状況となった。

外部会社との手順認識違いが障害招く

 外部の企業とともに工事に挑んだドコモでは、事前に切り戻しする際の手順も定めていた。その中にはどの程度の台数を一度に復帰させるか、というものも含まれていた。

左からネットワーク開発部長の音洋行氏、ネットワーク本部長の小林宏氏、サービス運営部長の引馬章裕氏

 ドコモでは、復帰させる台数を分割する方針として、事前に打ち合わせも済ませていた。しかし社外メンバーとの連携のなかで認識に齟齬があり、「かなり偏った分割、あるいは信号の出し方になる手順」だったという。これは交換機について、物理的な単位と論理的な単位があるなかで、その認識で齟齬があったとのこと。

 もともと分割で復帰させるやり方を考えており、その想定であればネットワークの処理能力で受け止められるものだったが、手順に対する認識の違いが障害を招くことになってしまった。

 ドコモでは再発防止策をあわせて発表。そうした中のひとつには、切り戻し手順の条件を明確にすることや、全体手順書の作成などが含まれている。

 また信号交換機のリソース枯渇につながったことから、一般ユーザーとIoT端末の信号交換機を分離させる。

「回復」という表現

 14日20時ごろ、一部の報道機関が「ドコモの通信障害が回復した」と報じた。しかし、その後も利用しづらい状況は続いていた。

 ドコモでは、「利用できない状況が解消すれば『回復』としていたが、利用しづらい状況自体は解消していなかった」と説明する。

 道路でたとえれば、「通行止め」→「通行再開も渋滞」といった状況で、ドコモは「お客さまにとって利用しづらい状況は回復していなかった。お客さま目線で情報発信できていなかったことに問題があった」と反省しているという。